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「結膜炎」は人にうつる?学校や職場は休まないといけない?【医師監修】

 公開日:2025/03/27
「結膜炎」は人にうつる?学校や職場は休まないといけない?【医師監修】

結膜炎は、眼の充血や目やになどの症状を引き起こす眼の病気です。

原因はさまざまで、ウイルスや細菌による感染性のものから、花粉やハウスダストによるアレルギー性のものまであります。

特にウイルス性結膜炎は感染力が強く、注意が必要です。

本記事では、結膜炎の原因や症状をはじめ、治療法や感染の可能性について詳しく解説します。

結膜炎にかかった際の対処法や、周囲への感染を防ぐ方法も紹介するので参考にしていただければ幸いです。

柳 靖雄

監修医師
柳 靖雄(医師)

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東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

結膜炎の原因や症状

結膜炎の原因や症状

結膜炎の原因を教えてください。

結膜炎の原因は、感染性結膜炎と非感染性結膜炎に分類されます。感染性結膜炎には、ウイルスや細菌が原因となるものがあります。ウイルス性結膜炎は、アデノウイルスやエンテロウイルスが主な原因で、感染力が強いのが特徴です。細菌性結膜炎は、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などが原因で、粘り気のある目やにが出ます。非感染性結膜炎の原因は、アレルギーや刺激物質です。花粉やハウスダストによるアレルギー性結膜炎や、煙やゴミなどの刺激によるものが含まれます。結膜炎の原因は多岐にわたるため、症状に応じた適切な対応が必要です。

ウイルス性結膜炎の原因となるウイルスを教えてください。

ウイルス性結膜炎には、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱、急性出血性結膜炎の3つがあります。流行性角結膜炎は、アデノウイルス8型・19型・37型が原因で発症し、突然の充血や大量の目やにが特徴です。まぶたや耳の前のリンパ節が腫れ、痛みを伴うこともあります。重症の場合、まぶたの裏に偽膜ができることがあり、黒眼の表面がすりむける角膜びらんが起こることもあります。咽頭結膜熱は、アデノウイルス3型・4型・7型が原因で発症し、高熱やのどの痛みが特徴です。発熱は数日続き、吐き気や下痢などの消化器症状がみられることもあります。結膜炎の症状が治った後も、便のなかにウイルスが排出されるため、感染予防に注意が必要です。急性出血性結膜炎は、エンテロウイルス70型やコクサッキーA24変異株が原因で発症します。流行性角結膜炎と似た症状がみられますが、眼のゴロゴロ感が強いのが特徴です。通常、1週間ほどで回復します。

細菌性結膜炎とウイルス性結膜炎の違いを教えてください。

ウイルス性結膜炎と細菌性結膜炎は、原因や症状に違いがあります。ウイルス性結膜炎の目やには水っぽく、細菌性結膜炎では白や黄色、緑色のドロッとしたものが出やすいのが特徴です。また、ウイルス性結膜炎は感染力が強く、ハンカチや手を介した接触で広がります。学校保健法により、出席停止となるため注意が必要です。さらに、ウイルス性結膜炎は角膜炎を伴うことがあり、白い濁りが残ることもあります。特効薬がないため、炎症を抑える治療が中心となります。

結膜炎の症状を教えてください。

細菌性結膜炎では、白眼の充血にくわえて黄白色や緑色のドロッとした目やにが多く見られるのが特徴です。また、まぶたの腫れを伴うこともあります。通常は片眼から始まり、もう一方の眼に広がることは少ないです。ウイルス性結膜炎では細菌性とは異なり、水っぽい目やにが多く出ることが特徴です。眼のゴロゴロ感や強い充血が出たり、耳の前のリンパ節が腫れたり、触れると痛みを感じることがあります。

結膜炎はうつる?

手洗い

結膜炎はうつりますか?

結膜炎は原因によって、うつるものとうつらないものがあります。ウイルス性結膜炎は感染力が強く、注意が必要です。眼をこすった手やハンカチ、ドアノブなどを介して広がります。特に流行性角結膜炎は発症から約2週間、急性出血性結膜炎は3〜4日間が感染のピークとなるため自宅療養がよいでしょう。細菌性結膜炎は通常、感染力が弱く、うつることは稀です。アレルギー性結膜炎は花粉やハウスダストが原因で、人にはうつりません。

結膜炎にかかったら学校や職場を休む必要がありますか?

