「成長痛」の症状・対処法はご存知ですか?医師が監修!
夜中に子どもが足を痛がり、時には泣き続けることもある「成長痛」とは、どんなことが原因で起きるのでしょうか。
今回は、症状・対処方法・日常生活での注意点などについて詳しく解説します。
お子さんがあまりに激しく泣くと、「何か大きな病気なのではないか…」と不安になりますが、この痛みは一過性のことがほとんどです。
また、成長痛自体は珍しいものではなく、成長期の多くの子どもが経験するといわれています。
ただ、中には似た症状でも異なる疾患が隠れていることがあります。似た症状が出る病気についても確認しておきましょう。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
成長痛の特徴と症状
成長痛の特徴を教えてください。
夜に激しく痛がっても朝になると痛みがすっかり治まってしまいます。また、成長期を過ぎると自然に痛みがなくなっていくことも特徴のひとつです。
どのような症状が出ますか?
痛みの度合いは人それぞれ異なりますが、夜中に強い痛みで目を覚まし、激しく泣き続けることも多いようです。ただし、翌朝には何事も無かったかのように元気に過ごすことが成長痛による症状の特徴です。
日中に変わった様子が無いので、安心する保護者も少なくありません。また、一般的に痛みは日中には起こらないことが多く、夕方から夜間にかけて不定期で現れます。
成長痛の原因は何でしょうか?
成長痛は何歳くらいの方に多いですか?
成長痛と似ている症状が出る病気を教えてください。
- オスグッド
ジャンプしたり・走ったり・ボールを蹴ったりすることで発症するスポーツ障害です。10歳から15歳の成長期に発症します。
膝のお皿の下の骨(脛骨結節)が出てくることが特徴的な症状です。それに伴い、患部に痛みが出たり、腫れたりします。脛骨結節の突出やレントゲン検査で診断することができます。
- 骨端症(セーバー病・シーバー病)
小学校中学年くらいの男の子によく発症する病気です。主症状は、かかとの痛みです。野球やサッカーなどの激しいスポーツでアキレス腱に過度な負担がかかることが原因となります。
成長期の子どものかかとにみられる骨端軟骨という部分に炎症が起こることが痛みの原因です。時には、かかとが腫れたり、痛くて歩けなくなったりすることもあります。
- ペルテス病
5歳から7歳くらいの男の子に頻発する大腿骨頭壊死です。原因は、はっきりしていません。主な症状は、股関節・太もも・膝の痛みです。歩行時に足を引きずることがあります。股関節ではなく、太ももや膝のみの痛みを訴えることもあります。
- 単純性股関節炎
4歳から8歳くらいの子どもに発症する股関節炎です。感染症が引き金となることもありますが、はっきりした原因は分かっていません。
主な症状は股関節の痛みがほとんどですが、太ももや膝の痛みを訴え、足を引きずって歩いたり、痛くて歩けなくなったりすることもあります。
ペルテス病や化膿性股関節炎と症状が似ているため、MRI検査や血液検査での鑑別が必要となります。
- 小児リウマチ
若年性特発性関節炎という原因不明の疾患で指定難病のひとつです。16歳未満の子どもに発症し、6週間以上持続します。
症状は関節の痛みだけではありません。発疹が出たり、熱が出たりすることもあります。朝方に関節がこわばり、動かしにくくなることが特徴的な症状です。
成長痛の診断方法と治療方法
成長痛はどの部分に痛みが出ますか?
ただし痛みが出る部分は人それぞれです。人によっても、その時々によっても、痛みの部位が異なります。
成長痛はどのように診断しますか?
具体的には、関節の動きに異常が無いか・押した時に痛みは無いか・腫れや皮膚の赤みは無いか、などです。
レントゲン検査や患部の確認で異常が見当たらず、成長痛で現れる特徴的な症状が確認できた場合に「成長痛」と診断します。
治療方法が知りたいです。
患部をさすってあげると次第に痛みが落ち着きます。
成長痛の対処方法と生活する上での注意点
成長痛の症状が出た場合の対処の仕方を教えてください。
子どもの様子を注意深く見守り、運動した日の夜はお風呂で温めたり、マッサージやストレッチをしたりするのも良いでしょう。
心のストレスが原因となっている可能性もあるので、できるだけお子さんの話に耳を傾け、スキンシップをとるように心がけてみてください。
成長痛は精神的な原因で起こることがあるんですね…。
保護者の知らない間に辛い思いをしている可能性もあります。場合によっては、幼稚園や小学校などの先生に相談してみるといいでしょう。日頃からお子さんの話に耳を傾け、精神的なケアをしてあげることも対処方法のひとつになります。
日常生活における注意点は何ですか?<
痛みが出る前に変わったことが無かったか・どんな時に痛みが治まるか等も書き留めておくと良いでしょう。まれに他の病気が隠れていることもあります。不安に感じる場合は、早めに病院に相談するといいでしょう。
昼間にも痛がる様子が無いか・足を引きずって歩いていないか・関節の動かし方に違和感が無いかを注意して観察することも重要です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
もし、次の朝になっても痛がるようなら整形外科を受診しましょう。
編集部まとめ
不定期に繰り返す足の痛みは子どもにとっても親にとっても辛いものですが、成長痛は多くの子どもが経験する症状のひとつです。
まずは、落ち着いて痛みの様子を確認しつつ、患部をさすってあげるようにしましょう。
集団生活の中でたくさん走り回って、たくさんお友達と関わる子どもにとっては、身体的・精神的な疲労が痛みとして出やすいこともあります。
身体のケアだけでなく、心のケアを心がけることも大切です。また、成長痛と似た症状でも、他の疾患が隠れていることもあります。
日中にも変わった様子が無いか、注意してみてあげるようにしましょう。不安なことがあれば、主治医に相談してみてください。