「胸椎椎間板ヘルニア」の初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
公開日:2023/04/17
慢性的に腰の痛みに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。腰の痛みを発生させる要因は様々ありますが、もしかすると胸椎椎間板ヘルニアかもしれません。
胸椎椎間板ヘルニアについて、その名称は聞いたことがあってもどのような病気なのか知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は、胸椎椎間板ヘルニアとはどのような病気なのか、解説をします。症状・原因・手術などの治療方法について解説するので、腰の痛みに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
胸椎椎間板ヘルニアの症状と原因
胸椎椎間板ヘルニアとはどのような病気でしょうか?
胸椎椎間板ヘルニアとは、何らかの原因により胸髄の神経が圧迫を受け神経障害が発生した状態を指します。
椎間板とは、椎間板は人間の背骨にあり、骨と骨のあいだでクッションの役割をしている部分です。ヘルニアとは、身体の中の一部が、あるべき場所から出てきてしまった状態を指します。
胸椎椎間板ヘルニアは、椎間板の中にある髄核が何らかの原因で飛び出してしまっている病気で、腰部や臀部に痛みやしびれを引き起こします。重い荷物を繰り返し持ったり、無理な姿勢で作業を行ったりした場合に発症してしまうケースが多いです。
椎間板とは、椎間板は人間の背骨にあり、骨と骨のあいだでクッションの役割をしている部分です。ヘルニアとは、身体の中の一部が、あるべき場所から出てきてしまった状態を指します。
胸椎椎間板ヘルニアは、椎間板の中にある髄核が何らかの原因で飛び出してしまっている病気で、腰部や臀部に痛みやしびれを引き起こします。重い荷物を繰り返し持ったり、無理な姿勢で作業を行ったりした場合に発症してしまうケースが多いです。
初期症状はどのようなものがありますか?
胸椎椎間板ヘルニアの初期症状としては、同じ姿勢を続けることに辛さを感じることが挙げられます。また、普段は問題なくできていた体の動きや運動などが思うようにできなくなり、身体能力の低下が感じられるでしょう。
足の感覚が低下して、慢性的にしびれたような状態になるケースも多いです。症状が進行すると、本格的な胸椎椎間板ヘルニアの症状が出てきてしまいます。
初期症状の段階では、単に身体の不調であったり、一時的な疲れであったりと自己判断してしまい、胸椎椎間板ヘルニアだと気付かない場合も多いでしょう。
しかし、症状が進行してしまうと治療に時間がかかり日常生活に支障をきたしてしまうかもしれません。身体の異常を感じたら、できるだけ早く専門医に相談することをおすすめします。
足の感覚が低下して、慢性的にしびれたような状態になるケースも多いです。症状が進行すると、本格的な胸椎椎間板ヘルニアの症状が出てきてしまいます。
初期症状の段階では、単に身体の不調であったり、一時的な疲れであったりと自己判断してしまい、胸椎椎間板ヘルニアだと気付かない場合も多いでしょう。
しかし、症状が進行してしまうと治療に時間がかかり日常生活に支障をきたしてしまうかもしれません。身体の異常を感じたら、できるだけ早く専門医に相談することをおすすめします。
症状にはレベルがあると聞きましたが…。
胸椎椎間板ヘルニアは、進行するにつれて症状のレベルが変化していきます。前述のような初期症状が見られたのち、放置していると徐々に痛みが増していきます。
痛みは、下肢・腰部・臀部・足全体などにかけて発生することが多いです。片方の下肢に違和感を覚えるケースが多いですが、症状が進行すると両方の下肢に痛みやしびれが起こってくるでしょう。
症状がさらに進行すると、痛みで眠るのが困難になってきます。下肢筋力の低下・排尿障害・排便障害などの重篤な神経症状を発症する場合もあります。
長期化すると大腿や下腿の筋肉がやせ細ってくる、筋萎縮という状態になってしまう可能性もあるため、早めに専門医に相談して治療を進めましょう。
痛みは、下肢・腰部・臀部・足全体などにかけて発生することが多いです。片方の下肢に違和感を覚えるケースが多いですが、症状が進行すると両方の下肢に痛みやしびれが起こってくるでしょう。
症状がさらに進行すると、痛みで眠るのが困難になってきます。下肢筋力の低下・排尿障害・排便障害などの重篤な神経症状を発症する場合もあります。
長期化すると大腿や下腿の筋肉がやせ細ってくる、筋萎縮という状態になってしまう可能性もあるため、早めに専門医に相談して治療を進めましょう。
