「盲腸がん」の初期症状・「大腸がん」との違いはご存知ですか?医師が監修!
盲腸がんは、大腸がんの一種で早期発見が難しい病気の一つです。
その背景には、肉食が増えるなど食生活が飽食になったことも少なからず関係があります。
がんは50代を境に増えてきている病気ですが、近年非常に高度な治療ができるようになりました。
進行度合いにもよりますが、適切な診断で治療を受けることで完治も可能になります。
ここでは、盲腸がんについて大腸がんや虫垂がんとの違いや原因・治療法、生存率についても解説していきます。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
盲腸がんとは?
盲腸がんはどのような病気でしょうか?
大腸がんは、悪性腫瘍の中でも早期発見・早期治療が可能ながんの1つですが、定期的な結腸・直腸のスクリーニング検査を受けることで、早期発見できます。(スクリーニング検査とは:無症状の患者が対象で、疑いのある部位にX線撮影や便潜血検査などのこと)
盲腸がんと大腸がんにはどのような違いがありますか?
- 盲腸がん:小腸の末端に位置し、空腸(小腸)と上行結腸(大腸)に接続。盲腸がんは発見が遅れやすく治療が難しい病気で、盲腸が見えにくい箇所に位置するため、検査で発見するのが難しいです。
- 大腸がん:盲腸から下流に位置する大腸がんは盲腸がんよりも早期に発見されやすいことが多く、大腸がんの早期発見と早期治療が重要になります。
大腸がんに対しても同様ですが、盲腸がんは治療が難しいため早期発見が特に重要です。
盲腸がんと虫垂がんの違いを教えてください。
- 盲腸がん:盲腸(大腸の先端部分)に発症する癌で、発症部位が限られるため早期発見が可能で盲腸がんは手術が主たる治療法であり、癌が軽度であれば部分は切除します。
- 虫垂がん:虫垂(大腸の虫垂部)に発症する癌で発症部位が広がりやすく、早期発見が難しいです。虫垂がんは、手術や化学療法などが選択されます。
この二つの癌はどちらも大腸がんなので、大腸がんの予防や早期発見のために定期的な検診を受けることが重要です。
盲腸がんの原因を教えてください。
- 腸内細菌叢:盲腸には腸内細菌叢が存在し、これが異常に増殖することで癌の原因物質(発がん物質)を生成させる可能性があります。
- 慢性関節リウマチやクローン病などの炎症性腸疾患:炎症性腸疾患を患っている人は、盲腸がんの発症リスクが高くなります。
- 食生活:野菜や果物が少なく肉を多く摂取する食生活は、盲腸がんの発症リスクが高くなるでしょう。
- 喫煙やアルコール摂取:喫煙やアルコール摂取は、多くの癌の発症リスクを高めです。
- 遺伝的要因:盲腸がんは家族に癌の歴史がある場合に、発症リスクがあります。
以上の要因は、盲腸がんの発症に直接的に関連することが多いため、特に盲腸がんに対して早期発見や予防が必要です。
どのような症状がみられますか?
