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70歳以上で受ける「白内障の手術費用」はご存知ですか?手術費用を抑える方法も解説!

 公開日:2025/09/22
70歳以上で受ける「白内障の手術費用」はご存知ですか?手術費用を抑える方法も解説!

70歳以上の方のなかには、白内障手術の具体的な費用や眼内レンズの種類、高額療養費制度の詳細についてご存じでない方も多いのではないでしょうか。

白内障手術で使用される眼内レンズには単焦点と多焦点の2種類があり、それぞれ異なる視力のニーズに応じて選択可能です。

また、治療費が高額になった場合でも、高額療養費制度を利用することで自己負担額を軽減することが可能です。

本記事では、70歳以上の方に向けた白内障の手術費用について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

柳 靖雄

監修医師
柳 靖雄(医師)

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東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

白内障手術の特徴と眼内レンズの種類

白内障手術の特徴と眼内レンズの種類

白内障治療の手術方法を教えてください。

白内障手術は、視力が良好な症例でも手術を行うケースが増えています。手術適応は水晶体混濁と視機能から決定されます。手術は濁った水晶体を超音波で砕きながら吸い出して、人工の眼内レンズと入れ替える超音波乳化吸引術が主流です。この手術は、日帰り手術が可能という大きなメリットがあります。この手術には、すべての工程を医師が手作業で行うマニュアル手術とリスクの高い工程をレーザーで行うレーザー手術の2つがあります。

白内障手術で用いる眼内レンズの種類を教えてください。

白内障の手術では、症状やライフスタイルに合わせて適切なレンズを選ぶことが大切です。主に使用されるものに、下記の単焦点レンズと多焦点レンズの2種類があります。

  • 単焦点レンズ
  • 多焦点レンズ

単焦点レンズは、近くもしくは遠くのどちらかしか焦点が合いません。そのため、手術後は必ずメガネが必要になります。一方で多焦点レンズには、2焦点眼内レンズ(マルチフォーカルレンズ)と3焦点眼内レンズ(トリフォーカルレンズ)があります。2焦点レンズは遠方・近方に焦点が合い、3焦点レンズは遠方・中間・近方の3つの距離に対応しているというのがそれぞれのレンズの特徴です。また、白内障と老眼を同時に治療できるという利点もあります。その他にも、多焦点レンズは手術後にメガネをかける頻度が低減されるというのも大きな利点です。

術後のリスクはありますか?

術後に大きな問題になるのは、合併症です。特に手術後は感染症のリスクが高いため、保護用メガネをするなどの対応が必要です。就寝時には、保護用眼帯を装着することも推奨されています。また、手術後数週間は眼を強くこすったり、水や異物が入らないよう注意が必要です。定期的な診察を受け、異常があればすぐに医師に相談しましょう。視界のかすみや違和感が続く場合も、早めの受診が重要です。

70歳以上で受ける白内障の手術費用

70歳以上で受ける白内障の手術費用

単焦点レンズの日帰り手術費用を教えてください。

白内障手術で、単焦点レンズを使用する場合の費用は以下のとおりです。

  • 1割負担:約20,000円
  • 2割負担:約40,000円
  • 3割負担:約60,000円

単焦点レンズを選択された方は、医療保険が適用されます。また、高額療養費制度を利用すれば、一定額を超えた分が払い戻されるため実際の負担額を抑えることができます。さらに、加入している医療保険によっては、手術給付金を受け取れる場合があるため、事前に確認しておきましょう。さらに、自治体によっては高齢者向けの医療費助成制度があるため、該当するかどうかを調べておくことも大切です。

多焦点レンズの日帰り手術費用を教えてください。

白内障手術で、多焦点レンズを使用する場合の費用は以下のとおりです。

  • 1割負担:約20,000+150,000円以上
  • 2割負担:約40,000+150,000円以上
  • 3割負担:約60,000+150,000円以上

