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「女性が痛風」を発症するとどんな「初期症状」が現れる?【医師監修】

 公開日:2025/05/01
「女性が痛風」を発症するとどんな「初期症状」が現れる?【医師監修】

なんとなく足の親指の付け根が痛む、関節が赤く腫れている。そんな症状に心あたりはありませんか?痛風は男性がなるイメージがありますが、女性でも発症することがあります。

本記事では女性の痛風の初期症状について以下の点を中心にご紹介します。

  • 痛風とは
  • 女性の痛風について
  • 痛風の診断・治療

女性の痛風の初期症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

痛風とは

痛風とは

痛風はどのような生活習慣病ですか?

痛風は、生活習慣病のひとつとされており、体内の尿酸値が慢性的に高い状態が続いた結果、関節内に尿酸が結晶として沈着し、激しい炎症を引き起こす病気です。

尿酸は血液に溶けていますが、一定量を超えると結晶化し、体温の低い足の指先などの関節に蓄積されやすくなります。こうした尿酸結晶が関節内で炎症を引き起こすことで、風が当たるだけでも痛いと表現されるような激しい痛みが現れます。

大体の場合、足の親指の付け根に症状が出ますが、くるぶしや膝、アキレス腱の付け根などにも見られます。脂質異常症などを併発していることも多く、生活習慣と深く関わっているため、食事や運動、アルコール摂取などの見直しが重要です。

痛風は何が原因で発症しますか?

痛風は、血液中の尿酸値が慢性的に高くなる「高尿酸血症」が原因で発症します。

・食事
レバーや魚卵、赤身肉、ビールなどプリン体を多く含む食品を頻繁に摂取すると、尿酸の産生が増加します。

・生活習慣
過度な飲酒(特にビール)、肥満、運動不足などは尿酸値の上昇につながります。

・腎機能の低下
腎臓がうまく機能しないと、尿酸が体外に排出されにくくなります。

・体質・遺伝
尿酸が関節に沈着しやすい体質や、結晶化を起こしやすい遺伝的要因も関与していると考えられています。

ただし、尿酸値が高いすべての方が痛風を発症するわけではなく、結晶が沈着するかどうかは個人差があります。

痛風の初期症状を教えてください

痛風の初期症状は、ある日突然関節が腫れ、激しい痛みが現れる「痛風発作」として現れます。特に多いとされているのは足の親指の付け根で、夜間から早朝にかけて発症するのが特徴です。発作が始まると、関節が赤く腫れ上がり、熱を持ち、触れるのも困難な程の痛みが数日間続きます。

なかには、発作の数日前から「ピリピリ」や「ムズムズ」といった違和感を足指などに感じる方もいます。初めての発作では1週間程で自然に痛みが治まることもありますが、放置すると再発を繰り返すようになり、発作の頻度や範囲が広がる可能性があります。

どのような方が痛風になりやすいですか?

痛風になりやすい方には、いくつかの共通した特徴があります。

まず、血中の尿酸値が高い(高尿酸血症)方は、尿酸が結晶化しやすく、痛風を発症するリスクが高まります。また、中年以降の男性に多くみられ、特に40〜50代がピークとされています。

生活習慣との関係も深く、飲酒習慣のある方(特にビールを好む方)や、脂っこい食事や内臓や魚卵を好む方、早食いや大食いの方は注意が必要です。さらに、肥満体型や運動不足や激しい運動を好む方もリスクが高まります。

その他、不規則な生活を送りがちな方やストレスフルな職種(記者や営業職など)、そして家族に痛風の既往がある方もなりやすい傾向があります。遺伝的要因や体質も影響するため、生活習慣の見直しと定期的な健康チェックが大切です。

女性の痛風について

女性の痛風について

女性でも痛風を発症することはありますか?

痛風は男性が発症しやすい病気という印象がありますが、女性でも発症することがあります。
女性は男性よりも尿酸値が低い傾向にあり、これは女性ホルモンが尿酸の排泄を助ける働きを持つためとされています。

しかし、閉経を迎えるとホルモンの影響が減少し、尿酸が体内に蓄積しやすくなることから、痛風のリスクが上昇します。また、食生活の変化や生活習慣の乱れなどにより、若い女性でも高尿酸血症になる可能性があります。

女性の痛風で生じる初期症状を教えてください

基本的に痛風の初期症状にははっきりとした性別や年齢による違いはありませんが、女性の痛風にも、基本的には男性と同じように突然の関節の腫れや激しい痛み(痛風発作)が現れます。典型的には足の親指の付け根に発症しますが、くるぶしや膝、手首などほかの関節に出ることもあります。

