「副鼻腔がん」になると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
副鼻腔とは鼻の内部にあるのが鼻腔といい、その周りにある空洞が副鼻腔といいます。
副鼻腔がんは、この鼻腔の周りにある空洞に癌が発生した状態のことをいいます。
初期のころの症状には気付きにくいものです。症状があっても軽いうちは鼻づまりや頭痛といったよくある症状と変わらないので、さらに発見が遅れる傾向にあります。
早期発見するためにも単なる鼻づまりや頭痛と軽視せず、早めに医師の診断を受けましょう。
そこでここでは副鼻腔がんについて、副鼻腔がんとはどのような症状で何が原因なのか?診断や治療方法、治療に関する注意点なども解説していきます。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
副鼻腔がんの症状と原因
副鼻腔がんはどんな症状が出ますか?
以下に副鼻腔がんの症状を分かりやすくまとめてみました。
- 鼻の痛みや出血
- 鼻の塞がり
- 鼻の味覚の変化
- 頭痛
- 耳鳴り
- 嗅覚の消失
- 咳や喘鳴
副鼻腔がんの症状のその他には、顔や首に特徴的な症状が出現することもあります。それが以下の症状です。
- 顔の顔面変形や目の周りの腫瘍
- 頸部の淋巴節(リンパ節)の腫大
顔に出る症状は他の症状に比べて分かりやすいと思いますので、このような特徴や症状がある場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。なお、顔面に症状が出る前に顔面骨内で癌が大きくなる場合もあります。副鼻腔がんは早期発見が重要です。
副鼻腔がんの症状を教えてください。
部分別にもう一度、見てみましょう。
- 鼻の症状:鼻からの出血・鼻づまり・鼻の味覚異常・鼻の開きの悪化・鼻の感染・鼻の炎症
- 頭・耳・喉の症状:頭痛・耳鳴り・顔の顔面腫瘍・目の周りの腫瘍・喉の痛み・目の痛み・視力障害
鼻以外でも上記のように、頭や耳などに症状として現れます。やはり鼻を中心に目や耳といった箇所に症状が現れるのです。これらの症状はよくある症状として見過ごしてしまいがちですが、あまり長くこの症状が続く場合は、早急に医師に診てもらうことが重要です。
また、稀に眼球運動障害で発症する場合があります。そのため、1つのものが二重に見える複視の症状が起こるケースも見られます。
副鼻腔がんの発症原因ははっきりわかっていないのでしょうか。
例えば、以下のようなものです。
- タバコやアルコールの使用
- 長期間の喫煙歴
- 慢性的な鼻の炎症
- 前立腺がん放射線治療
以上が副鼻腔がんの発症リスク因子と考えられています。しかし、副鼻腔がんの発症原因の中には遺伝的要因も発症原因の一つです。
これらのことから、はっきりと発症原因を一つには絞れないことは分かるでしょう。万一、自分に副鼻腔がんの疑いがある場合には、自分がこれらの何が要因になっているかを、医師の診断を受けて確認してみることをおすすめします。
初期症状がわかりづらいと聞いています。
- 鼻からの出血
- 鼻づまり
- 頭痛
これらの症状は、ほとんどの人が一度は経験している症状ですね。風邪を惹いたときや風邪の初期症状にも似ている現象なので、「風邪かな?」と思ってしまうということがあります。しかし副鼻腔がんの症状であった場合は、注意が必要です。
副鼻腔がんの症状と見極めるのは難しいですが、上記のような症状が長期間症状が続いている場合や他の症状(頭痛など)がある場合には副鼻腔がんの可能性があると考えられます。少しでも「症状が長いな」と感じたら早めに医師に診てもらいましょう。
副鼻腔がんの診断・治療方法
副鼻腔がんはどう診断するのでしょうか?