多焦点レンズは、選定療養の対象です。選定療養の部分は医療保険が適用されないため、全額自己負担となります。費用は使用するレンズの種類によって異なります。多焦点レンズは、遠近のピントを調整できるため、術後のメガネ依存を減らせるメリットがあります。ただし、光のにじみやハロー・グレアといった副作用が出ることがあり、すべての方に適しているわけではありません。また、医療費控除の対象になるため、確定申告を行うことで所得税の還付を受けられる可能性があります。さらに、一部の生命保険では、手術給付金の対象となる場合もあるため、事前に保険内容を確認しておくことが大切です。費用負担を考慮しながら、自分の生活スタイルや視力のニーズに合ったレンズを選択することが重要です。医師と十分に相談し、納得したうえで決めるようにしましょう。

入院を伴う手術費用はどのくらいかかりますか?

入院を伴う手術で単焦点レンズの片目の場合の費用を紹介します。

  • 1割負担:約25,000円
  • 2割負担:約40,000~50,000円
  • 3割負担:約60,000円

上記は保険適用(単焦点レンズ使用)の場合の目安です。これらの費用には、診察料・手術料・検査料・薬剤費などが含まれています。ただ、病室のタイプ(個室・大部屋)や入院日数、追加で必要な治療によって総額が変わる場合があります。また、生命保険や医療保険に加入されている方は、給付金が受け取ることが可能です。さらに、高額療養費制度などの公的な制度を利用することで自己負担額が抑えられるケースもあります。手術前に医療機関や保険窓口にて、利用可能な制度や費用の詳細を確認しておくようにしましょう。

70歳未満では手術費用が異なりますか?

医療費の自己負担割合は、年齢や所得によって異なります。70歳未満の方は原則として3割負担になり、70~74歳の方は通常2割負担ですが、現役並みの所得がある方は3割負担になります。また、75歳以上の方は原則1割負担で、一定以上の所得がある方については2~3割負担です。さらに、白内障手術においては、選択するレンズの種類(単焦点または多焦点)や入院の有無によっても費用が大きく変わります。そのため、手術を検討する際には、自分の負担割合や使用するレンズ、入院の必要性について事前に確認しておくことが大切です。

白内障の手術費用を抑える高額療養費制度

白内障の手術費用を抑える高額療養費制度

高額療養費制度とはどのような制度ですか?

高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、負担を軽減するための制度です。医療機関の窓口で自己負担分を支払った後、月ごとの自己負担限度額を超えた金額について保険者から払い戻しを受けることができます。特に後期高齢者医療制度(75歳以上が対象)では、自己負担限度額が現役世代よりも低く設定されており、高齢者の方々にとって利用しやすい制度となっています。

高額療養費制度を利用する方法を教えてください。

自分自身が加入している医療保険に、高額療養費の支給申請書を提出または郵送することで支給が受けられます。どの医療保険に加入しているかは、保険証の表面に明記されているので確認しておきましょう。また、一部の健康保険組合では、申請手続きを簡素化する「限度額適用認定証」の発行を行っているため、事前に申請しておくと窓口での支払い負担を軽減できます。詳しくは、加入している保険者に問い合わせて確認しましょう。

ほかに手術費用を抑える方法はありますか?

白内障の手術費用を抑えるためには、単焦点レンズを選択すること・高額療養費制度の利用・日帰り手術にするなどのほかにもいくつかの方法があります。

  • 同月内に両眼手術を行う
  • 医療保険の活用

同月内に手術を行うと自己負担の軽減が可能です。別々の月に手術を行う場合、それぞれの月で自己負担額が発生しますが、同月内に両目の手術を行うことで自己負担額は高額療養費制度の上限までに抑えられます。また、生命保険に加入している場合には、白内障手術で給付金が支給されることがあるため、あらかじめ確認が必要です。

編集部まとめ

リビングでパソコンを使うシニアの女性

白内障の、手術費用について解説しました。70歳以上の方は通常2割負担となりますが、高額療養費制度を利用すれば、一定の負担額を超えた部分については払い戻しが受けられます。

さらに、医療保険や生命保険の手術給付金、自治体の助成制度を活用することで、経済的な負担をより抑えることが可能です。

手術を受ける前に費用面やレンズの種類を十分に比較し、自分に適切な治療法を選びましょう。

この記事の監修医師