「滑液包炎」を発症すると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
公開日:2023/05/02

滑液包炎とは、運動の摩擦などを和らげるための役割を持つ滑液包が炎症を起こす病気です。 過剰な運動などで使われ過ぎることで発症する可能性があり、誰しも起こり得る病気です。適切な治療を行うためには、正しく病気を把握しておく必要があるでしょう。 そこで本記事では、滑液包炎とはどのような病気かについてご紹介します。滑液包炎の原因・検査方法・治療方法・治療期間についても併せて解説するので、参考にしてください。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
滑液包炎とは?
滑液包炎とはどんな病気なのでしょうか。
滑液包炎とは、肘・膝・肩・股・かかとなどにある滑液包と呼ばれる組織が炎症を引き起こす病気です。滑液包とは、薄く粘りのある滑液を含んだ袋状のもので、関節の可動部分の摩擦を軽減してくれ動きやすくしてくれる役割があります。
また、滑液包炎は次のような種類に分けられます。
慢性滑液包炎は、急性滑液包炎が繰り返したり繰り返し摩擦が起きたりすることで発症する病気です。痛みや腫れが続くと、関節の可動域が狭くなっていたり、動作時に強く痛んだりします。
これによって筋力の低下なども引き起こされる可能性があるため注意が必要です。
また、滑液包炎は次のような種類に分けられます。
- 急性滑液包炎
- 慢性滑液包炎
慢性滑液包炎は、急性滑液包炎が繰り返したり繰り返し摩擦が起きたりすることで発症する病気です。痛みや腫れが続くと、関節の可動域が狭くなっていたり、動作時に強く痛んだりします。
これによって筋力の低下なども引き起こされる可能性があるため注意が必要です。
滑液包炎の初期症状が知りたいです。
この病気の初期症状としては、次のようなものが挙げられます。
そして、痛みも初期症状の1つです。動いた時に圧迫や引き延ばされるために痛みを伴います。強く押した時に圧痛を感じることもあるでしょう。
また、腫れが見られることがあります。肘などの場合は、滑液包が皮膚表面に近いこともあり、痛みよりも腫れの方が顕著に現れるケースもあります。
- 違和感
- 痛み
- 腫れ
そして、痛みも初期症状の1つです。動いた時に圧迫や引き延ばされるために痛みを伴います。強く押した時に圧痛を感じることもあるでしょう。
また、腫れが見られることがあります。肘などの場合は、滑液包が皮膚表面に近いこともあり、痛みよりも腫れの方が顕著に現れるケースもあります。
滑液包炎は痛風や感染症が原因になると聞いたのですが…
痛風や感染症も原因の1つです。痛風による滑液包炎は、滑液包の高尿酸血症が進んでしまうことで引き起こされます。
また、感染症による滑液包炎は、滑液包が細菌感染することで発症する疾患です。主に黄色ブドウ球菌などの感染症が挙げられます。
原因はさまざまであるため、痛風や関節症などでこの病気を発症している場合には、原因となる痛風や感染症の治療を行う必要があります。
また、感染症による滑液包炎は、滑液包が細菌感染することで発症する疾患です。主に黄色ブドウ球菌などの感染症が挙げられます。
原因はさまざまであるため、痛風や関節症などでこの病気を発症している場合には、原因となる痛風や感染症の治療を行う必要があります。
滑液包炎の原因と検査方法
滑液包炎の主な原因を教えてください。
痛風や感染症によっても発症するとご紹介しましたが、主な原因としては、次のようなものが代用的です。
また、先述した感染症による滑液包炎も外傷をきっかけに細菌感染を起こすケースがあります。特に、免疫力が低下している方や糖尿病にかかっている方は、発症のリスクが高い傾向です。過度な運動も原因の1つです。
繰り返し負荷をかけすぎた場合や、普段とは異なる運動をした場合などで炎症が生じるケースがあります。骨・軟骨・皮膚・筋肉などと強い摩擦を繰り返すことで引き起こされます。
