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「肥満症」の症状・原因はご存知ですか?肥満との違い・予防法についても解説!

 公開日:2023/06/28
「肥満症」の症状・原因はご存知ですか?肥満との違い・予防法についても解説!

肥満と肥満症は関連しながらも違う概念です。
肥満は体脂肪の蓄積が増える状態であり、肥満症は健康への悪影響が現れる肥満の重度な状態を指します。

簡単にいうと肥満は太っている状態を指す言葉で、肥満に伴って健康を脅かす合併症がある場合に肥満症と診断され、医学的な減量治療の対象となるのです。

肥満症の原因は多岐にわたります。

主な要因として遺伝的要素・不健康な食生活・運動不足・代謝の異常・ストレス・睡眠不足などが挙げられるでしょう。

違いについて分かったところで原因・診断基準・治療法を紹介していきます。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

肥満症の原因や診断基準

サイズ計測

肥満症とはどのような状態ですか?

肥満症とは、体脂肪が過剰に蓄積された状態を指します。体脂肪の量が健康な範囲を超え、体重が通常よりも大幅に増加している状態では注意が必要です。
肥満症は単に太っているという状態を表すだけではなく、健康に対するリスクを増大させることがあります。
肥満症は心血管疾患・高血圧・冠状動脈疾患・2型糖尿病・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群・関節痛・腰痛・骨の問題・乳がん・大腸がんなど、精神的なストレスや低自尊心などの様々な合併症や健康リスクを引き起こす可能性があります。
肥満症は単なる見た目や体重の問題だけでなく、慢性的な疾患として捉えられるべきです。適切な診断と治療をうけることで、健康な体重を維持し、合併症やリスクを軽減できます。

肥満症の症状を教えてください。

肥満症の症状は、個人によって違う場合がありますが、以下のような症状が一般的に関連しています。体重の増加に伴う肥満症の特徴的な症状であり、BMI(体格指数)が基準値を超えていることが一般的です。
特に脂肪の蓄積で体脂肪が腹部や臀部、太もも、上腕などに集中的に蓄積しています。運動に対する体力や持久力が低下して、日常活動や運動時の負荷に対する耐性が低くなることもあるでしょう。
高血圧・高コレステロール・冠状動脈疾患などの心血管疾患の発症リスクが増加し、高血糖やインスリン抵抗性が引き起こされ、2型糖尿病の発症リスクが高まるかもしれません。
肥満症は単なる見た目や体重の問題だけでなく、慢性的な疾患として捉えられるべきです。適切な診断と治療をうけることで、健康な体重を維持し、合併症やリスクを軽減できます。

肥満症の原因を教えてください。

肥満症の原因は多岐にわたりますが、主な要因として以下のようなものがあります。高カロリーな食事や過食によって、体内に摂取したエネルギーが脂肪として蓄積されます。
そして日常的な運動不足や身体活動量の低下によって、エネルギー消費が減少し、脂肪が蓄積しやすくなるのです。また、遺伝的な傾向によって、肥満症になりやすい体質を持っている場合もあります。さらに、現代社会のライフスタイルの変化や環境の影響により、食事内容や運動習慣が乱れることが肥満の原因となりえるのです。
最後に精神的な要因・ストレス・うつ症状・情緒的な問題などが食事や運動に影響を与え、肥満の原因となることもあります。

肥満症と肥満の違いを教えてください。

肥満は、身体の脂肪組織が過剰に増加している状態を表します。具体的には、身体の脂肪量が一定の基準を超えている状態を指すのです。単なる「太っている状態」を指す言葉であり、病気を意味するものではありません。
一方肥満症は、肥満に伴って健康を脅かす合併症がある場合、または合併症になるリスクが高い場合に診断される状態です。つまり、肥満によって健康に悪影響を及ぼす状態で、医学的な減量治療の対象となります。

肥満症の診断基準は?

肥満とは、身長に対して体重が過剰な状態です。体格指数(BMI)が18.5未満ならば低体重(やせ過ぎ)、18.5以上25未満であれば普通体重とされています。BMIが25以上の場合が肥満に分類され、さらにBMIが35以上であれば高度肥満です。
一方肥満症はBMIが25以上であり、肥満による健康障害(合併症)が1つ以上存在するか、内臓脂肪蓄積による健康リスクが高い場合に診断されます。つまりBMIが35以上の場合、高度肥満症となるのです。
またメタボリックシンドロームは内臓脂肪蓄積の過剰な状態であり、BMIが25未満でも腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上の場合です。血圧・血糖・血清脂質のうち2つ以上が基準値から外れる場合に診断されます。
メタボリックシンドロームは動脈硬化性疾患のリスクを高めるため、早期の内臓脂肪対策が重要です。

肥満症の受診や治療方法

診察

受診の目安を教えてください。

肥満症の場合、まずは医療機関を受診し、専門の医師に相談することが重要です。医師は患者の身体的特徴や健康状態を評価し、適切な治療方法を提案します。肥満症の受診の目安は、以下のような場合です。
BMIが30以上の場合は、肥満症の可能性が高いため、医療機関を受診することをおすすめします。

  • 合併症のリスクが高い場合。
  • 適切な食事や運動を取り入れても体重が減らない場合。
  • 肥満症が自己イメージや心理的なストレスを引き起こし、メンタルヘルスに影響を与えている場合。

以上のような場合には、早めに医療機関を受診し、専門の医師に相談することをおすすめします。肥満症の早期発見と適切な治療は、健康状態の改善と合併症の予防につながるでしょう。

肥満症は何科を受診すればよいですか?

