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「自己免疫疾患」を発症する原因や症状・予後はご存知ですか?医師が監修!

公開日:2023/07/31
「自己免疫疾患」を発症する原因や症状・予後はご存知ですか?医師が監修!

自己免疫疾患はよく耳にする病気ですが、どのような病気なのか詳しく知っている方は少ないかもしれません。

自己免疫疾患は免疫機能に異常が発生することで、体内の組織を攻撃し発症する病気です。

発症原因や症状がわかっていると、疾患が疑われる時に落ち着いて対処できるでしょう。

また、ご自身の回りに自己免疫疾患を患っている方がいれば、その方への理解や症状の度合いによってはサポートにも繋がります。

本記事では自己免疫疾患が発症する原因とあわせて、症状や治療方法について詳しく解説していきます。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

自己免疫疾患の原因と症状

中高年の女性

自己免疫疾患はどのような病気ですか?

自己免疫疾患は免疫機能に何らかの異常が生じることで、体内の正常な組織や臓器を異物としてみなし攻撃してしまう病気です。自己免疫機能が正常に働いている際には、ウイルスや細菌といった異物が体内に入ってきても抗体が作られ、その抗体によって異物から体を守り除去する仕組みとなっています。
しかし免疫異常が起きていると、自身の体の正常な組織などを異物と認識し、その組織や臓器に対して抗体が作られてしまいます。その結果、自分自身の健康な組織などを攻撃し炎症が生じるのです。

自己免疫疾患の代表的なものを教えてください。

自己免疫疾患は大きく二つの種類に分類されます。一つが全身に影響が及ぶ全身性自己免疫疾患で、もう一つが特定の臓器にのみ影響が及ぶ臓器特異的疾患です。この大きく二つに分けられた中に更に様々な疾患が含まれています。
まず、全身性自己免疫疾患に含まれる代表的なものは次のとおりです。

  • 膠原病
  • 関節リウマチ
  • 全身性エリテマトーデス
  • 多発性筋炎
  • 多発性血管炎
  • シェーグレン症候群

全身性自己免疫疾患に含まれるものは、関節・筋肉・骨などの体全体に影響を及ぼす組織に対して抗体が作られると発症します。それまで正常な状態だった関節や筋肉などに痛みが発生し、発生原因に心辺りがない場合はこの疾患にかかっている可能性が高いでしょう。
また、全身性自己免疫疾患に分類される疾患は、一般的には膠原病と呼ばれる場合もあります。次に臓器特異的疾患に含まれるものは次のとおりです。

  • 自己免疫性溶血性貧血
  • 潰瘍性大腸炎
  • バセドウ病
  • 橋本病
  • 若年性1型糖尿病
  • 自己免疫性肝炎
  • 原発性胆汁性肝硬変

臓器特異的疾患に含まれるものは抗体が特定の臓器に対して作られ、その臓器のみに症状が発生します。

原因を教えてください。

自己免疫疾患の殆どはいまだ発症の原因が解明されていません。本来は体を守るはずの免疫機能が何らかの原因で異常をきたし、自身の正常な組織や臓器を攻撃してしまうことで、この疾患は発生します。
発症の原因が不明で治療法方法が限れられていることもあり、自己免疫疾患に含まれるいくつかの疾患は「指定難病」の対象になっています。原因不明であるものの発症には様々な要因が絡んでいるとされ、発生しやすい要素を体質として持っている方が、何らかの後天的要因が合わさり発生するとみなされているようです。

どのような症状が出るのでしょうか?

症状は疾患の種類によって、多少異なってきます。いくつか例を挙げて説明していきましょう。
まず膠原病の症状は、全身の血管・皮膚・関節・筋肉に炎症や痛みが生じます。発熱・湿疹・筋肉痛・関節痛などが症状として多く見られます。また膠原病の一種である全身性エリテマトーデスの症状は、発熱・倦怠感・体重減少・顔や手の皮疹・関節痛・脱毛などです。
次にバセドウ病や自己免疫性肝炎のように特定の臓器に対しての疾患を例に挙げてみましょう。まずバセドウ病の症状は、発汗過剰・動悸・息切れ・熱感・甲状腺の腫れなどです。また肝機能障害を引き起こす自己免疫性肝炎は、軽症の場合、自覚症状が出にくい疾患とされています。ただし症状が進むと、食欲不振・倦怠感・黄疸などが生じてきます。
自己免疫疾患の症状は一見すると、体調不良で起きているのか、疾患の症状として起きているのか区別がつきにくいかもしれません。不調が出て判断がつかない場合は、医療機関を受診すると良いでしょう。

自己免疫疾患の診断と治療方法

注射器とカプセル

自己免疫疾患はどのように診断されますか?

