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「小児アレルギー」が引き起こす病気やアレルギーが出やすい食べ物について解説!

 更新日:2024/01/10
「小児アレルギー」が引き起こす病気やアレルギーが出やすい食べ物について解説!

小児アレルギーについてご存じですか?
本記事では、小児アレルギーとは?小児アレルギーが引き起こす問題について以下の点を中心に紹介します。

・小児アレルギーとは
・小児アレルギーが引き起こす病気
・小児アレルギーの診断方法

小児アレルギーについて知るためにぜひ最後までお読みください。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

小児アレルギーについて

小児アレルギーについて

小児アレルギーとはどんな病気ですか?

小児アレルギーとは、乳児期から始まり免疫系が特定の物質に過剰反応を起こし様々な症状を引き起こす疾患の総称です。

アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・花粉症などが代表的な病気として知られています。これらの疾患は、個人の遺伝的要因や環境の影響によって発症することが多く、一般的に「アレルギーマーチ」と呼ばれる一連の経過をたどることがあります。ただし、全ての子どもが同じ順番で発症するわけではありません。乳児期の湿疹からアレルギー反応が始まり、アレルギーマーチが進行するケースもあります。したがって、乳児期初期の湿疹を適切に治療・予防し、アレルギーマーチの進行を防ぐことが重要です。

代表的な小児アレルギー症状であるアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息について詳しく説明します。

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が弱くなることで起こります。アレルギー反応が起こりやすい体質の子どもほど、症状は重くなります。慢性的な皮膚の炎症が繰り返され、かゆみや赤み、ブツブツやカサカサとした湿疹が現れます。アレルギー炎症が皮膚のバリア機能をさらに低下させる悪循環に陥ることもあります。

食物アレルギーは、特定の食物に接触することで皮膚、粘膜、消化器、呼吸器などで症状が発生します。かゆみやじんましん、腹痛や嘔吐、せきや呼吸困難、血圧低下やショックなどの症状が現れます。重篤な場合には命に関わることもあるため、注意が必要です。

気管支喘息は、遺伝的要因と環境要因の影響で発症する疾患です。気管支の粘膜が過敏に反応し、アレルギー性炎症や気道の収縮が起こります。ウイルス感染や冷たい・乾燥した空気、アレルゲン、煙、精神的なストレスなどが引き金となることがあります。主な症状は、せきや痰、喘鳴(ゼーゼーとした呼吸音)、呼吸困難であり、発作が繰り返されます。治療では、アレルギー炎症を抑えることと、気管支の状態を安定させることが大切です。

これらの疾患は、個々の症状や子どもの特性に合わせた適切な治療やケアが必要です。

小児アレルギーの症状にはどんなものがありますか?

小児のアレルギー疾患は、さまざまな症状で現れます。アトピー性皮膚炎であれば皮膚の発赤やかゆみ、花粉症であればくしゃみ、鼻水、鼻づまり、食物アレルギーであれば原因の食物摂取して30分以内の皮膚の痒みと紅潮、じんましん、悪化すると呼吸困難、気管支喘息であれば喘鳴(ぜーぜー聞こえる)や呼吸困難となります。

特に食物アレルギーの場合、乳幼児は卵、牛乳、大豆などの食物アレルギーにより影響を受けやすい傾向があります。

重症の場合は、呼吸困難やアナフィラキシーショックなどの緊急症状も発生することがありますので早期の診断と適切な対処が重要です。

どんな食物でアレルギーが出やすいですか?

食物アレルギーでは、特に乳幼児がアレルギー反応を起こしやすい食品がいくつかあります。卵、牛乳、大豆はその代表例です。さらに、カニ、えび、米、そば、ピーナッツ、キウイ、メロン、マンゴー、ニンニク、セロリなどもアレルギーの原因となることがあります。
乳幼児は、気管支や腸管の粘膜の発育が未熟なため、アレルギー反応を起こしやすい傾向にあります。ただし、アレルギーの原因を特定し、完全に日常生活から除去することは難しい場合もあります。

食物アレルギーに対する食事療法では、お子様がアレルギー症状を示した食品を特定し、その食品を避けることが一般的です。しかし、過度な食事制限はお子様の成長にとって好ましくありません

