FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 「ドケルバン病」を発症すると現れる症状・予防法はご存知ですか?医師が監修!

「ドケルバン病」を発症すると現れる症状・予防法はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/06/17
「ドケルバン病」を発症すると現れる症状・予防法はご存知ですか?医師が監修!

ドケルバン病は、手首の親指側の腱鞘炎(けんしょうえん)の一種であり、腱鞘内の腱が圧迫されることで引き起こされます。

聞き慣れない病名のドケルバン症ですが、腱鞘炎は聞いたことがあるでしょう。

手の使い過ぎで発症するといわれていますが、それ以外の原因や症状について詳しく解説していきます。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

ドケルバン病の原因や症状

親指

ドケルバン病とはどのような病気ですか?

ドケルバン病は手首の親指側の腱鞘炎であり、反復的な運動や手首の負担が主な原因です。症状には手首の親指側での痛み・腫れ・握力の低下・親指の動きの制限があります。
ドケルバン病は手首の親指側の腱鞘炎(けんしょうえん)の一種であり、手首の親指の動きや握力に制限が現れる疾患です。腱鞘内の腱が圧迫されることで症状が生じ、手首の親指側での痛み・腫れ・炎症が特徴です。握力の低下や親指の動きの制限も現れることがあります。

ドケルバン病の原因を教えてください。

ドケルバン病の主な原因は、手首の親指側の腱鞘における炎症です。具体的には、以下のような要因が関与していると考えられています。
例えば、パソコン作業やスマホの長時間の使用です。反復的に手首や親指を使用する活動や動作が繰り返されることによって、腱に負担がかかります。
その他にも、手首に過剰な負担がかかることもドケルバン病の原因です。重い物を持ち上げる作業や強く握る動作が含まれます。これらの要因により、手首の親指側の腱鞘が炎症を起こし、腱鞘内の腱が圧迫される状態が生じます。この圧迫によって痛みや腫れが生じ、ドケルバン病の症状が現れるのです。
更にドケルバン病は、妊娠出産期の女性や更年期の女性に多く見られます。この病気の病態は母指の過度な使用による負荷が原因とされているので、腱鞘が厚くなったり腱の表面が損傷したりして、さらに炎症が刺激される悪循環が生じると考えられています。
特に手背第1コンパートメント内には、2つの腱を分けて通る隔壁が存在し、このために狭窄が起こりやすくなっているのです。ドケルバン病による症状の改善や予防のためには、適切な休息や手の負担を軽減する対策が重要です。また、専門の医師の診断と適切な治療を受けることも大切です。

どのような症状がありますか?

ドケルバン病では手首の親指側に痛みが現れます。痛みは軽度から激しいものまで様々であり、特に手首の動かし方や圧力をかけた際に増強することがあります。腱鞘の炎症によって患部に腫れや炎症がみられることがあります。
ドケルバン病は手や指に現れる症状です。この病気では、手首の母指側にある腱鞘(手背第一コンパートメント)とそこを通る腱に炎症が起こります。炎症によって腱の動きが滑らかでなくなり、手首の母指側が痛みや腫れを引き起こすのです。
特に母指を広げたり動かしたりすると強い疼痛が現れます。この病気では、短母指伸筋腱(母指の第2関節を伸ばす腱)と長母指外転筋腱(母指を広げる腱)が関与しています。これらの腱が手首の背側にある腱鞘を通る際に炎症が生じるのです。
ドケルバン病による症状は手首の母指側に痛みや腫れが現れることが特徴なので、もし手や指に上記のような症状がある場合は、すぐに専門の医師に相談しましょう。早めの治療によって症状の進行を防ぎ、手の機能を回復させることができます。自分の手の健康を守るために、迅速な行動を心がけましょう。

ドケルバン病になりやすいのはどのような人ですか?

ドケルバン病になりやすい人は以下のような特徴があります。

  • 反復的な手首や親指の使用
  • 高負荷の手首動作を行う
  • 姿勢や手の使い方に問題がある

更に、ドケルバン病は女性に多く見られる傾向があります。特に、妊娠や授乳期間中の女性はホルモンの変化によって腱鞘炎の発症リスクが増加する可能性があります。

ドケルバン病の診断や治療方法

手首へのテーピング

ドケルバン病の診断はどのように行われますか?

