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「手足口病の症状」はご存知ですか?初期症状・出席停止期間も解説!【医師監修】

 公開日:2025/01/12
「手足口病の症状」はご存知ですか?初期症状・出席停止期間も解説!【医師監修】

手足口病は、乳幼児や小児によく見られるウイルス感染症の一種ですが、大人でも手足口病になる可能性があるのをご存知でしょうか。

本記事では手足口病の症状について以下の点を中心にご紹介します。

・手足口病とは
・手足口病の症状
・手足口病の治療や予防方法

手足口病の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

久高 将太

監修医師
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

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琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。

手足口病とは

手足口病とは

手足口病とはどのような病気ですか?

手足口病は、手や足、お口のなかやその周辺に発疹や水ぶくれが現れる感染症で、主に5歳以下の乳幼児に多く見られます。感染のピークは夏場の7月頃ですが、地域によっては秋冬にも発生することがあります。

また、まれに成人が感染することもあり、小さな子どもと接する機会がある大人は注意を要します。
したがって、乳幼児を持つ家庭では、季節や年齢を問わず、予防対策を徹底することが大切です。

手足口病の原因を教えてください

手足口病は、エンテロウイルス科に属する複数のウイルスが原因で引き起こされます。主な原因ウイルスは以下のとおりです。

1. コクサッキーウイルスA16(CA16)
典型的な手足口病の多くがこのウイルスによります。

2. コクサッキーウイルスA6(CA6)
症状が重症化することがあり、水ぶくれが大きくなる場合や高熱を伴うことがあります。

3. エンテロウイルス71(EV71)
東アジアや東南アジアに関連し、重症化すると脳炎など神経系の合併症を引き起こすことがあります。

4. コクサッキーウイルスA10(CA10)
手足口病の原因となることがあるほか、症状は軽度とされています。

これらのウイルスは、飛沫感染や接触感染によって体内に入り、手足口病を発症するため、感染予防として、手洗いや消毒が重要です。

手足口病の感染経路を教えてください

手足口病は、以下のような感染経路を通じて広がる感染症です。

1. 飛沫感染
咳やくしゃみをした際に、鼻や喉の分泌物に含まれるウイルスが飛散し、それを吸い込むことで感染が起こります。なかでも、近距離での接触時に注意が必要です。

2. 接触感染
患者さんの水ぶくれや発疹の液体、あるいは感染者が触れたおもちゃやタオルなどに触れることで感染します。触れた手がお口や目に触れることでウイルスが体内に侵入します。

3. 糞便-経口感染
感染者の便に含まれるウイルスが、トイレ後の手洗い不足や、おむつ交換時の不十分な衛生管理で手や物に付着し、お口に触れることで感染します。

これらを防ぐために、手洗いや適切な消毒が重要です。また、感染者との密接な接触を避けることもおすすめな予防策です。

手足口病の症状について

手足口病の症状について

手足口病の症状を教えてください

手足口病は、3〜5日の潜伏期間を経て次のような症状が現れます。

1. 発熱
軽度の発熱を伴うことがあり、同じウイルスが原因の”ヘルパンギーナ”に比べると高熱は少ないですが、個人差があります。

2. のどの痛み
のどの奥にイガイガ感や痛みが生じることがあります。また、だるさや悪寒を訴えることもあり、食欲が低下する場合があります。

3. 口内炎
お口のなかに小さな潰瘍や病変が現れ、なかでも、舌や頬の内側に痛みを伴うことが多いとされています。

4. 皮膚の発疹
手のひらや足の裏に小さな水ぶくれを伴う発疹が現れ、ときには腕、脚、口周り、お尻などにも広がることがあります。

症状は軽いとされていますが、稀に重症化する場合もあるため注意が必要です。

手足口病の初期症状にはどのような症状がありますか?

手足口病の初期症状は、感染後3〜5日の潜伏期間を経て現れることが多く、以下のような症状が生じます。

・発疹の出現
小さな水ぶくれのような発疹が手のひら、足の裏、足底、お口のなかに現れます。発疹の大きさは2〜5mm程度で、かゆみや痛みを伴うことがあります。

・のどの痛みや違和感
のどの奥や唇の裏側、頬の内側の粘膜に発疹や口内炎が現れ、痛みを伴うことがあります。

・発熱
軽度の発熱が初期に見られる場合がありますが、熱が出ないことも多いとされています。

症状は軽いことが多いとされていますが、免疫が低下している方は重症化するリスクがあるため、初期症状に気付いたら、早めに医療機関を受診し、適切な対応を取りましょう。

大人と子どもで手足口病の症状に違いはありますか?

