「歯ぎしり」の主な3つの原因・チェック法はご存知ですか?医師が監修!
睡眠時や覚醒時に歯を摺り合わせることで起こる歯ぎしり。睡眠中は無意識の状態で歯ぎしりをする方が一定数います。
ギリギリという音を立ててしまうことで周りの方への影響も出てきます。歯ぎしりが癖になっているとなかなか止められないため、悩みの種になりかねません。
実は歯ぎしりをすることで周りだけでなく本人にも健康上の影響があります。歯そのものへの影響だけでなく体全体の疲労感など、影響は多岐にわたります。
では、そもそも歯ぎしりをする根本的な原因とは何なのでしょうか。
この記事では、歯ぎしりの原因・治療方法・予防方法などについて解説します。原因をしっかりと理解することで、歯ぎしりの治療法や対策について考えやすくなるでしょう。
歯ぎしりを放置することのリスクについても解説するので、最後までお読みいただけると幸いです。
監修歯科医師:
酒向 誠(酒向歯科口腔外科クリニック)
目次 -INDEX-
歯ぎしりの原因と影響
歯ぎしりの原因を教えてください。
- ストレス:歯ぎしりの原因としてまず考えられるのが「ストレス」です。耐え難いストレスを感じたとき、それを発散する方法として歯ぎしりをする場合があるのです。ただしストレスは精神的なものだけでなく、怪我や体調不良などの肉体的ストレスも含まれます。
- 噛み合わせの問題:噛み合わせの問題は歯の欠損や虫歯などを放置することで生じます。噛み合わせが悪くなると噛むたびに顎の筋肉の使われ方が不均衡になるため、睡眠中の歯ぎしりが起こりやすくなるのです。なお、歯の欠損は歯ぎしりによって生じる側面もあります。つまり、歯ぎしりは更なる歯ぎしりを誘発するのです。
- 顎関節症:実は顎関節症も歯ぎしりの原因として考えられています。主に顎がズレることによる噛み合わせの問題が生じるためです。ただしこの因果関係は前後することもあり、歯ぎしりから顎関節症になるケースも確認されています。つまり、歯ぎしりと顎関節症は密接に関連しているのです。
寝ている間に歯ぎしりするのはなぜでしょうか?
また近年では、中枢神経系や睡眠呼吸の障害といった特定の疾患が原因になっているとする報告や、睡眠中の脳の興奮によるものだとする研究結果もあるのです。
歯ぎしりしているかどうかチェックする方法はありますか?
ただしセルフチェック用の項目は存在します。代表的なものだと、以下のとおりです。
- 歯の欠損が確認できる
- 歯がすり減っている
- 作業に没頭しているとき、無意識に歯を食いしばっている
- 歯と歯茎の境目が削れている
- 頬の内側や舌に噛んだあとがある
日常における口内環境などを観察し、歯ぎしりをしているかどうかチェックしてみましょう。
歯ぎしりしやすい人の特徴を教えてください。
また、睡眠の浅い方も歯ぎしりが多くなる傾向にあるため、日頃から睡眠の質が良くない人も歯ぎしりをしやすいです。睡眠に影響のある習慣としては飲酒や喫煙などが挙げられます。改善のためにはこれらの生活習慣を見直す必要があるといえます。
歯ぎしりは体にどのような影響がありますか?
- 歯の損傷:歯ぎしりが習慣化すると、歯の欠損や摩耗の原因になります。歯の表面にあるエナメル質が減っていくと、その内側の歯の弱い部分がむき出しの状態になるのです。その結果、歯周病などの病気に発展する危険性があります。
- 顎関節症:先述したように、歯ぎしりは顎関節症の原因にもなり得ます。歯ぎしりをすると、顎に負担がかかるためです。顎関節症になると硬い食べ物などが食べにくくなり、私生活にも影響があります。
- 肩や首の痛み:意外かもしれませんが、歯ぎしりは肩や首の痛みにつながります。寝ている間に歯ぎしりをすると、肩や首に強い力がかかるのです。その結果、筋肉の緊張やこわばりが生じます。
- 全身の疲労:歯ぎしりが肩こりや頭痛の原因になり、そこから全身の疲労にも発展することがあります。
歯ぎしりの治療方法
歯ぎしりの診断方法を教えてください。
「ポリソムノグラフィー」とは、主に睡眠時無呼吸症候群が疑われた際に、睡眠時の脳波・気管内の空気の流れ・心電図などを観察する検査方法です。しかし一般の診療では非現実的だと考えられています。
一方、携帯型筋電計を使用した睡眠時歯科筋電図検査が2020年に歯科保険適用となり、より客観的な検査ができるようになりました。ナイトガードを装着し、歯ぎしりなどによりできた歯の擦り減り具合を観察することで歯ぎしりの診断を行います。
歯ぎしりの治療方法を教えてください。
なお、睡眠時は自身の歯に合ったマウスピースを装着することで、歯ぎしりによる歯・顎・肩などへの負担を軽くすることができます。
歯ぎしりの治療に歯科矯正は効果がありますか?
ただし歯ぎしりの原因が「噛み合わせの悪さ」や「顎関節症」に起因している場合のみです。ストレスを原因とした歯ぎしりには別の対処法が必要となります。
歯ぎしりの対策
自分でできる歯ぎしりへの対策はありますか?
日頃から歯ぎしりなどの癖を自覚し、考え事などに集中する時に歯に力が入っていないかを意識的に確認していきます。歯に力を入れないように自己暗示していくことが役に立ちます。
歯ぎしりを放置するとどうなりますか?
最後に、読者へメッセージをお願いします。
歯ぎしりの対策を実践しつつ、治療のために歯科医師と連携しながら改善していきましょう。
編集部まとめ
この記事では歯ぎしりの原因・診断方法・影響・治療方法などについて解説しました。
歯ぎしりの原因はストレスだけではなく、飲酒や喫煙といった生活習慣も影響しています。また、噛み合わせの悪さも歯ぎしりの大きな原因です。
歯ぎしりかどうかの判断は自分で行うことが難しく、歯科クリニックなどを受診して診断します。なお、診断にはポリソムノグラフィーや携帯型筋電計が用いられるのが一般的です。
歯ぎしりの影響として代表的なのは、歯の損傷・顎関節症・肩や首の痛み・全身の疲労などです。
各患者の歯ぎしりの原因に合わせ、治療方法を選択します。歯科矯正も治療に有効な場合があります。
この記事を参考に、歯ぎしりの癖がないかどうか見直すきっかけにしていただけると幸いです。