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「おたふく風邪の初期症状」はご存知ですか?大人が発症すると現れる症状も解説!

 公開日:2024/12/17
「おたふく風邪の初期症状」はご存知ですか?大人が発症すると現れる症状も解説!

おたふく風邪は子どもの病気と思われがちですが、大人も感染する可能性があります。なかでも、大人の場合、症状が重くなる傾向があり、合併症のリスクも高まります。
本記事では、大人もかかるおたふく風邪の初期症状について以下の点を中心にご紹介します。

・おたふく風邪の初期症状
・おたふく風邪の合併症
・おたふく風邪の予防法

大人もかかるおたふく風邪の初期症状について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

おたふく風邪の概要と初期症状

おたふく風邪の概要と初期症状

おたふく風邪はどのような病気ですか?

おたふく風邪は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症で、流行性耳下腺炎とも呼ばれます。主な症状は耳下腺の腫れや痛み、発熱で、片側または両側の腫れが見られることがあります。腫れがひどい場合は食事や唾液を飲み込む際に痛みを伴うこともあります。

大体、1〜2週間で自然に回復しますが、まれに難聴や髄膜炎、精巣炎などの合併症を引き起こすことがあるため、症状が重い場合は医師の診察を受けることが必要です。

おたふく風邪の初期症状にはどのようなものがありますか?

おたふく風邪の初期症状は、片側の耳の下に急激な腫れや痛みが現れることから始まることが多いとされています。この腫れは、1〜2日後にもう片方の耳下腺にも及ぶ場合がありますが、片側の腫れだけで症状が収まることもあります。

また、首の痛み、頭痛、軽度の発熱なども初期段階でよく見られる症状です。なかでも、首や耳下腺の違和感を伴う場合は、おたふく風邪が進行する前に早期診断を受けることが重要です。

おたふく風邪で熱が出ないことがありますか?

おたふく風邪に感染しても、熱が出ないこともあります。一部の患者さんでは発熱が見られず、唾液腺の腫れや痛みなどの症状だけが現れることがあります。

ただし、発熱があった場合でも、2〜3日程度で自然に下がることが多い傾向にありますが、症状の現れ方や重さには個人差があり、まれに合併症を伴う場合もあります。そのため、発熱の有無にかかわらず、おたふく風邪が疑われる場合は医師の診察を受けることが重要です。

また、無症状(不顕性感染)の場合でも感染力があるため、周囲への影響を防ぐための適切な対応が求められます。

おたふく風邪の潜伏期間と症状を教えてください

おたふく風邪は、ムンプスウイルスに感染してから2〜3週間(16〜18日程度、稀に12〜25日間)の潜伏期間を経て発症します。この期間中も感染力があり、発症1〜2日前から症状が出た後5日間は感染しやすいとされています。

主な症状は以下のとおりです。

・唾液腺の腫れと痛み
初期には片側の耳下腺が腫れ、痛みを伴いますが、1〜2日後に両側へ広がることが多く顎下腺や舌下腺が腫れる場合もあります。

・全身症状
発熱、頭痛、倦怠感、関節痛など軽い全身症状を伴うことがあります。発熱は3〜4日、腫れは1週間程度で治まります。

・無症状の感染(不顕性感染)
症状が現れないこともありますが、無症状でも周囲に感染を広げる可能性があります。

症状の有無に関わらず感染拡大を防ぐため、予防策の徹底が重要です。

大人のおたふく風邪について

大人のおたふく風邪について

大人がおたふく風邪にかかるとどのような症状が出ますか?

大人がおたふく風邪に感染すると、子どもよりも重い症状が現れることが多いとされ、40度以上の高熱を伴うこともあります。

典型的な症状は耳下腺の腫れと痛みで、片側から始まり、数日で両側に広がる場合が多く、顎下腺や舌下腺にも炎症がおよび、飲み込む際に強い痛みを感じ、食欲不振や食事が困難になるケースもあります。

また、発症後48時間以内に症状がピークに達し、1〜2週間で軽快することが多いといわれますが、重症化する場合もあり、重篤な合併症を引き起こすこともあります。
したがって、発熱がない場合でも耳下腺の腫れが見られたら、早めの診察が必要です。

おたふく風邪の合併症について教えてください

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、以下のような合併症を引き起こす可能性があります。

1. ムンプス難聴
おたふく風邪が原因で片耳の聴力が低下することがあり、改善が難しい場合もあります。特に子どもが罹患した場合、言語発達に影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。

2. 無菌性髄膜炎
おたふく風邪患者さんの10%程度に見られる合併症で、髄膜に炎症が生じます。高熱、激しい頭痛、嘔吐などの症状が特徴で、場合によっては脳炎に進展することもあります。

