「後頭神経痛」の症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?医師が監修!
後頭神経痛とは、耳の後ろのあたりがジンジンとした痛みを感じる病気です。何らかの原因で神経が敏感になることで発生すると考えられています。
しかし、続く痛みには耐えられないものです。原因や症状などを知っておきたいと感じる方もいるでしょう。
そこで本記事では、後頭神経痛とはどのような病気なのかをご紹介します。症状・原因・治療方法・予防方法も解説するので参考にしてください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
後頭神経痛の症状と原因
後頭神経痛とはどのような病気でしょうか?
- 大後頭神経痛
- 小後頭神経痛
- 大耳介神経痛
それぞれ痛む神経が異なるため、痛む場所も異なります。
大後頭神経痛は後頭部にある大後頭神経が痛むもので、小後頭神経は耳の裏側から後頭部にかけて通っている神経です。
大耳介神経は、首から耳の下を通り頬のあたりまで通っている神経です。
いずれも、頭を支える頚部の筋肉の間から皮膚の表面側に出ています。そのため、長時間の同じ姿勢や精神的なストレスなどの影響を受けやすいと考えられます。
痛む場所は異なりますが、痛みの質や程度はどの場所であってもほぼ同じです。
具体的な症状を教えてください。
- 痛み
- しびれ
- 目の奥の痛み
- まぶしさ
- めまい
代表的な症状が、片側後頭部・頭頂部・側頭部などの痛みです。
先述した大後頭神経などが、刺激されることで電気が走ったような痛みが発生します。
また、痛みがなくとも、神経が刺激されているため後頭部にしびれを感じることもあります。
さらに、強い痛みやしびれを感じない場合でも、目の奥の痛み・まぶしさ・めまいなどを感じることもあるでしょう。
原因が特定できないことが多いんですよね…。
一般的に考えられる原因としては、次のようなものが代表的です。
- ケガ
- むち打ち
- 血管による神経の圧迫
- 頭部や首の手術による腫れ
- 猫背などの姿勢
- 精神的なストレス
- 単純ヘルペスなどの感染症
ケガやむち打ちなどの、外傷によって発生するケースがあります。
また、過去には頭部や首の手術後にも、この病気を発症した症例がありました。
さらに、猫背などの悪い姿勢が長時間続いている場合にも、後頭神経痛を引き起こす可能性があります。
事務作業の方など、同じ姿勢を長時間取り続けていると、発症の可能性が高まるでしょう。
精神的なストレスも関係しているといわれており、肩こりが強い方も発症しやすいです。
また、単純ヘルペスや帯状疱疹などの感染症、関節リウマチなどの骨の異常によっても引き起こされる可能性があります。
このように、原因は多岐にわたっており、ほとんどの場合が特定できず原因不明であることが多いです。
頭痛とは違う痛みなのですね。
- 片側の首から後頭部や頭頂部かけての激痛
- 電気が走ったような痛み
- 急な首の動きで痛みが発生する
- ヘアブラシで髪をとかしただけで痛むことがある
頭痛の場合でも、首から後頭部にかけて痛む場合がありますが、後頭神経痛の場合は同様の場所に激痛が走ることが多いです。
一時的に電気が走ったような痛みであり、痛みがない時にはなんともない状態ですが、再び痛みを繰り返すことがあります。
また、一度起きると、数日から数週間続く可能性があります。さらに、この神経痛は首を前や後ろに急に倒したり、首を回したりすると痛みが起きる傾向がある点も特徴です。
ヘアブラシで髪をとかすなど頭皮に触れるだけで痛むケースもあり、ひどい場合には枕に頭皮が触れるだけで痛みが発生することがあります。
神経の影響による痛みであるがために、このような症状に悩まされることがあるのです。頭皮に触れるだけで痛みが生じる場合には不眠に悩まされるケースもあります。
発症しやすい人の特徴はありますか?
