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「心身症」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?

 更新日:2023/03/27
「心身症」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?

精神的なストレスが原因で身体的な不調が生じる「心身症」とはどのような病気なのか、気になる質問にお答えします。

全身に多種多様な症状が現れる心身症は、ときに日常生活に支障をきたす恐れもある病気です。

代表的な疾患としては、胃潰瘍・過敏性腸症候群・気管支喘息・アトピー性皮膚炎・メニエール病などが挙げられます。

日々のストレスが原因となり、つらい症状に悩まされる人も少なくありません。また、人によってはストレスに気付かずに過ごしていることもあります。

「最近、体調が優れないな…」とお悩みの人は、是非参考にしてみてください。

伊藤 直

監修医師
伊藤 直(医師)

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所属:平成かぐらクリニック院長 メンタルアシストプログラム総責任者、一般社団法人 健康職場推進機構理事長、医療法人社団 平成医会 理事

著書:精神科医が教える3秒で部下に好かれる方法

心身症とはなに?

具合の悪い女性

心身症とはどのような病気なのでしょうか?

心身症とは発症や経過に何らかのストレスが関係し、身体に不調をきたす病気です。臓器そのものに障害が起こる場合や、臓器には異常が見当たらずに自覚症状のみ現れる場合があります。
分かりやすい例がストレスによる胃潰瘍です。また、器質的な異常が見当たらずに腹痛・便秘・下痢などの症状が現れる過敏性腸症候群も代表的な心身症のひとつです。

心身症にみられる症状は何でしょうか?

心身症の身体症状は様々で、全身のあらゆる部分に現れます。以下は、心身症疾患の一例です。

  • 呼吸器系疾患:気管支喘息・過換気症候群
  • 消化器系:消化性潰瘍・機能性ディスペプシア・過敏性腸症候群
  • 神経系疾患::偏頭痛・自律神経失調症
  • 皮膚系疾患:アトピー性皮膚炎・慢性蕁麻疹・円形脱毛症
  • 耳鼻科系疾患:メニエール病・耳鳴り
  • 婦人科系疾患:月経異常・更年期障害

思い当たるような精神的なストレスが見当たらない場合でも、気付かないうちにストレスを溜め込んでいる可能性があります。身体の不調が続いている場合には、早めの受診するように心がけましょう。

心身症になりやすい人の特徴などはありますか?

細かいことが気になってしまう・周囲に合わせてしまう・プレッシャーを感じやすいなどの性格の人は心身症になりやすいといわれています。もともとストレスへの耐性が低い人は、過度なストレスに対処できずに身体症状が現れやすいのが特徴です。また、ストレスを自覚しにくい人も危険です。
ストレス耐性が高いのではなく、ストレスを認識することができていない可能性があります。この場合、働きすぎて過労死するような危険もあります。また、ストレスに対処するのが苦手な人は過食・拒食などをくり返す摂食障害などを引き起こすこともあるため注意が必要です。

心身症とうつ病など精神疾患を伴う身体症状はどのように違うのでしょう?

うつ病とは、気分が落ち込む・何事にも興味をもてない・楽しむことができないなどの精神症状が現れる病気です。一方、心身症はストレスにより身体に何らかの疾患が確認されている状態のことを指します。
つまり、うつ病は心の病気であり、心身症は心の不調が引き起こす身体の病気です。うつ病でも心身症同様に倦怠感・不眠・食欲減退などの身体症状が現れることがあります。しかし、これらは身体が障害されることにより起こるわけではなく、うつ病により脳の働きに不調が出るために引き起こされるのです。

心身症を疑う場合の対処法と受診目安

寝込んだ女性

心身症を疑う場合、どのように対処したら良いですか?

思い当たるストレス要因がある場合には、ストレスを遠ざけることや上手にストレスを発散することが重要です。しかし、実際には遠ざけることができるストレスだけではないですから、つらい症状が続いている場合には病院を受診するようにしましょう。
心身症には、自分の感情を抑圧して無意識に他人に合わせてしまうような性格が関連していることも多いです。医師の診察に加えて、臨床心理士のカウンセリングを行いながらストレスへの対処方法を一緒に身につけていきましょう。

病院を受診する場合、どのような症状が出た時点で受診すべきですか?

精神的な不調は、頭痛・胃痛・吐き気・下痢・不眠などの身体症状を引き起こすことが多いです。それ以外にも、めまいや喘息の悪化などが引き起こされることがあります。
症状の出方は様々ですので、なんとなく身体がだるいという症状でも日常的に苦痛を感じているのであれば病院へ相談しましょう。

受診する際は何科を受診するのが良いのでしょうか?

