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「癜風(でんぷう) 」とは?放置するとどうなるか・原因・治療法も解説!

 更新日:2023/08/17
「癜風(でんぷう) 」とは?放置するとどうなるか・原因・治療法も解説!

「背中や胸に丸い茶色のシミが出てきている」そのようなお悩みの方を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その症状は、癜風(でんぷう)かもしれません。難しい漢字の病名ですが、一般的に「なまず」とよばれることもあります。

痒み・痛みなどの症状がないため受診のタイミングがわからないという方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、この記事では癜風の原因・症状・受診の目安などをご説明します。治療法や予後と注意点についても解説しますので、ぜひご覧ください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

癜風の特徴

首がかゆい男性

癜風とはどのような病気なのか教えてください。

  • 「なまず」とよばれることもある癜風ですが、聞きなれない方も多いかもしれません。癜風とはマラセチア菌(癜風菌)というカビが皮膚に増殖した真菌感染症のことです。癜風菌は皮脂の分泌の盛んな部位に存在しています。癜風菌は皮膚に常在している菌で通常無害ですが、一部の人は癜風の症状が出ます。なぜ人によって癜風菌が増殖するかのメカニズムは解明されていません。感染した多くの人は健康ですが、マラセチア菌は高温多湿の環境下で増殖しやすい性質を持つため汗をかきやすい体質の方に発症しやすいと考えられています。また発症しやすい遺伝的要素があるともいわれているのです。症状としては黒や薄い茶色の斑点が体にできます。汗をかく機会が多い夏場によく症状が表れるのが特徴です。

どのような症状がみられますか?

  • シミによく似た平らな斑点が胸・背中・脇・首・腕などの皮膚に出てきます。顔面や腹部に発生する症例もあります。大きさは様々で、色は黒・淡い茶色・白い場合もあるのです。黒・茶色の斑点を黒色癜風・白い斑点を白色癜風とよびます。まれにピンク色の斑点が出る場合もあるのです。症状がすすむと丸い斑点が融合して大きく広がることもあります。痒みはないとされていますが個人差があり痒みを訴えるケースもあります。斑点の表面は皮がむけてカサカサとしている鱗屑を伴ったものが多く、こするとフケのような白い粉状のものが出るのが特徴です。また斑点部分は日焼けをしないので、夏の日焼けにより皮膚が黒くなることで患部が目立ち症状を自覚する方も多くいます。プール・海水浴などで皮膚の露出が多くなる時期に患部の色むらが目立つのではないかと悩んでいる方も少なくありません。癜風の症状が出たら皮膚科を受診し、早期治療を開始しましょう。

癜風の原因を教えてください。

  • 癜風は暖かい春から夏に多く発症します。癜風の原因菌であるマラセチア菌はカビの一種で湿度を好み、体内の蒸れやすい部位で増殖します。またマラセチア菌は皮脂を栄養分としているため、皮脂がでやすい部位に増殖し症状が出るのです。高温多湿の梅雨時期や夏場に、汗をかいて蒸れる部位・皮脂の過剰分泌が起こりやすい部分にマラセチア菌が増えることが原因と考えられています。癜風の予防のため、暑い時期は通気性のよい衣服や下着を着用するなどの肌の乾燥を保つ工夫をしておきましょう。

どのような人が発症しやすいのでしょうか?

  • 癜風は性別・年齢を問わずに発症します。とくに汗をかきやすい健康な成人男性や脂性肌の方に多いとされており、肥満の方にも多い病気です。汗をかく機会が多いスポーツをする方にもよく症状が出るのです。そのほか免疫抑制剤を使用されている方や糖尿病の方にも症状が表れることがあります。顔面・頭部のマラセチア菌の異常増殖は脂漏性皮膚炎の病態とも関連があるのではないかといわれています。

癜風の検査と治療方法

診断する医者

受診の目安となる自覚症状を教えてください。

  • 癜風は一般的に痒みや痛みがなく皮膚の症状のみが表れるので、いつ受診すれば良いのかがわかりにくいという方もいらっしゃるでしょう。癜風は一度斑点ができてしまうと体幹に広がり、色素沈着や色素脱失を起こしてしまいます。体に斑点を発見したら早期に皮膚科を受診しましょう。また、背中など自分で確認しづらい部位に斑点が出ることもあります。汗をかきやすい方は、家族などに確認を随時お願いし症状の有無を把握しておきましょう。できてしまった斑点が元の皮膚の色に戻るには時間がかかります。斑点が体の広範囲に広がると治療が長期に渡る可能性もあります。

癜風の診断ではどのような検査を行いますか?