 肥満症の場合、一般的には内科や内分泌科を受診することが適切です。これらの診療科は肥満症の診断や治療に精通しており、必要な検査や症状の評価を行うことができます。
また、病院や医療機関によっては肥満専門のクリニックや肥満外来が設けられていることもあります。これらの専門施設では、栄養士や運動指導士などの専門家がチームを組んで、個別の治療計画やアドバイスを提供するのです。
重度の肥満症や合併症がある場合には、専門の肥満外科医を含む整形外科や外科の専門医を受診することが考慮されます。一般的には、まずはかかりつけの医師や主治医に相談し、適切な診療科の紹介やアドバイスをうけるのが良いでしょう。
医療機関によって診療科の設定や専門的なアプローチが違う場合もあるため、個別の状況に応じて適切な医療機関を選ぶことが重要です。

治療方法を教えてください。

肥満症の治療方法は・個人の状態・健康リスク・治療の目標に応じて違う場合がありますが、以下に一般的な治療方法をいくつか紹介します。まずは、適切な食事と運動の組み合わせによる生活習慣改善が重要です。
栄養バランスの取れた食事や適度な運動により、体重を減らせるでしょう。また、食事行動療法は食事や運動に関する行動パターンや習慣を改善するための心理的なアプローチです。
食事のコントロールや食への欲求に対する対処法、適切な運動習慣を学ぶことで、長期的な体重管理に役立ちます。薬物療法は医師の指導の下、肥満症の管理に効果がある薬物を使用する場合があるでしょう。
これらの薬物は食欲を抑制し、脂肪の吸収を減らす効果があります。薬物療法は、食事や運動の改善と併用されることが一般的です。

どのような薬が使用されますか?

現在、日本ではマジンドールが唯一の認可された抗肥満薬ですが、最近、セチリスタットというリパーゼ阻害薬も製造承認をうけました。欧米では、オルリスタットというリパーゼ阻害薬や・ロルカセリンなど、中枢性食欲抑制薬が使用され、一定の減量効果が認められています。
さらに、他にも多くの抗肥満薬が開発または治験中です。抗肥満薬は効果と副作用のバランスを考慮して使用されるため、適切な処方と定期的な経過観察が必要です。

肥満症の予防と注意点

指差し注意

肥満症の予防方法を教えてください。

肥満症の予防と管理は健康的な生活習慣の確立に重点が置かれます。肥満症の予防と管理は継続的な取り組みが求められます。
健康的な生活習慣を維持し、自己管理を意識することが重要です。健康的な食事の習慣を確立し、適度な身体活動を行いましょう。過度のストレスは食欲や食事行動に影響を与えることがあります。ストレスを適切に管理するために、リラクゼーション法やストレス解消法を持ちましょう。
不規則な睡眠や睡眠不足は肥満のリスクを高める要因となります。十分な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠を心掛けましょう。定期的な健康診断や体重管理を行い、早期に肥満や関連疾患の兆候を察知し対策を取ることが重要です。
自身の体重や健康状態を定期的にチェックしましょう。予防は継続的な取り組みが求められます。健康的な生活習慣を維持し、食事・運動・ストレス管理・睡眠のバランスを整えることで肥満症の予防につながります。

肥満症にはどのような運動が有効ですか?

肥満の運動療法では、有酸素運動とレジスタンス運動が効果的です。有酸素運動は糖や脂肪の燃焼を促し、持久力の向上に効果的です。レジスタンス運動では筋肉量を増やし、基礎代謝を高めることができます。
例えば、ウォーキング・ジョギング・サイクリング・水泳・エアロビクスなどの運動が有酸素運動に含まれるのです。週に150分以上の中程度から高強度の有酸素運動を行うことが推奨されています。そしてレジスタンス運動は筋力トレーニングを意味し、基礎代謝の向上に効果的です。
重量トレーニング・エクササイズバンドを使ったトレーニング・自重トレーニングなどが有効とされています。週に2〜3回、全身の主要な筋肉をトレーニングすることを目標にしましょう。運動の機会を増やすだけでなく、日常生活でも積極的に活動することが重要です。

生活習慣における注意点を教えてください。

先述したように注意する点は食事のバランス・適切なカロリー摂取・適度な運動・睡眠とストレス管理・心理的なサポートです。これらの生活習慣の注意点を意識することで、肥満症の予防や管理に役立つことが期待されます。
個々の状況や健康目標に応じて、自分に合ったアプローチを見つけましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

肥満は健康上のリスクを伴う問題ですが、予防や管理は可能です。私たちの生活習慣や生活管理の選択が健康に大きな影響を与えることを忘れずに、自分自身の健康に対する責任を持ちましょう。
挫折しないで継続することも重要ですが、それと同じくらい専門家のサポートやアドバイスをうけることも助けになります。健康な体と心を育むために、自分自身と向き合い、健康的な生活を送ることを応援しています。

編集部まとめ

女性医師
肥満症は世界的な問題となっており、健康リスクを増加させる要因となっています。

肥満症の予防や管理には適切な食事・適度な運動・良質な睡眠などの健康的な生活習慣が重要です。

予防には早期の行動が重要であり、自己管理や生活習慣の見直しは大きな意味を持ちます。また、肥満症に悩む方々は、持続性とポジティブなマインドセットを持ちながら取り組みましょう。

健康な体と心を築くためには自己への愛とケアを欠かさず、小さな成功を積み重ねることが重要です。

読者の皆様には健康的な生活を送ることへの意識を高め、自身の健康に対する責任を果たしていただきたいと願っています。

この記事の監修医師