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「適応障害になりやすい人」の特徴はご存知ですか?サインとなる症状も解説!

 公開日:2024/11/07
「適応障害になりやすい人」の特徴はご存知ですか?サインとなる症状も解説!

適応障害は、日常生活のなかで何らかのストレスが原因となり、心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じて起こります。

適応障害になりやすい人の特徴はあるのでしょうか。また、どのような症状が出てどのように診断され治療していくのでしょうか。

この記事では適応障害について詳しく解説していきます。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

適応障害になりやすい人の特徴や症状

ベッドサイドで頭をかかえる男性

適応障害になりやすい人の特徴を教えてください。

適応障害になりやすい人には、以下の特徴を持っている方が多い傾向にあります。

  • 完璧主義
  • 真面目で責任感が強い人
  • 気持ちの切り替えが苦手な人
  • 人間関係を築くのが苦手な人

完璧主義の人は、仕事や日常生活で何事も完璧に成し遂げたいといった考えがあります。他者からはとても頼りがいのある人に感じますが、その信念から仕事や行動に対して強い執着を持ってしまいがちです。目的達成のために無理をする傾向があり、自分の体調や感じているストレスを軽視してしまいます。責任感が強く真面目な人も、適応障害になりやすい人の代表例といえるでしょう。人一倍責任を感じやすいため、つい過重労働をしてしまったりストレスを溜め込みやすかったりする傾向があります。他者に頼れない性格によりストレスを溜め込みやすく、あるときに許容量を超えてしまうことがあります。また、気持ちの切り替えが苦手な人は、仕事のミスをいつまでも引きずり必要以上に自分を責めることがあり、ストレスを溜め込みやすい傾向にあります。ストレスの発散方法がないことやストレス問題が解決しないことにより、当然適応障害の発症率は高くなる傾向があるでしょう。人間関係の構築が苦手な人は、仕事で必要な接客や上司や同僚・部下とのコミュニケーションや関係性その物が大きなストレスになってしまいます。他人の顔色・言動・視線・行動の一つひとつに不安を覚え、日々さまざまな場面でのストレスが蓄積し、やがて限界を迎えることで適応障害が発症する引き金となります。

適応障害のサインにはどのようなものがありますか?

適応障害になると、身体的・精神的にさまざまなサインが現れます。

  • 身体がだるい
  • 眠れない
  • 頭痛
  • 動悸やめまいがする
  • 消化器症状(食欲不振・ストレス性胃炎・腹痛など)
  • 意欲や集中力の低下・注意力散漫
  • 不安・絶望・イライラを感じるようになる
  • 涙もろくなる、興味・喜びを感じなくなる
  • マイナス思考や自責的な考え方が増える

適応障害は、ストレス要因から離れると症状が改善することが少なくありません。例えば仕事上の問題がストレス要因となっている場合、勤務日は上記の症状が出ますが、休みの日には少し楽になったり趣味を楽しむことができたりする場合もあります。

適応障害の症状を教えてください。

症状は個々によって異なり、仕事や学業を続けたり、対人関係や社会生活を維持したりすることに支障が出る状態となることがあります。適応障害が精神面にもたらす影響は、以下が挙げられます。

  • 抑うつ
  • 不安感や焦り
  • 怒り
  • 緊張

身体的な症状としては、以下が挙げられます。

  • 不眠
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 暴飲暴食
  • 手の震え
  • めまい
  • 吐き気

このほかにもさまざまな身体的症状を引き起こすのが適応障害です。

適応障害が仕事に与える影響にはどのようなものがありますか?

適応障害の症状によって、仕事では以下の影響が出ることがあります。

  • ミスが増える
  • 業務に消極的になる
  • 欠勤や早退が増える
  • 涙もろくなる
  • 急に怒りやすくなる

自信の喪失や不安感・焦りなどによって注意力が欠如し、今までしなかったようなミスを連発してしまい、さらに気分が落ち込むといったこともあります。また緊張により、以前に比べ、仕事に消極的になる(職場の電話に出なくなる・進んで行っていた業務を避けるようになる)こともあるでしょう。

適応障害の診断方法・治療方法

男性医師

適応障害の診断はどのように行いますか?