一般的なアプローチは、抗アレルギー剤の内服をしながら、アレルギーの疑われる食品を十分に加熱し、少量ずつ与えて経過を見ることです。この方法により、お子様の体がアレルゲンに対して反応しなくなることが期待されます。アレルギーの症状や病状に応じた適切な治療法や食事療法を提案してもらいましょう。

アレルギー反応が起こるメカニズムを教えてください

アレルギー反応が起こるメカニズムは、多くの場合、特定の物質であるアレルゲンに対して作られたIgE抗体が関与しています。私たちの身の回りには、食物、花粉、ダニなどさまざまなアレルゲンが存在しています。通常、体に必要で無害なタンパク質などの物質に対しては、消化管や免疫系などの防御機構が働き、無用なIgE抗体の生成を抑制しています。しかし、体の防御機構が弱かったり未熟だったりする場合には、アレルゲンに対するIgE抗体が作られ、アレルギー反応が発生する可能性があります。

アレルギー反応は、食べ物を摂取する際だけでなく、触れたり吸い込んだり、注射液などによってアレルゲンが体内に入ることでも引き起こされます。

アレルギー反応の具体的なメカニズムは、次のように説明できます。まず、アレルゲンが体内に侵入すると、免疫系はそれを異物と見なし、感作と呼ばれる過程が始まります。この感作の過程で、アレルゲンに対するIgE抗体が生成されます。感作が成立すると、再度同じアレルゲンが体内に入ると、IgE抗体がアレルゲンに結合し、マスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されます。この化学伝達物質によって血管が拡張し、炎症反応が引き起こされ、アレルギー症状が現れます。

小児アレルギーの診断方法

小児アレルギーの診断方法

食物負荷試験とは何ですか?

食物負荷試験は、原因となる食物(たまごなど)を少量ずつあげて、どのレベルで発疹などの症状が出るかを確認する試験です。

食物除去試験とは何ですか?

「食物除去試験」とは、特定の食品を一時的に食事から取り除くことで、食物アレルギーや食物感作の原因を特定するための検査方法です。この試験では、アレルギー反応や感作反応を引き起こす可能性のある食品を個別に除外し、その後の症状の変化を観察します。食物除去試験は、アレルギー性疾患やアレルギー反応による症状の原因を特定し、それに基づいた適切な食事療法や管理策を見つけるために実施します。

食物除去試験の目的は、特定の食品がアレルギー反応や感作反応を引き起こしているかどうかを確認することです。この試験では、患者さんの日常の食事からアレルギーの疑われる食品を一時的に除外します。その後、症状の変化を観察し、特定の食品の除去によって症状が改善するかどうかを判断します。

血液検査はしますか?

小児アレルギーの診断方法には、一般的に血液検査が使用されます。血液検査では、特定のアレルゲンに対する抗体であるIgE抗体のレベルを測定します。この検査により、アレルギー反応を引き起こす可能性のある物質や食品を特定することができます。血液検査は非侵襲的な方法であり、特に幼い子供やアレルギーの症状が明らかでない場合にも有用です。
血液検査ではIgE抗体の量を評価することでアレルギーの可能性を判断し、結果は通常、0から6までのクラス分けで表されます。0は陰性、1は擬陽性、2から6までは陽性とされます。IgE抗体の量が多ければ、アレルギー症状が起きやすい傾向があるとされています。
ただし、血液検査はアレルギーの診断の補助的な手段であり、他の診断手段と併用することが重要です。また、血液検査の結果に基づいてアレルギーの治療法や管理策を提案する役割も果たします。

皮膚テストはしますか?

小児のアレルギー診断において、皮膚テストは有用な手法として広く使用されています。
皮膚テストは、アレルゲン物質を皮膚に接触させて反応を観察する検査方法です。このテストには主にプリックテストとパッチテストの二つの方法があります。これらのテストを通じて、アレルギーの原因物質を特定し、アレルギー反応の症状や重症度を評価することが可能です。

プリックテストでは、アレルゲンエキスを皮膚に刺激するために特殊な針やスリットを使用します。これにより、アレルギー反応が起こるかどうかを観察します。一方、パッチテストでは、アレルゲン物質を特定の領域に貼付し、数日後に皮膚の反応を確認します。これにより、アレルギーの原因物質を見つけることが可能です。
皮膚テストは非侵襲的な方法であり、幼い子供やアレルギー症状が明確でない場合にも有用といえます。

小児アレルギーが引き起こす病気について

小児アレルギーが引き起こす病気について

アトピー性皮膚炎とは何ですか?

