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「無毛症」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「無毛症」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

無毛症とは、本来毛が生えるべき場所に、生まれつき生えていない状態の病気です。先天的な原因で起こる病気といわれています。

他にも似た症状の病気に乏毛症がありますが、この病気とは異なります。また、この病気は遺伝するのかなど、気になっている方は多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では無毛症の遺伝についてご紹介します。症状や原因・診断・治療方法についても解説するので、参考にしてください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

無毛症とはどんな病気?

無毛症とはどんな病気?

無毛症とはどんな症状・特徴がある病気でしょうか?

  • 無毛症の症状としては、次の様なものがあります。
  • 毛髪が生えない
  • 全身の毛が生えない
  • 症状は多岐にわたって現れることがあります。まず、毛髪が生えない症状です。生まれつき髪が生えない場合があり、その中でも全頭無毛症限局性無毛症の2つに分けられます。全頭無毛症は、頭部全体に毛がない症状です。
  • 限局的無毛症は、頭部の一部分に毛が無い症状となります。多くの場合、生まれたときには毛髪があるのですが、生後1~6ヶ月頃までに全て抜け落ちてしまうケースがほとんどのようです。毛髪だけでなく、全身の毛が生えない場合もあります。
  • そのため、陰毛が生えるべき時期になっても、生えてこないケースもあります。症状の度合いが、ある程度大きくならないとわからないといったことも、この病気の特徴といえるでしょう。

無毛症を発症する原因が知りたいです。

  • 無毛症の原因のひとつは、先天的な遺伝子異常です。生まれたときの遺伝子異常によって起こります。いくつかの遺伝子が関係しているといわれていますが、中でもHR(hairless)遺伝子が大きく関係しているといわれています。
  • この遺伝子に異常が起きると、甲状腺ホルモンビタミンDの働きに大きく影響するのです。そのため、毛髪が生えてこないといった症状を起こします。
  • この病気の原因の多くが、このHR遺伝子の異常によるものです。その他の原因としては、薬剤や放射線などの影響によるものもあります。

無毛症は遺伝が原因の場合があると聞いたのですが…

  • 無毛症は先述したように、HR遺伝子の異常によって起こることがほとんどです。そして、このHR遺伝子異常による無毛症は、遺伝子形式が常染色体潜性遺伝形式と呼ばれる形式をとることがわかっています。
  • 必ずしも親が発症しているとは限りませんが、遺伝が原因の場合があります。また、男性ホルモン分泌不全も、この病気をを引き起こす原因といわれています。
  • 性毛と呼ばれる毛は、男性ホルモンによる影響で、10歳ごろから成人型へと発育するのです。しかし、このホルモンの異常がある場合、毛が正しく成長せず、この病気を引き起こすケースがあります。

無毛症と併発する病気はあるのでしょうか?

  • 無毛症と併発する病気としては、外胚葉異形成症に関連する病気が併発する可能性があります。外胚葉異形成症とは、先天的に毛髪や歯・爪などの、外胚葉組織に異常を起こす疾患の総称です。
  • 無毛症はこの病気と関連があり、同じく外胚葉組織の異常による病気を併発する可能性があるのです。代表的な病気の症状としては、無汗性外胚葉異形成症があります。この病気の主な症状は汗が少ないことです。
  • また、免疫不全を伴う無汗性外胚葉異形成症のケースもあります。この場合は、歯や爪の形や生え方の異常・重篤な感染症の合併が主な症状です。また、別の合併症としては精神発達遅滞を合併することもあります。

無毛症の診断・治療方法

無毛症の診断・治療方法

無毛症と思った場合は何科を受診しますか?

  • 無毛症かもしれないと異変を感じた場合、診療科目は皮膚科です。
  • 他の症状として、歯の異常がみられる場合もありますが、先にそちらが見つかった場合は歯科をご検討する方も多いでしょう。併発している病気の症状によって他の診療科目を受診すべきか悩んでしまう場合もあるかもしれません。
  • しかし、毛髪に少しでも違和感がある場合やこの病気が疑われる場合は、迷わず皮膚科を受診しましょう。

無毛症はどのような検査で診断されるのでしょうか?