自己免疫疾患は体調不良が続くことから気づかれるケースが多いでしょう。しかし、自覚症状が出にくい疾患も含まれています。違和感を覚えたらご自身で判断せず、すぐに医療機関への受診をおすすめします。
疾患の疑いが出て、関節痛・関節の腫れ・手のこわばり・発熱などが発症した場合に、皮膚炎・筋肉痛・手足の痺れなど他の症状も併発していると自己免疫疾患と診断されることが多いです。また主な症状の他に、リウマチ反応が陽性であったり、血液検査で抗核抗体が陽性であったりすると診断がくだされます。

検査方法を教えてください。

自己免疫疾患の検査方法は次のものが挙げられます。

  • 血液検査(リウマトイド因子・抗CCP抗体・抗核抗体・各種疾患に特徴的な自己抗体)
  • X線検査(関節エコー検査)
  • CT
  • MRI
  • PET検査

疾患の疑いが出ると、まず血液検査が行われることが殆どです。自己免疫疾患のそれぞれの疾患に対して発症する自己抗体があるかどうかの診断ができます。また特定の部位に症状が出ている場合は、その部位に適した検査が行われます。
例えば関節エコー検査は、関節に症状が現れている際に有効な検査方法です。X線検査では骨までしか観察できないところ、エコーであれば関節炎の発症のもとである滑膜という組織まで見られるからです。血液検査・X線・超音波検査などで診断がつかない場合は精密検査を行い、症状の度合いに応じ段階を踏んで検査が進められ診断がくだされるのです。

自己免疫疾患の治療方法を教えてください。

治療方法は薬の使用による対処療法が殆どです。疾患によって治療方法は異なってきますが、治療で頻繁に使用される薬として挙げられるのが副腎皮質ステロイドです。この薬は全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの治療に使用されます。
関節リウマチに使用される薬では抗リウマチ剤も用いられます。ステロイド以外では免疫抑制剤や生物学的製剤の投与が行われ、特に生物学的製剤は薬を服用できない方や、薬では症状改善の効果が期待できない場合に使用されることが多いです。
シェーグレン症候群のように、ドライアイやドライマウスの症状がある場合は、点眼薬や唾液の分泌を促進する薬が処方されます。

薬物療法の注意点はありますか?

自己免疫疾患では主な治療方法が薬物療法になるので、副作用について気になる方がいるかもしれません。薬物療法では疾患によって使用量に違いはあるものの、ステロイドが頻繁に使用されます。
ステロイドは使用量と使用期間に応じて副作用が生じてしまい、場合によっては副作用で他の疾患が併発する可能性もあるでしょう。またステロイド以外の薬も使用量や体質によって副作用が避けられないケースもあります。
しかしいずれの薬物療法でも医師の診断に基づいて進められるので、治療の効果を出しつつ、副作用が強く出ないよう慎重に薬物療法が行われています。

自己免疫疾患の予後

考える女性

自己免疫疾患が自然治癒することはありますか?

自己免疫疾患は薬物療法などで炎症や免疫作用を抑え、症状を緩和させる治療が中心なので、自然治癒の症例は殆どありません。薬物療法において治療効果と副作用の兼ね合いを見ながら、ステロイドを減らしていくといったケースはあります。
しかし、難病であるうえ発生原因が不明な病気であるため、現状は薬物療法を続けていくことになります。ご自身で判断せずに医師の診断や計画に沿って治療を続けていくことが、症状を悪化させないことに繋がるでしょう。

完治するのでしょうか?

自己免疫疾患は一般的に完治が難しい病気です。治療を続けることで重症だった症状が緩和されたり、使用薬物の量が減ったりすることはあっても、現時点では完治するような治療薬は残念ながらまだ開発されていません。
しかし、疾患自体の解明が行われ、さらに有効な治療薬の開発は進められています。また関節リウマチのように、生物学的製剤の導入により、痛みや炎症を緩和させ症状がほぼ出ないよう治療でコントロールできるようになった疾患もあります。
このように寛解の状態を目指す疾患や、一旦投薬をやめられたとしても再発する可能性があったり定期的な検査が必要だったりするので、本当の意味で完治という状態には遠いでしょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

自己免疫疾患の原因はいまだ解明されていません。発生すると、体の痛みや不調に加え、長期間の通院や治療が日常生活の一部になってしまいます。自己免疫疾患にかかってしまったら、お一人で抱え込まずご家族や周囲のサポートを受けながら、治療に専念されることをおすすめします。
また体調や体力が許す範囲で、通常生活を送ることを目標にされると良いでしょう。病気の解明は続けられ、より効果が期待される治療薬の研究が進められています。
病気との共存は大変な時がありますが、生活の質を保ちながら症状を抑えていくと良いでしょう。

編集部まとめ

高齢者女性
ここまで自己免疫疾患についての質問と回答を紹介してきました。自己免疫疾患の症状は外側からはわかりにくいものが多く、一見すると病気を患っていないように見える場合があるでしょう。

しかし、ひとたび罹ってしまうと病気と共存しなければならないのが現状です。通院や薬物療法で症状をコントロールできるとはいえ、病気への周囲の理解が必須ともいえるでしょう。

自己免疫疾患についての疑問が出てきましたら、本記事を参考にしてみてください。

この記事の監修医師