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「無気肺」とは?症状・レントゲン・原因・治療法も解説!【医師監修】

 更新日:2023/08/17
「無気肺」とは?症状・レントゲン・原因・治療法も解説!【医師監修】

突然胸が苦しくなって息ができなくなったら、人間はパニックに陥るでしょう。

そんな症状の1つに無気肺があります。無気肺とはどのような病気なのでしょうか。

こちらでは無気肺についての質問にお答えしています。発症後に気を付けるべき点や検査方法・治療方法なども解説しています。

症状に悩んでいる方はぜひお役立てください。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

無気肺の特徴

患者と話す医者

無気肺はどのような病気ですか?

  • 無気肺とは何らかの要因で肺に空気が入らず肺の膨張が不完全になります。気管や気管支が腫瘍や分泌物で閉塞して空気が肺に届かなくなることや肺自体の病気によっても起こり、症状によっては生命にかかわることもある病気です。

症状を教えてください。

  • 無気肺の症状は急性と慢性の場合で違ってきます。また無気肺の範囲や状態でも症状が違います。軽症の場合にはほとんど自覚症状の無いことが多いのです。肺の状態が悪くなった場合には次のような症状が現れることが多いです。
  • 息切れ
  • 胸部圧迫感
  • チアノーゼ
  • 胸の痛み
  • 呼吸困難
  • 慢性の場合には症状に伴ない炎症やがんなど腫瘍が見られるため特に注意が必要となります。

無気肺の原因はどのようなものがありますか?

  • 無気肺はその原因によって次の4つに分類されます。
  • 閉塞性無気肺
  • 圧迫性無気肺
  • 粘着性無気肺
  • 受動性無気肺
  • 閉塞性無気肺は気道の閉塞による無気肺です。気管支結核・肺腫瘍・異物などによって気道が閉塞することで起こります。気管支結核は気管支喘息や術後による粘液栓が原因となります。
  • 圧迫性無気肺は肺腫瘍などの圧迫、気胸・胸水、横隔神経麻痺が原因となります。粘着性無気肺は肺胞の表面活性物質の減少によって発症します。また無気肺は外科的手術を行った後に発症しやすいという特徴があります。

無気肺が起こりやすい時期があると聞きましたが…。

  • 例えば子どもの無気肺は風邪をこじらせたり肺炎を発症したりすることで起こることが多いことから冬に起こりやすいといえるかも知れません。
  • ただ一般的には季節や時期に関係なく無気肺は起きると考えてください。季節や時期ということではありませんが、外科的手術をした術後3日頃に無気肺を発症しやすいといわれています。これは手術中に長時間同じ体位でいることで、分泌物が気管や気管支に溜り閉塞や狭窄することが原因と考えられます。
  • 外科的手術の他にも人工呼吸器を使った場合や長期に病気で寝ていた場合などに無気肺を発症することが多いです。

肺炎との違いが知りたいです。

  • 無気肺はなんらかの要因で肺に空気が入らなくなり潰れてしまう病気ですが、肺炎はウィルスや細菌の感染によって肺が炎症を起こした状態です。無気肺では症状の無い場合もあり、状態が悪くなった場合に息切れや呼吸困難が現れます。
  • 肺炎の症状は高熱・咳・倦怠感などで、ひどくなると腹痛や吐き気など全身に症状が現れることもあります。

無気肺の検査や治療方法

聴診器

受診する目安を教えてください。

  • 無気肺は初期には症状が無い場合もありいつ受診すべきなのか悩むところです。ただ初期段階でしっかりと治療しておかなくては、重症化した場合は命に関わることもある病気なのです。咳が続く・時々胸が苦しい感じがするなどの症状がある場合は早めに受診するようにしてください。
  • 早く受診することは原因となる疾病や障害を早期治療することにもつながります。喫煙者で肺に不安がある人は、症状が無くても定期的に検査を受けることで無気肺の原因になり得る肺疾患を早期に見つけることが可能になるのです。早期受診とともに無症状の場合は定期検査をおすすめします。

無気肺の検査について知りたいです。

  • 無気肺の検査でまず行われるのは胸部レントゲン検査です。レントゲンで肺の部分がどのようになっているのかを確認します。肺の異常の原因を確認するために詳しく次のような検査を行います。
  • 血液検査
  • CT検査
  • 気管支鏡検査
  • PET検査
  • 無気肺は原因を突き止めて、その原因となっている病気を治療することになります。そのためにさまざまな検査を行うのです。血液検査は感染症や肺炎の有無を確認します。CT検査ではレントゲンで確認できなかったがんや腫瘍が発見できる場合があるのです。気管や気管支の異物を確認するための気管支鏡検査やがんの広がりを確認するPET検査も必要に応じて実施されます。

治療方法はどのようなものがありますか?

