FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 「ターナー症候群」の症状・原因・寿命への影響はご存知ですか?医師が監修!

「ターナー症候群」の症状・原因・寿命への影響はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/06/22
「ターナー症候群」の症状・原因・寿命への影響はご存知ですか?医師が監修!

ターナー症候群とは染色体の異常によって、低身長や第二次性徴が来ないなど様々な症状が引き起こされる病気です。

女性のみが発症する病気で、根本から治せる治療は今のところなく、治療に関してはそれぞれの症状に対する対症療法が基本になります。

ターナー症候群の患者さんは適切な医療を受けることによって、健康な女性と同じ寿命で生きられる場合がほとんどです。

しかし、ターナー症候群による心臓病・骨粗鬆症・高血圧・糖尿病などにより、患者さんの寿命が短くなる可能性があるので注意が必要になります。

今回の記事ではターナー症候群の特徴・症状・検査・寿命への影響・病気は遺伝するのかについて詳しく解説します。

思い当たる症状がある方や、身近に相談できる人がおらず病気への不安がある方はぜひ参考にしてください。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

プロフィールをもっと見る
【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

ターナー症候群の特徴とは?

診察する女医

ターナー症候群はどのような特徴がある病気ですか?

ターナー症候群は、女性のみに生じる染色体異常が原因で発症する生まれつきの病気になります。以下に、ターナー症候群の主な特徴を挙げます。

  • 低身長
  • 第二次性徴が現れない
  • 翼状肩
  • 外反肘
  • 無月経
  • 不妊症

ターナー症候群の患者は低身長であることが多く、成人になっても身長が150cm以下であることが多くなります。また、卵巣機能の低下があるため、無月経・不妊症のリスクが高くなります。そして、先天性心疾患(大動脈縮窄や僧帽弁異常など)の心疾患が発生する可能性があるのです。
外見上の特徴は、首から肩にかけて皮膚にたるみがある翼状肩・肘より先が外側に向いてしまっている外反肘があることです。これらの症状は、すべての患者に現れるわけではなく、症状の進行度や種類には個人差があります。

女性しか発症しないと聞きましたが…。

ターナー症候群は、女性にしか起こらない染色体異常疾患のひとつです。通常、人間の細胞には23対の染色体があり、そのうち1対は性染色体です。
健康な女性は2つのX染色体を持ちますが、ターナー症候群の女性は1つのX染色体しか持っておらず、もう1つのX染色体が不足しているため、様々な症状が起こってしまいます。

ターナー症候群の原因を教えてください。

ターナー症候群は、性染色体が欠損することによって発症します。しかし、症状が軽度であったり、診断がつかなかったりする場合もあるのです。
そのため、実際にはさらに多くの女性がターナー症候群を持っている可能性があります。また、ターナー症候群は家族内での遺伝的な要因によっても発症することがありますが、その頻度は非常に低いとされています。

どのくらいの確率でターナー症候群を発症しますか?

ターナー症候群は、女性の染色体異常の中で最も一般的なものの一つでありますが、発生率は低いです。具体的な発症頻度は、新生児の女児1000人あたり1.6から2.1人とされています。
ただし、この数字は年齢やレーンなどによって異なることがあり、正確な数字はまだ分かっていない部分もあります。

ターナー症候群はいつわかりますか?

ターナー症候群は、出生時から症状が現れることがあるため、早期に発見することが重要です。早期発見により、適切な治療を受けることで、身体的な問題を改善できます。
治療は、根本的に改善させるためのものではなく、すべて症状を抑える対症療法になるのです。例えば、低身長に対して成長ホルモンの投与を行ったり、第二次性徴の異常に対しては女性ホルモンを投与したりすることが一般的になります。

ターナー症候群の症状と検査

医者

ターナー症候群にはどのような症状がみられますか?

ターナー症候群の主な症状は下記の通りです。

  • 低身長
  • 翼状肩
  • 外反肘
  • 第二次性徴の異常
  • 性器の発達障害
  • 不妊症
  • 心臓や腎臓の異常

このようにターナー症候群の主な症状には様々な種類があります。患者さんによって症状が軽度である場合もありますが、多くの場合、ターナー症候群の患者さんは医療的なサポートが必要になります。

合併症はありますか?

ターナー症候群は、様々な合併症を引き起こす可能性があります。 以下の5つが代表的な合併症です。

  • 身長の低下
  • 不妊症
  • 心疾患
  • 腎疾患
  • 骨密度低下

ターナー症候群の特徴の一つである身長の低下は、成長ホルモンの分泌不足が原因です。また、卵巣機能の低下や閉経が早くなる症状があるため、不妊症のリスクが高くなります。そして、心臓の形態や機能の異常が生じやすく、大動脈瘤や大動脈弁閉鎖不全症、心房中隔欠損症などの心疾患が発生する可能性があります。
心疾患の他にも、尿細管機能障害が生じるため、腎機能障害や尿路感染症などが発生することがあるのです。また、骨密度が低下し骨量も減少することによって、骨折のリスクが高くなるといわれています。
これらの合併症は、個人差がありますが、適切な治療や管理を行うことで、合併症の進行を抑えることができます。

どのような検査で診断されるのでしょうか?

