「老人性色素斑」ができる原因・予防方法はご存知ですか?医師が監修!
老人性色素斑とは、シミの一種であり、紫外線が原因で発症します。
しかし腫瘍ができる別の病気の中には老人性色素斑と似ているものもあり、適切な治療を行うためには、他の病気との違いを理解する必要があります。
そこで本記事では、老人性色素斑の症状と原因を詳しく解説します。
似た病気・治療方法・治療費用・使用できる市販薬・予防方法なども併せてご紹介するので、参考にしてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
老人性色素斑の症状と原因
老人性色素斑はシミの一種だと聞きましたが…。
その中でも老人性色素斑は、色は褐色や黒色のものが多く、シミのサイズは1cm程度の色素斑であることが多いのが特徴です。20~60歳代と幅広い年代で現れる色素斑ですが、年齢を重ねることで認める頻度が増えます。特に60歳以降で目立つことが多いです。色素斑ができる場所としては、紫外線を浴びる機会の多い顔・腕・手の甲が挙げられます。
どのような症状がみられますか?
しかし、この病気は一般的には良性です。健康被害を起こすような病気ではないため放置する方も多いですが、見た目が気になる理由で治療を行う方も少なくありません。
原因を教えてください。
しかし、長年日焼けを繰り返したり大量の日焼けをしたりすると、紫外線の量も増えるため次第に角化細胞が傷つき遺伝子変化を起こすのです。遺伝子が変化した角化細胞は正常な機能をせず、紫外線にあたっていない状態でもメラニンを作るように指令を出し続けます。すると、メラニン細胞では過剰にメラニンを作り角化細胞へと運ばれ続けてしまい、角化細胞のメラニンも大量となってしまいます。これが、老人性色素斑のができるメカニズムです。
老人性色素斑と似た別の病気はありますか?
- 脂漏性角化症
- 雀卵斑
- 肝斑
似た病気の1つが脂漏性角化症です。紫外線によって引き起こされる肌の老化や脂質の異常が原因で引き起こされます。色は茶色く、周りの皮膚よりも盛り上がったような見た目をしているイボである点が特徴です。性差はなく、中年以降であれば誰でも発症の可能性があります。特に60歳以降となるとほとんどの方が発症するような一般的な病気です。できやすい場所としては、額・こめかみ・フェイスライン・胸元が挙げられます。
この病気は、老人性色素斑の放置によって引き起こされることもある点も特徴です。似た病気には雀卵斑と呼ばれるものも挙げられます。いわゆるそばかすのことであり、鼻の周囲に現れる点が特徴です。シミの色は明るい褐色であり、サイズは1~5mm程度であることが多いです。男性よりも女性に発症するケースが多く、原因は遺伝子の影響だといわれています。しかし、日焼けや妊娠によっても症状悪化が見られるケースが多いです。肝斑も似ている病気に挙げられます。
この病気は、頬・目の下・額などにできる薄茶色のシミで、左右対称となるように発症する点が特徴です。発症は特に30~60代の女性に多く、男性ではほとんど発症しません。原因ははっきりとは分かっていませんが、女性ホルモンの影響と過度な摩擦などが起こることで発症すると考えられています。
老人性色素斑の治療
どのような検査を行いますか?