心身症を疑う症状がある場合には、心療内科を受診しましょう。ストレスが原因で引き起こされるときくと精神科への受診を考える人も多いと思います。しかし、精神科では不安・イライラ・幻聴などの精神症状をメインで扱います。思い当たるストレスがあり、頭痛・倦怠感・皮膚のかゆみなど身体的な症状が現れている場合には心療内科への受診がおすすめです。
また、ストレスを自覚しないまま身体的な不調が続くこともあります。思い当たる精神的な要因がない場合でも、身体的な不調に悩んでいる場合には我慢せずに受診するようにしましょう。

心身症を放置した場合のリスクなどあれば教えて下さい。

精神的な症状と身体的な症状は複雑に絡み合っています。そのため、精神的なストレスを放置すれば身体症状が悪化することになるのです。
例えば、過敏性腸症候群の場合は腹痛や下痢が数か月にわたって続くことがあります。腸に器質的な異常がみられないとはいえ、長期的に腹痛や下痢が続くようであれば日常生活に支障が出ることになるでしょう。腹痛や下痢が続けば食欲減退体重減少が引き起こされることもあります。
また、身体症状の悪化は精神的なストレスを増大することにも繋がります。そうするとさらに身体症状が悪化し、身体的にも精神的にも辛い状況が引き起こされる可能性があるので放置することは避けましょう。

心身症の診断や治療方法

カウンセリング

心身症の診断はどのように行うのでしょうか?

まずは問診を行います。心身症では病気の発症や進行に心理的・社会的な要因が大きく関わっていますので、身体症状と精神症状の両面から詳しい状況をヒアリングしていきます。
具体的な内容は、主な症状・発症時期・思い当たる発症要因・どのようなときに症状が悪化するか・どのようなときに症状が楽になるかなどです。わかる範囲で書き留めておくと診察時に役立ちます。また、症状の経過だけでなく生活習慣・行動パターン・ライフイベント・学業や職業・家族歴・生育歴が疾患に影響を与えている可能性もあります。
それらに加え、血液検査・尿検査・心電図などの身体検査により他の病気との鑑別も必要です。症状に応じて、CTや消化管内視鏡検査を行うこともあります。

心身症に治療方法はありますか?

主な治療方法は対症療法心理療法です。まずは、それぞれの身体症状に対して症状を改善するための薬を処方します。身体症状だけでなく、イライラ・不安・気分の落ち込みなどの精神的な症状が現れている場合には向精神薬を処方することもあります。
心理療法では、心の状態を整理することからスタートです。患者さん自らが心の中に抑圧された感情や心の動きを認識できるようにサポートしていきます。心身の不調の原因となるような行動・思考・生活習慣などがあれば、改善できるように一緒に対処法を考えていきましょう。

心身症を発症した際の過ごし方、気をつけることがあれば教えて下さい。

心身症は、ストレスが発症や悪化の引き金となる病気です。したがって、思い当たるストレスを遠ざけることやストレス発散を上手に行うことが大切です。また、精神症状と身体症状がつらい場合には薬を処方します。つらい症状は我慢せずに医師に相談しましょう。

心身症は継続的な治療が必要なのでしょうか?

明確なストレスの原因が存在する場合には、それを取り除くことで症状の改善に繋がります。
しかし、もともとの行動や思考のパターンが改善されていない場合には再び体調を崩す可能性が高いです。また、人によってはストレスから身を守るための心の反応が乏しいケースや、ストレスを自分自身で自覚できないケースもあります。
知らず知らずのうちにストレスをため込んでしまうこともあるため、心理療法を行いながら継続的に付き合っていく必要があります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

ストレス耐性は人それぞれ異なるものです。育った環境や周囲との関わりにより、培ってきた思考や行動のパターンが身体に影響を及ぼしている可能性もあります。
そのため、自分の心と身体を理解することが非常に重要です。医師や臨床心理士などがサポートしますので、ひとりで抱え込まずに心療内科を受診してみてください。

編集部まとめ

OKサインを出す医療従事者
精神的なストレスから身体にも症状が現れる心身症について解説しました。心身症は、心のストレスから胃腸症状・皮膚症状・めまいなどのつらい症状が現れる病気です。

長期的に付き合っていく必要がある病気ですが、ストレスに対する対処や生活習慣の改善により症状は回復していきます。

思い当たる原因がない場合でも、知らず知らずのうちに身体がストレスの影響を受けている可能性もあります。

身体に何かしら不調を感じている場合には、早めに専門機関を受診するようにしましょう。

この記事の監修医師