「風邪」を引いた時の症状・おすすめ食べ物とは?【医師監修】
風邪は我々にとってとても身近な病気です。年齢や性別に関係なく誰でもかかるもので、1年に何度も繰り返すこともあります。
冬に流行するイメージがありますが、風邪は1年を通じていつでも罹る可能性があります。
ほとんどの場合は何もしなくても数日〜1週間程度で症状が改善しますが、気管支炎や肺炎と区別がつきにくいため注意が必要です。
子どもや高齢者ほど重症化リスクも高く、身近な病気といっても油断はできません。
この記事では、あまり知られていない風邪の正体・リスク・長引かせない方法・予防方法とおすすめの食べ物まで詳しく解説します。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
風邪の特徴
風邪の正体は何なのでしょうか?
- 風邪とは「上気道(鼻・のど)」に急性炎症が起こる病気の総称です。
- 正式には風邪症候群といい、くしゃみ・せき・のどの痛みなどの症状が現れます。
- 年齢・性別を問わずあらゆる人が発症するとても身近な病気で、誰でも一度は風邪をひいた経験があるはずです。
- 自覚症状は下記のようにさまざまなものがありますが、程度には個人差があります。
- のどの痛み
- 鼻水・鼻づまり
- くしゃみ・せき
- たん
- 発熱
- 悪寒
- 頭痛
- 悪寒
- 関節の痛み
- 全身の倦怠感
- ほとんどの場合、風邪の症状は3日〜4日ほど、長くても1週間程度で自然に治ります。
- 風邪の原因の約90%はウイルスが占めており、残りの10%は細菌・マイコプラズマ・クラミジアなどウイルス以外によるものです
- 風邪ウイルスの数は200種類以上あるため、どのウイルスが原因となったかを特定することはできません。同じウイルスでも型が複数あり、さらに年々変異しています。一度感染したウイルスでも別の型では免疫がないため、繰り返し風邪をひきます。
季節ごとに気をつける病原体が違うのですね。
- 風邪の原因となるウイルスはさまざまな種類があります。
- 季節ごとに流行するウイルスが違い、複数のウイルスに同時に感染する場合もあります。
- 風邪の原因となる主なウイルスと流行する季節は下記のとおりです。
- ライノウイルス:主に鼻風邪の原因となり、秋や春に多い
- コロナウイルス:鼻やのどの症状が起こり、冬に多い
- RSウイルス:冬に多いが年間を通じて流行する
- パラインフルエンザウイルス:秋に流行する型と春に流行する型がある
- アデノウイルス:冬から夏にかけて流行する
- エンテロウイルス:夏に流行する
- 季節の変わり目は朝晩の気温の変化などが原因で体調を崩しやすいため、風邪もひきやすくなります。
風邪の主な症状を教えてください。
- 風邪をひいたときは「呼吸器症状」と「全身症状」として症状が現れます。
- 呼吸器症状には鼻水・鼻閉・咽頭痛・声枯れ・せき・たんなどがあり、全身症状には発熱・頭痛・全身の倦怠感・食欲不振などがあります。
- これらの症状は風邪のウイルスに対抗するために起こる防御反応です。炎症は赤くなる・熱をもつ・腫れる・痛みがあるといった症状のことですが、風邪をひくとのどの痛みを感じる方も多いと思います。
- くしゃみ・鼻水・鼻づまりも風邪に多い症状ですが、これは鼻の粘膜に付着した異物を吹き飛ばしたり洗い流したりするために起こります。
なぜ風邪をひくと色々な症状が出るのですか?