- 外傷
- 適度な運動
また、先述した感染症による滑液包炎も外傷をきっかけに細菌感染を起こすケースがあります。特に、免疫力が低下している方や糖尿病にかかっている方は、発症のリスクが高い傾向です。過度な運動も原因の1つです。
繰り返し負荷をかけすぎた場合や、普段とは異なる運動をした場合などで炎症が生じるケースがあります。骨・軟骨・皮膚・筋肉などと強い摩擦を繰り返すことで引き起こされます。
滑液包炎の検査方法ついて詳しく教えてください。
滑液包炎の検査方法としては、次の通りです。
また、画像検査も検査方法の1つです。MRI検査・X線検査・超音波検査などを用いて、滑液包炎の大きさなどを観察し診断確定に役立てます。さらに、滑液の検査を行うケースもあります。
採取方法は、針で滑液包から直接採取するというものです。肘や膝などの皮膚に近い滑液包の場合に用いられる方法となります。
- 医師による身体検査
- 画像検査
- 滑液の検査
また、画像検査も検査方法の1つです。MRI検査・X線検査・超音波検査などを用いて、滑液包炎の大きさなどを観察し診断確定に役立てます。さらに、滑液の検査を行うケースもあります。
採取方法は、針で滑液包から直接採取するというものです。肘や膝などの皮膚に近い滑液包の場合に用いられる方法となります。
滑液包炎を放置すると姿勢に影響がでたりするのでしょうか。
滑液包炎を放置すると姿勢に影響が出ることがあります。滑液包炎による痛みが慢性化して、痛みが発生しない姿勢を保とうとするためです。
滑液包炎を放置すると、慢性滑液包炎と呼ばれる状態となり、関節の可動域に制限がかかったり限定的な動作時に強い痛みが伴ったります。例えば、膝の滑液包炎が発症した場合は、足の曲げ伸ばしの動作で激しい痛みが伴うことがあります。
そのため、痛みのない座り方や立ち方にしようとして、姿勢に影響が出ることがあるのです。日常生活にも大きな支障が伴うケースがあるため注意が必要です。
滑液包炎を放置すると、慢性滑液包炎と呼ばれる状態となり、関節の可動域に制限がかかったり限定的な動作時に強い痛みが伴ったります。例えば、膝の滑液包炎が発症した場合は、足の曲げ伸ばしの動作で激しい痛みが伴うことがあります。
そのため、痛みのない座り方や立ち方にしようとして、姿勢に影響が出ることがあるのです。日常生活にも大きな支障が伴うケースがあるため注意が必要です。
滑液包炎の検査・診断方法を教えてください。
滑液包炎の検査方法は、先述した通り医師による身体検査・画像検査・滑液検査を行います。病気が疑われる場所を押した際に痛みがある場合・関節部分を動かした際に痛みが伴う場合・腫れが生じている場合にはこの病気が疑われるのです。
この時、手術跡や外傷の有無も確認し、原因の特定も進めます。しかし、触診だけでは断定できないことも多いため、画像検査も併せて行うケースが多いです。 画像検査では、炎症がひどくない場合には検出が困難なケースもありますが、滑液包の内部にたまった滑液を検出できるためほとんど断定できます。
滑液の検査では、滑液包炎が感染症や痛風によって生じているかを診断するのに役立ちます。
この時、手術跡や外傷の有無も確認し、原因の特定も進めます。しかし、触診だけでは断定できないことも多いため、画像検査も併せて行うケースが多いです。 画像検査では、炎症がひどくない場合には検出が困難なケースもありますが、滑液包の内部にたまった滑液を検出できるためほとんど断定できます。
滑液の検査では、滑液包炎が感染症や痛風によって生じているかを診断するのに役立ちます。
滑液包炎の治療方法と期間
滑液包炎の治療方法について詳しく知りたいです。
この病気の治療方法は、症状の程度や原因に応じて異なり、感染症が原因でない場合は次のような方法が代表的です。
これらの治療を行って、3~6週間程度経過しても効果が見られない場合には、滑液の吸引とステロイド薬の注射を行う場合があります。
