目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 「シェーグレン症候群の初期症状」はご存知ですか?原因も解説!【医師監修】

「シェーグレン症候群の初期症状」はご存知ですか?原因も解説!【医師監修】

 公開日:2024/12/11
「シェーグレン症候群の初期症状」はご存知ですか?原因も解説!【医師監修】

シェーグレン症候群は、目やお口の乾燥をはじめ全身に影響を及ぼす自己免疫疾患です。初期症状を見逃さず早期に対処することが、症状の進行を抑え生活の質を守る鍵となります。

本記事ではシェーグレン症候群の初期症状について以下の点を中心にご紹介します。

・シェーグレン症候群の初期症状
・シェーグレン症候群の治療
・シェーグレン症候群の予後

シェーグレン症候群の初期症状について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

シェーグレン症候群の概要

シェーグレン症候群の概要

シェーグレン症候群とはどのような病気ですか?

シェーグレン症候群は、自己免疫疾患の一つで、免疫系が誤って自身の涙腺や唾液腺を攻撃することで発症します。この病気は主に40〜60代の中高年女性に多いとされ、お口の乾き(ドライマウス)や目の乾き(ドライアイ)といった症状が特徴です。

一次性(単独発症)と二次性(ほかの膠原病に合併)に分類され、なかでも、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどとの合併が見られることが多いといわれています。また、全身性の臓器病変を引き起こす場合もあります。

シェーグレン症候群の原因について教えてください

シェーグレン症候群の原因は解明されていませんが、以下のような要因が関連していると考えられています。

遺伝的要因
シェーグレン症候群は遺伝病ではありませんが、同一家族内での発症率が2%程度とされ、遺伝的体質が関与している可能性があります。

環境要因
ウイルス感染や強いストレス、紫外線などの環境要因が引き金となり、発症につながる場合があります。

免疫異常
主な原因は免疫システムの異常です。身体を守る免疫が誤って涙腺や唾液腺などの自身の組織を攻撃する自己免疫現象が発症に関与しています。

ホルモンの影響
女性に多く発症することから、女性ホルモンのバランスが関係している可能性も示唆されています。

これらの要因が複雑に絡み合い発症に至ると考えられていますが、詳細な仕組みは今後の研究で明らかになると期待されています。

シェーグレン症候群の検査と診断について教えてください

シェーグレン症候群の診断には、以下の検査が行われます。これらの検査結果を総合的に診断し、診断基準に基づいて確定されます。

1. 血液検査
抗SS-A抗体や抗SS-B抗体の有無を調べます。また、血球数や腎機能、甲状腺機能などを評価し、ほかの合併症の有無を確認します。

2. 唾液分泌検査
ガムテストやサクソンテストを用いて唾液の分泌量を測定します。必要に応じて、唾液腺の造影検査やシンチグラフィーで唾液腺の機能や形態を詳しく調べます。

3. 涙分泌検査
シルマーテストで涙の分泌量を測定し、ドライアイの程度を評価します。また、角膜や結膜の状態を顕微鏡で観察し、損傷の有無を確認します。

4. 組織検査(生検)
唾液腺や涙腺の組織を少量採取し、炎症の有無を顕微鏡で確認します。

これらの検査結果をもとに、2つ以上の異常が認められればシェーグレン症候群と診断されます。ただし、陰性の場合でも症状や病歴を総合的に判断することが重要です。

シェーグレン症候群の症状

シェーグレン症候群の症状

シェーグレン症候群の初期症状について教えてください

シェーグレン症候群の初期症状は、主にお口の乾き(ドライマウス)と目の乾き(ドライアイ)が挙げられます。

これらの乾燥症状は、唾液腺や涙腺に炎症が起き、分泌液が減少することで引き起こされます。また、耳下腺や顎下腺の腫れ、関節の痛みや倦怠感、微熱などの全身症状を伴うこともあります。

初期の段階では加齢や更年期の影響と誤解されがちですが、乾燥症状が長引く場合は早めの受診が重要です。

シェーグレン症候群の口の乾きの症状について教えてください

シェーグレン症候群では、唾液腺が炎症を起こし唾液の分泌量が減少することで、お口の乾き(ドライマウス)が主な症状として現れます。具体的には、お口のなかが渇く、粘つく、飲み込みにくい、話しづらいといった不快感が生じます。

唾液が減少すると口腔内の自浄作用が低下し、むし歯や歯周病のリスクが高まります。また、舌や口角が荒れたり、味覚障害や口腔内の痛みを引き起こすこともあります。

さらに、夜間にお口の乾きで目が覚めることがあり、睡眠不足につながる場合もあります。この症状は患者さんの生活の質に大きな影響を与えるため、人工唾液の使用や定期的な歯科受診などの適切な対策が重要です。

