「原発性肺高血圧症」になると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
公開日:2023/03/04
肺動脈の血圧が原因不明で上昇する「原発性肺高血圧症」について詳しく解説します。
原発性肺高血圧症は、2009年10月より「肺動脈性肺高血圧症」という疾患名に変更されました。
この病気は、肺に血液を送ろうとしても送る先の圧が高いため心臓に負担がかかってしまい、心不全を引き起こしてしまうことで息苦しさ・疲れやすさ・咳などの症状が引き起こされます。
また、現在は完治する治療法が見つかっておらず国が定める難病に指定されています。
今回は肺動脈性肺高血圧症の症状や原因・経過の流れ・治療方法について、皆さんの疑問にお答えします。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
目次 -INDEX-
原発性肺高血圧症の症状と原因
原発性肺高血圧症とはどんな病気ですか?
原発性肺高血圧症とは、原因不明で肺高血圧が引き起こされる疾患です。以前は、原発性肺高血圧症(PPH)という疾患名でしたが、2009年10月より肺動脈性肺高血圧症(PAH)という名称に変更されました。
この病気は心臓から肺に血液を送る肺動脈が狭くなり、血流が悪化することによって引き起こされます。
肺動脈の抵抗が高くなってしまうため心臓に負荷がかかってしまい、心不全(心臓がへたってしまう)となってしまい肺動脈にかかる血圧が上昇します。それに伴い、息苦しさ・疲れやすさ・動悸などの症状が出現するのが特徴です。
現在の国内患者数は1600人程度で、男性よりも女性に多く発症しています。女性の場合は年齢とともに増加し、70代で最も多くなるというデータがあります。一方、男性では20代をピークに40代までは減少傾向です。
しかし、50代から70代までは加齢とともに増えるというデータが確認されています。また、肺動脈性肺高血圧症は指定難病のひとつです。
この病気は心臓から肺に血液を送る肺動脈が狭くなり、血流が悪化することによって引き起こされます。
肺動脈の抵抗が高くなってしまうため心臓に負荷がかかってしまい、心不全(心臓がへたってしまう)となってしまい肺動脈にかかる血圧が上昇します。それに伴い、息苦しさ・疲れやすさ・動悸などの症状が出現するのが特徴です。
現在の国内患者数は1600人程度で、男性よりも女性に多く発症しています。女性の場合は年齢とともに増加し、70代で最も多くなるというデータがあります。一方、男性では20代をピークに40代までは減少傾向です。
しかし、50代から70代までは加齢とともに増えるというデータが確認されています。また、肺動脈性肺高血圧症は指定難病のひとつです。
原発性肺高血圧症にはどんな症状がありますか?
軽度の肺動脈性肺高血圧症の場合、自覚症状が現れにくいのが特徴です。重症度が増すと負担がかかり続けた心臓の働きが悪くなってしまい、身体に十分な酸素を供給できず、自覚症状が現れてきます。
具体的には、労作時の息苦しさ・息切れ・疲れやすさ・動悸・胸の痛み・咳・お腹の張りなどです。その他にも、失神を起こすこともあります。さらに、過度な活動負担による呼吸困難で突然死する危険もあるため注意が必要です。
また、重症化すれば足のむくみや腹水などの症状がみられることもあります。予後については、治療を行わなかった場合の平均的な生存期間は2. 8年です。
しかし、現在では治療薬の開発が進んでいるため、以前に比べると予後は改善してきています。ただし、早期に適切な診断と治療を開始することが特に重要です。
具体的には、労作時の息苦しさ・息切れ・疲れやすさ・動悸・胸の痛み・咳・お腹の張りなどです。その他にも、失神を起こすこともあります。さらに、過度な活動負担による呼吸困難で突然死する危険もあるため注意が必要です。
また、重症化すれば足のむくみや腹水などの症状がみられることもあります。予後については、治療を行わなかった場合の平均的な生存期間は2. 8年です。
しかし、現在では治療薬の開発が進んでいるため、以前に比べると予後は改善してきています。ただし、早期に適切な診断と治療を開始することが特に重要です。
原発性肺高血圧症の主な原因は何でしょうか?
