「バージャー病」とは?初期症状・原因・治療法も解説!医師が監修!
バージャー病は、聞き慣れない病名だという方も多い病気です。しかし国の指定難病であり、愛煙家の20〜40歳代の男性を中心に、病気になる可能性があります。
症状が悪化すると、足先や手先が機能しなくなる恐れもあるでしょう。最悪の場合は、四肢を切断しないといけない事態に陥るかもしれません。
愛煙家の方はバージャー病の正しい知識を知っておくことが大切でしょう。
今回は、バージャー病の症状・原因・検査・治療方法・日常生活で気をつけることなどをまとめていきます。
発症しやすい方の特徴もご紹介しているので、参考にしてみてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
バージャー病の特徴
バージャー病とはどのような病気ですか?
- 特徴は、主に20代から30代のよくたばこを吸うアジア人が発症しやすい病気です。主に男性が生じることで知られています。
- 50代以降の場合は、閉塞性動脈硬化症と診断されることが少なくありません。名前の由来は、1900年代のはじめにLeo Buergerが報告したことに由来します。
- 日本では、他にも特発性脱疽・閉塞性血栓血管炎・ビュルガー病と呼ばれることもあるので参考にしてみてください。バージャー病は、国の特定疾患にも数えられている難病です。
- かつて喜劇王「エノケン」が患ったことで、注目度が上がりました。。東アジア・南アジアを中心に、病状が出ると四肢を切断する手術が行われることも少なくありません。
どのような症状がみられますか?
- 初期の症状は、手足の先でしびれです。指先や足先の色が悪化していき、青みを帯びるようになります。
- その後症状が進むと、長い時間歩くと痛みを感じ、生活に支障が出てきます。やがて歩いていないときにも痛みを感じるようになり、寝たきり状態になる方が少なくありません。
- やがて指や足先の細胞が機能しなくなり、両手足を切断する事態に陥ることもあります。
- 症状が進むほど、社会生活が困難になりがちです。
原因は何ですか?
- 原因は、解明されていません。現代医学ではヒト白血球抗原が関係していると予想されていますが、有力な説止まりです。
- ただ患者の多くは喫煙歴があることから、喫煙との因果関係が指摘されています。
- 禁煙していない方でも、受動喫煙で症状が出ることもあります。しかし、喫煙している方全員に症状が出る訳ではないので、トリガーになる原因の解明が急がれているところです。
- また歯周病に悩んでいる方も多いことから、何か関係のある可能性が指摘されています。一般的に歯のケアが広く普及している国では、症状に悩む方が少ない傾向です。
- 歯周病にも関係する細菌が原因である可能性も視野に、研究が進んでいます。
発症しやすい人の特徴を教えてください。
- 発症しやすい方は、喫煙歴のある20代から40代の男性です。
- 近年は女性が発症する例もありますが、女性や禁煙歴のない方は、まず別の病気を疑うことが少なくありません。
- さらに歯茎に炎症のある方が多いとされています。歯周病菌かつタバコを吸うという方は、発症しやすい方といえるでしょう。
遺伝性はありますか?
- 遺伝性があるかどうかは、はっきりとしていません。特定の遺伝的素因が関係しているという主張もありますが、解明されていません。
- ただ遺伝的素因はないとも言い切れないので、家族にバージャー病の方がいる場合は注意が必要でしょう。
- 患者の多くはアジア系で、地中海の近くに住んでいる方にも多く見られます。欧米人は比較的症例が少ないので、民族が発症しやすさに関係している可能性もあるでしょう。
バージャー病の検査と治療
受診を検討するべき初期症状を教えてください。
- 足先が冷えて眠れない・歩くと激痛を感じる・眠っているときにも痛みを感じるという場合は、早めに医師に相談することがおすすめです。
- バージャー病以外にも、何らかの末梢動脈疾患をはじめとする別の病気の可能性もあります。
- 不安を感じる方は、循環器内科・心臓血管外科に相談してみましょう。
バージャー病の診断ではどのような検査を行いますか?
