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「マイコプラズマ肺炎の症状」はご存知ですか?初期症状も解説!【医師監修】

 更新日:2025/03/05
「マイコプラズマ肺炎の症状」はご存知ですか?初期症状も解説!【医師監修】

長引くせきや発熱が続き、「風邪かと思ったらなかなか治らない」と感じていませんか?
もしかしたらそれは、マイコプラズマ肺炎かもしれません。

本記事ではマイコプラズマ肺炎の症状について以下の点を中心にご紹介します。

  • マイコプラズマ肺炎について
  • マイコプラズマ肺炎の症状・検査・診断
  • マイコプラズマ肺炎の治療・予防

マイコプラズマ肺炎の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

吉川 博昭

監修医師
吉川 博昭(医師)

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医学博士。日本ペインクリニック学会専門医、日本麻酔科学会専門医・指導医。研究分野は、整形外科疾患の痛みに関する予防器具の開発・監修、産業医学とメンタルヘルス、痛みに関する診療全般。

マイコプラズマ肺炎について

マイコプラズマ肺炎について

マイコプラズマ肺炎はどのような病気ですか?

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌が原因で発症する呼吸器感染症です。特に小児や若年層に多く、患者さんの80%程度が14歳以下とされていますが、大人がかかることもあります。年間を通じて発症しますが、秋冬に増えやすい傾向があります。

症状が進行すると肺炎を引き起こし、息苦しさを感じることもあるため注意が必要です。また、重症化するケースは少ないものの、長期間続く咳が日常生活に支障をきたすこともあります。

マイコプラズマ肺炎の感染経路を教えてください

マイコプラズマ肺炎は、飛沫感染と接触感染の2つの経路で広がります。

① 飛沫感染(主な感染経路)
患者さんが咳やくしゃみをした際の飛沫を吸い込むことで感染します。なかでも、学校や職場、家庭などの密閉空間では感染が広がりやすく、集団感染が発生することもあります。

② 接触感染
患者さんが咳やくしゃみを手で覆った後に触れたドアノブや手すりを介してウイルスが広がることがあります。その手で口や鼻を触れることで感染するため、こまめな手洗いが重要です。

マイコプラズマ肺炎は、時間をかけてじわじわと広がるのが特徴です。

マイコプラズマ肺炎の潜伏期間はどのくらいですか?

マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は2〜3週間程度とされ、場合によっては1〜4週間にわたることもあります。この期間中はほとんど自覚症状がなく、気付くかないうちに周囲へ感染を広げてしまう可能性があるため注意が必要です。

初期症状は風邪に似ているため見過ごされやすいですが、進行すると肺炎に発展することもあるため、体調がすぐれない場合は早めに受診することが重要です。

マイコプラズマ肺炎の症状・検査・診断

マイコプラズマ肺炎の症状・検査・診断

マイコプラズマ肺炎の症状を教えてください

マイコプラズマ肺炎の症状は風邪に似た軽いものから、肺炎へ進行する重いものまでさまざまです。主な症状は以下のとおりです。

① 初期症状(風邪に似た症状)
・発熱(38度前後)
・全身の倦怠感(だるさ)、頭痛
・喉の痛みや軽い咳

初期は風邪のような症状が現れ、咳は発熱よりも少し遅れて出始めることがあります。

② 進行すると現れる症状
・長引く咳(3~4週間続くことも)
・胸の痛みや息苦しさ(肺炎に進行した場合)

ほとんどの患者さんは気管支炎の段階で回復しますが、稀に肺炎へ進行し、呼吸が苦しくなることがあります。成人は小児よりも重症化しやすい傾向があります。

③ まれな合併症
・中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎など

合併症は少ないものの、重症化すると影響が広がることがあるため、咳が長引く場合は受診をおすすめします。

マイコプラズマ肺炎は大人と子どもで症状に違いがありますか?

マイコプラズマ肺炎の症状は大人と子どもで大きな違いはありませんが、いくつかの特徴が見られます。

子どもの特徴
・感染しやすく、発熱が5日程度続く傾向がある
・乾いた咳(空咳)が主な症状

子どもは軽症で済むことが多いとされていますが、長引く咳により睡眠や食事に影響を及ぼすことがあります。

大人の特徴
・湿った咳が出やすい
・発熱は弛張熱(しちょうねつ)になりやすく、1日の体温差が1度以上ある(熱が上がったり下がったりを繰り返す)
・子どもよりも症状が重くなりやすい

なかでも、高齢者は呼吸不全や胸水貯留を引き起こすリスクが高いため注意が必要です。

重症化を防ぐためには、症状の変化を見逃さないことが大切です。

風邪とマイコプラズマ肺炎を見分ける症状の違いは何ですか?