ただし、女性では発熱や悪寒、倦怠感といった全身症状が前面に出る場合があり、関節の痛みよりも体調不良として感じることもあります。

また、女性の痛風は閉経後にホルモンバランスが変化することでリスクが高まるため、更年期の症状(のぼせ、疲労感、イライラなど)が現れた後に痛風を発症するケースもあります。

初期症状に気付かず放置してしまうと、発作を繰り返し、関節の変形や腎機能への影響が出ることもあるため、違和感を覚えたら早めに医療機関を受診することが大切です。

痛風の診断・治療

痛風の診断・治療

痛風はどのタイミングで病院を受診することが推奨されていますか?

痛風は以下のタイミングで、受診することが推奨されます。

・突然の激しい関節痛があるとき
特に足の親指の付け根や足首、膝などに強い痛みが現れ、歩行困難になるような場合は、痛風発作の可能性があります。

・発作が繰り返される・頻度が増えているとき
一度発作が起きた後、再発を繰り返す場合や、発作の間隔が短くなっている場合は、治療の見直しが必要です。

・発熱や倦怠感などの全身症状を伴うとき
関節の痛みだけでなく、発熱や全身のだるさがあるときは、ほかの疾患や合併症の可能性も考えられるため、速やかな診察が必要です。

・軽度でも症状が続いているとき
軽い痛みでも数日以上改善しない場合や、症状を繰り返す場合は、放置せず医師の診断を受けましょう。

痛風は進行すると関節の変形や腎機能障害につながることもあるため、注意が必要です。

痛風はどのように診断されますか?

痛風の診断は、症状や検査結果を総合して行われます。まず重要なのは、発作時に見られる急な関節の腫れや強い痛みなど、痛風特有の症状の有無です。

・血液検査
血中の尿酸値を測定します。尿酸値が高い(高尿酸血症)場合、痛風の可能性が高くなりますが、尿酸値の変動が痛風発作に繋がるため、痛風発作中は尿酸値が低く出ることもあります。そのため、尿酸値が低いからと言って痛風発作を否定する根拠にはなりません。同時に、中性脂肪やLDLコレステロールなど、生活習慣病の指標も確認します。

・関節液検査
より精密な診断には、発作中の関節から関節液を採取し、尿酸結晶が存在するかを顕微鏡で確認する方法があります。これが痛風の確定診断につながります。

・画像検査
必要に応じてX線やエコー、CT検査などを行い、関節の変化や尿酸結晶の沈着を確認する場合もあります。

痛風が疑われる症状がある場合は、これらの検査を受けることが大切です。

痛風の治療方法を教えてください

痛風の治療は、大きく「発作時の対症療法」と「尿酸値を下げる原因療法」に分けられます。
まず、急な関節の腫れや激痛を伴う痛風発作時には、消炎鎮痛薬(NSAIDs)やコルヒチンを用いて炎症と痛みを抑えられます。発作中は尿酸値を下げる薬を始めると悪化することがあるため、症状が落ち着いてから治療に移行していきます。

発作が治まった後は、血清尿酸値を6.0mg/dL以下に保つことを目標に、尿酸の生成を抑える薬(アロプリノールなど)や尿酸の排出を促す薬(ベンズブロマロンなど)を継続して服用します。

また、プリン体が多く含まれている食品やアルコールの制限、適度な運動と体重管理など、生活習慣の改善も並行して行われます。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

痛風は男性だけの病気と思われがちですが、女性も例外ではありません。特に更年期以降は発症リスクが高まるため、少しの違和感でも”年齢のせい”と片付けず、身体からのサインとして受け止めることが大切です。痛みや腫れを我慢せず、早めに受診することで、つらい症状の再発や進行を防ぐことにつながります。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで女性の痛風の初期症状についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

  • 痛風とは、尿酸が関節内に結晶として沈着し、激しい炎症や痛みを引き起こす生活習慣病である
  • 女性の痛風は閉経後や生活習慣の影響で発症しやすく、初期には関節の激痛や倦怠感などが現れることがある
  • 痛風は血液検査や症状の確認で診断され、発作時は痛みを抑える治療を行い、発作後は尿酸値を管理しながら生活習慣の改善を継続する必要がある

女性の痛風は見過ごされがちですが、早期に気付いて対処すれば、症状の悪化を防げるとされています。関節の違和感や腫れを感じたら、年齢や体質に関係なく医療機関に相談してみてください。

今回の記事が、ご自身の身体と向き合うきっかけになれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師