「マイコプラズマ肺炎を早く治す方法」はある?発症した際の対処法も解説!
公開日:2025/11/15

マイコプラズマ肺炎はかつて4年に1度の周期で流行っていたことから、オリンピック肺炎とも呼ばれていました。 20代以下の若い人がかかることが多く、学校で流行することがあります。 「子どもの学校で流行っているようだけど対処法は?」「早く治す方法はあるの?」など疑問を持たれる方もいるかと思います。 そこで今回は、マイコプラズマ肺炎についての対処法・早く治す方法をまとめました。 マイコプラズマ肺炎について気になっている方の参考になれば幸いです。

監修医師:
五藤 良将(医師)
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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
マイコプラズマ肺炎について
マイコプラズマ肺炎とはどのような感染症ですか?
マイコプラズマ肺炎とは肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)という細菌に感染することで発症する肺炎です。小児や若い方の肺炎の原因の一つとされています。成人もかかりますが、例年罹患者として報告されるもののうち8割が14歳以下です。マイコプラズマ肺炎を発症する方の割合は、1年の内で特に秋と冬が多いです。
潜伏期間は2〜3週間とされており、初期症状には発熱・全身の倦怠感・頭痛などがあります。マイコプラズマ肺炎の特徴といわれる咳は、最初の症状が出てから3〜5日後に始まることが多く、熱が下がった後も3〜4週間ほど続くとされています。感染した人の多くは気管支炎で済むとされており、なかでも小児の方が軽症であることが多い傾向です。
マイコプラズマ肺炎の感染経路はどのようなものですか?
マイコプラズマ肺炎の主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。感染した方の咳の飛沫を吸い込んだり、感染者と接触したりすることが感染の原因になります。そのため、マスクの着用や換気・流水と石鹸による手洗い・アルコールによる手指の消毒は、マイコプラズマ肺炎の感染予防に有効です。また、咳の症状があるときには、咳エチケットを守ることも大切です。
潜伏期間が2~3週間と長いため、学校や職場内で拡がることが多く、そこから家庭内に持ち込まれることもあります。家庭内で発症者が出た際にはタオルの共用は避けるようにしましょう。
マイコプラズマ肺炎の対処法
マイコプラズマ肺炎の治療法はどのようなものですか?
マイコプラズマ肺炎は、医療機関での診断後にマクロライド系などの抗菌薬で治療します。多くの場合は軽症で済み、2〜3日で解熱します。もし解熱しなかったり、咳を始めとするほかの症状が悪化したりした場合は、再度医療機関にかかりましょう。
耐性菌によるマイコプラズマ肺炎にはどのように対処しますか?
マイコプラズマ肺炎では、マクロライド系抗菌薬に対する耐性菌の増加が報告されており、日本では耐性率が高い地域もあります。その場合はテトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬を使用することがあります。
マイコプラズマ肺炎が治るまでにはどのぐらいかかりますか?
マイコプラズマ肺炎は、細菌に感染してから症状が出るまでに2〜3週間の潜伏期間があります。症状が出た後、医療機関で診断を受けて抗菌薬によって治療を受けた場合には2〜3日で解熱することが多いです。しかし、咳は解熱後も3〜4週間ほどと長く続きます。そのため、症状が治まるまでは1ヶ月前後かかるでしょう。
マイコプラズマ肺炎の治療が長引く原因は何ですか?
多くの場合、マイコプラズマ肺炎は軽症で済みますが、稀に重症肺炎となって長引くこともあります。その際には胸膜に水が貯まる胸水貯留も珍しくありません。さらに、中耳炎・脳炎・肝炎・溶血性貧血・心筋炎など、さまざまな合併症を引き起こす可能性もあります。
マイコプラズマ肺炎の症状が収まったら薬は飲まなくてもよいですか?
処方された薬は、医師の指示にしたがってしっかり飲み切るようにしましょう。症状が収まったからといって治ったとは限りません。
途中で服薬を止めてしまうと、マイコプラズマ肺炎がきちんと治らなかったり、症状がぶり返したりすることもあります。さらに、薬を飲むのを途中で止めてしまったり、不適切な飲み方をしてしまったりすると、死滅させられなかった細菌が薬に対する耐性を獲得する可能性があります。ただし、下痢や蕁麻疹といった副作用が出た場合は飲むのを中止し、医療機関に相談しましょう。
マイコプラズマ肺炎を早く治す方法
マイコプラズマ肺炎をより早く治す治療法はありますか?
マイコプラズマ肺炎を早く治す特別な方法はありません。症状が出たら素早く医療機関にかかり、医師に処方された薬を正しく服用することが、マイコプラズマ肺炎を治すことへの近道といえるでしょう。また、マイコプラズマ肺炎に限らずですが、免疫力を上げたり安静にしたりすることも早く治すことにつながります。
マイコプラズマ肺炎対策で免疫力を高めるために何をすべきですか?
免疫力を高めるには規則正しい生活を送ることが大切です。日頃から以下の5つのポイントを意識して、免疫力を高める行動を心がけてみましょう。
- バランスのよい食事をとる
- 適度な運動をする
- 十分な睡眠をとる
- 生活リズムを整える
- 笑う
マイコプラズマ肺炎の症状を抑える方法はありますか?
マイコプラズマ肺炎の代表的な症状といえば咳が挙げられます。ここでは咳を抑える方法を解説します。
- 部屋を加湿する
- 暖かい飲み物を飲む
- 喉を温める
編集部まとめ
秋から冬にかけて子どもの間で流行ることの多いマイコプラズマ肺炎の初期症状として、発熱・身体の倦怠感・頭痛などが挙げられます。
肺炎といえば咳というイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、マイコプラズマ肺炎では咳は発症してから3〜5日後に始まることが多いです。
マイコプラズマ肺炎もほかの感染症と同じように、手洗いうがい・マスクの着用・アルコール消毒によって防ぐことが可能です。特に、家庭内感染を防ぐためには、発症者と同じ食器やタオルを共有しないことが推奨されます。
熱が下がらなかったり、咳が長引いたりした際には医療機関への受診をおすすめします。医師に処方された薬を正しく服用することで、速やかに治せる可能性が高まります。
また、日頃からバランスのよい食事や規則正しい生活を心がけることで免疫力を上げ、マイコプラズマ肺炎の細菌に対応できる力を付けておくのも重要です。
参考文献