原因を教えてください。
胸椎椎間板ヘルニアは、様々な要因で発症すると考えられています。前述のように、重い荷物を繰り返し持ち運んだり、無理な姿勢で作業を行ったりした場合に発症するケースが多いです。
椎間板に大きな負荷がかかると、椎間板を覆う線維輪という部分が破綻し、髄核が飛び出てしまいます。この髄核が身体の痛みを感じる神経に触れ、様々な症状を引き起こしてしまうのです。
胸椎椎間板ヘルニアは、遺伝的な体質により発症のしやすさが異なるともいわれています。さらに、加齢により発症しやすくなるとも考えられています。
したがって、多少の運動では問題ない方もいれば、逆に少しの動作で発症してしまう方もいるでしょう。身体に違和感を覚えた場合は、自分で判断せず早めに専門医に相談することをおすすめします。
椎間板に大きな負荷がかかると、椎間板を覆う線維輪という部分が破綻し、髄核が飛び出てしまいます。この髄核が身体の痛みを感じる神経に触れ、様々な症状を引き起こしてしまうのです。
胸椎椎間板ヘルニアは、遺伝的な体質により発症のしやすさが異なるともいわれています。さらに、加齢により発症しやすくなるとも考えられています。
したがって、多少の運動では問題ない方もいれば、逆に少しの動作で発症してしまう方もいるでしょう。身体に違和感を覚えた場合は、自分で判断せず早めに専門医に相談することをおすすめします。
胸椎椎間板ヘルニアの治療方法と手術
どのような検査で診断されるのでしょうか?
胸椎椎間板ヘルニアの診断は、まず下肢伸展挙上試験を行います。下肢伸展挙上試験とは、膝を伸ばしたまま下肢を挙上する動きで、これにより坐骨神経痛があるかどうかを確認するものです。
下肢伸展挙上試験により、痛み・下肢の感覚の鈍さ・足の力の筋力低下所見が見られた場合には、さらに詳しい診断を行います。具体的には、X線(レントゲン)撮影・MRIなどを行い、椎間板の突出の程度を確認します。
椎間板の突出が見られたとしても、痛みなどの症状が見られない場合には、経過観察で済ませる場合もあるなど、状態により異なる対処がなされるのが一般的です。
下肢伸展挙上試験により、痛み・下肢の感覚の鈍さ・足の力の筋力低下所見が見られた場合には、さらに詳しい診断を行います。具体的には、X線(レントゲン)撮影・MRIなどを行い、椎間板の突出の程度を確認します。
椎間板の突出が見られたとしても、痛みなどの症状が見られない場合には、経過観察で済ませる場合もあるなど、状態により異なる対処がなされるのが一般的です。
治療方法を教えてください。
胸椎椎間板ヘルニアの治療方法としては、まずはコルセットを付けて痛みの緩和を図るケースが多いです。また、消炎鎮痛剤を服用したり、坐薬・注射による投薬を行ったりすることで、痛みを和らげて経過を見ます。
痛みが軽くなってくれば、患部を伸ばす牽引(けんいん)を行ったり運動療法を行ったりすることで症状の緩和を目指します。
これらの治療をしても症状の改善が見られず、下肢の脱力や排尿障害が見られる場合には、手術の実施を検討することになるでしょう。
痛みが軽くなってくれば、患部を伸ばす牽引(けんいん)を行ったり運動療法を行ったりすることで症状の緩和を目指します。
これらの治療をしても症状の改善が見られず、下肢の脱力や排尿障害が見られる場合には、手術の実施を検討することになるでしょう。
手術について教えてください。
胸椎椎間板ヘルニアに対し、投薬治療などを行っても症状が改善されない場合には、手術を実施するケースがあります。内視鏡を用いた低侵襲手術を実施するケースが多く見られます。
侵襲とは身体の一部を切除する行為で、手術の基本的な手法です。低侵襲手術は、処置の範囲をできるだけ小さくして、身体へのダメージを少なくすることを大事にした手法です。
術後の痛みが大きくないことが多く、手術痕も少ないため、患者への負担は少なくて済みます。
内視鏡以外では、側法アプローチによる脊柱固定術・経皮的スクリュー挿入法(PPS)を併用した脊柱固定術など、状況に応じて処置の方法が選択されます。
信頼できる専門医に相談して、最も適した手術方法を選択してもらいましょう。
侵襲とは身体の一部を切除する行為で、手術の基本的な手法です。低侵襲手術は、処置の範囲をできるだけ小さくして、身体へのダメージを少なくすることを大事にした手法です。
術後の痛みが大きくないことが多く、手術痕も少ないため、患者への負担は少なくて済みます。
内視鏡以外では、側法アプローチによる脊柱固定術・経皮的スクリュー挿入法(PPS)を併用した脊柱固定術など、状況に応じて処置の方法が選択されます。
信頼できる専門医に相談して、最も適した手術方法を選択してもらいましょう。
胸椎椎間板ヘルニアの予後
胸椎椎間板ヘルニアは完治しますか?
