「インフルエンザ」発症から「48時間以上」経っても治療薬の効果は期待できるの？

インフルエンザ発症から48時間以上経過しても、検査を受けることは可能とされています。

「インフルエンザの検査は48時間以内に受けなければならない」と聞いたことがある方もいるかもしれません。これは、発症から時間が経つとウイルスの量が減少し、検査で陽性反応が出にくくなることや、抗インフルエンザ薬の効果が早期服用時より低下する可能性があるためです。

しかし、48時間を過ぎても体内にウイルスが残っていれば、検査で陽性となることもあります。また、検査結果が陰性だった場合でも、接触歴、症状、診察時の所見などを総合的に判断し、医師がインフルエンザと診断できます。そのため、発症から時間が経っていても、気になる症状がある場合は医療機関を受診することをおすすめします。

抗インフルエンザウイルス薬は、発症後48時間以内の服用が効果が期待できるとされて居ますが、48時間を過ぎた場合でも、抗インフルエンザ薬が効かなくなるわけではありません。 そのため、発症から時間が経っていても重症化のリスクがある場合や症状が強い場合は、医師と相談のうえ、適切な治療を受けることが重要です。

発症から48時間を過ぎても、次のような場合は病院を受診することをおすすめします。

●高熱が続く、または症状が重い場合 合併症のリスクがあるため、肺炎や気管支炎などを引き起こしていないか確認が必要です。

●周囲でインフルエンザにかかっている方がいる場合 正確な診断を受けることで、感染を防ぐ対策がとれます。

●検査で陰性でもほかの疾患の可能性がある場合 かぜや別のウイルス感染症、細菌感染などを鑑別するため、医師の診察を受けることが重要です。

症状が軽くても、持病がある方や妊婦、高齢者は重症化しやすいため、早めの受診を検討しましょう。

子どもがインフルエンザにかかった場合、適切なケアを行うことで症状の悪化を防ぎ、回復をサポートすることが重要です。

① 脱水を防ぐ 発熱や発汗により脱水症状を起こしやすいため、こまめに水分を補給しましょう。食欲がない場合は、ジュースやゼリー、アイスなど子どもが摂りやすいものを選んでください。また、おしっこの回数が少ない、お口が乾燥している場合は注意が必要です。

② 異常行動に注意する インフルエンザ発症後2日以内は、急に走り出す、意味不明なことを話すなどの異常行動が起こることがあります。事故を防ぐため、子どもを一人にしない、窓や玄関の施錠を徹底するなどの対策をとりましょう。

③ 適切なタイミングで受診する 受診の目安は発熱から12〜48時間ですが、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、意識がもうろうとしている場合は、時間に関わらず早急に受診してください。

④ 解熱剤の使用に注意する インフルエンザでは、使用できる解熱剤に制限があります。自己判断で市販の薬を使用せず、医師に相談しましょう。

⑤ 家庭内での感染を防ぐ インフルエンザは感染力が強いため、コップやタオルの共有を避ける、部屋の換気と加湿（湿度50～60％）を行うなど、家族内での感染対策も重要です。看病する家族も、マスクの着用や手洗い・うがいの徹底を心がけましょう。

子どもがインフルエンザを発症し、48時間以上経過しても症状が落ち着いている場合は、無理に受診する必要はありません。

しかし、顔色が悪い、呼吸が苦しそう、異常行動が見られる、けいれんを起こしているといった症状がある場合は、48時間を過ぎていても早めに医療機関を受診しましょう。

以下が登校・登園の目安とされています。

・発熱から5日が経過していること、さらに ・解熱後2日（乳幼児は3日）が経過していること

また、登校許可書や登園解除証明書が必要な場合は、かかりつけ医で発行してもらいましょう。

学校保健安全法では「発症後5日が経過し、かつ解熱後2日（幼児は3日）を経過するまで」を出席停止の基準としています。そのため、症状が改善しても、基準を満たすまでは自宅で安静に過ごし、ほかの方への感染を防ぎましょう。

発熱が38.5度未満で、下痢などの症状がなければ、風邪と同じように安静にし、水分と栄養を十分に取ることが基本的な対応となります。

一方、38.5度以上の高熱がある場合は、発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬（タミフル・リレンザなど）を服用することで、ウイルスの増殖を抑える効果が期待できます。ただし、発症直後ではウイルス量が少なく、迅速検査で陰性と判定される可能性があるため、発熱から6時間以上経過してからの受診が望ましいとされています。

また、陽性を判定するためには、38度以上の発熱から12時間以上経過していることが理想的です。

さらに、持病がある方、妊婦の方、小児、高齢者は重症化のリスクが高いため、症状が軽くても早めに受診を検討しましょう。

インフルエンザの回復を早め、症状を悪化させないために、以下の点に注意して療養しましょう。

① 早めの治療 発症後48時間以内に医療機関を受診し、抗インフルエンザウイルス薬を適切に服用することで、ウイルスの増殖を抑え、症状の悪化を防ぎます。

② 安静に過ごす しっかりと睡眠をとり、無理に動かず身体を休めることが大切です。疲労が回復を遅らせるため、安静を心がけましょう。

③ こまめな水分補給 発熱により脱水症状になりやすいため、スポーツドリンクや麦茶など飲みやすいものを選び、カフェインを含む飲料は控えましょう。

④ 消化によい食事を摂る 食欲がない場合は、ゼリーやスープなど負担の少ない食事を摂りましょう。回復してきたらおかゆやうどんを選び、油分が多い食事は避けましょう。

⑤ 体を冷やしすぎない 必要以上に薄着にならず、汗をかいたらこまめに着替えることが大切です。発熱時は頭を冷やすことで、不快感を和らげられます。

⑥ 湿度を適切に保つ インフルエンザウイルスは湿度が50％以上で減少しやすいため、加湿器や濡れタオルを活用し、室内の湿度を50〜60％に維持しましょう。

適切なケアを行い、無理せず回復を目指しましょう。

インフルエンザのウイルスは、発症後3〜7日間は体内から排出されるとされています。そのため、熱が下がったからといってすぐに外出すると、自身が感染源となり、周囲にウイルスを広げてしまう可能性があります。

したがって、解熱後2日間は自宅で安静にし、その後外出する際はマスクを着用し、ほかの方に感染させないよう注意しましょう。

インフルエンザを発症してから48時間を過ぎても、適切な対応を取ることで、回復を早めたり、症状の悪化を防げたりすることが可能とされています。また、子どもの場合は、異常行動や脱水など注意すべきポイントもあるため、正しい知識が重要です。

もしインフルエンザの疑いがある場合や、受診のタイミングを逃してしまった場合でも、焦らずに適切な対応ができるよう、ぜひ参考にしてください。