しかし、感染症が原因の場合や慢性的な滑液包炎の場合には、次のような治療を行う必要があります。
患部によっては、針を指して感染した滑液を吸引する治療も行われます。また、稀に抗菌薬などの治療では改善しない場合があり、手術が必要となるケースもあります。
- 安静
- 患部の固定
- 非ステロイド系抗炎症薬
これらの治療を行って、3~6週間程度経過しても効果が見られない場合には、滑液の吸引とステロイド薬の注射を行う場合があります。
しかし、感染症が原因の場合や慢性的な滑液包炎の場合には、次のような治療を行う必要があります。
- 抗菌薬
- 滑液の吸引
- 手術
患部によっては、針を指して感染した滑液を吸引する治療も行われます。また、稀に抗菌薬などの治療では改善しない場合があり、手術が必要となるケースもあります。
滑液包炎は完治までにどのくらいかかるのでしょうか。
この病気が完治するまでの期間としては、症状が軽度であれば数週間~1カ月程度で治ることが多いです。感染症が原因でない場合は、安静にして非ステロイド系抗炎症薬などを使用することで早期改善が見込めます。
しかし、感染症の場合は完治まで長期に及ぶ可能性があります。
抗菌薬の服用は1週間程度は必要であり、仮に手術を必要とする場合には、手術後のリハビリ加療時期も含めると数カ月程度期間が必要なケースもあるでしょう。
しかし、感染症の場合は完治まで長期に及ぶ可能性があります。
抗菌薬の服用は1週間程度は必要であり、仮に手術を必要とする場合には、手術後のリハビリ加療時期も含めると数カ月程度期間が必要なケースもあるでしょう。
滑液包炎を治すためには安静にしていないといけないのでしょうか。
症状の度合いによっては、必ずしも安静が必要というわけではありません。運動が有効となる場合もあります。
例えば軽度の場合で、薬の効果や安静にした結果痛みが治まったのであれば、運動を増やした方が良いと考えられています。関節の可動域を正常な範囲まで広げるのに役立ち、筋力の低下を抑えられるためです。
しかし、自己判断で運動を行うのはやめましょう。安静な期間が必要な場合に無理に運動してしまうと、治療の長期化を招く可能性があります。治療の方法や運動の開始時期などは、医師と相談しましょう。
例えば軽度の場合で、薬の効果や安静にした結果痛みが治まったのであれば、運動を増やした方が良いと考えられています。関節の可動域を正常な範囲まで広げるのに役立ち、筋力の低下を抑えられるためです。
しかし、自己判断で運動を行うのはやめましょう。安静な期間が必要な場合に無理に運動してしまうと、治療の長期化を招く可能性があります。治療の方法や運動の開始時期などは、医師と相談しましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
滑液包炎は、外傷や過度の運動の他、感染症によっても発症することがあります。軽度の場合は安静にしていても回復しますが、症状が重い場合や、長期化している場合などは姿勢の悪化を招く可能性もあるため注意が必要です。
受診することで原因を解明し、非ステロイド系抗炎症薬・抗菌薬などの的確な治療を受ければ早い回復につながることが多いです。
関節の痛み・違和感・腫れが気になる場合は、早めに医師の診療を受けることをおすすめします。
受診することで原因を解明し、非ステロイド系抗炎症薬・抗菌薬などの的確な治療を受ければ早い回復につながることが多いです。
関節の痛み・違和感・腫れが気になる場合は、早めに医師の診療を受けることをおすすめします。
編集部まとめ
滑液包炎とは、運動や外傷などさまざまな原因で発症する可能性がある病気です。痛みだけでなく、非常に大きな腫れが伴うケースもあります。
しかし、正しい治療を行えば完治できる病気です。手術が必要なケースは稀であるため、薬などでも十分改善が期待できます。
万が一、違和感を覚えた場合や症状が見られる場合には、医療機関を受診して早期治療を行いましょう。
参考文献



