「睡眠障害」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?医師が監修!
「睡眠障害」は睡眠に関連するさまざまな症状により、日常生活に支障をきたすものです。
代表的な症状として、寝付きが悪い・眠りが浅いといった慢性的な症状のほか、日中に強い眠気におそわれるものもあります。
睡眠に関してなんらかの症状がある場合、正しい治療法または予防法が必要になります。
この記事では睡眠障害の症状と原因・診断方法・予防方法などについて、くわしく解説しますので参考にしてください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
睡眠障害の症状と原因
睡眠障害とはどんな病気ですか?
症状としては寝付きが悪く、起きるのが困難な状態です。「睡眠時無呼吸症候群」は、呼吸が途切れることで睡眠の質が低下する睡眠障害の症状です。「睡眠過多症」は、過剰な睡眠と日中にも起こる極度の眠気により、日常生活に著しい制限を受けます。これらの病気は生活習慣の改善や薬物療法など、原因に応じた効果的な治療を行います。
特に、日常生活に大きく支障がある場合など、症状が重篤な場合は早めに睡眠専門医を受診しましょう。
睡眠障害の症状にはどんなものがありますか?
- 不眠症
- 過度の睡眠
- 睡眠不足
不眠症は寝付きが悪く、寝ても質のよい睡眠がとれないのが特徴です。また、場合によっては症状が慢性化している可能性もあります。過度の睡眠については「睡眠過多症」とも呼ばれ、過剰な睡眠が主な症状です。極度の眠気が日中にも起きるため日常生活に支障をきたします。
睡眠障害の症状のひとつである「睡眠不足」は、睡眠時間が十分にとれないことにより起こるもので、一般的によくある症状のため見逃しがちです。睡眠は身体疲労・脳疲労に大きな影響をおよぼすため、睡眠不足も早めの対処が望ましいでしょう。睡眠障害は生活習慣やストレスなどが要因の場合が多く、医師に診断してもらうことで原因を特定し治療が可能です。
睡眠障害になる原因を教えてください。
- 生活習慣
- 心理的要因
- 病気
- 薬物
日々の生活習慣で原因となるものは、過度のアルコールやカフェインの摂取・スクリーンタイムの増加・不規則なスケジュールなどです。また、心理的要因としてストレス・不安・うつ病・パニック障害なども睡眠障害を引き起こす原因になります。
睡眠障害の原因につながる病気として、睡眠時無呼吸症候群・睡眠脱力症・パーキンソン病などがあげられます。普段使用する薬も睡眠障害に影響するものもあり、例えば、抗うつ薬・βブロッカー・ステロイドなどです。睡眠障害の治療は原因により異なるため、医師の適切な診断が重要になります。
睡眠障害にはどんな人がかかりやすいですか?
- 年齢
- 性別
- 生活習慣
- 精神的健康
- 病歴
それぞれを詳細にみていきます。年齢は若年者より高齢者が多く、性別では男性と比べ、女性がかかりやすい傾向にあります。生活習慣では、不規則な生活スケジュール・過剰なアルコールやカフェインの摂取・過度のスクリーンタイムなどが日常的に多い人はかかりやすいようです。
精神的健康としてはストレス・不安・うつ病・パニック障害など精神的な問題がある場合にも睡眠障害の症状が出やすくなっています。病歴では、睡眠時無呼吸症候群・睡眠脱力症・パーキンソン病などの病気を抱えている場合も症状に悩まされる傾向にあるようです。
ただし以上のような要素がある場合に必ず睡眠障害になるとは限らず、複数の原因が考えられるため、睡眠障害が疑われるような症状がある場合は医師の診断が重要です。
睡眠障害の診断方法と治療
睡眠障害の診断方法を教えてください。
- 睡眠日誌
- 睡眠時間計測
- 睡眠評価検査
- 睡眠障害専門医による面接
睡眠日誌は、自分で記録するものです。記録する内容は、睡眠時間や睡眠中の異常な行動・朝起きた時の疲れ具合などを記載し診察時に医師に提供します。医師は日誌の内容をもとに睡眠障害の有無を判断します。
睡眠時間計測は、睡眠時間・睡眠中の呼吸・動き・睡眠段階などを測定し、睡眠障害の有無を判断するものです。睡眠評価検査は、睡眠中の酸素濃度・心拍数・呼吸数などを計測器で測定したデータをもとに睡眠障害の有無の判断に使用します。
睡眠障害専門医による面接では、睡眠障害の有無を専門医の面接により判断するものです。実際に診断する際には、睡眠障害の症状や担当する医師により異なる方法で行われますが、主な方法としては以上の4つが一般的でしょう。
睡眠障害はどの診療科に相談すべきですか?
