「原田病」の症状・治療法・治療期間はご存知ですか?【医師監修】
公開日:2023/08/24
原田病は主に眼に対して症状が出る自己免疫疾患のひとつです。
かすんで見えにくい・歪んで見えるなどの症状があります。眼以外の部位だと毛髪・皮膚・耳・髄膜などに原田病の症状が出やすいです。
これらの症状の他に前駆症状といって、病気の前触れで現れる症状があります。
診断方法は一般的な眼科検査に加えて、血液検査を含めた全身検査を行います。
今回は原田病の症状・治療法・予後について解説しますので、眼になんらかの症状が現れた時に参考にしてください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
目次 -INDEX-
原田病の原因や症状
原田病はどのような病気ですか?
原田病はベーチェット病・サルコイドーシスと同様に頻度の高いぶどう膜炎の一種です。メラニン色素をつくる細胞に対する自己免疫疾患の一つに数えられます。ぶどう膜炎を発症して網膜が正常の位置から浮き上がり、視力が低下してしまいます。自己免疫疾患とは外から体内に侵入した異物に対して攻撃し身体を守る免疫が、誤って身体の正常な細胞を攻撃してしまう病気です。
メラニンを作る細胞は全身にありますが、特に多い眼・毛髪・皮膚・耳・髄膜などに症状がよく出るのが原田病です。また原田病は黄色人種に多いとされていて、白人人種に少ないといわれています。
メラニンを作る細胞は全身にありますが、特に多い眼・毛髪・皮膚・耳・髄膜などに症状がよく出るのが原田病です。また原田病は黄色人種に多いとされていて、白人人種に少ないといわれています。
原田病の原因を教えてください。
メラニン色素を作る細胞に対する自己免疫疾患が原因とされています。自己免疫疾患とは外から体内に入ってきた異物・ウイルスに対して攻撃し身体を守る免疫が、何らかの原因により誤って体内の正常な細胞を攻撃してしまう病気のことをいいます。
体内に元から存在する正常な物質でもウイルス・紫外線・薬などの環境要因によって変化すると免疫が誤認識を起こし攻撃されることや、外からの異物が体内に存在する物質と似ていると見分けがつかなくなり攻撃してしまうということもあるようです。自己免疫疾患の発症の原因はいまだに完全には解明されていません。
体内に元から存在する正常な物質でもウイルス・紫外線・薬などの環境要因によって変化すると免疫が誤認識を起こし攻撃されることや、外からの異物が体内に存在する物質と似ていると見分けがつかなくなり攻撃してしまうということもあるようです。自己免疫疾患の発症の原因はいまだに完全には解明されていません。
原田病の症状を教えてください。
原田病の症状は主に眼の症状が多いです。かすんで見えにくくなる・ものが歪んで見えるなどがあります。メラニン色素をつくる細胞が全身に分布しているため眼だけではなく、耳などでも症状が見られます。
内耳で炎症が起き、それに伴い感音性難聴・耳鳴りなどの症状が見られることがあり、発症初期段階はこれらの症状が多く見られるようです。初期の症状が良くなった後でも再発する可能性があり、ぶどう膜炎・視力の低下・皮膚症状などが見られることがあります。原田病が起こる前駆症状として、風邪の症状・めまい・頭皮のピリピリ感・全身の倦怠感などが挙げられます。
内耳で炎症が起き、それに伴い感音性難聴・耳鳴りなどの症状が見られることがあり、発症初期段階はこれらの症状が多く見られるようです。初期の症状が良くなった後でも再発する可能性があり、ぶどう膜炎・視力の低下・皮膚症状などが見られることがあります。原田病が起こる前駆症状として、風邪の症状・めまい・頭皮のピリピリ感・全身の倦怠感などが挙げられます。
原田病の治療方法
原田病の診断方法を教えてください
原田病は眼に症状がよく現れるので、一般的な眼科検査によって診断されます。この病気の治療は副作用を伴うため、確実な診断結果を得るためにさまざまな検査を行うことがあるようです。
眼の中のメラニン色素が多く存在するぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜)の炎症により、硬膜剥離・脈絡膜が厚くなる症状・緑内障・白内障などが見られるため眼科検査を行います。またメラニン色素をつくる細胞が全身に分布しているため、眼以外の部位での症状を確認するために問診も行い、これらに加えて血液検査・胸部X線検査・聴覚検査・髄液検査なども行うことがあります。
眼の中のメラニン色素が多く存在するぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜)の炎症により、硬膜剥離・脈絡膜が厚くなる症状・緑内障・白内障などが見られるため眼科検査を行います。またメラニン色素をつくる細胞が全身に分布しているため、眼以外の部位での症状を確認するために問診も行い、これらに加えて血液検査・胸部X線検査・聴覚検査・髄液検査なども行うことがあります。
原田病の治療方法を教えてください。
眼に強い炎症が見られますが原田病は全身の病気ですので、眼に対する治療だけでは改善が見られません。眼の治療の他に全身に対する治療も必要です。初期段階では免疫抑制作用・抗炎症作用のあるステロイドを大量に投与します。ステロイドの大量投与は重い副作用を引き起こす可能性があるので入院が必要です。
ステロイドの投与は最初は点滴から開始し、少しずつ内服薬に替えていきます。そのためステロイドによる治療は突然やめるということはできません。徐々に投与量を減らしながら治療を行っていきます。眼の炎症に対しては点眼薬が有効です。こちらも抗炎症作用のあるステロイド点眼薬を使用します。また虹彩の癒着が起こると緑内障になる可能性があるので、散瞳薬と呼ばれる瞳孔を開く作用のある点眼薬治療も行います。
ステロイドの投与は最初は点滴から開始し、少しずつ内服薬に替えていきます。そのためステロイドによる治療は突然やめるということはできません。徐々に投与量を減らしながら治療を行っていきます。眼の炎症に対しては点眼薬が有効です。こちらも抗炎症作用のあるステロイド点眼薬を使用します。また虹彩の癒着が起こると緑内障になる可能性があるので、散瞳薬と呼ばれる瞳孔を開く作用のある点眼薬治療も行います。
原田病の治療期間はどのくらいですか?
