「萎縮性膣炎」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
萎縮性膣炎とは膣の粘膜に起こる炎症で、閉経後の女性に多い疾患です。おりものや出血があり、気になっている人も多いのではないでしょうか。
今回は萎縮性膣炎の原因について解説していきます。症状・発症しやすい年齢・治療方法について、また放置することでのリスクも紹介しています。
萎縮性膣炎では、と悩んでいる人は受診のための参考にしてください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
萎縮性膣炎の原因と症状
萎縮性膣炎とはどのような病気でしょうか?
閉経期・更年期の他・卵巣を摘出した人にも多くみられます。命に関わるような病気ではありませんが、自然治癒の可能性はないので受診し適切な治療を受けてください。
発症する原因を教えてください。
このような症状が現れる疾患が萎縮性膣炎です。女性ホルモンの分泌が少なくなることで膣は乾燥して萎縮していき、抵抗力も低下して細菌感染を引き起こす場合もあります。症状が悪化すると膀胱などに感染が広がり頻尿や膀胱炎を起こしてしまうこともあるのです。
どのような症状がみられますか?
- 膣の乾燥
- かゆみ
- ピリピリした痛み
- おりものが増える
- 出血
- 性交痛
- 頻尿
女性ホルモンの分泌が低下することで膣の粘膜の潤いがなくなり、自浄作用が失われます。そのため膣が乾燥してしまい、傷ができたりおりものが増えたりするのです。膣内に細菌が繁殖しやすくなり感染が膀胱にまで広がり、頻尿や膀胱炎になってしまうこともあります。
また膣の乾燥や伸縮が難いことから性交時に痛みを感じることもあります。これらの症状は女性ホルモンの不足から起きているので、女性ホルモンであるエストロゲンを補充することで症状の軽減が期待できる疾患です。
発症しやすい年齢を教えてください。
発症には女性ホルモンの分泌が大きく関わります。女性ホルモンの分泌が低下して膣の自浄作用も低下することで膣が萎縮し、炎症を起こします。
女性ホルモンの分泌が少なくなった50代以降の女性に多く発症することから老人性膣炎と呼ばれることもあるほど高齢者に多い疾患です。もちろん加齢だけが原因ではなく若い人にも発症する可能性はあります。
若い女性が発症することもあるのでしょうか?
若いから萎縮性膣炎にはかからないと思い込まずに受診することで、他の病気がみつかることもあります。積極的に受診して医師に相談してください。
萎縮性膣炎の治療
どのような検査で診断されるのでしょうか?
検査方法は細胞の検査・培養検査で、検査の結果悪性疾患や細菌感染がない場合に萎縮性膣炎と改めて診断されることが多いです。検査で真菌や細菌の感染が認められた場合には病原体を特定して治療が行われます。
萎縮性膣炎だと思っていたけれど症状の似た他の疾患だったということもあります。自己判断で放置することなく、受診して医師の診断に従ってください。
治療方法を教えてください。
その他炎症があり細菌感染がある場合には、抗生物質や抗ヒスタミン薬が処方されます。エストロゲンの補充により症状は軽減するのですが、エストロゲン分泌が低下していること自体は改善できないため、症状が再度現れることもあるでしょう。そのため引き続き治療を続けることが必要となるのです。
どのような治療薬を使用しますか?
治療期間はどのくらいでしょうか?
ただその場合もエストロゲンの投与を続ければ症状は軽減するので、医師に相談しながら治療を続けることが大切です。
萎縮性膣炎のリスク
萎縮性膣炎は自然に治ることもあるのでしょうか?
放置するリスクを教えてください。
放置することで細菌性膣炎を発症し、尿道や膀胱に細菌感染する可能性も大きいです。それによって膀胱炎や頻尿を起こしてしまうこともあるでしょう。また始終患部が気になってストレスを感じることで、心身の病気を引き起こしかねません。
閉経期以降の女性に多く発症し、60歳以上の女性では約半数が萎縮性膣炎の症状に悩んでいるのです。勇気を出して受診し、必要なら治療を受けてください。適切な治療を受けることで症状の軽減が十分期待できます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
そして治療することで症状が軽減される可能性は高いです。最近おりものが多くなった・膣に違和感がある・痛みやかゆみがひどくなった、などという症状があれば一人で悩まず、まずは受診してください。
編集部まとめ
閉経後の女性に多くみられるため、老人性膣炎とも呼ばれることもあるのが萎縮性膣炎です。
女性ホルモンの分泌の低下により、膣粘膜が薄く弱くなり自浄作用も低下することから発症する病気です。
症状は乾燥による外陰部の痛みやかゆみ、おりものの増加などで、つい放置してしまいがちな疾患ですが、しっかりと治療することで症状が軽減します。
放置して自然治癒する可能性はありません。受診して女性ホルモン(エストロゲン)の補充を行うことが必要になります。
一人で悩むことの多い疾患といえますが、多くの女性が同じ悩みを抱えています。勇気を出して受診し適切な治療を受けるようにしてください。
参考文献