ターナー症候群は、患者さんの血液で染色体検査を行うことにより診断されます。これによって染色体の一本または一部の欠損が認められた場合に、ターナー症候群と診断されるのです。
この検査は、身長が低いこと・思春期が遅いこと・不妊であることなどからターナー症候群が疑われて検査が行われることがほとんどです。

治療方法を教えてください。

ターナー症候群の治療方法は、それぞれの症状に対する対症療法が基本になります。ターナー症候群の治療には、様々なアプローチがあり、以下の4つが代表的な治療法です。

  • 成長ホルモン療法
  • 不妊治療
  • 心臓疾患の治療
  • 骨粗鬆症治療

ターナー症候群の対症療法では身長の低下を改善するために、成長ホルモン療法が行われることがあるのです。そして、不妊症の場合は人工授精や体外受精などの不妊治療が行われる場合があります。また、心臓疾患がある場合は、手術や薬物療法などの治療が行われることがあるのです。
骨粗鬆症の症状がある場合の治療は、骨密度低下を改善するために、カルシウムやビタミンDの投与・骨粗鬆症治療薬の投与が行われる場合があります。こういった治療方法は、患者さんの症状や状態に合わせて選択されます。
このように適切な医療を受けることで、症状の進行を抑えることができるのです。

ターナー症候群の寿命と遺伝

笑う赤ちゃん

ターナー症候群は寿命に影響しますか?

ターナー症候群だったとしても、治療次第で寿命は健康な人と大きな違いはありません。ただし、ターナー症候群を発症した女性には、多くの健康問題があります。
例えば、心臓病・骨粗鬆症・高血圧・糖尿病などが挙げられます。 これらの健康問題により、患者さんの寿命が短くなる可能性があるので一概にはいえません。
また、ターナー症候群を発症した女性は、卵巣腫瘍のリスクが高まるとされています。卵巣腫瘍は早期治療が重要であり、定期的な健康診断が推奨されます。このようにターナー症候群を発症した女性は、適切な医療と管理を受け、定期的な健康診断を受けることが重要です。

ターナー症候群は遺伝しますか?

ターナー症候群は、妊娠初期の細胞分裂の際に起こる染色体異常によって発育するため、遺伝が原因になることはほとんどありません。しかし母親の遺伝子に欠損がみられる場合には、娘もX染色体が欠損する可能性があります。
また、母親の卵子に染色体異常がある場合にも、娘がターナー症候群を発症する可能性があります。

家族はどのようにサポートすれば良いでしょうか?

ターナー症候群の患者家族が、患者をサポートする方法は下記の5つがあります。

  • ターナー症候群に関する情報を収集する
  • 患者の生活を支援する
  • 心理的サポートをする
  • 専門家の支援を受ける
  • ターナー症候群の支援団体に参加する

サポートの一つ目が、ターナー症候群に関する情報を収集し、患者さんと家族が病気について理解することです。また患者さんと一緒に生活する家族は、患者さんの日常生活での支援を提供することができます。
例えば、医療診療所の訪問や、服薬を忘れないようにすることです。他に、患者本人が病気について悩んだり、ストレスを感じたりしないように、心理的サポートを提供することが重要です。
また、専門家のサポートを依頼することもできます。例えば、心理カウンセラーや、病気に詳しい医師に相談することが望ましい場合もあるのです。専門家への相談の他に、ターナー症候群患者のための支援団体に相談ができます。
このように、家族のできるサポートには情報収集・生活支援・心理的なサポート・専門家や支援団体に相談するといった方法がありますが、ターナー症候群の患者さんの症状や環境によっても異なります。そのため、患者さんの状況に合わせてサポートの形を変えていく必要があるのです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

ターナー症候群の症状は様々なものがありますが、適切な治療を受けることによって健康な人と同じような生活を送ることが可能です。また、家族が患者さんにできるサポートもありますし、長期的に専門家の力に頼ることもできます。
お一人で悩まず、気になる症状がある場合はお近くの内分泌科婦人科への相談をおすすめします。

編集部まとめ

看護師
ここまで、ターナー症候群の特徴・主な症状・検査の方法・寿命や遺伝するのかについても詳しく解説しました。

ターナー症候群は女性のみに起こる生まれつきの病気です。

患者さんは低身長や第二次性徴の問題といった外見上の症状だけでなく、心臓病・骨粗鬆症・高血圧・糖尿病など多くの症状が見られる場合があります。

そして完治の期待できる治療法は現在のところないので、上記のような症状に合わせて適切な医療を受けることが重要です。

ターナー症候群だったとしても、治療次第で寿命は健康な人と同じように長生きすることができます。

このようにターナー症候群を発症した女性は、適切な医療と管理を受け、定期的な健康診断を受けることが重要です。

気になる症状のある方はお近くの医療機関にご相談ください。

この記事の監修医師