胸椎椎間板ヘルニアは、適切な対処をすれば症状が改善していく病気です。手術をせずとも、多くの患者が回復していた実績があります。
経過を見ながら治療をしていき、およそ半年間の治療継続の結果、8割以上の方にヘルニア状態の消失が確認されたという結果もあります。
しかし、治療中に無理をすれば症状が悪化し、完治までの期間が長くなる恐れもあるため、慎重な対応が必要といえるでしょう。特に、スポーツをしている方は早く復帰したいと焦ってしまい、かえって治療を長引かせてしまう結果となりやすいです。
専門医と相談をしながら、適切な治療を根気強く継続することが、完治までの最短距離といえます。
経過を見ながら治療をしていき、およそ半年間の治療継続の結果、8割以上の方にヘルニア状態の消失が確認されたという結果もあります。
しかし、治療中に無理をすれば症状が悪化し、完治までの期間が長くなる恐れもあるため、慎重な対応が必要といえるでしょう。特に、スポーツをしている方は早く復帰したいと焦ってしまい、かえって治療を長引かせてしまう結果となりやすいです。
専門医と相談をしながら、適切な治療を根気強く継続することが、完治までの最短距離といえます。
自然治癒することもあるのでしょうか?
胸椎椎間板ヘルニアは、痛みやしびれが発症して生活に支障をきたしてしまうことが多いですが、実は特別な処置をしなくても自然治癒するケースが多い病気です。
胸椎椎間板ヘルニアを発症した方のうち、50~80%は手術をしなくても痛みは改善するとする報告もあります。
また、胸椎椎間板ヘルニアの治療には手術をしないといけないと思っている方が多いですが、手術が第一義の治療方法ではありません。実際に、以前は手術が主な治療方法であった時期もありました。
しかし、今では投薬治療やコルセットなどによる対処により、症状が改善するケースは意外に多いです。一方で、大丈夫だろうと自分で判断した結果、症状が進行してしまい治療に時間がかかってしまうケースもあります。
安易に自己判断をすることなく、身体に違和感を覚えた場合には早めに専門医に相談しましょう。
胸椎椎間板ヘルニアを発症した方のうち、50~80%は手術をしなくても痛みは改善するとする報告もあります。
また、胸椎椎間板ヘルニアの治療には手術をしないといけないと思っている方が多いですが、手術が第一義の治療方法ではありません。実際に、以前は手術が主な治療方法であった時期もありました。
しかし、今では投薬治療やコルセットなどによる対処により、症状が改善するケースは意外に多いです。一方で、大丈夫だろうと自分で判断した結果、症状が進行してしまい治療に時間がかかってしまうケースもあります。
安易に自己判断をすることなく、身体に違和感を覚えた場合には早めに専門医に相談しましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
胸椎椎間板ヘルニアは、重労働やスポーツ中に起こるケースが多いものの、日常生活においても発生する可能性がある病気です。
年齢を重ねると起こりやすくなるとも考えられているので、若い頃と同じ感覚で行動して発症してしまう可能性もあるでしょう。しびれや痛みなど、辛い症状を伴いますが、根気強く対処すれば高い確率で症状が改善します。
違和感を覚えたら、ぜひ早めに相談にお越しください。早めに対処することで、完治までの時間も短縮できるでしょう。
年齢を重ねると起こりやすくなるとも考えられているので、若い頃と同じ感覚で行動して発症してしまう可能性もあるでしょう。しびれや痛みなど、辛い症状を伴いますが、根気強く対処すれば高い確率で症状が改善します。
違和感を覚えたら、ぜひ早めに相談にお越しください。早めに対処することで、完治までの時間も短縮できるでしょう。
編集部まとめ
胸椎椎間板ヘルニアは、主に腰や臀部(でんぶ)に痛みやしびれが生じる病気です。誰でも発症する可能性があるため、日常生活においても注意したいところです。
昔は手術が主な治療方法でしたが、近年は投薬などで症状の改善が見られるケースも増えてきています。とはいえ、症状を放置して無理をしていては、手術をしないと治らない状態に陥ってしまう恐れもあります。
身体に少しでも違和感を覚えたら、早めに専門医に相談をしましょう。早期の対処で治療に要する時間も短くできるでしょう。