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「気象病」という気象によって不調を招く病気をご存じですか?医師が監修!

 公開日:2023/07/26
「気象病」という気象によって不調を招く病気をご存じですか?医師が監修!

「今日は何だか調子が優れない」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

風邪気味でもないのに突然調子が崩れるなどの原因がわからない不調を多く感じる場合は気象病かもしれません。

近年、増加傾向にある極端な気象現象に伴って気象病を発症する患者が増えています。

気象病はその名の通り、気象に体調が左右される病気の総称です。

本記事では気象病とはどういった病気なのか、発症する原因・症状・治療方法や予防対策について紹介していきます。

もし「気象病かもしれない」と感じている方は、理解を深めるためにも一読ください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

気象病の原因や症状

気象病とはどのような病気ですか?

気象病とは、気象によってさまざまな不調を招く病気の総称です。気象に伴って気圧や気温・湿度などの急激な変化から体調不良を引き起こします。
天気と体調不良の関係性が深いことは、研究結果からも判明している事実です。「天気が崩れると古傷が痛む」と聞いたことがある方も多いかと思います。
このような症状は気象病でよくみられる天気痛という症状です。

気象病の原因を教えてください。

天気や気圧に伴う気象病の原因は、急激な天気の変化に自律神経が影響を受けることで、体の調節機能が麻痺してさまざまな体調不良を引き起こします。自律神経は循環器・呼吸器・消化器といった自らの意思で働きを調節できない器官を整える働きを持っており、活動状態やリラックス状態に切り替えている神経系です。
さらに、耳の奥にある体の平衡感覚を整える働きを持つ内耳という器官も激しい気圧の変化に機能が追いつかず、バランスを崩してしまいます。また、気象病の原因となるストレスや自律神経の乱れの要因は、気温や湿度の急激な変化です。
気温が低下すると血管が収縮して血流が悪くなるため、痛みを感じやすくなります。

主な症状を教えてください。

気象病で最も多くみられるのが頭痛です。片頭痛持ちの方が雨になると頭痛がひどくなる症状がみられるのも気象病にあたります。
気象には様々な症状があり、代表的なものは以下の通りです。

  • 神経痛
  • 肩こりや痛み
  • めまい
  • 首を寝違えたような痛み
  • 耳鳴り
  • 動悸
  • 関節痛や古傷が痛む
  • 倦怠感
  • 腰痛
  • 低血圧で朝に起きられなくなる
  • リウマチや気管支喘息など慢性的な病気の悪化

天気痛と呼ばれる痛みを激しく感じた場合は、すみやかに受診してください。特に気圧や気温の変化が激しい梅雨の時期や低気圧が訪れる春と冬の時期には注意が必要です。

気象病になりやすいのはどのような人ですか?

気象病になりやすい人の特徴は大きく分けて2つあります。体質も影響してきますが、自律神経の働きが低下している人と、内耳が気圧の変化に敏感な人で特に女性に多くみられる症状です。
それぞれの特徴に影響しやすいものをまとめると以下になります。

  • 不規則な生活
  • 食生活の乱れ
  • 睡眠不足
  • 運動不足
  • 引きこもって日光を浴びない
  • 平熱が36度以下の低体温
  • 過剰なストレス
  • 乗り物酔いしやすい
  • 山頂や高層階のビル以外でも耳鳴りがしやすい

上記に該当する人は梅雨の時期だけでなく、低気圧時に発生しやすい台風やゲリラ豪雨の時にも気象病を発症しやすくなります。原因のわからない体調不良が少しでも続くようであれば、すみやかに専門医に相談しましょう。

気象病になりやすい時期を教えてください。

先述していますが、気象病になりやすいのは梅雨の時期や低気圧が訪れる春と冬の時期です。しかし、時期に関係なく気象病が発症する可能性も大いにあります。春や秋には低気圧が定期的に通過し、台風やゲリラ豪雨が起こりやすいです。
冬には低気圧が日本の南岸を通過するため、気圧の変化が大きくなり雪が降ると気象病を発症しやすくなります。季節の変わり目には十分な注意と予防対策が必要です。

気象病の診療科や治療法

診療中の女医

気象病は何科を受診すればよいですか?