- 検査には、ドプラー血流計が使われることが多いものです。足関節の血圧測定・足関節/上肢血圧比をみて、慎重に診断していきます。
- さらに詳しく調べる場合は、以下のような検査が行われます。
- 画像診断
- 血管造影検査
- MR 血管造影
- CT血管造影
- あわせて喫煙歴・身近にタバコを吸う方がいるかなどの問診、膠原病と関連するそのほかの症状が見られず、膠原病に特異的な自己抗体が見られないなどと総合的に判断して診断されることが多いのです。
治療方法を教えてください。
- 治療方法は、まず禁煙です。禁煙できる環境を整えてもらい、治療中は継続して禁煙してもらいます。
- 禁煙と並行して抗血小板薬・抗凝固薬などを使い、血管の流れをスムーズにすることが一般的です。処方される薬は、その方の様子を見ながら変えられていきます。
- その他血管を形成するバイパス手術が行われることも少なくありません。
- また症状が進んでいる場合は、指趾や四肢を切断する治療方法が取られることもあります。
バージャー病の予防と注意点
バージャー病の予防方法はありますか?
- 予防するには喫煙しないことが大切です。また、受動喫煙でも発症する場合があるので、喫煙中の方に近づかないことも大切です。
- すぐに禁煙することが難しい場合は、喫煙外来をはじめとする専門機関に相談することもいいでしょう。
- また規則正しい生活・食生活は、動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。
- 歯周病もバージャー病に関係していると考えられているので、歯を清潔にする・定期的に歯医者に行くことも予防方法といえるでしょう。
日常生活で気をつけることを教えてください
- 指や足先は、清潔を保つようにしましょう。手足を温め、怪我をしないように注意することが大切です。
- 寒い季節・寒い場所にお住まいの場合は、手袋やカイロなどで手足を冷やさない工夫をすることもおすすめです。規則正しい生活・食生活も心がけてください。
- 食事の量にも注意が必要です。食べ過ぎは、おすすめできません。腹八分目を心がけ、塩分を摂り過ぎないようにしましょう。また禁煙は継続して行うようにしましょう。
- 喫煙はバージャー病の治療の妨げ・悪化に繋がりかねません。喫煙することが依存症になっていて本人の意思だけでは難しい場合は、家族のサポートも大切になってくるでしょう。
- 歯を清潔にすることもおすすめです。口腔をいつも清潔にするように心掛けてみてください。特に愛煙家の方は、歯周病予防のケアを積極的に行うといいでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- 日本において、バージャー病は1970年後半をピークに減少傾向にあります。減少している理由は、歯磨きや喫煙率の低下だといわれています。
- 普段から喫煙をしていない・周りに喫煙している方はいない・家族でバージャー病の方はいないという場合は、発症する確率も高くないでしょう。
- しかし愛煙家の20〜40歳代の方は、用心するに越したことはありません。最悪の場合は潰瘍・壊疽になって、四肢を切断する可能性もあります。
- そうなれば、人生計画が大きく変わるかもしれません。寝たきりになれば、生活の質(QOL)に関わる問題になるでしょう。
- 少しでも疑いを持った場合は、病院に相談してみてください。早期に検査・治療を行うことで、予後を良好にすることもできるでしょう。
編集部まとめ
バージャー病は、国の難病に指定されています。原因もはっきりわからず、2022年現在では禁煙することが大事とされています。
愛煙家の方で手足の先に異常を感じる場合は自己判断して、そのままにしない方がいいでしょう。もしかしたら病気かもしれないと疑問を感じたら、専門医に相談することをおすすめします。
早期発見が、症状の悪化を防ぐことにつながるのです。専門医の指示に従って、症状を悪化させないように規則正しい生活・禁煙を心がけてください。
個人での禁煙が難しい場合は、禁煙外来に相談することもおすすめです。近くに喫煙されている方がいる場合には、受動喫煙に注意してみてください。
参考文献