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「失読症」の症状や原因・日常生活での対処法はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/07/07
「失読症」の症状や原因・日常生活での対処法はご存知ですか?医師が監修!

失読症という名前を聞いたことがあるでしょうか?失読症は読み書きに困難を伴う学習障害の一つです。文字の読解や記述が困難になる状態を示します。

一部のケースでは、読み書きのスキルが平均的な能力よりも遅れるかもしれません。しかし、失読症を持つ人々が直面する困難はそれだけに留まらず、個々の状況に大きく影響を受けます。

この記事では、失読症の症状・原因・診断方法・治療方法・そして日常生活での対処法について詳しく解説します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

失読症の症状と原因

勉強が辛そうな男の子

失読症の症状を教えてください。

失読症という言葉は聞いたことがあっても、その具体的な症状や原因を詳しく知っている人は少ないかもしれません。失読症の症状は人それぞれ違うのですが、一般的には読むのに時間がかかる・文字や文章を理解するのが難しいというような特徴があります。
例えば、本を読んでもすぐに忘れてしまうことがあったり、単語のスペルを覚えるのが難しいと感じることがあったりします。時には文章を読むだけでなく、自分の考えを書き表すのも難しく感じることもあるでしょう。
しかし、早期発見や適切な対応を行う手助けになるので失読症の症状の理解を深めていくことが重要です。

ディスレクシアとの違いを教えてください。

ディスレクシアと失読症は、ともに読み書きに困難を伴う障害ではありますが、ディスレクシアと失読症の違いは原因と発症のタイミングです。ディスレクシアは、一般的には先天的な学習障害として理解されており、脳の発達上の特性から文字の識別や理解が困難となります。
これに対して、例えば失読症は脳の損傷、脳卒中や外傷などが原因で後天的に発症し、読書能力が損なわれる状態を指します。そして軽度の場合は文字が読めない、書けないわけではないことが多く、読み書きに時間がかかり読み間違いが多いのが特徴の1つです​​。
ディスレクシアと失読症​​は症状が似ているので対処法や治療法は同様の場合が多いです。

発症する原因を教えてください。

失読症は主に脳の損傷、特に左半球の言語を処理する領域に影響があった場合に発症します。何らかの要因により、言語を読解する脳の部位が傷つくことで、文字の理解や読み書きが困難になるという状態が生じます。
主な要因は脳卒中・頭部外傷・脳腫瘍などによるものです。特定の年齢や性別に偏りがあるわけではなく、どの年齢層でも、どの性別でも発症する可能性があります。

ストレスが原因で失読症になることはありますか?

ストレスが直接的に失読症を引き起こすとは限りません。しかし新しい研究では、たくさんのストレスを感じる環境に小さい頃からいると、それが後に失読症を引き起こす一因となる可能性があると示唆されています。
例えば、ストレスが多いと、脳が上手く働くためのバランスが崩れることがあるそうです。そしてそのバランスが崩れると、文字を読んだり理解したりするのが難しくなります。
だからこそ、ストレスをうまく管理したり、リラックスする時間を作ったりすることは、失読症の症状を和らげるのに役立つでしょう。

失読症の診断と治療

入力

失読症を疑う場合は何科を受診しますか?

もし自分や身近な人が失読症の症状を示していると思われるなら、まずは専門の医療機関に相談しましょう。どのような診察が行われるのか・何を基に診断が下されるのか・そしてその後の治療法は何かを知っておくと、適切な対応ができます。
もし失読症の疑いがある場合、まずは神経内科やリハビリテーション科を受診するのが適しているでしょう。失読症は脳の損傷により起こることが多く、これらの科は脳の機能障害に関する専門知識を持っています。
先天的な読み書きの障害の疑い、つまりディスレクシアの疑いがある場合には、小児科を受診するのが良いでしょう。なぜならば、小児科医は、子どもの成長と発達に関する広範な知識を持っているからです。ただし、最終的には各医療機関と相談し、最も適切な科を選択することが大切です。

どのような検査で失読症と診断されますか?

失読症の診断は、一連の心理学的評価やテストに基づいて行われます。例えば、言葉をどれだけ理解しているか・記憶力はどうか・注意力はどうか・思考力はどうかをチェックするためのテストがあります。
これらのテストは文章を読んだり、書いたりするときに、どれだけうまくできるかを判断するためのものです。テストの結果を総合的に考え、医者は失読症かどうかを判断します。

失読症の治療方法を教えてください。

失読症の治療は、症状に個人差があることが多いため、人それぞれに合わせて行われます。一般的なアプローチとしては、個々の症状に合わせてカスタマイズされた教育プログラム・個別または小グループでの読み書きの指導・パソコンやタブレットを用いた音声認識ソフトウェアの使用などがあります。

失読症は治りますか?

失読症は一生続く可能性がありますが、適切な支援と治療方法を用いることで、読み書きの困難さを大幅に軽減することが可能です。また、持続的なリハビリと対応策を通じて、失読症の人でも十分に生活や職業に適応できます。
つまり、失読症は治らない可能性もありますが、人の可能性を制限するものではありません。

失読症のリハビリと対処法

自宅学習する小学生

失読症のリハビリについて教えてください。

失読症を抱える人々にとって、日々の生活はときに困難に感じるかもしれません。しかし、困難を乗り越えるための方法はあります。
適切なリハビリテーションと対処法を理解し実践することで、生活の質を大きく向上させることが可能です。失読症のリハビリは主に特別教育や専門的な読み書きの指導が中心です。また、リハビリの一環としてパソコンやタブレットを用いた音声認識ソフトウェアの使用や、情報を視覚的に処理するための技術の使用が含まれます。
それぞれの人に合ったリハビリ方法を見つけることで、読み書きの能力を向上させ、生活の質を改善することが可能になるでしょう。

日常生活での失読症の対処法を教えてください。

日常生活での失読症の対処法としては、以下のようなものがあります。

  • オーディオブックや音声認識ソフトウェアの使用を使用する
  • タスクの時間管理を適切に行う
  • タスクの計画を立てる

読書が困難な場合、オーディオブックや音声認識ソフトウェアの使用がおすすめです。これらは情報を視覚的ではなく聴覚的に処理するのに役立ちます。
また、失読症の人は通常よりもタスクに時間がかかることがあります。したがって、時間を適切に管理することが重要です。そして、タスクや情報を組織化し、計画を立てることも役立ちます。これは情報を理解しやすくするだけでなく、タスクを実行する上での困難さを軽減できるでしょう。
失読症で困っている場合でも、ちょっとした工夫で生活は楽になることがあります。自分に合った方法を見つけてみてください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

もし自分や大切な人が失読症で困っているなら、覚えておいてください。失読症は読み書きが難しいだけで、正しいヘルプとツールを使えば、失読症の問題はうまく解決できます

編集部まとめ

家庭教師と勉強
ここまで、失読症について解説してきました。失読症とは、症状・原因・診断・治療そして日常生活での対処法に至るまで、様々な側面を持つ学習障害です。失読症を持つ人々は、リハビリや日常生活での対処法を行うことで、その困難を克服し、可能性を最大限に発揮することが可能です。

この記事が、失読症に対する理解を深め、その対策を見つけるための一助となったなら、これほど嬉しいことはありません。失読症は個々人の生活に影響を及ぼしますが、正しい理解と対応があれば、その困難は確実に乗り越えることができます。

この記事の監修医師