- 腹部痛:盲腸がんは腹部に痛みがあり、空腸や上行結腸に近い部位に痛みを感じることが多いです。
- 腹部膨満感:盲腸がんは、腹部が膨れ上がる感覚があるでしょう。
- 排便障害:盲腸がんは、排便障害を引き起こします。便が硬くなったり、排便困難が続く場合もあります。
- 血便:盲腸がんは、血が混ざった便を引き起こすことがあるので注意が必要です。ただし上記の症状は他の病気にも起こりうるため、病気の診断には専門医による検査を受けるようにしましょう。盲腸がんは早期発見が重要なため、50歳以上になったら定期的に大腸検診を受けることをおすすめします。
盲腸がんの治療
受診を検討するべき初期症状を教えてください。
- 悪心や嘔吐
- 食欲不振
- 便の異常(便秘、下痢、血便など)
- 体重減少
- 疲れや全身の痛み
- 腹部に反跳痛や痛み
ただしこれらの症状は他の疾患が原因でも引き起こされる可能性があるため注意が必要です。
つまり、別の病気でこういった症状が出ている可能性も否定できません。これらの症状がどこから起こっている病状なのかを把握する必要があります。
そのためには、さまざまな検査が必要ですのでそれだけ時間が掛かるのです。病気は早期発見が大事とはいえ、病院への受診が遅れれば癌だった場合、その間にも進行していきます。それを防ぐためにも症状が出た場合は速やかに医師に相談し、適切な検査をお勧めします。
盲腸がんの診断方法を教えてください。
- 内視鏡検査:胃や大腸を検査するために、消化管の内部を見ることができる内視鏡を使用します。これにより病変の状態を確認し、細胞診をすることがあります。(細胞診とは:身体の粘膜、粘液には臓器が剥がれた細胞が混じることがあり、顕微鏡で正常なものと比較する検査)
- CTスキャンやMRI:盲腸がんの有無を確認するために放射線を使用して、腸の内部を撮影します。
- 細胞診:腫瘍組織を取り出し、顕微鏡で確認することです。
- 血液検査:盲腸がんが発生している場合、特定の腫瘍マーカーの増加が見られる場合があります。
- 経過観察:上記の検査の結果を踏まえ、病変が進行しているかどうかを確認するために、定期的に検査を受けるようにしましょう。これらの診断方法を組み合わせると、盲腸がんの正確な診断ができます。
盲腸がんの治療方法を教えてください。
- 外科的手術:盲腸がんを手術で切除することが最も一般的な治療方法です。手術の種類は、癌がどの程度進行しているかによって異なります。
- 放射線療法:がん細胞を死滅するために有効な方法で、手術の前後に放射線療法が必要です。
- 化学療法:腫瘍細胞を死滅させるために有効な方法で、手術の前後に薬物を投与します。
これらの治療方法は病状や進行度によっても異なります。医師や専門医は病状を診ながら、適切な治療計画を立てて進めていきます。医師や専門医と共に、自分でも今の病状がどうなっているのかを把握しておきましょう。
そうすれば、納得のいく治療を受けられるので不安も軽くなるはずです。自分の身体のことですから、医者任せにしないことも重要になります。
盲腸がんの予後
生存率は低いのでしょうか?
- 手術が可能な場合:5年生存率は約50-70%程度。
- 癌が進行している場合:5年生存率は約20%程度。
冒頭でも述べましたが、生存率は病気の状態や治療方法によって異なります。しかしながら現代の医療は、治療の進歩に伴い生存率も上昇していることは事実です。
そのため、放射線療法や化学療法を併用すれば生存期間を延ばすことは可能になっています。
盲腸がんと診断された場合の余命を教えてください。
放射線療法や化学療法など、現代の進歩した医療を併用すれば生存期間を延ばせる場合もありますので、身体の病状を診てもらい確認してみましょう。
余命については人それぞれの病状によって異なります。病状や治療の進み具合に応じて治療計画を見直し、専門医によるアドバイスを受けながら適切なケアを行うことが重要です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
そして常に信頼できる医師と、相談やアドバイスを受けながら過ごすことで癌を未然に防ぐ可能性を広げることにもなってきます。癌と診断されても決して気を落とさず、いろいろな治療法を試してみてください。
編集部まとめ
今回は盲腸がんにスポットを当てて、病気の症状や原因と治療方法を解説しました。
癌は30代を過ぎたころから気を付けておく必要があり、一般的な健康診断でも40代以降から急に検査項目が増えます。
普段から食生活や、運動などできることから健康のために取り入れるなどの工夫をしてみてください。
そして、少しでもおかしいなと感じたらすぐに医師の診察を受けましょう。
すぐの行動が、癌の何よりの予防になります。