「もしかしたら気象病かも」と感じたら、我慢はせず神経内科や耳鼻科を受診してください。
その際には、1週間程度の天気とその時に起きた不調を記録しておくことをおすすめします。専門医に相談することで、体質改善や症状をコントロールすることが可能になります。

どのような治療が行われますか?

自律神経の乱れで起こっている気象病なのか、内耳が気圧の変化に敏感なのかによっても治療方法は変わってきます。自律神経の乱れであれば生活習慣を整えることはもちろん、漢方療法でつらさを軽減できることもあるでしょう。
内耳が気圧の変化に敏感なのであれば、抗めまい薬や症状をコントロールするアドバイスとサポートをする治療方法もあります。一時的な気圧の変化で気象病になることもありますので、治療方法は専門医としっかりカウンセリングをした上で行ってください。

自分でできる対処法を教えてください。

気象病はその名の通り、天気に左右されて発症します。そのため、毎日の天気予報をチェックしましょう。
そうすることで、気象病が発症しそうな日に予防対策をしっかり行えるようになります。また、体調管理もしやすくなるので天気予報の把握は対処法としておすすめです。

気象病の予防法や注意点

笑顔の女性

気象病の予防法を教えてください。

気圧・気温・湿度が急激に変化しそうな日には、体を温めると自律神経の乱れを予防できます。気象病を発症してしまっても、症状を軽減できるのでおすすめです。体を温める方法は以下のようになります。

  • 朝に42度の熱めのシャワーを浴びる
  • 夜の入浴は38~40度のぬるめの湯船に浸かる
  • 肩・関節・仙骨をカイロなどを使用して温める
  • 首・手首・足首を冷やさない
  • 手のひらにある魚際のツボを刺激する
  • 気温差を感じないよう衣服で調節する

自律神経の乱れは皮膚の表面や末端の血管が気温の急低下によって収縮し、血流が悪くなることで引き起こされます。ただし、片頭痛をもっている人は体を温めると血管が拡張して頭痛がひどくなってしまうこともあるため、首の後ろや額を冷やすなどご自身の症状に合った方法をみつけましょう。
また、内耳が気圧の変化に敏感な人は以下のような方法が予防対策におすすめです。

  • 耳のマッサージで血流を良くする
  • 耳にホットタオルなどを当てて温める
  • 内耳の神経を鎮める作用をもっている酔い止めの薬を飲む

常温の水をこまめにとって水分代謝を促すことも重要になります。天気予報をチェックして、気象病が発症しやすそうな前日から予防対策を行いましょう。

普段の生活における注意点を教えてください。

気象病は自律神経の乱れから発症しやすくなります。そのため、普段の生活から自律神経を整える習慣を取り入れましょう。具体的には以下の通りです。

  • 毎朝太陽の光を浴びる
  • 昼夜の生活にメリハリをつける
  • ヨーグルトなどで腸内環境を改善する
  • 朝食をしっかり食べる
  • 寝る前のスマホやパソコンを控える
  • しっかり睡眠をとる
  • 普段の食事に体の内側から温める食材を使用する(生姜、にんにく、玉ねぎなど)

過剰なストレスが溜まると、自律神経の乱れが発生します。そのため、ご自身で効果的なストレス発散方法を見つけることも重要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

気象病の症状を感じている人は非常に多いですが、治療を受けている人は少ないといわれています。気象病からうつ病に発展する可能性もあるため、気象病がつらいと感じたら病院やクリニックに受診しましょう。
ありきたりな症状だと軽視せず、周りに相談できる環境を作っておくことも大切です。

編集部まとめ

笑顔の女性
今回は、風邪気味でもないのに突然調子が崩れるなどの原因がわからない不調を多く感じる気象病について詳しく紹介していきました。

近年、増加傾向にある極端な気象現象に伴って気象病を発症する患者が増えています。

気象病は自律神経の乱れがある人や内耳が気圧の変化に敏感な人が発症しやすい病気です。

天気予報をこまめにチェックして、気象病予防対策のためにも生活習慣を見直しましょう。

生活習慣を見直しても、気象病の症状がつらいと感じるならすみやかに専門医に相談してください。

この記事の監修医師