「膀胱腫瘍」とは?症状・原因・治療法についても解説!【医師監修】
膀胱腫瘍とは膀胱にできる腫瘍のことで、良性腫瘍と悪性腫瘍に分かれ、悪性腫瘍のことを膀胱がんと呼びます。
喫煙者が患う確率が高く、血尿や頻尿、排尿痛などの症状があります。進行すると命に関わる病気なので、早めに泌尿器科を受診しましょう。
今回は膀胱腫瘍の症状や原因、検査や治療方法、さらに治療後の療養や性差について解説します。
監修医師:
竹内 尚史(新松戸中央総合病院)
膀胱腫瘍とは
膀胱腫瘍とは、どのような病気ですか?
悪性の膀胱癌であった場合90%以上は、尿路の内側をおおう粘膜である尿路上皮に発生する「尿路上皮がん」です。尿路上皮がんは、深達度によって分類されます。
深達度とは、がんがどのくらい膀胱壁に深く入り込んだかの度合いです。筋層まで入り込んでいなければ筋層非浸潤性がん、入り込んでいれば筋層浸潤性がんと分類されます。
ほかにも、腺がんや扁平上皮がん、小細胞がんなどの種類があります。また、膀胱腫瘍は、骨、肝臓、リンパ節などに転移する可能性があるため、早期治療が必要です。
膀胱がどのような臓器なのか教えてください。
尿は腎臓でつくられて、腎杯、腎盂、尿管を通って膀胱にたまり、ある程度尿がたまると尿意を覚え、尿道を通って排せつされます。尿が通る道を尿路といい、おおっているのが粘膜である尿路上皮です。
尿道のまわりには尿道括約筋があります。尿道括約筋は通常、尿をもらさないように尿道を締めていますが、尿意を感じて膀胱の筋肉が収縮し、尿道括約筋が緩むと尿が排せつされます。
膀胱腫瘍の症状
膀胱腫瘍の症状を教えてください。
特に膀胱腫瘍の場合は、痛みがない状態で血尿が出ることもあります。この症状が現れた場合は早急に泌尿器科を受診しましょう。
ほかにも、腫瘍が進行すると腰や背中、脇腹が痛んだり、足がむくんだりなどの症状が現れる場合もあります。
膀胱腫瘍の原因
膀胱腫瘍の原因を教えてください。
ほかにも染料を扱う職業や化学物質を扱う職業など、発がん性物質を暴露することが多い人は発生率が高くなります。
膀胱腫瘍の受診科目
膀胱腫瘍が疑われる場合、何科を受診するといいでしょうか?
膀胱腫瘍の検査
膀胱腫瘍が疑われる場合、どのような検査を行いますか?
腫瘍が見つかった場合はCT検査やMRI検査などの画像検査によって、腫瘍の深達度や広がりを確認する場合もあります。確定診断をするためにはTURBTと呼ばれる経尿道的膀胱腫瘍切除術が必要です。TURBTは、治療も兼ねています。
膀胱腫瘍の性差・年齢差
膀胱腫瘍に性差はありますか?
膀胱腫瘍の治療方法
膀胱腫瘍の治療方法を教えてください。
ほかにも、薬物療法、薬物を注入する膀胱内注入療法、膀胱全摘出術などの治療法もあります。
そして治療法は、腫瘍の深達度や進行の程度、健康状態を考慮して決定します。
膀胱腫瘍の進行は、どのように分類されますか?
TNM分類のTカテゴリーは腫瘍の深達度、Nカテゴリーは骨盤内のリンパ節への転移の有無や程度、Mカテゴリーは膀胱から離れたリンパ節や臓器への転移の有無です。
深達度はTa〜T4bに分類されて、数字が大きいほど深くまで腫瘍が進行しています。Ta、Tis、T1が筋層まで腫瘍が入り込んでいない筋層非浸潤性がん、T2~T4が筋層まで入り込んでいる筋層浸潤性がんと分類されます。
筋層非浸潤性膀胱腫瘍(0・Ⅰ期)
進行の程度が低い膀胱腫瘍の治療方法について教えてください。
膀胱腫瘍の90%以上である尿路上皮がん以外の、リスクが高い筋層非浸潤性膀胱がんの場合はTURBTを2回行う場合もあります。
また、膀胱内注入療法の効果が見られないときは、膀胱全摘除術を行う場合があります。
筋層浸潤性膀胱がん(Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ期)
進行が進んでいる膀胱腫瘍の治療方法について教えてください。
合併症を持っている方や高齢の方は、薬物療法や放射線治療、TURBTなどを行って膀胱温存療法を行う場合もあります。
腫瘍が進行して転移がある、といった場合は薬物療法などが行われます。
膀胱腫瘍治療の療養
膀胱腫瘍の治療後に気をつけることはありますか?
TURBT後の生活
TURBT後の生活はどうなりますか?
膀胱全摘徐術後の生活
膀胱全摘徐術後の生活はどうなりますか?
編集部まとめ
膀胱にできる腫瘍の総称が膀胱腫瘍であり、膀胱腫瘍の90%以上は、尿路上皮がんと言われています。
症状は血尿や頻尿、排尿時の痛みなどです。膀胱腫瘍のもっとも高いリスク因子は喫煙で、非喫煙者より2〜3倍も膀胱癌の発生率が高く、男性の方が女性より3〜4倍も罹患者が多いのが特徴です。
尿検査や超音波検査、膀胱鏡検査などを行って腫瘍の有無を検査します。腫瘍が見つかった場合はCT検査やMRI検査で深達度や広がりを確認し、確定診断にはTURBTが必要です。
進行の程度によってステージは0期〜Ⅳ期に分けられ、ステージやその他の状態によってTURBT、膀胱内注入療法、膀胱全摘除術などの治療を行います。
膀胱腫瘍が疑われる場合、リンパ節や骨、肺などに転移する可能性もあるため、できるだけ早急に泌尿器科を受診しましょう。
参考文献