適応障害の診断には、多くの病院でDMS-5が使用されています。DSM-5とは、米国精神医学会が発行している精神疾患の診断・統計マニュアルです。具体的には精神疾患が22のカテゴリーに分けられており、各カテゴリー内にさらに小さな分類があります。その項目のひとつに適応障害があります。DSMは、精神疾患の治療をする方や精神医学の研究を行っている方へ、精神疾患の基本的な定義を記したものです。世界共通で用いられており、精神疾患の診断名と診断基準が記載されています。疑わしい症状があれば一度医療機関を受診してみるとよいでしょう。

適応障害の治療方法について教えてください。

根本的な治療として原因となっているストレスを軽減し、心理的に回復させることが必要です。場合によっては、薬物療法が必要なこともあります。 ストレスの原因を突き止めたうえで、負荷軽減のための環境調整(コーピング)を現実的な範囲で行います。コーピングには以下の方法があります。

  • ストレスを自認・開示(家族や上司など周囲に伝える)
  • 負荷の経減(問題の先送り、仕事の軽減など)
  • 体調管理(バランスのよい食事、腹八分目、休養・睡眠、健康チェック)
  • 気分転換(元来自分が楽しめることをする、愚痴をいう)

適応障害において薬物療法はあくまでも補助的役割です。不眠症状がある場合は対症療法的に睡眠導入薬を処方します。また、重症化した際はSSRIや抗不安薬を出します。睡眠導入薬や抗不安薬は依存を形成することがあるため、処方は数ヵ月にとどめ、改善しない場合は精神科を受診しましょう。

適応障害の再発率はどのくらいですか?

厚生労働省の調査では、適応障害の発症率は復職後1年で57.4%、2年で76.5%が再病休しているという結果が出ています。このように、一度適応障害に陥ってしまうと再発の確率は高くなり、生活や仕事に大きな影響を及ぼします。

適応障害のチェックリストや接する際の注意点

おしゃべりする女性

適応障害のチェックリストについて教えてください。

以下に示すチェック項目は、こころの不調かそうでないかの目安です。あくまで自分のなかで何が起きているか少し客観的に観察し、ほかの方に伝えるためのものです。まずは自分でチェックしてみましょう。

  • まったくやる気が出ない、職場や学校に行きたくない
  • はっきりとした原因はないが、不安な気持ち・憂鬱な気持ちになる
  • 人と話をするのが面倒臭い
  • 異常に疲れを感じる、ストレス耐性が下がった
  • 勝手にいろいろな考えが浮かんでくる、不安感が消えない
  • 言いたいことがうまく伝えられない、声が出なくなる
  • こだわり始めると止めたくても止められない
  • 暴飲暴食が増えた
  • 多汗症状が見られる
  • イライラや怒りの感情が抑えきれない
  • その他、普段と何となく体調が違う

気になる項目や、あるときから急に始まった項目がある方は、信頼できる方に相談する・医療機関を受診するなど対策を取りましょう。

家族に適応障害が疑われる場合どこに相談すればよいでしょうか?

精神保健福祉センターのほか、保健所・保健センターに相談ができます。保健師・精神保健福祉士などの専門職が、面接や電話によりお悩みの相談を受け付けています。お住まいの自治体にお問い合わせください。医療機関の受診を考えていても、どのように受診すればよいのか戸惑うかもしれません。また、こころの不調を診る医療機関には、精神科・精神神経科・心療内科などのさまざまな名前が使用されています。各科によって専門に診る病気が異なる場合もあるので、詳細は電話で受診前に問い合わせるのがよいでしょう。

適応障害の人に接する際の注意点を教えてください。

対応次第で改善も悪化もあるため、正しい知識を身に付ける必要があります。

  • 必要以上に干渉しない
  • 相談を受けたら否定せず理解してあげる
  • 無理はさせない

適応障害の人に接する際は、上記のような対応を心がけましょう。適応障害の人が辛そうにしているとつい「大丈夫?」や「何かあったの?」と声をかけてしまいがちです。しかし、適応障害の人にとって、過度な心配や気遣いは本人のストレスになってしまうことがあります。適度な距離を保ち、本人から相談されるまでは見守りの姿勢で接することを心がけましょう。相談を受けたときは、否定せず理解してあげることを前提に話を聞いてあげてください。相手の話に耳を傾けて途中で割り込んだり「それは違うよ」などの否定的な発言をしたりするのは避けましょう。「そうだね」と共感を示してあげるのも、本人も悩みを打ち明けやすくなるテクニックです。適応障害の人にとってストレスの原因となる提案や依頼は控えましょう。例えば休職中に「いつから復帰できる?」と尋ねたり、本人のやる気を出そうと立て続けにタスクをお願いしたりするのは大きな負担になります。ゆっくり本人の意欲回復を待つ姿勢を取るようにしましょう。

編集部まとめ

聴診器とカルテ
今回は、適応障害になりやすい人の特徴・症状・診断・治療方法を解説しました。

適応障害はストレスの許容量に限界を迎えることが原因となります。つまり、ストレスに強い人・弱い人どちらも発症する可能性があります。

頑張っているときこそ、自分の身体やこころをケアしてあげることを心がけてください。

適応障害は誰にでも起こりえる精神疾患です。社会全体で疾患に対する理解を深める活動を行う・療養しやすい環境を作り上げることが今後の課題となってくるでしょう。

症状が出現した際には、医師やカウンセラーへの相談・仕事の調整や休養を進めることが必要です。今後の社会ないし個人それぞれでの理解や取り組みが重要となります。

この記事の監修医師

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