「おたふく風邪がうつる確率」はどのくらいかご存知ですか?予防法も解説!【医師監修】
おたふく風邪は、子どもに多く見られる傾向がある感染症ですが、大人でも感染する可能性があり、時には重症化や合併症を引き起こす可能性もあります。
本記事ではおたふく風邪がうつる確率について以下の点を中心にご紹介します。
・おたふく風邪の症状や感染経路
・おたふく風邪がうつる確率
・おたふく風邪の治療法や予防
おたふく風邪がうつる確率について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
おたふく風邪について
おたふく風邪とはどのような感染症ですか?
なかでも約4~6歳の子どもに見られる傾向がありますが、成人してから発症する場合もあります。一度感染すると生涯免疫を獲得できるため、再感染のリスクは低いとされています。
症状としては耳下腺の腫れと痛み、発熱が主で、腫れは片側から始まり両側に広がります。
また、倦怠感や頭痛、食欲不振を伴うこともあります。約30%の感染者は無症状ですが、重症化すると髄膜炎や難聴、男児では睾丸炎などの合併症を引き起こす可能性があります。症状が現れた場合は早めの対応が重要です。
おたふく風邪の感染経路を教えてください
飛沫感染では、ムンプスウイルスを含む咳やくしゃみを吸い込むことで感染します。
接触感染は、ウイルスが付着した手や物に触れ、その後自身の口や鼻を触ることで感染が成立します。
このウイルスの感染力は高く、1人が他者に感染させる平均人数を示す基本再生産数は約11~14とされています。これはインフルエンザの約5倍の感染力です。
幼稚園や学校など、子どもたちが共同生活を送る環境では、1人が感染すると短期間で広がり、集団発生を引き起こす可能性があります。
感染者は耳下腺が腫れる数日前から感染力を持ち、腫れが治るまでウイルスを排出し続けるため、感染拡大を防ぐためには早めの隔離が必要です。
おたふく風邪の潜伏期間はどのくらいですか?
この期間中、症状が出ていなくてもウイルスを排出することがあり、気付かないうちに他者に感染を広げてしまう可能性があります。
潜伏期間がほかの感染症に比べて長いことが特徴で、発症後は耳下腺や顎下腺、舌下腺の腫れや痛み、発熱、倦怠感などが現れます。症状が進むと腫れや痛みがピークに達しますが、徐々に改善していきます。
また、男性ではまれに精巣炎、女性では下腹部痛や不正出血などを伴うことがあります。潜伏期間中の感染拡大を防ぐため、感染リスクがある場合には注意深い観察と予防策が重要です。
おたふく風邪がうつる確率と予防方法
おたふく風邪がうつる確率はどのくらいですか?
顕性感染率(感染して発症する割合)は年齢によって異なり、3~4歳程度の子どもでは約90%と高い数字ですが、全体としては70%程度とされています。また、1人の感染者が複数に伝染する可能性があります。
おたふく風邪は大人もうつりますか?
男性では精巣炎、女性では卵巣炎が発症する場合があり、まれに不妊症の原因となることもあります。また、ムンプス難聴や無菌性髄膜炎、膵炎などの全身症状を伴うこともあります。
さらに、妊婦が感染した場合は、流産のリスクが高まるとされています。
大人が感染すると回復までの時間が長引き、後遺症を残す可能性があるため、予防が重要です。未感染の成人やワクチン未接種の方は、2回のワクチン接種を受けることで効果的に予防できます。特に合併症のリスクが高いとされている妊娠前や成人期の予防接種が推奨されています。
おたふく風邪の予防方法を教えてください
ただし、日本では任意接種となり、自己負担が必要です。そのため、接種率が十分でない現状もありますが、ワクチン接種は重症化や合併症のリスクを減らす重要な手段となります。
日常的な予防策としては、手洗いやうがい、アルコール消毒を徹底することが挙げられます。また、感染者との共有物(食器、タオルなど)を避け、接触感染を防ぐことも効果が期待できるでしょう。
さらに、マスクの着用や免疫力を高めるために、バランスのいい食事や十分な睡眠、ストレスの軽減を心がけることが重要です。これらの実践が感染リスクを抑えることにつながります。
おたふく風邪がうつってしまった場合
おたふく風邪がうつってしまったらどうすればよいですか?
感染期間中は幼稚園や学校を休み、自宅で安静に過ごすようにしましょう。家族内で感染が広がるのを防ぐため、手洗いや共有物の使用を避けるなどの衛生管理も大切です。
食事は、消化が良く、お口を大きく開けずに食べられるものを選びましょう。スープ、ゼリー、プリン、お粥、うどんなどがおすすめです。酸っぱい食品は唾液腺を刺激し、痛みを悪化させるため避けましょう。
痛みが強い場合は鎮痛剤を使用することもできますが、必ず医師に相談することをおすすめします。熱がなければ短時間の入浴は問題ありませんが、体調を見ながら行いましょう。
おたふく風邪がうつってしまったらいつまで休めばよいですか?
腫れが出た日を0日目として数えるため、例えば土曜日に腫れが始まった場合、木曜日までが出席停止期間となり、体調が回復していれば金曜日から登園できます。ただし、発熱や倦怠感が続いている場合は、引き続き安静が必要です。
大人の場合、法律による制限はありませんが、子どもと同様の期間を目安に休養することが望ましいです。繰り返しになりますが、おたふく風邪は感染力が高いため、職場や家庭での感染拡大を防ぐためにも、無理をせず十分な休養を取るようにしましょう。
特に周囲に未感染者がいる場合、さらなる感染リスクを考慮して慎重な対応が必要です。
おたふく風邪は繰り返しますか?
反復性耳下腺炎は、数週間から数年おきに耳下腺が腫れるもので、原因は明確ではありませんが、13~15歳程度までに自然治癒するとされています。
また、耳下腺炎を引き起こすほかのウイルスや細菌が原因の場合もあり、これが再発と誤解される可能性があります。
初めての耳下腺の腫れが必ずしもおたふく風邪とは限らないため、正確な診断には血液検査が必要です。ムンプスウイルスによる感染でない場合、別の治療が必要となることもあります。何度も耳下腺が腫れる場合は医師に相談し、適切な検査を受けることをおすすめします。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
もし感染してしまった場合は、十分な休養と対策を行いましょう。おたふく風邪を正しく理解し、家族や周囲の方を守るための知識を日常生活に活かすことが大切です。健康を第一に、予防を心がけましょう。
編集部まとめ
ここまでおたふく風邪がうつる確率についてお伝えしてきました。おたふく風邪がうつる確率の要点をまとめると以下のとおりです。
・おたふく風邪とはムンプスウイルスによって耳の下にある耳下腺が腫れ、発症者の顔が“おたふく”のように膨らむ感染症で、主に飛沫感染と接触感染によって広がる
・おたふく風邪は未感染の兄弟がいる場合、約60%の確率でうつるとされており、感染力が高いため家庭内や幼稚園などの集団生活では発症者が続出する可能性もある
・おたふく風邪には特効薬がなく自然治癒を待つしかないため、感染期間中は幼稚園や学校を休み、自宅で安静に過ごして体力を回復させるとよい。予防には、2回接種のムンプスワクチンが有効とされ、手洗い・うがい、アルコール消毒、共有物の回避も重要
おたふく風邪は子どもが罹患する病気のイメージがありますが、大人もうつる可能性があります。おたふく風邪がうつる確率や予防について理解し、健康な生活を目指しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。