しかし、シミの出現の仕方が急な場合・斑点の大きさが一般的なものよりも大きい場合・境目が不明瞭である場合・形や色が均一でない場合などは、他の病気の可能性も考えられます。皮膚がんなどの可能性もあるため、その時は皮膚の細胞を採取して生検が行われる場合もあるでしょう。また、ダーモスコピーと呼ばれる専用の機器を使って、詳しく病変部位を検査をすることもあります。
治療方法を教えてください。
- レーザー治療
- ケミカルピーリング
- 冷凍凝固治療
- 電気メスによる治療
- マイクロニードリング
この病気の治療方法の1つが、レーザー治療です。この方法では、色素斑を高エネルギーのレーザーで破壊します。痛みが少なく、治療効果が高い点が特徴です。しかし、色素斑が多い場合には1度では対応できず、複数回の治療が必要なケースがあります。ケミカルピーリングも代表的な治療方法です。
化学薬品により、肌の表面を剥離する方法で、色素斑が浅い場合に効果が高いといわれています。しかし色素斑が深い場合は、ケミカルピーリングのみでは効果が見込めない可能性があるため、他の治療と併用されるケースが多いです。治療方法としては、冷凍凝固治療も挙げられます。この方法は、液体窒素により異常な角化細胞を破壊して治療を行う方法です。
痛みが少なく利用効果が高い点が特徴ですが、周りの皮膚も凍結される可能性があるため、実績の豊富な医師による治療が必要です。電気メスによる治療も挙げられます。電気メスを使って色素斑の組織をはぎとって焼却する方法です。浅すぎる場合は再発のリスクがあり、深く削りすぎると痕が残る可能性があるため、医師の技術力が大きく影響します。
マイクロニードリングも主な治療方法の1つです。専用の針を使って皮膚表面を刺激し、皮膚の再生を促進させることで色素反を治療する方法です。
レーザー治療の費用はどのくらいでしょうか?
複数回の治療が必要な場合は、その都度再診料や施術料がかかると予想されるため、詳しい費用は治療を受ける医療機関に相談して聞きましょう。なお、レーザー治療については、自由診療となるため保険適用外です。費用は全額自己負担となるため注意が必要です。
老人性色素斑の予防
老人性色素斑は自分で治せるのでしょうか?
肌に合わないこともあるため、肌トラブルを招く可能性もあるでしょう。効果的な治療を望む場合は、先述したような治療方法を医師と相談しながら行う必要があります。
市販薬は使用できますか?
また、一部の市販薬には色素斑改善効果に期待できる成分が含まれるものもありますが、ご自分の肌の状態に合うとは限りません。そのため、医師や薬剤師に相談して使用した方が良いでしょう。万が一肌に合わない成分が含まれていたり肌の状態に合わなかったりする場合は、肌トラブルを招く可能性があります。
予防方法を教えてください。
- 紫外線対策を行う
- 規則正しい生活習慣を心がける
- 肌に合ったスキンケアを行う
1つ目の予防方法が、紫外線対策です。この病気は、紫外線による角化細胞の異常化によって引き起こされるため、紫外線を浴びないように対策を行いましょう。具体的には、日焼け止めクリーム・帽子・日傘・サングラスの使用などが挙げられます。
2つ目に規則正しい生活習慣を心がける点も大切な方法です。生活習慣が乱れると、新陳代謝の悪化を引き起こして、ターンオーバーにも悪影響を与えます。肌の回復が適切に行われれば、色素斑発生のリスクを減らせるため非常に大切です。
3つ目が肌に合ったスキンケアを行うことです。肌に合ったスキンケアができていると、正常にターンオーバーが行われる可能性があります。乾燥した肌などを作らないように、ご自分に合ったスキンケア用品を使いましょう。また、スキンケアにおいては、肌の触り過ぎも摩擦が増えて染みを誘発するリスクとなります。この点にも注意して適切なケアを行いましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
しかし、見た目で気になる方は多いため、多くの方が治療を望まれます。治療にも様々な種類があるため、医師と相談しながらご自分の状態に合ったものを選びましょう。市販薬による治療は、肌に合わずに肌トラブルを引き起こす可能性があります。そのため、市販薬の使用の際も医師や薬剤師への相談を行うことをおすすめします。
編集部まとめ
老人性色素斑は良性のものであり、紫外線を浴びる方であれば誰しも発生する可能性のあるシミです。
しかし他にも似た病気があり、適切な治療のためにはそれぞれの病気を判別する必要があります。
老人性色素斑に最適な治療方法を選ぶためにも、原因・治療方法・予防方法を詳しく把握しておきましょう。
シミは見た目が気になると感じる方は多いです。もし少しでも気になったり肌の不調を感じた場合には、専門の医療機関に相談して適切な治療を受けましょう。
参考文献