「扁桃腺肥大」とは?症状・原因・子供が発症した際の注意点も解説!【医師監修】
更新日:2023/08/17
喉の粘膜の中で発達した組織の1つが扁桃で、扁桃腺と一般的に呼ばれていますが正式には口蓋扁桃です。口を開けたときに見える喉の両側にあります。
この扁桃が通常よりも大きくなった状態を扁桃腺肥大(扁桃肥大)と呼び、症状によっては治療が必要です。
今回は扁桃腺肥大(扁桃肥大)の特徴・原因に加えて検査の方法や治療・予防についての解説をしていきます。病院で扁桃腺肥大といわれて不安な方は参考にしてみてください。
監修医師:
矢富 正徳(医師)
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東京医科大学病院
保有免許・資格
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本耳鼻咽喉科学会認定指導医
日本睡眠学会認定睡眠専門医
日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医
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日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医
目次 -INDEX-
扁桃腺肥大の特徴
扁桃腺肥大の特徴を教えてください。
- 扁桃腺肥大は、通常よりも口蓋扁桃が大きくなっている状態です。
- 風邪などで咳や発熱をすると扁桃が腫れることはありますが、風邪の症状もないのに扁桃が腫れて大きくなってしまう方がいます。
- しかし扁桃腺が肥大していても、問題がないケースが多いです。まれに扁桃で喉を塞いでしまうほど肥大する方もいます。
- 扁桃腺が原因で身体に弊害がでている場合は治療が必要です。
- お子さんの場合は学校の健康診断などで扁桃腺肥大を指摘されることがあります。
咳や熱はないのですね…。
- 風邪などが原因で扁桃腺が腫れている場合を除き、扁桃腺が肥大していても熱や咳はありません。
- そのため、特別な症状がなければ治療を行わずに経過観察になることが多いです。
- ただ、扁桃腺肥大)が原因となって高熱やのどの痛みを繰り返すなど気になる症状がある場合は耳鼻咽喉科を受診して治療が必要か判断をしてもらいましょう。
どのような症状がありますか?
- 扁桃腺肥大と診断を受けても、何も症状がない方も少なくありません。とくにお子さんは成長発達の過程で大きくなるため普通のことです。
- ただ、扁桃腺肥大で起こる可能性がある症状は下記の通りです。
- 嚥下障害
- 扁桃が腫れて熱がでる
- 呼吸障害
- 桃が過剰に大きくなると気道を狭めてしまいます。気道が狭くなることでまず起こるのは、呼吸障害や嚥下障害です。
- 腺肥大の症状の1つです。いびきをかく方も少なくありません。お子さんで寝ている際にいびきがひどい場合は扁桃腺肥大の可能性があります。
原因が知りたいです。
- 扁桃腺肥大の種類は2つです。生理的肥大と病的肥大の2種類があり原因はわかれます。
- 生理的肥大はウイルスなどの病原体の侵入を防ぐ役割を担っている扁桃は、免疫が発達していないお子さんが風邪などに罹ると肥大することが多いです。
- これは生理的なもので時間がたてば元に戻ります。病的肥大は感染症で扁桃炎や扁桃周囲炎を繰り返すことで肥大してしまうものです。
- 病的肥大の場合は自然に治癒することが難しいことが多く、患者さんの状態によっては適切な治療が必要になります。
- また、遺伝や体質など生まれつき扁桃が大きい場合も多くの原因です。
扁桃腺肥大の検査・治療
受診すべき目安を教えてください。
- 感染症に罹って扁桃が肥大するのは生理的なもので、自然に治まります。年齢が上がれば扁桃腺肥大の頻度も減ることが多いです。
- そのため、お子さんの扁桃腺肥大は特別な症状がない限り感染症の治療のみ行い、扁桃の肥大は経過観察になります。
- 一方、病的肥大の場合は自然治癒が難しいです。下記のような症状がみられる場合は受診をおすすめします。
- 食べ物が飲み込みにくい
- 睡眠が十分にとれない
- いびきがひどい
- 扁桃の腫れと高熱を繰り返す
- 上記の症状がある場合は生活に支障をきたす可能性が高いです。この場合は適切な治療が必要になります。
- 物を飲み込みにくい・常に眠気がある・集中力が低下気味など気になる症状がある方は早めに受診しましょう。
扁桃腺肥大の検査方法が知りたいです。
- 扁桃腺肥大の疑いで受診された場合は、まずは眠気や嚥下障害など気になる症状を問診で確認します。
- 同時に視診や触診も行うことが多いです。状態によってレントゲンや咽頭ファイバースコープで細かい検査を行います。
- 扁桃肥大が重度の場合は、専用の装置を使って自宅で検査をすることも多いです。
- 専用の装置で呼吸の状態・いびきなど睡眠時の様子・血中酸素濃度を確認します。
- 寝ている様子を動画に撮って診察時に医師に診てもらうのも良いです。
- また、扁桃炎の可能性が高い場合は、細菌を調べる検査を行います。
どのような治療方法がありますか?