  • 無毛症が疑われる際の、検査方法としては血液検査を用います。遺伝によってこの病気を発症していることが考えられるため、ホルモンや遺伝子を調べるのです。
  • 主な検査項目としては、染色体検査・テストステロンなどの血中性ホルモンの値などです。症状に合わせてホルモン検査なども行います。また、同時に問診や視診も行います。
  • どの程度、毛が失われているのか、その他の症状は発症していないかなどを加味して、検査内容を検討しつつ診断するのです。遺伝子を調べるには、専門の医療機関でなければ行えません。どの病院でもできるわけではないため、経過を確認しながら慎重に診断が行われるでしょう。

乏毛症との見分け方を教えてください。

  • 乏毛症とは、無毛症の一種となります。その違い・見分け方は、毛量などが一つの基準となるでしょう。無毛症の場合、全く毛が生えないケースや、生まれてすぐは生えていたのに成長に伴って抜ける症状となります。
  • 乏毛症の場合は、無毛症同様に全く生えないケースもありますが、細い毛がまばらな状態で完全に生えそろわないケースをいいます。また、縮毛を伴うことがある点も特徴です。見分け方は非常に難しいですが、無毛症の種類に乏毛症があることを、把握しておきましょう。

無毛症の治療方法はどんなものがありますか?

  • 先天的な場合の治療方法は、現時点では確立されていません。遺伝的な要因が関係しているため、治療方法はまだ見つかっていないのです。また、治療方法が確立されていない理由には、毛に関する病気の原因がはっきりしないことも大きく関係しています。
  • 毛に関する研究分野は、未だ確立されているものが少なく、診断方法や治療方法がはっきりしていないのです。しかし、対処法が全くないわけではありません。男性ホルモン分泌不全の場合であれば、テストステロン薬の塗布や全身投与なども治療法の一つです。
  • また、限局性無毛症などでは、病変している皮膚部分を手術によって切り取る方法もあります。外胚葉異形成症に関連する症状が現れている場合は、その症状の経過も見ながら、適切な治療を行うことも重要です。

無毛症の予後

無毛症の予後

無毛症は完治するのでしょうか?

  • 男性ホルモン分泌不全が原因の無毛症であるならば、テストステロン薬の塗布や全身投与などで改善が見られる可能性があります。
  • しかし、完治は難しいでしょう。また、先天性の場合は、有効な治療方法が確立されていないため完治させることができない現状です。

症状を改善する方法があれば教えてください。

  • 治療方法が確立されていないため、大きく症状を改善する方法はありません。しかし、症状に対処する方法としては、かつらや刺青などを使って見た目を整える方法があります。
  • 特に、完全な無毛症の場合は、刺青は見た目を大きく変えられるため有効と考えられています。しかし、かつら・刺青の対処法は保険適用がないため、注意が必要です。

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

  • 無毛症は、先天的な遺伝子異常によって発症するケースが多い病気です。未だ効果的な治療方法は確立されていませんが、今後研究が進められて、原因の追究や効果的な治療方法の確率がされていくでしょう。
  • この病気でお悩みの方や、これから子供に先述したような症状が発症しないか心配な方はいるでしょう。そのような場合は、まずは正しい知識を備え、適切な診療科目に受診して対応できるようにしておきましょう。

編集部まとめ

頭を抱える人
無毛症は、先天的な遺伝子異常によって起こるケースや、男性ホルモン分泌不全などで起こる病気です。

症状は毛髪だけでなく、全身の毛で発症する可能性があります。生まれてすぐに気づかないケースもあるでしょう。

また、先天性の場合、明確な治療方法は現在ありません。しかし、今後の研究が期待されており、治療方法も開発される可能性があります。

万が一自分の子供が無毛症だった場合は、正しい情報を集めつつ、治療を進めていきましょう。

この記事の監修医師