「オーラルフレイル」の原因・予防法はご存知ですか?医師が監修!
公開日:2023/08/24
オーラルフレイルという症状をご存じでしょうか?オーラルフレイルとは、口の中の機能低下全般を指します。
口の中の機能が低下するとさまざまな二次的疾患につながり危険です。
しかし口の中の機能は些細な変化があることが多く、オーラルフレイルに気づかない点がやっかいです。
この記事では、オーラルフレイルの問題点や対処方法などについて解説します。
後半ではオーラルフレイルになっていないかのセルフチェックや、予防のために注意すべき点もまとめているので、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
監修歯科医師:
坪光 玄義(歯科医師)
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鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)
目次 -INDEX-
オーラルフレイルの原因や問題点
オーラルフレイルとはどのような状態ですか?
冒頭で述べたように、オーラルフレイルとは口腔機能の低下全般を指します。具体的には咀嚼機能の低下・食べこぼし・滑舌の悪化・むせる症状などです。
また、意外かもしれませんが口の中の乾燥も機能低下に該当します。これらはどれも些細な変化で気づきにくいという特徴があります。
また、意外かもしれませんが口の中の乾燥も機能低下に該当します。これらはどれも些細な変化で気づきにくいという特徴があります。
原因を教えてください。
オーラルフレイルの症状は上記で述べたように多岐にわたるため、原因はさまざまです。例えば咀嚼機能・食べこぼしなどは口全体の筋力低下が原因となります。
また、滑舌の悪化に関しては舌の筋肉の衰えが原因として考えられます。
また、滑舌の悪化に関しては舌の筋肉の衰えが原因として考えられます。
オーラルフレイルの問題点を教えてください。
オーラルフレイルの問題点は、口腔内の機能低下で起こる諸症状が日常生活に影響を及ぼすことです。例えば咀嚼機能の低下や食べこぼしなどは直接食事に影響します。場合によっては喉をつまらせるなど、命に関わる事態にもつながりかねません。
また、滑舌の低下や口の乾燥はコミュニケーションに支障をきたします。滑舌が悪いと相手が聞き取りにくくなるほか、口の乾燥は口臭の悪化につながるからです。
また、滑舌の低下や口の乾燥はコミュニケーションに支障をきたします。滑舌が悪いと相手が聞き取りにくくなるほか、口の乾燥は口臭の悪化につながるからです。
オーラルフレイルの受診や対処法
オーラルフレイルは何科を受診すればよいですか?
オーラルフレイルの症状が疑われる場合、かかりつけの歯医者などに相談しましょう。ただし先述したとおり、オーラルフレイルは症状が分かりにくいため自分で発見するのは難しいです。
そのため定期的に歯医者に通い、定期検診を受けることが大切です。日頃から信頼できる歯科医師に診てもらえれば安心だといえます。
そのため定期的に歯医者に通い、定期検診を受けることが大切です。日頃から信頼できる歯科医師に診てもらえれば安心だといえます。
どのように診断されるのですか?
オーラルフレイルの診断には以下の7つの項目が用いられます。
- 口腔衛生状態不良:TCI(Tongue Coating Index)という指標を用いて舌の衛生状態をチェックします。白色などの舌苔と呼ばれる物質の付着度を確認し、衛生状態を3段階で評価します。衛生状態が悪い場合、口腔機能の中でも唾液による自浄作用を疑うのが一般的です。
- 口腔乾燥:口腔水分計と呼ばれる機器を用いて計測します。主に唾液の量を図るための診断です。唾液の量が少ないと咀嚼機能の低下につながり、食欲不振などに陥ることがあります。
- 咬合力低下:感圧フィルムなどを用いて計測します。歯列全体で計測し、咬合力がどれくらいあるのか把握するための診断です。咬合力も咀嚼機能に直結する指標のため、基準値未満の咬合力は口腔機能の低下を疑い、適切な対処を施す必要があります。
- 舌口唇運動機能低下:オーラルディアドコキネシスという機器で計測します。唇の動きなどを把握するための診断であり、基準値未満の運動機能だと舌口唇運動機能低下と診断されます。この状態は滑舌や食事などに影響し、場合によっては生活能力まで左右されるため重要な項目です。
- 低舌圧:JMS舌圧測定器を用いて測定します。舌の筋力を測定するための診断です。舌の筋力が低下すると滑舌だけでなく、咀嚼・嚥下機能にも影響を及ぼします。また、一定以上の舌圧がないと普通のご飯を食べることも難しいとされています。
- 咀嚼機能低下:咀嚼能力検査の機器を用いて判断します。咀嚼能力は食事の際に食べ物を細かく分解して摂取しやすくする能力であるため、咀嚼機能低下は食欲不振につながります。食欲不振に陥ると生活の質にも影響するため軽視できない項目です。
- 嚥下機能低下:EAT-10と呼ばれるスクリーニングテストで診断されます。嚥下機能とは、「飲み込む」ための機能であり、嚥下機能に問題があると食事を存分に楽しめません。こちらも食欲不振につながり、生活の質を大きく損なうことにつながります。
医療機関ではどのような治療を行うのですか?
