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「光視症」の症状・原因・治療方法はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/04/26
「光視症」の症状・原因・治療方法はご存知ですか?医師が監修!

暗闇の中でピカッと光が見える「光視症」という病気をご存知でしょうか。光視症は加齢に伴う眼の変化により、このような症状が現れます。

40歳以上の中高年の方にみられることが多く、症状が進めば、網膜剥離を引き起こすこともあるため注意が必要です。

また片頭痛の前兆としてギザギザの光がみえることもあります。この場合は、脳神経外科を受診する必要があるでしょう。

今回は、光視症の症状や原因・受診するタイミング・治療方法・自然治癒・放置するリスクも詳しく解説します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

光視症とは

鏡を見る男性

光視症はどのような病気でしょうか?

光視症とは、夜間の暗いときや目を閉じているときに光が見える症状のことです。まず、眼球の中は硝子体と呼ばれるゼリー状のもので満たされています。通常、硝子体は眼球の中にたっぷりと満たされており、内壁にある網膜と呼ばれる組織と密着しています。
しかし、加齢により硝子体が液体化し萎んでしまうことにより、網膜から徐々に剥がれてしまうのです。このとき網膜に力が加わることで光が見えるのが、光視症です。
光視症は加齢に伴う症状で、40歳以上の中高年によくみられます。また、40歳未満の方でも近視が強い方にみられることもあります。

症状を教えてください。

光視症の症状は、暗い場所にいるときや目を閉じたときに現れることが一般的です。光は片眼の外側に見えることが多く、ピカッとして見えたり縦に光が走ったように見えたりします。
また、ギザギザの光が見える「閃輝暗点」も光視症の1つです。閃輝暗点とは、片頭痛が起きる前の症状でギザギザの光が数十分続くことがあります。
このギザギザ光が見えるだけの場合には眼の症状が考えられますが、ギザギザの光が見えた後に頭痛が起きる場合には偏頭痛である可能性を考慮し、脳神経科の受診をお勧めします。

発症の原因を教えてください。

冒頭でも述べましたが、一般的な光視症の原因は加齢による硝子体の縮小です。本来はゼリー状の硝子体が加齢により液体化し、縮小することで網膜から剥がれます。この際に網膜にかかる力が光として変換されることで、視野に光が現れます。
光視症は40代以上の中高年の方に起こりやすい症状ですが、その中でも特に近視が強い方に現れることが多いです。また、40歳未満の方でも強い近視が原因で光視症が起こる可能性があります。
近視の場合には硝子体が強く変形していることが多く、その変形によって網膜から硝子体が剥がれやすいため光視症がおこりやすいです。
さらに、ギザギザの光が見える閃輝暗点の場合には、脳血管の異常やストレスが主な原因であることが考えられるでしょう。

ストレスも光視症の原因となるのでしょうか?

通常、光視症は加齢に伴う硝子体の変化が原因で起こるため、ストレスは原因となりません。しかし、先にお伝えしたギザギザの光が見え、その後頭痛が起きなかった場合にはストレスが原因の場合も考えられるでしょう。
また、ストレスが原因で引き起こされる眼の病気に「中心性漿液性脈絡網膜症(ちゅうしんせい・しょうえきせい・みゃくらくもうまくしょう)」というものがあります。この病気はストレスとの関連が影響し、目がかすんだり視野が歪んだりといった症状が現れます。
特に30代〜50代の男性によくみられる症状ですので、思い当たる症状があれば眼科へ受診するようにしてください。

光視症の受診と治療

診察

受診するタイミングを教えてください。

光視症は「網膜剥離」の前段階として現れる症状の1つでもあります。網膜剥離は、その名の通り、網膜が剥がれてしまうことです。
この症状は突然発症し、著しく視力を低下させます。また、場合によっては失明する恐れもあるので注意してください。
網膜剥離は年齢に関係なく発症します。光視症に気付いた時点で、早めに眼科へ受診することが大切です。

