「胆嚢がん」の原因や症状はご存じですか?ステージについても解説!【医師監修】
胆嚢がんは、多くの人々にとって馴染みの薄い疾患かもしれません。しかしながら、その進行の速さと早期発見の難しさから、注目されるがんの一つです。
胆嚢は私たちの消化に欠かせない役割を果たす臓器であり、その異常は生活の質や健康に大きな影響を及ぼしかねません。
この記事では、胆嚢がんの原因・症状・治療方法・早期発見の重要性について詳しく解説していきます。
胆嚢がんに関する正確な知識を持つことで、自身や大切な人の健康を守る手助けとなることを願っています。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
胆嚢がんの原因や症状
胆嚢は体のどのあたりにありますか?
食事を摂取する際、胆嚢は収縮し、胆汁を十二指腸に放出します。この胆汁は、食物中の脂肪の消化を助ける役割を果たしています。胆嚢の存在により、食事のタイミングに合わせて適切な量の胆汁が供給され、効率的な消化が可能となるのです。
胆嚢がんの原因について教えてください。
特に、胆石の存在は胆嚢がんのリスクを高める主要な要因です。胆嚢がんの患者さんの中で、約60%の方が胆石を持っているとの研究結果があります。胆石が胆嚢内に長期間存在することで、胆嚢の壁に炎症や刺激を引き起こし、その炎症や刺激が長期間続くことで胆嚢がんのリスクが高まるとされています。
どのような症状があるのですか?
また、痛みはがんが胆嚢の壁を侵すことや、周囲の組織や臓器に拡がることで生じることが多いとされています。これらの症状が現れた場合、速やかに医師の診察を受けることが重要です。
胆嚢がんのステージについて教えてください。
- ステージI: がん細胞が胆管の中に存在しており、深く進行していない状態
- ステージII: がんは胆嚢の胆管壁の外側にわずかに広がっている状態
- ステージIII: がんは胆嚢の周辺の組織や臓器に広がり、近くのリンパ節にも転移している可能性がある状態
- ステージIV: がんが胆嚢から遠くの臓器やリンパ節に転移している状態
早いステージであればあるほど、がんが広がっていない状態です。そのため、早期発見・早期治療が治療によって治る確率を高めるためにも重要です。
胆嚢がんの検査や治療方法
胆嚢がんが疑われる場合どのような検査が行われますか?
そのため、周辺の組織やリンパ節も一緒に切除されることが一般的です。しかし、胆嚢がんが進行して他の臓器に広がってしまった場合や、患者の健康状態が手術を許容しない場合は、他の治療方法を検討する必要があります。
その場合、以下の主な治療方法として以下の3つが挙げられます。
- 放射線治療
- 化学療法
- 分子標的治療薬
放射線治療は、がん細胞を破壊するための放射線を照射する方法で、特に手術が困難な場合や再発した場合に有効です。また、化学療法は、がんの成長を抑制する薬物を使用する治療方法です。化学療法は進行がんや転移がんの治療に用いられます。
最近では、分子標的治療薬も胆嚢がんの治療に導入されており、特定のがん細胞の特性を標的として効果を発揮する新しい治療法として注目されています。治療の選択や方針は、医師・患者・家族が十分な情報共有を行い、患者の希望や生活の質を最優先に考慮しながら決定されることが最も重要です。
そのため、胆嚢がんの治療を行う場合には医師や家族ともコミュニケーションをしっかりと取るようにしましょう。
どのように診断されるのですか?
- 超音波検査・CT・MRIなどの画像診断
- 細胞診検査
- 組織診検査
まず、超音波検査・CT・MRIなどの画像診断を行い、胆嚢の異常や腫瘍の存在を確認します。しかし、これだけではがんであると確定することは困難です。そのため、さらに詳しい検査が必要となります。
細胞診はその一つで、胆管内視鏡という特殊なカメラを使用して、胆管や胆嚢の内部を直接観察する検査方法です。この際、疑わしい部位から細胞を採取し、その細胞ががん細胞であるかどうかの確認を行います。この方法は、非常に微細な部位からも細胞を採取できるため、高い精度での診断が期待されます。
さらに、組織診も行われることが多いです。これは、疑わしい部位から少量の組織を採取し、顕微鏡下でその組織の構造や細胞の形状を詳しく観察する方法です。組織診により、がんの種類・進行度・細胞の性質などをより詳しく調べられます。
これらの検査結果を総合的に評価し、医師は胆嚢がんの診断を下します。診断の際には、専門家の意見や最新の医療情報も参考にされることが多いです。
治療方法について教えてください。
進行が進んで手術が困難な場合や、再発した場合には、放射線治療や化学療法が選択されることがあります。これらの治療は、がんの成長を遅らせるためや、症状を軽減するために行われます。
治療の選択や方針は、医師と患者が十分な情報共有を行いながら決定されることが重要です。
胆嚢がんの生存率や早期発見
胆嚢がんの5年生存率を教えてください。
- ステージⅠ:90%
- ステージⅡ:65%
- ステージⅢ:50%
- ステージⅣ:10〜20%
初期の胆嚢がん、特に手術で完全に切除が可能な場合の5年生存率は比較的高く、60%以上とされています。しかし、進行が進んだ周囲の臓器への浸潤・転移が確認される場合の5年生存率は、10%〜20%程度と大幅に低下します。
胆嚢がんを早期発見する方法はありますか?
超音波検査は身体への負担も軽く、胆嚢の形状・大きさ・胆石の有無・胆嚢の壁の肥厚などを確認できます。そのため、胆嚢がんの早期発見に有効です。また、不明な症状や異常を感じた場合は、速やかに医師の診察を受けることが大切です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
また、定期的な健康診断や検査を受けることで、がんのリスクを低減できます。健康を守るために、自分自身の体と向き合い、適切なケアを心がけてください。
編集部まとめ
胆嚢がんは、体の右上腹部に位置する胆嚢という臓器に発生するがんです。胆石の存在が主要なリスクファクターとして知られており、胆嚢がんの進行は非常に速いとされています。
初期症状が少ないため、早期発見が難しいですが、超音波検査などの定期的な健康診断を受けることで早期に発見・治療も可能です。
治療方法は、がんのステージや患者の健康状態に応じて選択され、手術・放射線治療・化学療法などが考えられます。
胆嚢がんの5年生存率は、がんのステージによって異なり、早期のものは60%以上とされています。
そのため、健康を守るためには、自身の体の変化や異常を感じた場合は迅速に医師の診察を受けることが大切です。