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生活習慣が大きく関わる「2型糖尿病」の症状や合併症は?医師が監修!

 公開日:2023/09/21
925_-2型糖尿病

生活習慣と密接に関わる糖尿病は、身近な病気のひとつです。

一方で、「どのようなきっかけで糖尿病になるのだろう」、「2型糖尿病と1型糖尿病は何が違うのだろう」など糖尿病について様々な疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では2型糖尿病の原因を始めとし、1型糖尿病との違いや治療について解説します。

糖尿病をお持ちの方やそのご家族の方など、糖尿病について知りたい方はぜひ記事を参考にしてください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

2型糖尿病の原因や症状

医者

2型糖尿病とはどのような病気ですか?

2型糖尿病は、インスリンの効果が不十分もしくはインスリンの分泌が十分ではないために、血糖値が正常範囲を超えて上昇する慢性疾患です。インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる役割を果たします。
しかし2型糖尿病の場合、体内の細胞がインスリンに対して反応しにくくなり、血糖値の調節がうまくできなくなります。この状態が「インスリン抵抗性」です。
インスリン抵抗性が進行すると膵臓はさらに多くのインスリンを分泌しようとすることで、十分なインスリンが分泌されなくなる場合があります。これにより血糖値が高くなり、2型糖尿病が発症します。

2型糖尿病の原因について教えてください。

2型糖尿病の原因には次の3つが挙げられます。1つ目は遺伝的要因です。糖尿病の家族歴がある場合、発症リスクが高まるとされます。
2つ目は食事や運動などの生活習慣です。また肥満や過剰な体重もリスク要因とされています。3つ目はインスリン抵抗性です。インスリンは血糖値を下げる役割を果たします。しかし、インスリン抵抗性の場合、体内の細胞がインスリンに対して効果的に反応しなくなり、血糖値の調節がうまくいかなくなります。

どのような症状があるのですか?

2型糖尿病の症状は以下の4つが代表的です。
1つ目はのどの渇きです。血液中が高血糖状態となると、生体防御のメカニズムにより血液を水分で薄めようとするため、のどが渇きます。2つ目は頻尿です。血液中のブドウ糖濃度を下げるために、体は多量の水分摂取を求めるため、頻尿が起こります。
3つ目は体重減少です。高血糖状態が進行すると食事から摂取したブドウ糖をエネルギーとして使用せず、脂肪や筋肉をエネルギー源として分解するため体重減少が起こります。4つ目は疲労感です。高血糖の場合、必要なエネルギーに対して血糖量が見合っておらず、疲労感を引き起こします。反対に低血糖の場合は、必要なエネルギーが足りずに疲労感が出現します。

1型糖尿病との違いを教えてください。

1型糖尿病との違いは次の3つが挙げられます。
1つ目は好発年齢です。2型糖尿病の場合は中高年以降に多く発症しますが、1型糖尿病の場合は乳幼児期から思春期に多く発症します。2つ目は病態の進行スピードです。発症してからゆっくりと進行する2型糖尿病に比べて、1型糖尿病は進行のスピードが早く、インスリン欠乏状態に陥りやすいのが特徴です。
3つ目は発症原因です。2型糖尿病は生活習慣が発症に大きく関わっているのに対し、1型糖尿病は遺伝因子・自己免疫反応の異常・ウイルス感染が原因と考えられています。

2型糖尿病になりやすいのはどのような人ですか?

以下の項目に当てはまる人は2型糖尿病になりやすいといえます。

  • 糖尿病の家族歴がある場合
  • 肥満または過体重の場合
  • 高血圧を有する場合
  • 運動不足の場合
  • 40歳以上の中高年である場合
  • 妊娠糖尿病の既往歴がある場合

これらの要素が重なる場合、糖尿病のリスクはさらに上昇します。しかし、これらの要素が全て当てはまっていたとしても必ずしも糖尿病になるわけではありません。適切な予防や生活習慣の見直しが、糖尿病発症のリスク低減につながります。

2型糖尿病の検査や治療方法

聴診器とカルテ

2型糖尿病が疑われる場合どのような検査が行われますか?

