「食道炎」の症状・なりやすい人の特徴・予防法はご存知ですか?医師が監修!
食道炎の中で代表的なものに逆流性食道炎があります。ここ20年間で患者数が増えその数は約5倍にも上り、現在も治療中の方は多くいらっしゃいます。
なぜ増加しているのか、その原因をご存知でしょうか。加齢と欧米化した食事が関係しています。
食道炎になりやすい人に当てはまっていないか、是非この記事を参考にチェックされてみてください。治療法や予防法まで解説していきます。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
食道炎の原因や症状
食道炎の原因は?
この下部食道括約筋の筋肉が緩む原因は、食べ過ぎ・早食い・高脂質食・加齢・肥満・衣服による締め付けなどがあげられます。また、他の食道炎の症例で、感染症により起きるカンジダ性食道炎・ヘルペスなどのウイルス性食道炎は免疫力の低下が主な原因です。
内服薬が食道内に停滞することで起きる薬剤性食道炎は、医薬品を飲む際に水分が足りなかったり、飲んだ後すぐに横になったりすることが原因です。また、刺激の強い薬剤を飲んで起きる腐食性食道炎は、洗剤や漂白剤などをお子さんが誤飲してしまうことで発症します。
症状を教えてください。
食後にみぞおちの痛みがあったり、喉の違和感・声の掠れ・咳が続いたりすることがあり、喉まで上がってきた胃酸により気管支喘息や中耳炎を起こす方もいらっしゃいます。
食道炎になりやすいのはどのような人ですか?
- 食べ過ぎや早食いする習慣のある人
- 高脂質の食事・アルコール・刺激物を好む人
- 食後すぐに横になる人
- 喫煙をよくする人
- 衣服でお腹を締め付ける・肥満の人
- 長時間前かがみの姿勢をとる人
- 中高年~高齢者
逆流性食道炎は、成人の10~20%罹患しているといわれており下部食道括約筋の衰えも原因であることから、特に高齢者に多くみられます。
食道炎の診断や治療方法
食道炎ではどのような検査が行われますか?
ウイルス性食道炎や、アレルギー反応により白血球が食道に集まって起きる好酸球食道炎が疑われる場合は、内視鏡検査の際に原因菌を特定するために組織を採取して調べます。
どのように診断されるのですか?
食道炎には、食道粘膜に炎症がある逆流性食道炎と、ただれは認められないが胃酸の逆流により胸やけの症状がある非ビラン性食道逆流症があります。日本人の半数以上が非ビラン性食道逆流症です。そして重症度がグレードN・M・A・B・C・Dの6段階に分けられており、炎症や症状のある範囲と進行レベルにより診断されます。
例えば内視鏡的に変化を認めないグレードNから、全体の75%以上に粘膜障害が認められるグレードDまであり、グレードによっては再発率や薬物による治療効果が異なります。
治療方法を教えてください。
これは胃からの逆流を防ぐ食道括約筋が緩んでしまうからです。食事の改善は予防にも効果があります。効果がみられない場合は、食道括約筋の緩みを修復する外科手術を行います。
どのような薬が使用されますか?
また従来のPPIに比べて、酸分泌を抑える効果がより強いカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が使用されることもあります。酸を中和し、粘膜を保護する制酸薬や胃の逆流を抑える薬や漢方を併用することもあります。
食道炎の予防と注意点
食道炎の予防方法を教えてください。
まずは食生活からみていきましょう。高脂質なものは特に注意が必要ですが、香辛料や酸味の強いフルーツ・コーヒー・アルコール類も胃酸の分泌が増えやすくなる食材です。これらの食材は摂り過ぎないように意識が必要です。
また喫煙は食道括約筋が緩む原因になるため禁煙が望ましく、食道炎の治療の際も禁煙することでより症状の改善を実感できます。次に仕事などで長時間前かがみになるような姿勢に注意し、食後の仮眠や就寝までの時間はなるべくあけるように意識することも大切です。
食事の際の注意点はありますか?
食事において避けるべき食材は以下の通りです。
- 高脂質の食事
- アルコール・コーヒー・炭酸飲料
- チョコレート
- 柑橘類
- 食べて症状が出たことのある食事
実際、肥満体型の方が体重を減少させることで改善効果が高くなることがわかっています。普段の食生活が食道炎に与える影響は大きいといえるでしょう。
日常生活での注意点を教えてください。
また、なるべく頭を高くして上半身を起き上がらせる姿勢で就寝することで、改善につながる方が多いといわれています。左側を下にして寝ることで胃が食道の下にくるため逆流を防げますし、胸やけが強い方は起床時にコップ1杯のお水を飲むと症状が楽になります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
この疾患自体はすぐさま命に関わるものではありませんが、慢性化すると食道がんにつながる場合があります。ただし、医師の指導の下で正しく生活を見直すことで改善する可能性もある疾患ですので、気になる症状がある方は消化器内科を受診しましょう。
編集部まとめ
食道炎について解説しました。食道炎になりやすい人に当てはまる項目がありましたら、是非予防のためにも意識して見直してみましょう。
女性は便秘・きついガードル・ベルトなど腹部周辺の圧迫を避けること、熱すぎる食べ物や香辛料がお好きな方も摂取のし過ぎには注意が必要です。
気を付けたい食事についても、食材をバランスよく摂ることが大切なのですね。好きなものに偏らないよう何事も適度が一番です。
参考文献