原発性肺高血圧症は、原因となる疾患がないにもかかわらず重度の肺高血圧症状が現れる疾患です。そのため、詳しい原因は未だ明らかになっていません。
しかし、原発性肺高血圧症(PAH)には原因が全く明らかではない特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)と遺伝子が関係している遺伝性肺高血圧症(HPAH)があります。
その他にも、HIV感染症に伴うPAH・膠原病に伴うPAH・特殊な薬剤の服用に伴うPAHなど、様々な疾患と関連していることが明らかになっています。
しかし、原発性肺高血圧症(PAH)には原因が全く明らかではない特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)と遺伝子が関係している遺伝性肺高血圧症(HPAH)があります。
その他にも、HIV感染症に伴うPAH・膠原病に伴うPAH・特殊な薬剤の服用に伴うPAHなど、様々な疾患と関連していることが明らかになっています。
原発性肺高血圧症の経過の流れ
原発性肺高血圧症の経過について教えてください。
肺動脈性肺動脈性では、肺の血圧が高くなることで次第に心臓への負担が増していくのが特徴です。
肺高血圧が軽度の場合には自覚症状はありません。さらに肺高血圧が進めば、心臓への負担が大きくなり肺に血液を送ることができなくなります。肺に血液を送れないということは、つまり全身に正常な酸素供給がされないということです。
このような状態になると身体が酸素不足となり、少し活動するだけでも息苦しく感じたり疲れやすくなったりします。さらに悪化すれば、突然死や心不全のリスクも高まるでしょう。
ただし、肺動脈性肺高血圧症の進行速度は人により様々です。緩やかに進行していくケースもあれば、急激に悪化するケースもあります。
肺高血圧が軽度の場合には自覚症状はありません。さらに肺高血圧が進めば、心臓への負担が大きくなり肺に血液を送ることができなくなります。肺に血液を送れないということは、つまり全身に正常な酸素供給がされないということです。
このような状態になると身体が酸素不足となり、少し活動するだけでも息苦しく感じたり疲れやすくなったりします。さらに悪化すれば、突然死や心不全のリスクも高まるでしょう。
ただし、肺動脈性肺高血圧症の進行速度は人により様々です。緩やかに進行していくケースもあれば、急激に悪化するケースもあります。
原発性肺高血圧症に遺伝は関係していますか?
遺伝性肺高血圧症(HPAH)は遺伝子異常が関与しており、HPAHの約7割にBMPR 2遺伝子の変異がみられるのが特徴です。この遺伝子変異は家族歴のないIPAH患者の約2割でもみられるため、必ず遺伝するとは言いきれません。
また、遺伝性の肺動脈性肺高血圧症では、その他にも5種類の遺伝子の関与が認められています。しかし、その遺伝子がどのように病気を引き起こすかについては明らかになっていません。
ただし、家族や親せきなどの血縁者の中に肺動脈性高血圧症を患っている人がいる場合には早期発見につながる可能性があります。気になることがあれば専門機関へ相談するようにしましょう。
また、遺伝性の肺動脈性肺高血圧症では、その他にも5種類の遺伝子の関与が認められています。しかし、その遺伝子がどのように病気を引き起こすかについては明らかになっていません。
ただし、家族や親せきなどの血縁者の中に肺動脈性高血圧症を患っている人がいる場合には早期発見につながる可能性があります。気になることがあれば専門機関へ相談するようにしましょう。
原発性肺高血圧症の初期症状はどのようなものですか?