光視症の検査方法を教えてください。

光視症の詳しい検査をするためには、「眼底検査」をする必要があります。眼底検査とは、眼底鏡と呼ばれる専用の機器を用いて、眼球の状態を調べる検査です。具体的には、点眼薬で瞳孔を散大させ、硝子体・網膜・血管・視神経などに異常がないか細かく観察します。
瞳孔を散大させて検査を行う場合、検査に約1時間程度要することが一般的です。瞳孔散大後は目がぼやけてしまうため、検査当日は車の運転はできなくなってしまいます。仕事に支障をきたす恐れがあるため、時間に余裕がある日に検査を受けるようにしましょう。
また、ギザギザの光が数十分にわたって見えた後に頭痛が起こる場合には、脳神経外科で診療を受けることが大切です。片頭痛の場合、一般的に脳の検査では異常はみられませんが、片頭痛専門治療薬の処方により辛い頭痛症状を鎮められるでしょう。

治療方法を教えてください。

眼底検査で異常がみられなかった場合は、経過観察となります。一方、眼底検査により網膜剥離の前兆となる所見がみられた場合には、剥離が起こりそうな部分に レーザー治療を行います。
また、網膜が剥離していることが判明すれば、手術を行うことも必要です。どちらにしても定期的に眼科を検診し、経過をみていくことが大切です。

光視症は治る?

目を抑える女性

光視症は完治するのでしょうか?

光視症は加齢に伴う症状ですので、完治する病気ではありません。年齢を重ねるごとに硝子体が縮小し、網膜に力がかかってしまいます。網膜に力がかかり続ければ、網膜に裂け目が入ってしまうことも考えられるでしょう。
しかし、この状態を早く発見し、早期に治療を受ければ、網膜剥離を回避できます。
ただし、片眼の網膜に裂け目ができた場合、もう片方の眼にも同様に負担がかかっている可能性が高いです。一度レーザー治療が終了しても、定期的に眼科検診を受けることを心がけてください。

光視症は自然治癒しますか?

もしもストレスが原因でギザギザの光が見えているような場合には、原因となるストレスを取り除くことで症状が改善することは考えられるでしょう。光視症は加齢に伴う病気ですので、基本的に自然治癒することはありません。
また、光視症は網膜剥離の前兆として起こる症状でもあります。自然治癒するだろうと考えて放置していたら、突然網膜剥離が起こってしまうという可能性も十分に考えられます。中高年の方や近視が強い方は特に注意してください。

放置するリスクを教えてください。

繰り返しになりますが、光視症は網膜剥離の前兆症状の1つです。放置すれば網膜剥離が起こり、最悪の場合失明することもあります。
しかし、光視症に気付いた時点で早めに眼科を受診すれば、網膜剥離を回避できるでしょう。例えば、眼底検査で網膜剥離が起こりそうな状態を発見し、レーザー治療を受けることも可能です。
また、ギザギザの光が見えた後に片頭痛が起きる場合、辛い頭痛症状が定期的に出現します。片頭痛は、頭痛の他にも吐き気や嘔吐といった症状を伴うこともあります。日常生活に支障が出ることも多いため、一度脳神経外科を受診することがおすすめです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

光視症は網膜剥離のリスクを早期に発見するための前兆の1つです。特に40歳以上の中高年の方や近視が強い方は、注意しておきましょう。
光視症の場合、片眼の外側に光が見えることが一般的です。もしも光視症の症状が現れた際には、そのままにせず、できるだけ早めに眼科を受診することが大切です。
また、ギザギザの光が見える場合には、片頭痛やストレスが原因として挙げられます。適度に休息をとり、ストレスを取り除くことも心がけてみてください。

編集部まとめ

キーボード
今回は、暗い場所にいるときや目を閉じたときに光が見える「光視症」について詳しく解説しました。

光視症は、加齢に伴う眼の変化により引き起こされる病気です。しかし、中高年の方だけでなく、近視が強い若い方にもみられることがあります。

光視症は網膜剥離のリスクに気付くための重要な症状ですので、思い当たる症状があれば、早めに眼科を受診するのがおすすめです。

ひとたび網膜剥離が起きてしまえば、視力が著しく低下したり失明したりする恐れもあります。

最悪の状況を避けるためにも早めに眼科を受診することが大切です。早期発見・早期治療によって網膜剥離を回避できる可能性が高くなるでしょう。

この記事の監修医師