「急性硬膜下血腫」を発症する原因・症状はご存知ですか?医師が監修!
突然発症する急性硬膜下血腫は、緊急性が非常に高いのが特徴です。そのため発症後は、早期の迅速な対応が重要です。
「ある日急に、自分や家族が脳の病気で倒れたらどうしよう」、「急性硬膜下血腫にはどのような検査や治療があるのだろう」などの不安や悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
この記事では急性硬膜下血腫の症状や治療に関する様々な疑問に答えています。また記事後半では、急性硬膜下血腫の発症に伴う後遺症や予後についても触れています。
詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
急性硬膜下血腫の原因や症状
急性硬膜下血腫とはどのような病気ですか?
受傷直後から意識障害を伴うことも多いのが特徴です。血腫量が多く、脳への圧迫が強い場合には血腫除去術や開頭減圧術などの治療を行います。
発症する原因を教えてください。
また高齢者の場合は外傷だけでなく、血管壁が硬いことや高血圧も血管破裂の原因となります。
どのような症状がありますか?
- 頭痛
- 呼吸困難
- 意識障害
- 呼吸停止
- 舌や手足の麻痺
- 瞳孔散大
それぞれについて以下で詳しくみていきましょう。
1つ目の代表的な症状に頭痛が挙げられます。最も一般的な初期症状が急激な頭痛で、強い痛みや圧迫感を覚えたりします。2つ目は呼吸困難です。血腫発生の影響により中枢神経系のバランスが崩れ、呼吸中枢に影響を与えます。その結果、呼吸困難を引き起こします。
3つ目は意識障害です。呼吸障害と同様に中枢神経のバランスが崩れることにより、意識障害が起きます。意識障害は急性硬膜下血腫の症状の中で最も深刻な症状です。4つ目は呼吸停止です。重度の頭蓋内圧亢進により、最終的に呼吸が停止します。
5つ目は舌や手足の麻痺です。発生した血腫が脳神経や脊髄神経を圧迫し、障害を与えることで、舌や手足に麻痺を生じることがあります。6つ目は瞳孔の散大です。症状のひとつとして、瞳孔の散大を生じることがあります。この場合、重度の脳圧の上昇を示しています。
急性硬膜下血腫の検査や治療
急性硬膜下血腫が疑われるときに行われる検査は?
1つ目のCT検査は、最も一般的な急性硬膜下血腫の診断方法であり、高精度で迅速な診断が可能です。CT検査は頭蓋骨内のX線像を数多く撮影し、パソコンで三次元的な画像を生成するもので、異常腫瘤と異常血管や血流量の増減を確認できます。
2つ目のMRI検査(磁気共鳴画像法)は、CT検査よりも高い解像度で、組織の柔らかい部分の検査に適しています。MRI検査は磁気を利用して、脳の内部構造の詳細な画像取得が可能です。硬膜下血腫の診断にも使用されていますが、CT検査に比べて撮影に時間がかかるため、緊急性のある診断にはあまり使用されません。また、脳血管撮影検査が行われる場合もあります。
脳血管撮影検査は、異常な血流量・血流速度・血管の形状を調べられ、硬膜下血腫の診断に役立ちます。血管造影剤を用い、X線装置で撮影された脳血管を詳細に調べられます。
どのように診断されますか?
これらの症状と、患者の過去の病歴や現在の症状、脳神経検査などを総合的に評価して診断がなされます。
治療方法を教えてください。
2つ目は穿頭(せんとう)です。血腫発生部の穿頭を行い、硬膜下洗浄を行います。血腫の広がりや大きさによっては開頭手術が必要となりますが、穿頭の場合は、大きく開頭する必要がないのがメリットです。
3つ目に硬膜下ドレナージが挙げられます。硬膜下ドレナージとは、硬膜下血腫腔にドレーンを挿入し、体外へ血液を導く方法です。この方法は治療時間が短く、入院期間を短縮するのがメリットです。また、硬膜下ドレナージは手術や穿頭と併用して行われることもあります。
どのような方法で手術が行われますか?
急性硬膜下血腫の予後や後遺症
急性硬膜下血腫の予後について教えてください。
2つ目は治療の素早さ・適切さです。急性硬膜下血腫の早期発見・適切な治療が行われた場合、予後は比較的良好となることが多いです。しかし、適切な治療が遅れた場合、脳に重大な障害が残る場合もあります。
3つ目は患者の年齢や基礎疾患です。高齢者や基礎疾患のある患者の場合、予後が良くない傾向にあります。4つ目は病変の大きさ及び位置です。血腫の大きさや位置によって、脳への圧迫や損傷が生じ、予後に影響を与える場合があります。
急性硬膜下血腫の余命について教えてください。
また脳の損傷が強い傾向にあることから、受傷後半年~1年経過すると症状は固定し、それ以上の回復は見込めず後遺症となって残るケースが多いです。
後遺症が残ることはありますか?
具体的な後遺症は、脳機能の障害・運動麻痺・感覚障害・認知症・言語障害などです。また病気や手術によるストレスや、入院生活の影響によって、睡眠障害・うつ病・不安障害などの精神的な後遺症が残る場合もあります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
また後遺症が残った場合でも、早期のリハビリテーションやストレスマネジメントなどで、後遺症を改善することが可能です。治療後も定期的な検査やフォローアップを受けることで、再発や後遺症の予防にもつながります。
編集部まとめ
一般的に頭部外傷によって発生する硬膜下血腫は、発症後の迅速な対応が重要となります。
急性硬膜下血腫は、患者の症状・病歴・病変の大きさ及び位置・年齢によって治療方法や後遺症の状態は異なりますが、いずれにせよ早期の診断や治療が最も大切です。
また発症後の再発や後遺症の予防にも、早期のリハビリテーションなど、早い段階での介入が重要となります。
急性硬膜下血種について詳しく知りたい方は、ぜひ記事を参考にしてください。