軽度の場合は自覚できる症状がありません。病状の進行とともに、活動時の息苦しさ・息切れ・動悸などが現れてきます。自覚できるような症状が現れた時にはすでに肺高血圧症状が進行していることが多いです。
また、肺動脈性肺高血圧症患者の2割〜3割では突然死がみられるため注意が必要です。さらに、肺動脈性肺高血圧症では膠原病・HIV感染症・肺静脈閉塞性疾患などとの関連も指摘されています。
何かしらの病気が発症に関連していることもあるため、定期的な健康診断を行うことも重要です。
また、肺動脈性肺高血圧症患者の2割〜3割では突然死がみられるため注意が必要です。さらに、肺動脈性肺高血圧症では膠原病・HIV感染症・肺静脈閉塞性疾患などとの関連も指摘されています。
何かしらの病気が発症に関連していることもあるため、定期的な健康診断を行うことも重要です。
原発性肺高血圧症の治療方法
原発性肺高血圧の治療方法を教えてください。
治療には、肺の血管を広げて血流を良くするお薬を使います。この方法を肺血管拡張療法といいます。お薬の効果により心臓の負担が軽減され、ある程度は症状に改善がみられます。
また、必要に応じて在宅酸素療法を適用することもあります。しかし、症状が進んだ状態でお薬を開始してもあまり効果が期待できません。そのため、早期発見が重要な病気といえます。
また肺血管拡張療法の他にも、利尿薬や酸素療養を行うことがあります。しかし、これらでも改善がみられない場合には外科的手術による肺移植の適用となるでしょう。
また、必要に応じて在宅酸素療法を適用することもあります。しかし、症状が進んだ状態でお薬を開始してもあまり効果が期待できません。そのため、早期発見が重要な病気といえます。
また肺血管拡張療法の他にも、利尿薬や酸素療養を行うことがあります。しかし、これらでも改善がみられない場合には外科的手術による肺移植の適用となるでしょう。
原発性肺高血圧症は完治しますか?
肺動脈性肺高血圧症は難病です。治療によりある程度は症状が改善できても、病気が完治するわけではありません。
しかし、近年では肺動脈の血流をよくするためのお薬の開発が進んでおり、病気の進行が抑えられるようになってきています。それに伴い、予後も改善傾向にあります。
ただ、症状が進んだ状態で治療を開始しても改善が見込めないことや急激に悪化していくこともあるため注意が必要な病気です。
しかし、近年では肺動脈の血流をよくするためのお薬の開発が進んでおり、病気の進行が抑えられるようになってきています。それに伴い、予後も改善傾向にあります。
ただ、症状が進んだ状態で治療を開始しても改善が見込めないことや急激に悪化していくこともあるため注意が必要な病気です。
治療後、日常生活に影響はありますか?
過労やストレスにより肺静脈性肺高血圧症の症状が悪化することがあります。そのため、適度の休息をとることやストレスを溜めないように心がけることが大切です。
それ以外にも、喫煙や標高の高い場所への旅行により肺動脈圧が上がってしまうことがあるため注意しましょう。もし旅行などへ出かける際には、かかりつけ医に相談してください。
また、日常生活での運動制限や食事制限の必要度合いは患者さんによって様々です。身体に負担がかからないように、主治医の指示には従うように心がけましょう。
それ以外にも、喫煙や標高の高い場所への旅行により肺動脈圧が上がってしまうことがあるため注意しましょう。もし旅行などへ出かける際には、かかりつけ医に相談してください。
また、日常生活での運動制限や食事制限の必要度合いは患者さんによって様々です。身体に負担がかからないように、主治医の指示には従うように心がけましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
「原因不明の完治しない病気」と聞くと不安に思う人も多いことでしょう。しかし、早期に治療を開始すれば、息苦しさ・疲れやすさなどのつらい症状をある程度は抑えることが可能です。
また、肺動脈性肺高血圧症は膠原病やHIV感染症などと関連していることもあります。それらの疾患を患っている場合には、すみやかに適切な治療を受けることも重要です。
肺動脈性肺高血圧症は近年、薬剤の開発により予後がずいぶんと改善しています。不安に思うことも多いでしょうが、気になることは専門機関へご相談ください。
また、肺動脈性肺高血圧症は膠原病やHIV感染症などと関連していることもあります。それらの疾患を患っている場合には、すみやかに適切な治療を受けることも重要です。
肺動脈性肺高血圧症は近年、薬剤の開発により予後がずいぶんと改善しています。不安に思うことも多いでしょうが、気になることは専門機関へご相談ください。
編集部まとめ
今回は原因不明で引き起こされる原発性肺高血圧症について解説しました。原発性肺高血圧症は2009年10月より疾患名が肺動脈性肺高血圧症へ変更になりました。
今のところ発症原因は明らかになっていないものの、遺伝子が関連していることが確認されています。
主な症状は労作時の息苦しさ・疲れやすさ・胸痛などですが、初期は自覚できる症状がないことも特徴です。
また、以前に比べて予後は改善していますが、突然死の可能性がある危険な病気でもあります。
家族に肺動脈性肺高血圧症を患っている人がいる場合や日常生活で息苦しさなどを感じるような場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。