マイコプラズマ肺炎と風邪は似た症状が現れますが、咳の出方や症状の持続期間、鼻の症状に違いがあります。

① 咳の出方の違い
・風邪は、発熱や鼻水と同時に咳が出ることが多く、咳の期間も短めです。
・マイコプラズマ肺炎は、発熱や倦怠感が先に現れ、咳は遅れて出始めるのが特徴です。また、乾いた咳が長引くことが多く、特に夜間に悪化する傾向があります。

② 鼻の症状の違い
・風邪では、鼻水や鼻づまりがよく見られます。
・マイコプラズマ肺炎では、鼻の症状がほとんどないといわれているため、風邪と区別しやすいですが、幼児では鼻水が出ることもあるため注意が必要です。

③ 咳の持続期間の違い
・風邪の咳は1週間程度で治まることが多いとされています。
・マイコプラズマ肺炎の咳は解熱後も3〜4週間続くことがあり、なかなか治らないのが特徴です。

長引く咳がある場合は、風邪と自己判断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。

マイコプラズマ肺炎はどのような検査で診断しますか?

マイコプラズマ肺炎の診断には、喉や痰の検査、血液検査、画像検査など複数の方法が用いられます。

① LAMP法(DNA増幅法)
喉の粘膜や痰からマイコプラズマのDNAを検出する検査で、結果が出るまでに数時間かかるものの、確定診断に推奨されています。

② 抗原迅速検査
短時間(数分)で結果が出る簡易検査ですが、感度が低いため、ほかの検査と併用されることが多いとされています。

③ 血清抗体検査(血液検査)
血液中のマイコプラズマ抗体の有無を調べます。ただし、感染初期には陽性にならず、正確な診断には2回の採血が必要になります。

④ 胸部レントゲン検査
肺炎の有無を確認するために行いますが、マイコプラズマ肺炎を特定することはできないため、ほかの検査と組み合わせて診断されます。

どの検査を行うかは、患者さんの症状や医療機関の設備によって判断されます。​​

マイコプラズマ肺炎の治療・予防

マイコプラズマ肺炎の治療・予防

マイコプラズマ肺炎の治療法を教えてください

マイコプラズマ肺炎の治療には、抗菌薬(抗生物質)が中心となります。

① 抗菌薬による治療
マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)が使用されます。ただし、近年耐性菌が増加しており、効果が不十分な場合はテトラサイクリン系(ミノサイクリンなど)やニューキノロン系(レボフロキサシンなど)の抗菌薬が使用されることもあります。

また、高熱が続く・呼吸困難・肺炎が進行するなどの重症化が見られた場合は、入院が必要になることもあります。

② 症状に応じた対症療法
軽症の場合は安静にし、水分補給を十分に行うことで自然回復することもあります。ただし、咳が長引く場合や症状が悪化する場合は、早めの受診が必要です。

マイコプラズマ肺炎はウイルスではなく細菌による感染のため、風邪薬では治癒できないため、自己判断で市販薬に頼らず、医師の指示に従い適切な治療を受けることが大切です。

マイコプラズマ肺炎の予防法を教えてください

マイコプラズマ肺炎を防ぐためには、日常的な感染対策が重要です。

① 手洗いの徹底
流水と石鹸を使い、外出後や食事前、咳やくしゃみをした後にはこまめに手を洗うことが大切です。また、タオルの共用を避け、清潔な環境を保ちましょう。

② 咳エチケットを守る
咳やくしゃみをする際はマスクを着用するか、ティッシュや腕でお口を覆い、周囲への感染拡大を防ぎます。特に学校や職場などの集団生活では、感染を広げない工夫が必要です。

③ 室内の換気
密閉空間ではウイルスが滞留しやすいため、こまめに換気を行い、空気の入れ替えを意識しましょう。

④ 免疫力の維持
バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、身体の抵抗力を高めることも大切です。

これらの対策を習慣化し、マイコプラズマ肺炎の感染リスクを抑えましょう。

マイコプラズマ肺炎は出席停止期間がありますか?

マイコプラズマ肺炎は学校保健安全法で出席停止が義務付けられている病気には含まれてないため、明確な出席停止期間の規定はありませんが、症状が落ち着くまでは無理せず自宅で療養することが推奨されます。

特に発熱や強い咳がある間は周囲への感染リスクが高いため、医師の判断に従い登校・出勤を控えることが望ましいとされています。また、抗菌薬による治療を開始すると数日で感染力が低下しますが、咳が長引くこともあるため、マスクを着用し、周囲への感染対策を徹底することが大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

マイコプラズマ肺炎は、大人と子どもで症状の出方が異なり、長引く咳が特徴の感染症ですが、正しい知識を持ち、適切に対処することで日常生活を送れるため、健康管理に気をつけ、快適に過ごしましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでマイコプラズマ肺炎の症状についてお伝えしてきました。マイコプラズマ肺炎の症状の要点をまとめると以下のとおりです。

  • マイコプラズマ肺炎は、飛沫や接触で感染し、潜伏期間が長く、発熱や頑固な咳が特徴の呼吸器感染症であり、秋冬に多発するため、手洗いや咳エチケットの徹底が重要である
  • マイコプラズマ肺炎は、発熱や長引く咳が特徴で、大人と子どもで症状が異なり、診断にはLAMP法や抗原迅速検査などが用いられ、風邪と見分けるには咳の持続期間や鼻症状の有無が重要である
  • マイコプラズマ肺炎は抗菌薬で治療し、重症化を防ぐため早期受診が重要であり、予防には手洗いや咳エチケット、換気の徹底が推奨されている

マイコプラズマ肺炎は、長引く咳が特徴ですが、適切な治療と予防策を講じることで回復が期待できます。

本記事が皆さまの健康管理に役立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師