- 扁桃腺肥大は日常生活に影響がないケースが多く、この場合は特に治療の必要はありません。特にお子さんの場合は肥大が重度でない限り様子をみることになります。
- ただ、上記でもお話したように、嚥下障害・呼吸障害・睡眠障害・頻繁に発熱するなどの症状がある場合は治療が必要です。
- 扁桃腺肥大の治療には保存的治療と外科的治療の2種類があります。
- 扁桃炎など炎症を起こしている場合は抗生剤や消炎剤で症状を軽減していく方法が保存的治療です。
- 薬で改善されない場合や生活に大きく影響がでている場合は外科的手術を行います。
手術をすることはあるのでしょうか?
- 薬による治療で状態が改善しない場合や、呼吸がしにくい・食べ物を飲み込みにくいなど日常生活に大きな弊害がある場合は手術になるケースも少なくありません。
- 手術で肥大した郊外扁桃を摘出・切除します。通常お子さんの生理的な扁桃腺肥大は個人差があり、5~7歳でピークを迎えますが大半が無症状です。
- 小学生以上の方に扁桃腺肥大が残っている場合は、経過観察をしても扁桃肥大が残るケースがあります。
- この場合、いびきや睡眠無呼吸障害が残る可能性が高いため手術をすすめられることが多いです。手術による治療にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
- 扁桃腺肥大で手術を受ける際は、担当の医師から十分な説明を受けた上で慎重に検討しましょう。
扁桃腺肥大の注意点
子供が発症した場合の注意点を教えてください。
- お子さんの場合は、扁桃腺肥大があっても経過観察になることが多いです。ただ、重症化すると空気の通りが悪くなるため、鼻づまり・いびきなどが起こる可能性があります。
- お子さんの場合は、寝起きの悪さ・居眠り・集中力の低下などの症状がないか普段の様子を観察してみてください。
- また、お子さんの場合は扁桃腺肥大のほかにアデノイド肥大を起こしているケースも多いです。
- アデノイド肥大があると滲出性中耳炎や副鼻腔炎に罹りやすくなります。風邪を引いた後、鼻づまりや口呼吸が長引く場合は注意をしましょう。
- お子さんの様子で気になる点がある場合は、小児科や耳鼻咽喉科で相談をすることをおすすめします。
- 扁桃腺肥大の手術は全身麻酔で行うため、お子さんの負担は大きいです。治療内容は、医師とよく相談しメリットだけでなくデメリットも理解した上で決めてください。
予防方法はありますか?
- お子さんの扁桃腺肥大は、生理的なものが多いため予防は難しいです。
- ただ、風邪やインフルエンザなど感染症による扁桃炎を防ぐことで、病的肥大や症状の悪化の予防はできます。
- 食生活や睡眠の質など生活習慣の改善・うがいや手洗いをこまめにするといった、感染症の予防法を意識してみてください。
- 風邪やインフルエンザが流行る季節には特に注意をしましょう。喉が乾燥していると炎症をおこしやすいため、喉が潤った状態をキープするのも効果的です。
家族はどのようにサポートすれば良いですか?
- お子さんが扁桃腺肥大で経過観察とされた場合は、感染症の予防を意識してください。
- 定期的に手洗いやうがいをさせ、マスクをしてウイルスや細菌の侵入を防ぎます。喉が乾燥しないように、水分を摂らせましょう。
- また、免疫力を高める食事で病原体に打ち勝つ身体を作ります。果物・緑黄色野菜・発酵食品がおすすめです。
- そして睡眠を十分にとることで自律神経も安定し、免疫力が高くなります。
- 大人の場合は自分で意識ができますが、幼いお子さんの場合は保護者の方がサポートしてあげましょう。
- 扁桃線肥大で手術をすることになった場合は、お子さんが不安にならないように声掛けをしてあげてください。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- 扁桃腺肥大はお子さんの場合は生理的なものです。通常なら大きな問題はありません。
- ただ、お子さんは風邪をひきやすいため病的肥大の原因となる扁桃炎には注意をしましょう。
- 扁桃炎が慢性化している場合や気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談をしてください。すぐに手術になるかは扁桃の状態によります。
- まずは、正しい診断を受けて治療を検討することが大切です。手術になった場合はリスクや術後の注意点をしっかり確認しておきましょう。
編集部まとめ
扁桃腺肥大は生活に支障がない場合は、大人もお子さんも治療が必要ないケースが多いです。お子さんなら、時期がくれば扁桃は徐々に小さくなります。
医師から指示がない場合は、感染症に注意しながら経過を観察していきましょう。
ただ扁桃が腫れてよく高熱を頻繁に出す・風邪をひくたびに扁桃炎を起こす・眠っても疲れが取れないなど気になる症状がある場合は治療が必要です。
扁桃腺肥大の症状によって生活に支障がでている場合は、早めに専門医にご相談ください。