これは、先述した後頭神経痛に関係する神経が、首などの筋肉によって圧迫されて引き起こされているためです。
大後頭神経・小後頭神経・大耳介神経は、いずれも首の筋肉の間から皮膚表面に向かって出るような位置にあります。
そのため、首や肩こりなど首回りの筋肉のこりが強い方は、この筋肉による神経の圧迫が起こりやすいのです。
さらに、事務仕事をする方などは、長時間同じ姿勢になることが考えられます。このような方も、発症しやすいといわれています。
長時間同じ姿勢を取るような方は、猫背になったりストレートネックになったりする可能性が高いです。
これによって、頸椎が変形することとなり神経を刺激する可能性があるため発症してしまいます。普段から姿勢が悪い方や強い肩こりなどを感じている方は注意しましょう。
後頭神経痛の検査と治療方法
受診するタイミングを教えてください。
先述したような症状以外にも、この病気の症状は多岐にわたります。しかし、頭痛とは違う違和感に気づくこともあるでしょう。
症状が1週間以上長引く場合には受診されることをおすすめします。強い症状で辛い場合には、1週間を待たず受診することも大切です。
どのような検査で診断されますか?
- 視診・触診
- MRI検査
- 血液検査
視診や触診によって、帯状疱疹やヘルペスウイルスの感染がないかを確認します。
次に他の病気と区別するためにMRI検査を行います。椎骨動脈解離や脳腫瘍との鑑別を行うのです。
また血液検査も行います。この検査では、直接的に神経障害の証明はでいません。
しかし、神経障害を起こすような糖尿病や種々の免疫疾患といった、内科的疾患を鑑別できる場合があるため実施します。
治し方を教えてください。
まず自然治癒の方法ですが、この場合は特に治療を必要としません。先述した通り、後頭神経痛の原因には精神的なストレスや長時間続く悪い姿勢などがあるため、これらを無くすことで改善を図ることとなります。
生活習慣を見直して、ストレス軽減に努めれば症状によっては1週間程度で治るでしょう。しかし、自然治癒では治らずひどい痛みがつづくこともあります。
その場合には鎮痛剤や神経痛を抑える薬を飲んで治療することもあります。また、希望者には麻酔により神経を一時的に麻痺させる方法もあるようです。
マッサージは悪化させる可能性があるんですね。
一般的な頭痛には効果に期待できますが、後頭神経痛などのような神経の痛みによる場合は、マッサージが逆効果となってしまう可能性があります。
痛みが長期化する恐れもあるため、マッサージはしないようにしましょう。
後頭神経痛の予防方法
完治することはありますか?
先述したように、一般的には1週間程度で自然に治ることが多いです。しかし、症状が残る場合もあります。
その場合には神経ブロックなどが適応になるため、痛みが続く場合には、脳神経科やペインクリニックの受診をおすすめします。
また、症状がひどい場合には鎮痛剤を使う方法などで治療も可能です。すると、痛みは次第に引いて完治します。
後頭神経痛を予防する方法を教えてください。
そのため、できるだけ発症しないように予防することが大切です。予防法には、姿勢の改善と生活習慣の改善が有効です。
仕事や普段から悪い姿勢を長時間続けているような場合には、姿勢を正して生活することを心がけましょう。
また、生活習慣を改善してストレスを溜め込まないことも大切です。
適度な運動やストレッチを行い、睡眠不足にならないようにするだけでも、発症予防につながるでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
そのため、ひどい症状が表れた場合には非常につらいです。はっきりとした原因は分かっていませんが、生活習慣やストレスなども密接に関係していると考えられています。
できるだけ発症しないように、普段から姿勢を正すなどの予防を行いましょう。また、もしも通常の頭痛とは違うような症状や違和感を覚えた場合には、すぐに専門の医療機関を受診しましょう。
編集部まとめ
後頭神経痛は治る病気です。しかし、その症状は大変つらい痛みを伴うことが多く、可能であれば発症しないことが一番です。
そのためにも、普段から生活習慣を見直すなどの予防に努めて発症を防ぎましょう。また、万が一に備えて、正しい対処法や主な症状を把握しておきましょう。
もし、後頭神経痛の症状らしき違和感を覚えた場合には、すぐに専門の医療機関に相談することが大切です。
参考文献