ステロイドを使用するため一般的には半年程度の期間を必要とします。ステロイドの治療を行う際は入院が必要になり、急に治療を止めることができません。また治療途中で炎症の再発や長期化が疑われる場合は半年以上の期間続けなければならない場合があります。原田病の多くの場合は発症後2ヶ月ほどで回復に向かいます。
しかし現段階では確実に再発や長期化を防ぐ治療方法が明確になっていません。効果の強いステロイドを使用しても2〜3割程度の方は再発もしくは長期化する恐れがあるようです。ステロイドを使用する治療が行われる場合は、副作用などの不安があると思いますのでステロイドに対する悩みなどがあれば医師に相談するようにしましょう。
しかし現段階では確実に再発や長期化を防ぐ治療方法が明確になっていません。効果の強いステロイドを使用しても2〜3割程度の方は再発もしくは長期化する恐れがあるようです。ステロイドを使用する治療が行われる場合は、副作用などの不安があると思いますのでステロイドに対する悩みなどがあれば医師に相談するようにしましょう。
治療中はどのような食事が良いですか?
ステロイドにはインスリンの作用を抑え、血糖値を上げる作用があります。そのためコレステロールや中性脂肪などが多いものを取ると、血中の脂肪成分が多くなってしまうので注意が必要です。他には食欲増進の作用があります。顔・首周り・肩・お腹に脂肪がつきやすくなります。間食・食べ過ぎ特に甘いものや果物に気をつけることが必要です。
どうしてもお腹が空くときはカロリーの低いものを食べるなどしてください。ステロイドによる体重増加は医学的には問題ないとされていますが、ご自身で気になる場合はバランスの良い食事を心がけると良いです。
どうしてもお腹が空くときはカロリーの低いものを食べるなどしてください。ステロイドによる体重増加は医学的には問題ないとされていますが、ご自身で気になる場合はバランスの良い食事を心がけると良いです。
原田病の予後
原田病の予後を教えてください。
予後は人によって違う場合があり、早期に良くなる方もいれば炎症が再発して長期にわたって治療が必要な方もいます。また炎症の持続や再発は視力低下につながり最悪の場合、合併症を引き起こしかねません。合併症には虹彩の癒着によって起こる緑内障や、加齢が主な原因とされている白内障があります。
これらの合併症は失明にもつながる病気です。眼に炎症が見られたり違和感を覚えたりした際は、すぐに受診し早期に治療することが大切です。早期に治療が開始できると視力の低下を防ぐことが可能となります。
これらの合併症は失明にもつながる病気です。眼に炎症が見られたり違和感を覚えたりした際は、すぐに受診し早期に治療することが大切です。早期に治療が開始できると視力の低下を防ぐことが可能となります。
原田病は完治しますか?
ここでは完治するとは断言できません。原田病は数日や数週間などの短い期間で治る病気でなく、数ヶ月や数年かけてようやく完治するような病気です。しかし中には炎症が持続したり再発したりすると、持病として原田病と付き合っていかなければならない場合もあります。
患者によってさまざま症状が現れるため、眼の症状が良くなっても他の部位で症状が出ている可能性もあります。また原田病の原因である自己免疫疾患は原因が解明されていないものです。そのため完治することは難しい病気とされています。
患者によってさまざま症状が現れるため、眼の症状が良くなっても他の部位で症状が出ている可能性もあります。また原田病の原因である自己免疫疾患は原因が解明されていないものです。そのため完治することは難しい病気とされています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
原田病は残念ながら予防が難しい病気です。自己免疫疾患は原因が何か判明していないためです。原田病の症状が出た場合は、早く受診するようにしてください。早期に治療できると視力低下に至らずに済みます。しかしそれでも炎症が長引いたり再発を繰り返したりすることがあるようです。またステロイドを使用した治療法は副作用が出ることがあります。
しかし急にステロイドを使用した治療法は途中で止めることができません。途中で止めてしまうと、再発・慢性化してしまう可能性があるので注意しましょう。
しかし急にステロイドを使用した治療法は途中で止めることができません。途中で止めてしまうと、再発・慢性化してしまう可能性があるので注意しましょう。
編集部まとめ
原田病は視力低下をもたらすことがある病気です。
いかに治療を早く開始できるかが最終的な視力に関わってくるので、原田病のような症状が出たら受診するように心がけましょう。
前駆症状がある場合がありますが、必ずしも症状が出るとは限りません。前駆症状がない場合でも原田病と診断されることがあります。
治療方法はステロイドを使用したもので、一般的に副作用が辛いといわれている治療方法です。糖尿病・高血圧・消化性潰瘍・骨粗鬆症などの副作用があるといわれています。
辛く大変な治療法ではありますが、長期化・再発しないようにするためには必要です。
ご自身の判断で止めたりしないように注意しましょう。