アトピー性皮膚炎は、慢性的な皮膚疾患であり、遺伝的な要素や環境要因によって引き起こされます。特徴的な症状は、かゆみ、発赤、腫れ、乾燥した肌の炎症です。主に子供や若年者に見られ、家族歴がある場合にリスクが高まります。アレルギー反応や皮膚のバリア機能の異常が関与しており、トリガーとなる要因は多岐にわたります。適切なケアとトリートメントにより、症状の管理と再発の予防が可能ですが、個人の症状や重症度に応じたアプローチが必要です。

気管支喘息とは何ですか?

気管支喘息は、慢性的な気管支の炎症により、気管支が収縮し狭くなる病気です。主な症状には、呼吸困難、喘鳴音、咳、胸の圧迫感などがあります。アレルギー反応や感染、喫煙などが引き金となり発作が起こります。適切な治療と管理により、発作の頻度や重症度を軽減できます。しかし、気管支喘息は慢性的な病気であり、完全な治癒は難しい場合もあります。医師の指導の下で薬物療法やトリガーの回避、ライフスタイルの管理を行い、症状のコントロールを目指す必要があります。

小児アレルギーの治療法

小児アレルギーの治療法

舌下免疫療法について教えてください

舌下免疫療法は、小児のアレルギー疾患の治療法の一つです。主にアレルギー性鼻炎や花粉症などの症状の軽減を目指し、患者は舌の下にアレルゲンを滴下したり錠剤として摂取することで治療します。この治療法は、免疫系のアレルゲンに対する過剰な反応を軽減する効果が期待されます。

舌下免疫療法は、症状の緩和やアレルギーの原因に対する耐性の向上につながる可能性があります。しかし、正しい診断と医師の指導のもとで行われる必要があります。現在、舌下免疫療法の対象となっているアレルゲンは、ダニとスギ花粉によるアレルギー性鼻炎です。他のアレルゲンによるアレルギー症状に対する舌下免疫療法はまだ確立されておらず、研究が進められています。
舌下免疫療法は、100年以上前から行われているアレルギー治療法の一つであり、以前は皮下免疫療法と呼ばれる注射による治療が主流でした。しかし、近年ではより安全で手軽な舌下免疫療法が主流となっており、多くの小児のアレルギー症状に対して効果を発揮しています。

経口免疫療法について教えてください

経口免疫療法は、アレルギーや自己免疫疾患の治療法の一形態であり、免疫系の反応を変化させることで症状の改善を目指します。この治療法では、特定のアレルゲンや抗原を摂取することにより、免疫系を徐々に慣れさせ、耐性を獲得することが目的となります。

経口免疫療法は、事前の食物経口負荷試験で症状誘発閾値が確認された患者に対して、医師の指導のもとで施設で統一された計画的プロトコルに基づいて治療します。原因となる食物を摂取し、徐々に摂取量を増やしていくスケジュールが組まれます。これにより、免疫系の過剰な反応を軽減し、アレルギー症状の改善を図ることが期待されます。

経口免疫療法は、花粉症や食物アレルギーなどのアレルギー症状の軽減や、免疫疾患の管理に効果が見込めるとされています。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

小児アレルギーは子供たちや家族にとって心配な問題ですが、適切な対策と情報を得ることで管理が可能です。医師の指導を仰ぎながら、アレルギーの原因や症状について理解しましょう。子供の環境を整え、アレルゲンの接触を制限することも重要です。

編集部まとめ

小児アレルギー
小児アレルギーについて紹介してきました。

・小児アレルギーは、免疫系が特定の物質に過剰反応を起こす疾患のこと
・小児アレルギーは、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などが引きこされる
・血液検査では、特定のアレルゲンに対する抗体(IgE抗体)のレベルを測定する

これらの情報が小児アレルギーについて知りたい方の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師