ウイルス性結膜炎の一種である流行性角結膜炎や咽頭結膜熱は学校保健法では第二種感染症に分類され、治るまで出席停止となります。ウイルス性角結膜炎は感染力が強く、タオルの共用などで広がるため、完治するまでは登校できません。職場では、医療・飲食・保育などの人と接触が多い場合は自宅療養がよいでしょう。一方、細菌性結膜炎やアレルギー性結膜炎は感染力がないため、体調がよければ登校や出勤が可能ですが、症状がつらい場合は無理せず休むことも大切です。

結膜炎を周りの方にうつさないための対処法を教えてください。

ウイルス性結膜炎と診断された場合、感染を防ぐために以下の対策を徹底しましょう。

  • 使い捨てのペーパータオルを使い乾燥させる
  • よく素手で触る場所はこまめに消毒する
  • タオルや洗面用具を家族間で共有しない
  • 入浴は最後にするかシャワーで済ませる
  • 目やにを拭いたティッシュは専用の袋に入れ、直接ゴミに触れないよう工夫する

感染拡大を防ぐため、適切な対策を心がけましょう。

結膜炎の治療方法

目薬を差す女性

結膜炎は治療をしなくても自然に治りますか?

細菌性結膜炎は軽症なら自然に治ることもあるものの、症状の早期改善や合併症の予防には抗菌薬の点眼が有効とされています。ウイルス性結膜炎には特効薬がなく、感染したウイルスに対する免疫ができるまで自然治癒を待つしかありません。完治までに2〜3週間かかることがあり、炎症を抑える点眼薬や細菌感染を防ぐための抗菌薬が補助的に使用されます。角膜びらんや点状表層角膜炎を伴う場合には、症状に応じた治療が必要です。

眼科での治療方法を教えてください。

細菌性結膜炎の治療方法は、抗菌点眼薬の処方です。感染した細菌に適した抗生物質を選び、通常3日〜1週間程度で症状が軽減します。重症の場合や耐性菌の関与が疑われる場合は、治療が長引くこともあります。眼の充血や目やにが多い場合には、炎症を抑える点眼薬が有効です。ウイルス性結膜炎には特効薬がなく、体内で抗体が作られるのを待つしかありません。対症療法として、炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬やステロイド点眼薬、細菌の二次感染を防ぐための抗菌薬の点眼が用いられます。アレルギー性結膜炎には抗アレルギー点眼薬を使用し、症状が強い場合はステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬が適した治療法です。花粉症による結膜炎は、花粉飛散の2週間前から点眼を開始すると、症状を軽減できます。かゆみがあるときだけ点眼するのではなく、継続的な使用が重要です。

治るまでにどのくらいかかりますか?

結膜炎の治癒期間は原因によって異なり、細菌性結膜炎は適切な抗菌点眼薬を使用すれば、3日〜1週間程度で症状が軽減します。ただし、耐性菌が原因の場合や重症例では治療が長引くこともあるため注意が必要です。ウイルス性結膜炎は特効薬がなく、体内で抗体が作られるまで自然治癒を待つしかありません。完治までに2〜3週間かかることが多く、症状が強い場合は炎症を抑える点眼薬を使用しながら経過をみます。アレルギー性結膜炎は、原因となるアレルゲン(花粉やハウスダスト)を避けることが大切です。抗アレルギー点眼薬を使用すれば、数日から数週間で症状が和らぐことが多いですが、アレルゲンの影響が続く場合は長引くこともあります。症状が続く場合は眼科医への相談が大切です。

編集部まとめ

目薬を使う女性

結膜炎はウイルスや細菌による感染性のもの、花粉やハウスダストが原因のアレルギー性のものなど、さまざまな原因で発症します。

特にウイルス性結膜炎は感染力が強く、適切な予防が重要です。

細菌性結膜炎は抗菌点眼薬で治療可能ですが、ウイルス性結膜炎には特効薬がなく、自然治癒を待つ必要があります。

アレルギー性結膜炎は、原因となるアレルゲンを避けることが大切です。

症状が続く場合は、早めに眼科を受診し、適切な治療を受けましょう。

この記事の監修医師

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