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「胃肉腫」を発症すると現れる症状・原因・「胃がん」との違いはご存知ですか?

 公開日:2023/05/15
「胃肉腫」を発症すると現れる症状・原因・「胃がん」との違いはご存知ですか?

胃肉腫は、胃がんとは異なる性質をもつ病気です。胃の粘膜下層に悪性腫瘍が生じますが、初期のころにはほとんど自覚症状がみられません。

そのため早期発見が難しく、病気が進行してから診断されるケースも多いです。その場合は転移や再発のリスクが高まりますが、適切な治療を施せば治る可能性があります。

本記事では、胃肉腫について詳しく解説しています。本記事を読んで胃肉腫についての正しい知識を身につけることで、 病気と適切に向き合えるようになるでしょう。

胃肉腫について知りたい方は、ぜひ本記事をチェックしてみてください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

胃肉腫とは

お腹に手を当てる女性

胃肉腫とはどのような病気でしょうか?

胃肉腫とは、胃の非上皮にできる悪性腫瘍のことです。胃がんとは異なる性質をもち、病気の早期発見が難しいとされています。
しかし、他の消化管などへの転移や再発のリスクがあることから、病気の早期発見・早期治療が望ましいとされる病気です。            

がんとの違いを教えてください。

胃肉腫と胃がんは異なる病気です。胃がんは、胃の粘膜層に発生する悪性腫瘍のことを指します。上皮にできる腫瘍のため、上皮性腫瘍とも呼ばれます。
一方で、胃肉腫は胃の粘膜下層にできる悪性腫瘍です。非上皮に発生することから、非上皮性腫瘍とも呼ばれます。
胃がんに比べて、胃肉腫は発生頻度が非常に低いです。また、がんに比べて症状が現れにくいため、発見が遅れることも珍しくありません。

胃肉腫には種類があると聞きましたが…。

胃肉腫は大きく分けて2種類あります。悪性リンパ腫平滑筋肉腫です。
悪性リンパ腫は、胃の粘膜下のリンパの細胞に発生します。リンパを通じて他の部位に転移する可能性が高く、予後が悪くなってしまうケースも多いです。
平滑筋肉腫は、平滑筋と呼ばれる部位に発生する悪性腫瘍のことを指します。リンパを通じての転移はしにくいですが、血行性の転移をおこす可能性があります。
胃肉腫にはその他にも種類がありますが、最も発症率が高いのは悪性リンパ腫です。悪性リンパ腫と平滑筋肉腫の発症率の割合は、8:3ほどになるといわれます。

どのような症状がみられますか?

胃肉腫は明らかな症状が現れにくいことが特徴です。特に、腫瘍が小さい初期の間は無症状の場合がほとんどです。そのため、早期発見が非常に難しい病気といわれます。
腫瘍が大きくなってくると胃が圧迫され、腹部圧迫感や腹痛などの症状がみられます。また、吐き気や嘔吐が伴うケースもあるでしょう。腫瘍からの出血が起きると、黒色便・吐血・貧血などの症状が現れます。

胃肉腫を発症する原因を教えてください。

胃肉腫が発症する原因は、はっきりとは分かっていません。しかし、胃肉腫を発症している患者さんの中には、遺伝子の異常が確認されている方が多くいます。
そのため、遺伝子の変異が発症の原因になると考えられます。また、胃肉腫の一種である消化管間質腫瘍という病気は、腫瘍細胞の細胞膜にあるたんぱくに異常が起きることが発症の原因です。
この異常によって細胞は大きくなり続けるため、病気を放置していると病状がどんどん進行してしまいます。

胃肉腫の検査方法

男性医師

胃肉腫には自覚症状はあるのでしょうか?