検査には以下のような方法があります。1つ目は、空腹時の血液中の血糖値を測定する空腹時血糖値測定です。空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合、糖尿病の可能性が高くなります。
2つ目は糖負荷試験です。最初に空腹時血糖値を測定し、その後に75gのブドウ糖を摂取します。2時間後に血液中の血糖値を再び測定し、血糖値が200mg/dL以上の場合、2型糖尿病を疑います。3つ目はHbA1c測定です。HbA1cは過去2〜3ヶ月間の平均血糖値を示す指標であり、6.5%以上の場合は、2型糖尿病の診断が考慮されます。

治療方法について教えてください。

治療方法には次の3つがあります。
1つ目は食事療法です。食事療法とは血糖コントロールに有効な糖尿病治療のひとつであり、医師や管理栄養士とともに患者の病態に合わせて、バランスのとれた食事摂取に関する指導が行われます。また食事内容への指導だけでなく、「よく噛んでゆっくり食べるようにする」などの食べ方に関する指導も含まれます。
2つ目は運動療法です。運動にはブドウ糖や脂肪酸の利用を促進する作用があり、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールします。3つ目は薬物療法であり、血糖降下薬とインスリン製剤が代表的です。血糖降下薬には様々な種類がありますが、血糖降下薬では血糖コントロールできなくなった場合に、インスリン製剤の使用を開始するのが一般的です。

2型糖尿病の合併症や食事

目頭を押さえる女性

2型糖尿病の合併症について教えてください。

合併症は糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・神経障害の3つが代表的です。これらの合併症の共通点は「細い血管の異常」によるものであり、高血糖状態が長く続くことで、それぞれ網膜・腎・神経を代表とする臓器に異常を来たすのが特徴です。
さらにこれらの症状が進行すると、糖尿病性網膜症は視力障害や失明・糖尿病性腎症は腎機能障害や腎不全・神経障害は下肢の壊疽など、糖尿病による合併症が様々な症状を引き起こします。

食事で注意することはありますか?

糖尿病患者が食事で注意すべきことは、バランスのとれた食事摂取と食事摂取速度です。2型糖尿病患者における三大栄養素の推奨摂取比率はそれぞれ次のように定められています。

  • 炭水化物を50~60%エネルギー(1日あたり150g以上)
  • たんぱく質を20%エネルギー以下
  • その他の残りの割合を脂質

さらに高血圧を合併する糖尿病の場合、食塩摂取は1日あたり6g未満を目標値として定められています。そのため糖尿病を有する場合は、これらの推奨摂取比率を守った食事が重要です。
また咀嚼回数を増やすことで満腹感が上昇することや、食事摂取時間が短いほど血糖コントロールが悪いなど、食事摂取速度は血糖コントロール状態と関係していることが明らかです。これらのことから糖尿病患者はバランス良い食事に考慮するだけでなく、「勢いよく食べないようにする」など食事摂取時間にも注意する必要があります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

2型糖尿病を予防するにはバランスのとれた食事や、適度な運動など、日々の生活習慣を見直すことが大切です。また血糖値や糖尿病リスク因子の確認も重要なため、定期的な健康診断の受診が予防に役立つでしょう。
一方で2型糖尿病は個人によってリスク因子や予防策が異なる場合があります。そのため気になる症状がある方は、専門医に相談し、個別の予防策を検討するのが確実でしょう。

編集部まとめ

血糖測定器
2型糖尿病は遺伝的要因・食事や運動などの生活習慣・インスリン抵抗性を原因に、インスリンの効果が不十分もしくはインスリンの分泌が十分ではないために、血糖値が上昇する病気です。

また2型糖尿病と1型糖尿病では発症しやすい年齢・進行のしかた・発症原因が異なります。

いずれも「インスリン」が関係する病気ですが、特に2型糖尿病の場合は食事内容・食事摂取量・運動習慣の有無などのライフスタイルが発症や進行に深く関わります。

さらに2型糖尿病の場合、症状の進行は比較的ゆっくりですが、高血糖状態が続くと網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こす恐れもあり危険です。

糖尿病についての正しい知識を身につけ、適切に予防しましょう。

この記事の監修医師