手足口病は大人と子どもで症状の現れ方にいくつかの違いがあります。以下に主な違いを挙げます。

発疹と痛みの程度
大人の場合、手のひらや足の裏に強い痛みを伴う発疹が現れることが多く、痛みが歩行や日常生活に支障をきたすこともあります。一方、子どもは発疹の数が多い傾向にありますが、痛みは軽いとされています。

のどの痛みの強さ
大人はのどの痛みが強く出ることがあり、飲食が困難になる場合があります。また、のどの違和感が子どもより長引く傾向が見られます。

重症化しやすさ
大人では高熱や全身の倦怠感を伴うことがあり、症状が子どもより重症化するケースもあります。なかでも、免疫力が低下している場合は注意が必要です。

感染の繰り返し
手足口病の原因ウイルスには複数の種類があるため、一度罹患しても再び感染する可能性があります。さらに、大人も子どもとの接触がある場合は、繰り返し感染するリスクがあります。

これらの違いを理解し、大人も子どもと同じく予防対策を徹底することが重要です。

手足口病のと治療・予防方法と出席停止期間

手足口病のと治療・予防方法と出席停止期間

手足口病は治療できますか?

手足口病には特効薬がなく、ウイルスそのものを直接治療する方法は現時点では存在しません。ただし、多くの場合は軽症で自然回復するため、基本的には以下のような対症療法を行います。

・発熱や痛みの緩和
高熱やのどの痛みに対して、解熱剤や鎮痛剤が使用されることがあります。ただし、子どもにはアスピリンを使用しないよう注意が必要です。

・口内炎への対応
口内炎が痛みを伴い食事を妨げる場合、冷たい飲み物やゼリーなどで刺激を和らげる工夫がおすすめです。また、医師の指示のもと、口内炎を緩和する薬を使用する場合もあります。

・水分補給
発熱や食事量の減少で脱水症状が起こるリスクがあるため、こまめな水分補給が重要です。

一方で、まれに脳炎や心筋炎など重篤な合併症が発生することがあるため、症状が悪化したり、ぐったりしている場合は早急に医療機関を受診してください。

手足口病の予防方法を教えてください

手足口病を予防するためには、日常生活での衛生管理が重要です。以下の対策を徹底しましょう。

1. 正しい手洗いの実践
流水と石けんを使い、トイレの後やおむつ交換後、食事の前後には丁寧に手を洗う習慣をつけましょう。保育施設では集団で手洗いを徹底することで感染拡大を防ぎます。

2. タオルや食器の共用を避ける
タオルや食器の共用は感染リスクを高めます。それぞれ専用のものを用意し、使用後は清潔を保つように心がけましょう。

3. おもちゃや共有物の消毒
おもちゃやテーブルなど、頻繁に触れるものは定期的にアルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒を行い、環境全体の衛生を保つことが大切です。

4. おむつ交換時の注意
ウイルスは症状が治まった後も便中に残ることがあります。おむつ交換時には手袋を使用し、交換後は手を洗いましょう。

5. 継続的な衛生対策
一度感染しても別の型のウイルスによる再感染の可能性があります。予防の基本となる衛生習慣を日々徹底することが大切です。

これらを徹底することで、家庭内や集団生活での感染拡大を防げます。

手足口病の出席停止期間について教えてください

手足口病は、法律で明確な出席停止期間が定められている病気ではありません
厚生労働省の保育所感染症対策ガイドラインでは、発熱や口内の痛みがなくなり、普段どおりの食事ができる状態を登園の目安としています。熱が下がり、食事や日常生活に支障がなければ登園や登校が可能とされます。

ただし、保育園や幼稚園などでは、集団感染を防ぐため独自の基準を設けている場合があります。感染した際は、施設の規定を確認し、必要に応じて相談することが大切です。

また、症状が治まった後も2〜4週間程便からウイルスが排泄されるため、1〜2日は自宅で静養し、発疹が目立つ場合や心配がある場合は医師や施設に相談して登園・登校の時期を決めましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

手足口病は、乳幼児に多く見られる身近な感染症ですが、適切な対応で重症化を防ぎ、早い回復が期待できます。
発熱や発疹、口内の痛みといった症状は辛いものですが、無理せず静養することが何より大切です。また、周囲への感染を防ぐため、日頃から手洗いや衛生管理の徹底も忘れないようにしましょう。

編集部まとめ

手足口病 症状
ここまで手足口病の症状についてお伝えしてきました。手足口病の症状の要点をまとめると以下のとおりです。

・手足口病は、手や足、お口のなかやその周辺に発疹や水ぶくれが現れる感染症で、主に5歳以下の乳幼児に多く見られる
・手足口病は発熱、のどの痛み、口内炎、皮膚の発疹などの症状が見られる
・手足口病は、手足口病の出席停止基準が設定されていないため、症状の程度や本人の状態に基づいて登園・登校の可否を判断する必要がある

手足口病は、まれに合併症が起こることもあるため、症状が重かったり、何らかの兆候が見られたりする場合は、すぐに医療機関へ相談することが重要です。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

この記事の監修医師