オーラルフレイルは口腔機能に関する症状であるため、歯科医師による治療がほとんどです。例えば咬合力低下に関する治療としては、欠損した歯を入れ歯やインプラントなどで補うことで咬合の改善を図る治療を行います。
また、オーラルフレイルの原因の1つとされる、歯周病を治療することもオーラルフレイル治療に該当します。個別の症状によって対応は変わるので、歯科医師に相談しましょう。
また、オーラルフレイルの原因の1つとされる、歯周病を治療することもオーラルフレイル治療に該当します。個別の症状によって対応は変わるので、歯科医師に相談しましょう。
自分でできる対処法があれば教えてください。
自分でできる対処法としては筋力低下を防ぐ口腔内のトレーニングなどが挙げられます。オーラルフレイルの要因として大多数を占めるのは筋力低下や栄養不足などです。特に筋力低下は咀嚼・嚥下・滑舌などさまざまな口腔機能低下の原因となります。
そのため口腔内のトレーニングを自発的に行うことは重要です。代表的なものとしては舌抵抗訓練の「ペコぱんだ」や口唇閉鎖力訓練の「りっぷるとれーなー」などが挙げられます。また、グミやガムを定期的に噛むことでも筋力低下は防げます。
そのため口腔内のトレーニングを自発的に行うことは重要です。代表的なものとしては舌抵抗訓練の「ペコぱんだ」や口唇閉鎖力訓練の「りっぷるとれーなー」などが挙げられます。また、グミやガムを定期的に噛むことでも筋力低下は防げます。
オーラルフレイルのセルフチェックと予防
オーラルフレイルのセルフチェック方法を教えてください。
オーラルフレイルのセルフチェックは医療機関などの提供するセルフチェック表で簡単に行えます。代表的な項目としては噛む力のチェック・むせることがあるかどうかのチェック・口の乾きなどです。
また、定期的に歯医者へ通っていないこともオーラルフレイルのリスクが高まるため、チェックポイントの1つとなっています。この記事でも紹介してきたような諸症状がないか、普段の生活で意識してみましょう。
また、定期的に歯医者へ通っていないこともオーラルフレイルのリスクが高まるため、チェックポイントの1つとなっています。この記事でも紹介してきたような諸症状がないか、普段の生活で意識してみましょう。
予防のために注意するべきことはありますか?
オーラルフレイルの予防のために注意すべきことは以下の3点です。
- 栄養:栄養は口腔内の衛生環境を保つために重要です。適度な量と栄養バランスを意識して摂りましょう。三大栄養素であるタンパク質・炭水化物・脂質などを意識しましょう。特にタンパク質は口腔内の筋組織を合成する重要な栄養素です。きちんと意識して摂取することが大切です。
- 身体活動:意外かもしれませんが、体の健康状態は口腔内の健康にも影響します。適切な運動を心がけましょう。また、身体活動と合わせて生活習慣を見直すことも大切です。健康的な生活習慣を保てば口腔内の健康も維持しやすくなります。
- 社会参加:社会参加は生活の質に直結する要素ですが、実は口腔内の健康においても重要です。1人で黙々と生活をしていると人と話す機会が少なくなります。そうなると話す機会が失われ、結果的に口腔内の筋力低下につながるのです。食事をする際も、1人ではなく友人などと積極的に関わり、会話しながら行う方が口の健康には良いでしょう。より豊かな人生にもつながるはずです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
オーラルフレイルは口腔機能の軽微な低下だと思われるかもしれません。しかし放っておくと日常生活に支障をきたすようになり、生活の質をも低下させる要因になってしまいます。しかしながら口腔機能の低下は自分では気づきにくいものです。
そのため定期的に歯科検診を受診し、口腔内の健康を保つことをおすすめします。場合によっては口腔機能の低下につながる歯並びの改善や、歯周病の治療などを行うのも1つの選択肢です。かかりつけの歯科医師に日頃から相談するようにしましょう。
そのため定期的に歯科検診を受診し、口腔内の健康を保つことをおすすめします。場合によっては口腔機能の低下につながる歯並びの改善や、歯周病の治療などを行うのも1つの選択肢です。かかりつけの歯科医師に日頃から相談するようにしましょう。
編集部まとめ
この記事ではオーラルフレイルの問題点や対処方法などについて解説しました。オーラルフレイルとは口腔機能の低下のことで、食事中のむせや咀嚼力低下などを引き起こします。
オーラルフレイルは上記のように食事への影響があることや、滑舌の低下によるコミュニケーションへの支障をきたす点で問題視されています。
オーラルフレイルの症状が疑われる場合は、最寄りの歯医者へ相談にいきましょう。歯医者ではオーラルフレイルの原因となる歯周病治療や口腔衛生を保つためのクリーニングなどを行います。
そのほか、日頃からオーラルフレイルにならないように生活習慣を見直すことも大切です。一般化されたセルフチェックもあるので、そちらも活用しながらお口の健康を保ちましょう。