シェーグレン症候群の目の乾きの症状について教えてください

シェーグレン症候群では、涙腺の炎症により涙液の分泌が低下し、目の乾燥(ドライアイ)が主な症状として現れます。具体的には、目がゴロゴロする、痛む、かすむ、疲れる、光がまぶしい、目やにが増える、充血するといった症状が特徴的です。また、悲しいときでも涙が出にくくなることがあります。

重症化すると、視力低下や感染症のリスクも高まり、日常生活に支障をきたすため、人工涙液や保湿器具の使用、定期的な眼科受診による適切なケアが重要です。

シェーグレン症候群のその他の症状について教えてください

シェーグレン症候群では、乾燥症状に加え、さまざまな全身症状が見られます。

まず、唾液腺や耳下腺、顎下腺が腫れることがあり、耳、鼻、のど、腟などの乾燥によって嗅覚低下、声がれ、性交痛が発生することもあります。

また、全身症状として倦怠感、微熱、関節痛やこわばり、皮膚の炎症(紫斑や環状紅斑)、気分の変調、集中力低下などが見られます。

さらに、まれに神経障害や間質性肺炎、腎炎などの臓器障害を引き起こし、悪性リンパ腫を合併する場合もあります。

このようなさまざまな症状が日常生活に影響を与えるため、専門的な診断と治療が不可欠です。

シェーグレン症候群と診断されたら

シェーグレン症候群と診断されたら

シェーグレン症候群の治療について教えてください

シェーグレン症候群は根本的な治療法がまだ確立されていませんが、症状を緩和する対症療法が中心となります。

お口の乾燥(ドライマウス)に対しては、唾液分泌を助ける内服薬や人工唾液スプレー、うがい薬が用いられます。

目の乾燥(ドライアイ)には、保湿効果のある点眼薬や涙点プラグを挿入する治療が行われ、腟の乾燥にはエストロゲン治療、皮膚の乾燥には保湿剤が用いられます。

全身症状や腺外型の重症例では、ステロイドや免疫抑制剤、生物学的製剤が使用される場合があります。

これらの治療を通じて症状のコントロールを目指し、快適な生活を維持することが重要です。

シェーグレン症候群の予後について教えてください

シェーグレン症候群の予後は良好で、寿命に直接影響を及ぼすことは少ないとされています。ただし、乾燥症状が進行し、治療が効果を示さない場合には生活の質(QOL)が低下する可能性があります。

また、末梢神経障害、間質性肺炎、腎障害、リンパ腫などの重篤な合併症を発症した場合、健康な方よりも寿命が短くなることがあります。
これらのリスクを軽減するために、定期的な診察で合併症の早期発見と適切な治療が重要です。

シェーグレン症候群では、日常生活でどのようなことに気をつけたらよいですか?

シェーグレン症候群では、乾燥症状を和らげ、生活の質を維持するために以下の点に注意しましょう。

乾燥対策
加湿器を利用して室内の湿度を保ち、目やお口の乾燥を防ぎます。外出時にはマスクを着用して口腔内を加湿するのも効果が期待できます。

口腔ケア
唾液が少なくなるとむし歯や歯周病のリスクが高まるため、こまめな歯磨きとうがいを心がけましょう。人工唾液や無糖ガムで唾液分泌を助けるのもおすすめです。

目のケア
涙液を補うために人工涙液を使用し、冷暖房の風を避けましょう。必要に応じてドライアイ用の保護メガネも検討してください。

水分補給
常に水筒やペットボトルを携帯し、喉が渇く前に水分補給を行いましょう。ただし、酸味や刺激の強い飲み物は避けてください。

ストレス管理と生活習慣
規則正しい生活を心がけ、無理のない範囲で適度な運動やリラックスできる趣味を取り入れると症状の悪化を防げます。

これらを実践しながら、定期的に医師の診察を受けることが重要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

シェーグレン症候群は、乾燥症状や全身の不調が生活に影響を与える疾患ですが、適切な治療とセルフケアで快適な日常生活を送れます。症状に気付いたら早めに医師に相談し、自身に合ったケアを見つけましょう。

編集部まとめ

シェーグレン症候群 初期症状

ここまでにシェーグレン症候群の初期症状についてお伝えしてきました。
シェーグレン症候群の初期症状について、要点をまとめると以下のとおりです。

・シェーグレン症候群の初期症状には、お口の乾き(ドライマウス)や目の乾き(ドライアイ)が挙げられる
・シェーグレン症候群は対症療法が中心で、お口や目の乾燥には保湿や分泌を促す薬、腟や皮膚の乾燥には適切な保湿剤が用いられる
・シェーグレン症候群は寿命に直接影響を及ぼすことは少ないとされているが、生活の質(QOL)が低下する可能性がある

シェーグレン症候群は、適切な治療で症状をコントロールし、生活の質を維持できます。日々のケアと医師のサポートを活用し、快適な生活を目指しましょう。

本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師