  • 癜風の診断方法はまず視診を行います。その後斑点が生じている部分の皮膚の表面を削り取り顕微鏡を使ってマラセチア菌がいるかどうかを調べるのです。削り取るといっても痛みはほとんど無く、癜風は患部をこするとフケ状の粉がでますので容易に採取できます。また、患部の斑点は紫外線を当てると黄色く光ることからウッド灯(紫外線照射装置)を使って検査することもあります。

治療方法を教えてください。

  • 治療にはマラセチア菌を抑える抗真菌薬の塗り薬を使用します。患部に1日10分間塗布し、その後洗い流すなどといった使用方法を守り使い続けましょう。症状が広範囲に広がっている場合は内服薬も使用します。内服薬は高い効果を発揮しますが、併用を禁止されている薬剤もあるため服用には注意が必要です。

癜風は何日くらいで治りますか?

  • 病院から処方された外用薬を1日1回程度塗布し、おおよそ2〜3週間ほど続けることで菌は陰性化して快復してくるでしょう。用法用量を正しく守り、患部に継続的に塗ることが大切です。斑点が起きた患部の色素異常は長い間残ります。色素異常に対する有効な治療法はありませんので自然に消失するのを待ちましょう。

癜風の予後と注意点

皮膚の薬

癜風は再発しますか?

  • 癜風は再発しやすい病気です。癜風は皮膚の常在菌が原因ということもあり、体の斑点が消えても夏場に菌の増殖により再発することがあります。
    自己判断で薬の塗布を止めずに、根気よく治療を続けていくことが大切です。再発の予防には、汗をかいたらシャワーを浴びる・汗で濡れた衣服はすぐ着替えるなど対策をして乾燥を保つことが必要となります。市販の抗真菌薬入りの薬用石鹸も有効です。

癜風は他の人へうつるのでしょうか?

  • 癜風は皮膚の常在菌が原因となるため、ほかの人に伝染するリスクは低いと考えられています。ただし、念のため癜風の症状が出ている時は汗の付着したスポーツウェアなどの共用は避けておきましょう。

放置するリスクについて教えてください。

  • 癜風は痒みや痛みなどの自覚症状がない病気です。そのため、受診するタイミングが分からないという方もいらっしゃるでしょう。しかし癜風を放置すると斑点は体中に広がり、皮膚が黒ずむ色素沈着や皮膚の色が白く抜けてしまう色素脱失が起こるのです。色素沈着や色素脱失などの色素異常は長い間体に残ります。ですので自己判断はせずに症状が出た場合は早めに医療機関を受診しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 癜風は夏場に多く発症し、再発しやすい病気です。自覚症状はあまりありませんが、放っておくと皮膚に色素沈着や色素脱失などが起こります。癜風はどの年代の方にも男女関係なくかかる可能性のある病気です。痛み・痒みなどの症状がともなわないため、背中にできた場合は気づかないこともあります。周囲の人からの指摘で自覚することもあり、肌にコンプレックスを抱える方も少なくありません。予防には皮膚を清潔に保つことが大切です。汗をかきやすい自覚のある方は、夏場こまめに汗を拭き取るなどの対策をしておきましょう。症状が出た際は必ず皮膚科を受診し、医師の指示に従って治療を継続することが必要です。

編集部まとめ

汗を拭く男性
癜風は汗をかくことで発症しやすくなります。原因は皮膚の常在菌であるマラセチア菌の増殖です。

癜風は聞きなれない病名ではありますが、一度症状が出てしまうと再発することが多いのも特徴です。また、癜風の予防のためにできることもあります。
・汗をかいた時はシャワーをあびるかタオルで拭き取り清潔を保つ
・汗で濡れた衣服はすぐに着替える
・通気性のよい下着や衣服を着用する
市販の抗真菌剤が配合されているボディーソープの使用も有効です。もし、体に斑点の症状が出た場合は早期に治療を開始しましょう。

斑点が消失したあとも、医師の指示に従い治療を継続していきましょう。

この記事の監修医師