- くしゃみ・鼻水・せき・たんなどの症状は人体にとって異物である病原体を体から追い出そうとする生体反応のひとつです。
- 風邪をひくと鼻水やのどの痛みなどの症状が出ますが、風邪のウイルスが体内に入るとまず鼻や口、のどに付着します。
- ウイルスの付着を察知すると体は体温を上げます。
- ウイルスは熱に弱い特徴があり、体温が高いほうが免疫機能が活性化されるためです。
- 体温を上げるためには内臓の働きを活発にしたり筋肉を震わせたりするため、筋肉痛・関節痛といった症状が出ます。
風邪に潜むリスクと治療方法
重症化することがあると聞いたことがあります…。
- 通常、風邪は数日から1週間程度で治まりますが風邪は万病のもとといわれるように、風邪をひいている間に別の細菌に感染する場合があります。
- 風邪がきっかけで中耳炎・副鼻腔炎・気管支炎・肺炎・脳症などの合併症を引き起こすことがあり、重症化する可能性があります。
- とくに抵抗力が弱い子どもや高齢者は重症化リスクが高いです。
子どもや高齢者は特に注意が必要ということですね。
- 幼い子どもほど抵抗力が弱く、身体機能が未熟なため風邪をひく回数も多くなります。
- 集団生活の場である保育園や幼稚園に通っている場合はとくに感染するリスクが高いです。
- 子どもは鼻の炎症が耳管から中耳に及び炎症を起こしやすく、中耳炎になりやすい特徴があります。
- 高齢者の場合は体温を調整する機能が低下しているため発熱せず、風邪の症状に気づかない場合があります。
- いつの間にか重症化して肺炎を引き起こすと、命の危険もあるため油断はできません。
風邪をひいたときに気をつける症状を教えてください。
- 風邪をひいたとき、下記のような症状には注意が必要です。
- 重症化のリスクがあるため早めに受診しましょう。
- 扁桃炎:細菌による二次感染で炎症すると大きく腫大して赤くなり、高熱と痛みの症状が出る
- 中耳炎:炎症が耳管から中耳に達すると中耳炎となり膿がたまって激痛を伴う
- 副鼻腔炎:頬骨の上の上顎洞と鼻腔の間に炎症が広がると副鼻腔炎となる
- 肺炎:せき・熱が2週間近く続き息苦しさがある場合は肺炎の可能性がある
- 脳症:1~2歳児の場合は急激に熱を下げると脳症を起こしやすい
風邪を長引かせないために
風邪を長引かせないためにできることを教えてください。
- 風邪を長引かせないためには、ひき始めの対策が重要です。
- ウイルスに対抗する免疫力を高めるために体力を確保し、体のコンディションを整えましょう。
- 「風邪をひいたかな?」と思った場合は症状が本格化する前に下記のような対策をしてください。
- 睡眠をとる:風邪の引き始めは免疫力が下がっているため十分な睡眠をとって休養する
- 栄養をとる:おかゆやスープなど栄養価が高く消化のいい食事をとる
- 加湿する:風邪ウイルスは湿度60%の環境で約80%が死滅するといわれる
- 水分補給をする:発熱すると脱水状態になりやすいため
- 風邪の症状は体内に侵入したウイルスを追い出そうとする防御反応のため、無理に抑えることは望ましくありません。
- 長引く場合は放っておくと症状が悪化する可能性があるため、受診して症状にあった薬を服用しましょう。
風邪の予防方法やおすすめの食べ物を知りたいです。
- 風邪の予防には下記の5つの習慣が効果的です。
- 外出時のマスク着用:のどや鼻の粘膜を保湿する
- 石けんを使った手洗い:手についた風邪ウイルスを洗い流す
- うがい:口の中の細菌を減らしてのどや鼻の粘膜を潤す
- 20~30分おきの水分補給:のどや鼻の粘膜を潤す
- 歯磨き:口内の雑菌を除去してウイルスの侵入を防ぐ
- 風邪の予防には食生活も重要です。
- 偏った食生活によって栄養不足になると免疫力が低下して風邪をひきやすくなります。
- 風邪を予防するためには免疫力をアップさせる必要があります。
- 下記の食べ物を参考に、主食+主菜+副菜をそろえてバランスのいい食事を心がけましょう
- タンパク質:魚・肉・卵・大豆製品など
- 緑黄色野菜:かぼちゃ・にんじん・ほうれん草など
- ビタミンC:小松菜・ブロッコリー・キウイ・みかんなど
- 生姜・唐辛子・にんにく・ねぎに含まれる栄養素も新陳代謝を促進して殺菌力もあるため、食事に取り入れてください。
- レバーも免疫力アップに効果的です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- 風邪はとても身近な病気で、原因となるウイルスは200種類以上あるため1年を通して注意が必要です。
- 通常は数日から1週間程度で症状が治まります。1週間以上たっても症状が治まらず長引く場合は別の病気の可能性があるため受診してください。
- 風邪の予防には手洗い・うがいやバランスのいい食事を心がけることが大切です。
- 免疫力をアップして風邪をひきにくい体作りをしましょう。
編集部まとめ
風邪は誰でも一度はひいたことがあるとても身近な病気で、ほとんどの場合ウイルスによる感染が原因です。
とくに治療をしなくても1週間程度で治りますが、症状によっては重症化する場合があるため油断はできません。
風邪にはせき・のどの痛み・発熱などさまざまな症状があり、程度には個人差があります。
症状が重い場合はとてもつらいですが、体が風邪のウイルスを追い出そうとして起こる防御反応のため無理に抑えず安静に過ごしましょう。
風邪の予防にも長引かせないためにも免疫力アップが重要です。十分な睡眠とタンパク質・緑黄色野菜・ビタミンCを意識してバランスのいい食事を心がけましょう。
参考文献