「好酸球性食道炎」になりやすい人や症状はご存知ですか?医師が監修!
好酸球性食道炎とはどのような病気なのでしょうか?本記事では好酸球性食道炎について以下の点を中心に解説していきます。
・好酸球性食道炎とはどのような病気なのか?
・好酸球性食道炎の症状と原因について
・好酸球性食道炎の診断と治療法について
さらに好酸球性食道炎の予後についても解説します。好酸球性食道炎を知るためにぜひ最後までお読みください。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
好酸球性食道炎とは
好酸球性食道炎とはどのような病気ですか?
好酸球とは何ですか?
好酸球性食道炎の症状について教えてください
胸やけや胸の不快感: 食道内の炎症や胃酸の逆流によって、胸やけや胸の不快感が生じます。
嚥下困難: 食道の炎症や腫れによって、食べ物や唾液の通過が困難になり、嚥下(のみこむ)時に違和感や痛みを感じます。
胸痛: 食道の炎症によって胸痛が生じることがあります。痛みは胸の中央や胸骨周辺に感じる事が多いです。
声のかすれや咳: 食道の炎症が気管に影響を与えることで、声のかすれや咳が生じる場合があります。
食欲不振や体重減少: 食道炎症によって食事が困難になり、食欲不振や体重減少が起こる場合があります。
吐血や黒色便: 進行した場合、食道の潰瘍や出血が生じ、吐血や黒色便が現れる場合があります。
これらの症状が見られる場合は、医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。また、好酸球性食道炎は症状に乏しく、検診でたまたま見つかる場合が多くあります。症状は個人によって異なる場合があり、重症度も異なるため、医師の指導に従うことが大切です。
好酸球性食道炎の原因について教えてください
どんな人が好酸球性食道炎になりやすいですか?
アレルギー症状を有する人: 食物アレルギー、花粉症、喘息などのアレルギー症状を有する人は好酸球性食道炎のリスクが高まる場合があります。
幼児や子供: 幼児や子供に多く見られ、特にアトピー性皮膚炎を有する子供は好酸球性食道炎の発症リスクが高いとされています。
食物アレルギーを有する人: 特定の食品に対するアレルギー反応がある人は、好酸球性食道炎の発症リスクが高まる可能性があります。
食道逆流症(GERD)を有する人: 食道逆流症(胃酸の逆流)を有する人は、好酸球性食道炎の発症リスクが高まる可能性があります。
ただし、上記は一般的な傾向であり、個々の人によって病因やリスク要因は異なる場合があります。正確な診断と医師の指導を受けることが重要です。
好酸球性食道炎の診断・治療
好酸球性食道炎の診断について教えてください
好酸球性食道炎の治療法について教えてください
刺激物の回避: 強い刺激を与える食物や飲み物(辛いもの、アルコール、カフェインなど)を避けることで、症状の軽減が期待できます。
食道の保護: 食道を保護するために、酸逆流を防ぐための薬(プロトンポンプ阻害剤など)が使用されます。
抗アレルギー療法: アレルギー反応による炎症を抑えるため、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬(クロルフェニラミンなど)が処方される場合があります。
ステロイド治療: 炎症を効果的に抑えるために、吸入ステロイドの口腔内噴霧とその嚥下によって治療します。
内視鏡的バルーン拡張症術: 食道が狭くなってしまった場合は、バルーン拡張(風船で狭くなった所を拡げる治療)が行われます。
治療は個別の症状や患者の状態に応じてカスタマイズされるため、医師の指示に従うことが重要です。定期的なフォローアップや症状のモニタリングも大切です。
好酸球性食道炎の予後・注意点
好酸球性食道炎の予後について教えてください
治療によって炎症が改善され、症状が軽減されることが多いです。薬物療法や食事管理によって炎症が抑えられれば、食道の組織へのダメージが減少し、症状が改善します。
ただし、好酸球性食道炎は慢性的な疾患であり、再発する可能性があります。症状の再発や炎症の悪化に注意が必要です。定期的なフォローアップや症状のモニタリングが重要です。
長期的な予後については、個々の症例によって異なります。一部の患者では、持続的な治療と管理によって症状の改善が見られたり、良好な予後を得られます。しかし、一部の患者では症状が持続したり、食道の瘢痕形成や狭窄などの合併症が生じる場合もあります。
予後を向上させるためには、早期の診断と適切な治療が重要です。専門医の指導のもと、定期的なフォローアップと治療計画の見直しをすることが推奨されます。
好酸球性食道炎は日常生活でどのような注意が必要ですか?
食事管理: アレルゲンとなる食品や物質を特定し、それらを避けることが重要です。一般的なアレルゲンとしては、卵、乳製品、小麦、大豆、魚介類、ナッツ類などがあります。自身のアレルギー特定や食事管理には、医師や栄養士の指導を受けることが役立ちます。
食事の摂取方法: 食事をゆっくりとよく噛むことや、食べ物をよく嚥下することが重要です。大きなかたまりの食べ物や堅い食品は、食道に負担をかける可能性があります。また、食事の後は少なくとも2〜3時間は寝る前に横にならないようにしましょう。
ストレス管理: ストレスは症状を悪化させる要因となることがあります。適切なストレス管理方法を見つけることが大切です。リラクゼーション法やストレス軽減のための活動(ヨガ、瞑想、散歩など)を取り入れることが有益です。
医師の指導に従う: 医師からの指示や処方された薬物療法に従うことが重要です。定期的なフォローアップを受け、症状の変化や治療効果について報告しましょう。
アレルギーの管理: 他のアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、花粉症など)を持っている場合は、それらの管理も重要です。適切なアレルギー治療を受け、アレルゲンに対する過敏反応を軽減させることが目指されます。
上記の注意点は一般的なガイドラインですが、個人の症状や医師の指示に基づいて具体的なケアプランを確立することが重要です。医師との相談を通じて、自身に合った日常生活の注意点を確認しましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
編集部まとめ
ここまで好酸球性食道炎について解説してきました。好酸球性食道炎についてまとめると以下の通りです。
・好酸球性食道炎は、食道内に好酸球と呼ばれる特定の白血球が異常に増加し、食道の炎症を引き起こす病気である
・好酸球性食道炎はアレルギー反応が関与していると考えられている
・好酸球性食道炎の治療法には刺激物の回避、食道の保護、抗アレルギー療法、ステロイド治療がある
これらの情報が好酸球性食道炎について知るための参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。