- 鼻内視鏡検査:鼻腔内を見るために使用される鼻内視鏡を使用して、鼻腔内の異常を発見できます。
- CTスキャン:頭部のCTスキャンを行い副鼻腔がんがある場合には、頭蓋内に異常な影が見えるのです。
- MRIスキャン:CTスキャンと同様に頭部のMRIスキャンを行い副鼻腔がんがある場合には、やはり頭蓋内に異常な影が示されます。
- 組織検査:鼻腔から取られた組織を病理学的に検査して、確定診断をする方法です。
これらの方法を病状に合わせて組み合わせ検査を行っていき、副鼻腔がんを確実に診断できます。副鼻腔がんと診断された場合には、腫瘍の大きさや進行度などによって適切な治療法を選択することが必要です。
副鼻腔がんの治療方法の流れを教えてください。
- 診断::まずは鼻内視鏡検査やCTスキャン・MRIなどを使用して副鼻腔にある腫瘍を見つけます。その後、その腫瘍の生検や組織検査を行い癌がどんな種類のものかや、癌としてのステージ(進行度)をチェックして確定するのです。
- 病期分類:癌の種類やステージに応じて病期分類を行います。
- 治療計画の立て方:治療方法を決定するために、患者の健康状態・病期・年齢・他の疾患などを合わせて考慮していくのです。
- 治療:手術・放射線療法・化学療法などを用いて治療していきます。
- フォローアップ:治療後は原則、定期的なフォローアップ検査を行います。それにより癌の再発の早期発見、早期治療ができるのです。
- 生活の見直し:治療後は当然ですが、タバコやアルコールの使用を減らすように務めます。それと共に適度な運動や栄養バランスの良い食事を摂るように推奨されますので必ず守りましょう。
なお、治療方法は患者の病状によって異なりますので、治療の流れについては医師に相談し確認してください。
手術以外の選択肢はあるのでしょうか?
- 放射線治療:放射線を癌に照射することで、癌細胞を死滅させます。
- 化学療法:薬物を経口または静脈から投与し、癌細胞を攻撃する方法です。
- 免疫療法:免疫システムを刺激して、癌細胞を攻撃します。
これらのどの治療法を選ぶかは、病状や患者の体力、癌の進行度などを考慮しながら判断されます。また、治療後も定期的に検査を受けることが、早期発見につながり再発を防げるのです。
副鼻腔がんの治療に対する注意点
副鼻腔がんの治療に対する注意点を教えてください。
- 外科的手術:癌を取り除くために使用される方法です。
- 放射線療法:癌を減らすために使用します。
- 化学療法:癌を減らすために使用されるものです。
どのような治療を受けるかは、患者の健康状態やがんの程度と進行度によっても異なります。医師は患者の意向なども考慮しながら、適切な方法を選んでいきます。
また副鼻腔がんの治療は、専門医によって監督されることにより治療中に生じる副作用については、早期に検出し、適切に対処していきます。
副鼻腔がんの生存率と再発率を教えてください
- 早期発見され適切な治療を受けた場合:5年生存率は高い
- 発見が遅れ進行が進んだ場合:5年生存率は低い
このように、早期発見できれば生存率も伸びるのです。また再発率については、治療方法や癌の進行度によっても異なります。癌は治療後、再発する可能性が常に存在するので、治療後も定期的な病院を受診し検査を受けることが重要です。
具体的な生存率の数字は研究結果や患者の病状によっても異なります。患者に合った治療方法や予後については、医師と詳細に相談して指示を受けるようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
単なる鼻づまりで放置していると、危険なことにもなるので注意が必要になってきます。少しでも気になる症状があるときは、早めに医師の診断を受けましょう。
編集部まとめ
今回は副鼻腔がんについてその症状や原因、そして治療方法や治療の流れ、予後についての定期的な検査などを解説しました。
初期症状が分かりづらい点がありますが、病院に行く決め手は「症状が長引く」です。
癌でなければ数日で治まる症状が、「いつまで経っても鼻づまりが解消しない」「頭痛が長引く」「鼻血が出る」などある場合は副鼻腔がんを疑い、すぐに病院へいきましょう。