先に紹介したように、胃肉腫は自覚症状が現れにくい病気です。特に初期は症状がほとんどみられず、症状が現れても軽度で済む場合が多いです。
そのため、病気が発覚したときにはすでに進行しているというケースがよくみられます。自覚症状があまりないことから、病気の早期発見には検査が必要になります。

胃肉腫の検査方法を教えてください。

主に行われる検査は、内視鏡検査・消化管造影検査・CT検査・MRI検査などです。ただし、これらの検査を行うだけで胃肉腫の確定はできません。
確定診断をするためには、腫瘍の生検が必要です。内視鏡検査で腫瘍の細胞を採取し、顕微鏡で観察して診断を行います。
しかし、胃肉腫は非上皮性腫瘍であるため、通常の内視鏡では採取が難しい場合があります。その場合は超音波内視鏡検査を行うことで、直接確認できない腫瘍の細胞を採取することが可能です。
また、悪性リンパ腫の場合は、リンパ節の転移が起きていないかどうかの検査も行います。

どのような治療を行うのか教えてください。

基本的には外科的手術を行い、胃の粘膜下腫瘍を除去することで病気の根治を目指します。腫瘍が5cmよりも小さい場合、腹腔鏡手術によって腫瘍が取り除ける可能性があります。腹腔鏡手術は開腹手術に比べて切開する範囲が狭いため、術後の傷が小さくなるというメリットがある手術です。
腫瘍が5cm以上の大きさの場合は、開腹手術の方が安全性が高いとされています。腫瘍が3cmよりも小さく胃壁の浅いところにあるケースでは、内視鏡によって除去できる場合があります。内視鏡は体に傷をつけることなく腫瘍を除去できるので、治療によって体にかかる負担が少ないです。
また、他の部位への転移がみられる場合は、化学療法放射線療法を行うこともあります。腫瘍の大きさや病気の進行度などによって、適切な治療方法を選択することが大切です。

胃肉腫の予防

男性医師ー説明

胃肉腫は治る病気でしょうか?

胃肉腫は、治療を行うことで根治が目指せる病気です。しかし、悪性リンパ腫などの場合は転移が起こりやすく、転移が生じているために治療が難しくなるケースもあります。
また、手術で腫瘍を除去した後でも、再発してしまうリスクがあります。一般的に、腫瘍の大きさが大きいほど、再発のリスクが高いです。消化管間質腫瘍:GISTの場合は、3年間イマチニブという薬を内服して再発を防ぐ治療を行うことがあります。

胃肉腫を予防する方法を教えてください。

胃肉腫は発症の原因がはっきりとしていないため、予防する方法も明確にはなっていません。そのため、発症後の対応が重要になります。病気の発見が遅れると、治療が難しくなったり転移が起きたりする可能性があるため、早期発見することが大切です。
病気の初期には自覚症状がほとんどないため発症に気づくことは難しいですが、内視鏡検査などを受けることで発見につながるケースがあります。定期的に健康診断や人間ドックを受けて、病気が発症した際に早期発見できるようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

胃肉腫と診断されたら、担当医と相談して適切な治療を受けるようにしましょう。病気を治すためには、病状に合った治療を行うことが大切です。場合によっては病気と長く付き合わなければならないこともあるため、医師のアドバイスを受けて治療に取り組むようにしてください。
また、腫瘍を放置することはおすすめできません。病状が悪化したり、他の部位への転移が生じたりするリスクがあるためです。適切な治療を受ければ治る可能性のある病気なので、医師の指示を受けて治療に取り組みましょう。
病気と診断されたら、大きな不安を感じて焦ってしまうこともあるでしょう。そんなときでも慌てず、丁寧に治療に取り組むようにしてください。疑問や不安などがあれば、担当医に相談してみましょう。医師と信頼関係を築き、協力して治療に取り組むことが大切です。

編集部まとめ

女性医師
胃肉腫は、胃の非上皮に悪性腫瘍が発生する病気です。胃がんとは異なる性質をもち、症状が現れにくいために発見が遅れてしまうケースが多いです。

病気の初期には、自覚症状がほとんどみられません。腫瘍が大きくなってくると、腹痛・吐き気・貧血などの症状がみられる場合があります。

しかし、これらの症状も軽度である場合が多く、病気の早期発見は非常に難しいです。病気の発見のためには、内視鏡検査や生検などの検査を行う必要があります。

病気の発見が遅れると、悪性腫瘍が大きくなったり転移が起きたりする可能性があります。健康診断などで定期的に検査を受けて、できるだけ早期の発見を目指しましょう。

病気を治すためには、病状に適した治療を行うことが大切です。基本的には外科的手術を行いますが、医師と相談しながら適切な治療を受けるようにしましょう。

この記事の監修医師