3. 脳炎
患者さんの0.2%程度で発症し、意識障害やけいれんが見られる場合があります。後遺症としててんかんや発達障害が残るリスクもあるため、早急な医療機関の受診が必要です。

4. 精巣炎・卵巣炎
思春期以降の男性の30%程度が精巣炎を発症し、痛みや腫れが現れます。女性の7%程度では卵巣炎が起こることがあり、不妊症につながる可能性もあるため注意が必要です。

5. 膵炎
強い腹痛や嘔吐が見られる場合、膵炎を合併している可能性があります。放置すると重症化する恐れがあるため、早急な治療が必要です。

感染が疑われた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

大人がおたふく風邪になった場合は何科を受診すればよいですか?

おたふく風邪が疑われる場合は、まず内科または耳鼻咽喉科を受診してください。耳下腺の腫れや痛みが強い場合は耳鼻咽喉科が推奨されています。

また、発熱や頭痛、腹痛、吐き気などの症状が見られる場合は、髄膜炎や膵炎といった合併症の可能性もあるため、早急に救急外来を受診することがおすすめです。したがって、適切な診断と治療のため、症状に応じた専門科を選びましょう。

おたふく風邪の治療と予防法、複数感染について

おたふく風邪の治療と予防法、複数感染について

おたふく風邪に治療法はありますか?

おたふく風邪に対する特効薬やウイルスを直接治療する薬は現在存在しません。そのため、治療は症状を緩和する対症療法が中心となります。発熱や痛みには解熱剤や鎮痛剤を使用し、顔の腫れや痛みが気になる場合には冷却シートや保冷剤で冷やすと効果が期待できます。

食事では、頬や顎の痛みを避けるため、刺激が少なく飲み込みやすいものを選びましょう。ポタージュスープやゼリー飲料、ヨーグルトなどがおすすめです。

一方、酸っぱい食べ物は唾液腺を刺激し痛みを悪化させるため控えるようにしましょう。また、高熱時には経口補水液や飲みやすい飲料で水分補給を心がけ、脱水症状を予防することが重要ですが、症状が重い場合や脱水が懸念される際は医療機関を受診してください。

おたふく風邪の予防法を教えてください

おたふく風邪の予防には、以下の方法が推奨されています。

予防接種
おたふく風邪で効果が期待できる予防法は、ムンプスワクチンの接種です。1回目は1歳から1歳3ヶ月頃、2回目は5〜6歳頃に接種することが推奨されています。

手洗い・消毒
ウイルスは唾液や鼻水を通じて感染するため、こまめな手洗いや共用物の消毒を徹底し、家庭や施設内での感染拡大を防ぎましょう。

これらの対策を継続することで、おたふく風邪の予防につながります。

おたふく風邪が何度もかかることはありますか?

おたふく風邪に一度かかると、ムンプスウイルスに対する免疫が形成されるため、再感染することはまれです。しかし、まれに免疫が十分にできなかった場合や、別の類似ウイルスに感染した場合には再び発症する可能性があります。

その一例が反復性耳下腺炎で、これは数週間〜数年おきに耳下腺が腫れる病気です。原因は明確ではありませんが、唾液腺の異常やほかのウイルス感染が影響しているとされています。

また、耳下腺炎を引き起こすほかのウイルスや細菌も存在するため、症状が繰り返される場合には血液検査を受け、抗体の有無を確認することが大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

おたふく風邪は子どもだけでなく、大人にも影響を及ぼす病気で、重症化や合併症のリスクが高まるため注意が必要です。
予防接種は感染を防ぎ、合併症を予防する方法であるため、自身や家族の健康を守るため、早めの接種を検討し、感染予防に努めましょう。また、疑わしい症状が現れた際には早めに医療機関を受診し、適切な対応をとることが大切です。

編集部まとめ

おたふく風邪 大人 初期 症状
ここまで大人もかかるおたふく風邪の初期症状についてお伝えしてきました。
大人もかかるおたふく風邪の初期症状について、要点をまとめると以下のとおりです。

・おたふく風邪の初期症状は耳下腺の腫れや痛みから始まり、片側のみの場合もある。首の痛みや軽度の発熱が伴うことが多いとされている
・おたふく風邪はムンプス難聴、無菌性髄膜炎、精巣炎・卵巣炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があり、不妊や脳炎のリスクもある
・おたふく風邪を予防するためには、ワクチン接種、手洗い・消毒することが大切

おたふく風邪は子どもだけでなく、大人にも重症化や合併症のリスクがあります。予防接種や早期診断で重症化を防ぎ、健康を守ることが大切です。

本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師