  • 治療方法は原因ごとにその原因となる病気の治療を行い、結果的に無気肺の治療を行うことにつなげます。それぞれの原因から行われる治療を挙げてみます。
  • 痰が詰まっている:気管支鏡などで痰を吸引する
  • 腫瘍による気管狭窄:手術・放射線治療・化学療法
  • 酸素量の不足:酸素吸入・人工呼吸器
  • それぞれ原因となっている障害物を取り除き、しぼんでいる肺を回復に導く治療を行います。また外科的手術後によくみられる無気肺に関しては、手術後時々深呼吸をする・できるだけ安静期間を短くして身体を動かすなどに留意します。

無気肺は何日くらいで治りますか?

  • 何日で治ると明確には言えません。数日から数週間ともいわれますが、症状や原因となる病気そのものの治療にもより、比較的早く改善される場合もあれば日にちがかかる場合もあります。入院して治療を行うこともあれば自宅療養で改善することもあるのです。どちらの場合も焦らず医師の指示に従うようにしてください。
  • 症状が改善しても病気そのものが完治していない場合、また症状が現れる可能性が高いので、勝手に治療をやめることのないようにしましょう。

無気肺の注意点

看護師

無気肺と診断された場合、日常生活での注意点を教えてください。

  • まず喫煙者は禁煙してください。そして規則正しい日常生活を送るために生活習慣の見直しを行います。無気肺の原因となっている疾患を改善するように治療を行いますが、その際は医師のアドバイスに従ってください。そしてバランスの良い食生活・適度な運動・ストレスを溜めないなどを心掛けるようにしましょう。

家族はどのようにサポートすれば良いですか?

  • 無気肺と診断された場合、家族のサポートは重要になります。毎日の患者の様子を観察して呼吸の乱れや顔色などに異常がないか確認してください。喫煙をしないように注意することや、生活習慣に気を付けて生活をサポートすることが大切です。
  • もしも患者が自宅療養中で寝たきりの状態であるなら、特に家族の注意が必要になるのです。無気肺の改善に向けて家庭でできることを挙げてみます。まず患者の観察・ケアについてです。
  • 痰が絡んでいないか
  • 呼吸は正常か
  • 胸の痛みは無いか
  • 痰が絡んでいた場合、自力で出せない時は吸引が必要になります。呼吸はスムーズか確認してゆっくりと深呼吸や腹式呼吸をするよう促してください。呼吸困難や胸の痛みがあればすぐに病院へ連絡するようにしましょう。できるだけ同じ体位を続けずに身体を動かすことも必要になります。水分を充分にとるように促すことも忘れないでください。療養中は不安感や孤独感に襲われがちです。心身共に穏やかな気持ちで過ごせるようにサポートしてください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 呼吸がスムーズに行えない無気肺は早急な治療が必要になる場合も多いです。胸が痛い・息がしづらいなどの症状がある場合は、できるだけ早めに受診して原因を取り除くようにしてください。
  • また症状が無い場合でも定期的に検査を受けることで、気管支結核・がんといった無気肺の大きな要因である疾患を発見できる可能性は大きいのです。特に長く喫煙を続けてきた人などは定期的な検査をおすすめします。そして今も喫煙を続けている人は、無気肺のリスクが高くなります。これを機会に自分を守るために禁煙しましょう。

編集部まとめ

元気に仕事する女性
無気肺は肺に空気が行かないためにしぼんでしまう症状をいいますが、原因の疾患によりその治療内容もそれぞれ違うことがわかりました。

元々の原因を取り除くことで無気肺の症状を改善させることができるのです。

症状の軽いうちに受診して原因を突き止めることが大切になります。

また定期的に検査を受けることも無気肺を防ぐ方法の1つです。

無気肺と診断されたら、まずは生活習慣を見直し喫煙者は喫煙をやめましょう。

そしてバランスの良い食生活・身体をしっかりと動かすこと・ストレスを溜めないことなどに留意して、健康的な日常を送るよう心掛けてください。

この記事の監修医師