ドケルバン病の診断は、症状と身体的な評価に基づいて行われます。診断方法は症状の詳細な聴取・画像検査です。治療方法には、保護と安静・氷や湿布の利用・薬物療法・物理療法・手術治療があります。診断と治療は個々の症状に応じて行われ、早期の対応が重要です。
医師は患者の主訴や症状を詳しく聞き取ります。手首や親指の痛み・腫れ・動きの制限などについての情報を収集し、医師は手首と親指の範囲を動かす能力や力を評価します。
フィンケルシュタインテストと呼ばれる特定の動作を行わせ、痛みや制限の有無を確認するのです。フィンケルシュタインテストは、手首の痛みや制限された運動範囲を評価するために使用される検査になります。患者は手を握り親指を手のひら側に折りたたみながら他の指を手のひらに押し当て、手首を尺骨側に曲げるテストです。
この動作によって親指の腱鞘に負荷がかかり、痛みや不快感が生じる場合、ドケルバン病や親指の腱鞘炎の可能性が高いと考えられます。フィンケルシュタインテストは特に重要な手法であり、ドケルバン病の診断に役立つ指標となるでしょう。診断の正確性と適切な治療法を提供するために、医師の専門的な判断と経験が重要です。

治療方法を教えてください。

治療方法には下記のような方法があります。

  • 保存的治療
  • ステロイド注射療法
  • 手術治療

保存的治療とは、最初に行われる治療法になります。手首や親指を安静にし、負荷や動作を制限することが重要です。患部の安静化のために、添え木やサポート具を使用する場合もあります。
また、炎症を軽減するために湿布や消炎鎮痛剤の投薬治療が行われることもあるでしょう。ステロイド注射療法とは、炎症や腫れが強い場合に局所麻酔とともにステロイド注射が必要です。痛みや腫れが強く、保存的治療で改善が見られない場合に行うのです。
局所麻酔を使用しながら、炎症が起こっている腱鞘にステロイドの注射を行います。これにより、炎症・腫れ・痛みが軽減されることがあるでしょう。

手術が行われるケースはありますか?

保存的治療やステロイド注射が効果的でない場合は症状が改善せず、炎症や腫れが続く場合には手術が検討されます。力が入らないなど重度の症状がある場合や、手の機能が著しく制限されている場合には、手術によって腱鞘の切開や修復を行うのです。
また、再発を繰り返す場合や・保存的治療・ステロイド注射を行っても症状が再発する場合には、手術が選択されることがあります。

ドケルバン病の予防と注意点

怪我した女性

ドケルバン病を予防する方法はありますか?

ドケルバン病の予防と注意点は、手の負荷を軽減し、適切な姿勢や手の使い方に気を付けることから始まります。特にセルフケアの実施が重要で、手首や親指のストレッチや筋力トレーニングを行うことで手の筋肉を強化し、負担を軽減できます。また、長時間の作業や繰り返しの動作を行った後は、適度な休息をとりましょう。
最後に、ストレスを管理し、早期の症状に対する対応を心がけましょう。初期の症状が現れた場合は、早めに医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。症状が進行する前に対策を取ることで、病状の悪化を防げます。
ドケルバン病の予防と注意点は、早期の症状には適切に対応することで、ドケルバン病のリスクを軽減できます。

日常生活での注意点を教えてください。

日常生活や作業中に親指や手首に負荷をかける動作を避けるように心がけましょう。重い物を持つ際には、他の指を使って負担を分散することが重要です。適切な姿勢と手の使い方を守り、長時間のスマートフォンやパソコンの使用時には、姿勢や手の位置に注意しましょう。
手首を無理なく保ち、繰り返しの動作を避けるようにしてください。日常生活の中でセルフケアを実施し、手の負荷を軽減し、適切な姿勢や手の使い方に気を付けることから始まります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

もし手首や親指に痛みや腫れを感じる症状がある場合は、早めに医師の診断を受けることをおすすめします。また、日常生活でも予防策を取ることが重要です。手首や親指の負担を軽減するために、適度な休息と安静、正しい姿勢や動作を意識しましょう。
適切なストレッチや筋力トレーニングも手首や親指の健康に役立ちます。自己ケアの一環として、定期的な休憩やストレッチを取り入れ、手首や親指に負担をかけ過ぎないように気をつけましょう。
自分の手の健康に対して意識を向け、予防に努めることは、快適な日常生活を送るための大切な一歩です。

編集部まとめ

ガッツポーズする医師
ドケルバン病は手首や親指の痛みや腫れを引き起こす疾患ですが、予防や早期の対応によってそのリスクを軽減できます。

日常生活で手の負荷を軽減し、適切な姿勢と手の使い方に気を付けること、セルフケアや休息とストレス管理を行うことが重要です。

ご自身の手の健康を守るために、専門医の指導を受けながら積極的な予防とケアを行ってください。

この記事の監修医師