睡眠障害はストレスや不安などの精神的な要因から生じることもあるため、精神科医による診断・治療も可能です。また、内科医による診断も可能ですが、できるだけ専門医に相談するのが望ましいでしょう。
治療には薬物療法と生活習慣改善が大事だと聞きましたが。
睡眠環境の整備・睡眠前のリラックス法・適度な運動・ストレス軽減などがあげられ、薬物療法とあわせたアプローチにより効果が期待できます。薬物療法と生活習慣改善それぞれ違った効果が期待でき、短期的な効果には薬物療法が用いられ、長期的な効果には生活習慣改善が有効です。
生活習慣を改善していく過程で睡眠に問題がなくなった場合、薬物療法は不要になります。睡眠障害を治すためには、薬物療法と生活習慣改善の両方を組み合わせるのが望ましいでしょう。睡眠障害は個人で差があるため、医師の診断により適切な治療方法を決定する必要があります。
睡眠障害の予防方法
睡眠障害の予防方法を教えてください。
睡眠環境の整備では、寝室は暗く静かな状態で適度な温度を保ち、部屋だけではなくベッドもできるだけ快適な状態に整えます。その上で睡眠スケジュールを維持するため、毎日同じ時間に起床・就寝する心がけも重要になります。適度な運動は心地よい睡眠を促すために大変有効です。
ただし睡眠2時間前は激しい運動を控え、ヨガ・瞑想などを行うとよいでしょう。ヨガや瞑想・読書はストレスの軽減にも役立ちます。飲酒やタバコも睡眠の妨げになるので、日ごろから控える心がけが大切です。睡眠障害は個人で差があるため、自分に合った方法を取り入れましょう。
睡眠障害は自然に治りますか?
一方、生理的な要因となる睡眠時無呼吸症候群や睡眠性疲労症によって引き起こされる睡眠障害は、自然な改善がしにくいため医療機関での治療が必要です。
また長期的な睡眠障害は、心血管疾患や糖尿病などの健康被害を引き起こす可能性もあるため、早期の治療が必要です。睡眠障害は個人で差があるため、自分に合った治療方法を見つけるためにも早期に治療を受けましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
血圧や心拍数の変化が心血管疾患のリスクを高めるほか、日常的に車を運転される人は運転時のリアクションの遅れにつながり、交通事故のリスクが高まります。このように睡眠障害は健康に悪影響を与えるため、早期の治療が重要です。
編集部まとめ
睡眠に関連するさまざまな症状により、日常生活に支障をきたすものが睡眠障害と呼ばれるものです。
原因は主に、生理的要因・精神的要因・環境的要因などが考えられます。
睡眠障害の診断と治療には専門の医師(睡眠医学専門医、精神科医)を受診し、医師と相談しながら、薬物療法と生活習慣改善を組み合わせた治療を行うようにしましょう。
日常的な心がけも予防・改善につながります。例えば睡眠環境の整備・睡眠スケジュールの維持・適度な運動・ストレス軽減・飲酒やタバコの量を控えるなどは睡眠の質改善に大変有効です。
ただの睡眠不足と自己判断は睡眠障害の放置につながり、健康に悪影響を与えます。気になる症状が続くようでしたら早い段階で専門医を受診し、早期の治療が望まれます。