「自律神経失調症になりやすい人」の特徴はご存知ですか?なりにくい人の特徴も解説!
自律神経は体内のさまざまな機能を調節していますが、そのバランスが崩れると、頭痛や耳鳴り、疲労感など多岐にわたる症状が出現します。
自律神経失調症になりやすいのはどのような方なのでしょうか。
本記事では自律神経失調症になりやすい人について以下の点を中心にご紹介します。
・自律神経失調症の種類
・自律神経失調症になりやすい人とは
・自律神経失調症の診断と治療法
自律神経失調症になりやすい人について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
自律神経失調症の種類
本態性自律神経失調症について教えてください
本態性自律神経失調症で特徴的なのは、病院での検査でも異常が見つからない点です。
症状を改善するには、食事、睡眠、運動、休息といった生活習慣の見直しが推奨されています。
神経症型自律神経失調症について教えてください
神経症型自律神経失調症の方は、周囲の反応や小さな感情の変化に敏感で、それが体調不良を引き起こすことがあります。感情の移り変わりが直接体調に影響を与えるため、リラックスできる環境を整え、精神的な負担がかからないよう注意が必要です。
ストレス管理と環境調整が、症状の緩和につながることが期待されます。
心身症型自律神経失調症について教えてください
心身症型自律神経失調症の方は、仕事や人間関係の圧力により、心と体の両方に症状が現れます。
生理的な不調としては、頭痛や疲労感、睡眠障害などが挙げられ、精神的には不安やうつ状態が見られることもあります。適切な休息やストレス管理が重要であり、無理をせず、自己の健康を第一に考えることが大切です。
心身症型自律神経失調症は、慢性的なストレス状態にある方に多く見られる傾向にあります。
抑うつ型自律神経失調症について教えてください
精神症状としては、うつ症状を伴い、意欲の低下や気分の落ち込みが特徴的です。
身体症状としては、頭痛や微熱、倦怠感、食欲不振、不眠などが見られます。これらの症状が混在することでうつ病との区別が難しくなり、日常生活に支障をきたすこともあります。
抑うつ型自律神経失調症は、几帳面な性格や抱え込みやすい方に多いとされ、病院へ行っても身体症状を改善するための対症療法しか受けられず、長い間不快な症状に苦しむ方が多いようです。
一人で抱え込まず、家族や友人、医療機関への相談も重要です。
自律神経失調症になりやすい人となりにくい人の特徴
どのような性格だと自律神経失調症になりやすいですか?
例えば、細かいことに悩みやすく、または自己抑制的な性質の方に多いとされています。これらの性格の方は、些細なことでも深く思い悩み、気持ちをうまく切り替えられず、内向的で神経質になりやすいため、ストレスを内に溜め込む傾向にあります。
また、責任感が強く、周囲からの評価を気にする傾向があり、問題を一人で解決しようとするため、感じたストレスを適切に発散できない場合が多いようです。
このような性格特性を持つ方は、周囲のサポートと適切なストレス管理が重要です。
自律神経失調症になりやすい体質を教えてください
・頻繁に風邪を引く
・乗り物酔いしやすい
・消化器系が弱い(下痢や便秘がち)
また、手足の冷えや低血圧など、体温調節や血流に関わる特徴も自律神経失調症のリスクを高める可能性があります。
これらの体質を持つ方は、成長するに連れて頭痛やめまい、耳鳴り、動悸、慢性的な肩こり・腰痛などの症状を経験することが多いとされ、胸の痛みや圧迫感、慢性的な消化不良や胃もたれ、理由なき気分の落ち込みも挙げられます。
上記の症状が頻繁に見られる場合や、幼少期の体質が大人になっても続いている場合は、自律神経失調症の可能性を考慮し、医師に相談することが推奨されます。
自律神経失調症になりにくい人にはどのような特徴がありますか?
また、質の高い睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動を日常的に行い、疲れを感じた時には適切に休息を取ることで、体力を維持し続けています。
趣味や気分転換を充実させることで、ストレスから解放される瞬間を持つことも重要です。
また、自身の気持ちを整理させるために、実際に起こったことと自身の感情を紙に書き出すのもおすすめです。そのうえで自身がどのような気持ちに着地したいのか、ゴールを決めましょう。
自律神経失調症の診断基準と治療法
自律神経失調症の診断基準はありますか?
・さまざまな自律神経症状が認められる
・検査で身体疾患が認められない
・明らかな精神障害が認められない
自律神経失調症は、交感神経系と副交感神経系の不均衡によって引き起こされると考えられていますが、正式な病名ではなく、しばしば臨床上の診断名として用いられます。
動悸や発汗、めまい、頭痛など多岐にわたる症状が自律神経失調と関連づけられることがありますが、これらの症状が別の病気ではないことを確認するためには詳細な医学的検査が必要です。
自律神経失調症にはどのような治療法がありますか?
クリニックでの治療では主に、薬物療法や精神療法、漢方療法が行われます。
薬物療法では、抗不安薬や抗うつ薬が処方される場合があります。
精神療法ではカウンセリング、認知行動療法を通じて、気持ちの整理やストレスへの対処法をアドバイスされる場合もあります。
また、必要に応じて、漢方療法が考慮されることもあります。
自宅での対処としては、定期的な運動、質の高い睡眠、バランスの取れた食事、リラクゼーション技法(瞑想や深呼吸など)を取り入れることが推奨されます。
食事は、ビタミンAやC、E、ビタミンB群を含む食品を積極的に摂取し、神経の働きや全身の抵抗力をサポートしましょう。また、カルシウムはイライラを鎮め、不眠解消につながる可能性があります。
さらに、ストレスを感じた際には誰かと話す、趣味に没頭する、温かいお風呂にゆっくり浸かるなどもおすすめです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
自律神経失調症は、心と体の両面からのアプローチが必要なため、自己管理だけでなく医療機関からの支援も大切です。
編集部まとめ
ここまで自律神経失調症になりやすい人についてお伝えしてきました。
自律神経失調症になりやすい人について、要点をまとめると以下のとおりです。
・自律神経失調症は主に4種類あり、生まれつきからなる本態性自律神経失調症、心理的なものからなる神経症型自律神経失調症、心身症型自律神経失調症、抑うつ型自律神経失調症が挙げられる
・自律神経失調症になりやすい方は、ストレスに対して敏感で、些細なことでも思い悩み、精神的なプレッシャーを感じやすい傾向にある
・自律神経失調症の診断基準は明確に定められていないが、自律神経症状が複数認められ、検査でほかの病気でないと判断され、明らかな精神障害が認められない場合に診断される傾向にある。クリニックでの治療は、薬物療法や精神療法、漢方療法などが挙げられる
自律神経失調症が疑われる場合は、一人で抱え込まず、家族や友人、そして医師と連携を取りながら、適切なケアを心がけてください。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。