「子宮頸管ポリープ」とは?症状・原因・治療についても解説【医師が監修】
更新日:2023/04/03
痛みのない不正出血が続く場合は、子宮頸管ポリープができているかもしれません。子宮頸管ポリープは、子宮の入口部分にポリープと呼ばれる腫瘍ができる病気です。大部分が良性の腫瘍ですが、ごくごくまれに悪性の腫瘍が見つかる場合もあります。そのため、子宮頸管ポリープができた際には、早めに取り除いておくのがよいとされています。
今回は、子宮頸管ポリープとはどのような病気なのか、原因や治療法も含めて解説します。
監修医師:
前田 裕斗(医師)
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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。
子宮頸管ポリープとは
子宮頸管ポリープとはどのような病気ですか?
ポリープとは、粘膜から発生したイボの総称です。子宮から腟につながる部分は、子宮頸管と呼ばれています。子宮頸管の粘膜が増殖し、きのこのような形をした腫瘍となり、腟側に飛び出してくるのが子宮頸管ポリープです。
子宮頸管ポリープの特徴
子宮頸管にできるポリープはどのようなものですか?
ポリープは、赤く柔らかいのが特徴で、大半は良性の腫瘍です。ただ、約0.1%の確率で悪性腫瘍(がん)が見つかることがあるとされています。
ポリープは単独で1つだけできるケースがほとんどですが、複数同時にできる場合もあります。大きさは、2〜3mmの小さなものから1cmほどの大きなものまでさまざまです。
ポリープは単独で1つだけできるケースがほとんどですが、複数同時にできる場合もあります。大きさは、2〜3mmの小さなものから1cmほどの大きなものまでさまざまです。
子宮頸管ポリープの症状
子宮頸管ポリープの症状を教えてください。
子宮頸管ポリープに痛みはありません。ただ、ポリープの部分から出血しやすくなるので、性交時や排便時、激しい運動の後などに不正出血がみられる場合があります。他には、おりものの量が増えたり、色が茶褐色に変化したりする場合もあります。
ポリープが大きくなってくると腫瘍に血液が行き渡らなくなり、腫瘍組織が壊死していきます。組織が壊死した状態になると、これといった刺激がなくても不正出血が見られるようになります。
ポリープが大きくなってくると腫瘍に血液が行き渡らなくなり、腫瘍組織が壊死していきます。組織が壊死した状態になると、これといった刺激がなくても不正出血が見られるようになります。
妊娠や出産に影響はありますか?
出血以外の症状はなく、妊娠や出産への影響はほとんどないと考えられています。
子宮頸管ポリープの原因
子宮頸管ポリープの原因を教えてください。
子宮頸管ポリープが発生する明確な原因については、未だ解明されていません。
子宮頸管の炎症や出産、流産が原因で生じやすいとされており、女性ホルモンが影響している可能性が高いといわれています。
子宮頸管の炎症や出産、流産が原因で生じやすいとされており、女性ホルモンが影響している可能性が高いといわれています。
子宮頸管ポリープの年齢差
子宮頸管ポリープができやすいのはどのような人ですか?
子宮頸管ポリープは、妊娠を経験している30~50代の女性に多く発生するとされています。
特に、何らかの原因で子宮頸管に慢性的な炎症がある人では、そうでない人と比較して子宮頸管ポリープが発生しやすいといわれています。
特に、何らかの原因で子宮頸管に慢性的な炎症がある人では、そうでない人と比較して子宮頸管ポリープが発生しやすいといわれています。
子宮頸管ポリープの受診科目
子宮頸管ポリープを疑ったときは何科を受診すればいいですか?
婦人科または産婦人科を受診しましょう。
産科、婦人科、産婦人科はどれも女性を対象とする診療科ですが、それぞれ対象の領域が異なります。
産科、婦人科、産婦人科はどれも女性を対象とする診療科ですが、それぞれ対象の領域が異なります。
産科、婦人科、産婦人科の違いを教えてください。
産科は妊娠から出産までの検査や治療を中心に行います。それに対し、婦人科では妊娠や出産以外の女性特有の病気を中心に診療を行います。産婦人科は、産科と婦人科両方の機能を兼ね備えた診療科です。
今回の子宮頸管ポリープについては、妊娠以外の受診理由となります。周囲が妊婦さんばかりで気になるといった人は、婦人科のみを標榜している医療機関を選ぶとよいでしょう。そういったことが気にならない人は、産婦人科でも診察が可能です。
今回の子宮頸管ポリープについては、妊娠以外の受診理由となります。周囲が妊婦さんばかりで気になるといった人は、婦人科のみを標榜している医療機関を選ぶとよいでしょう。そういったことが気にならない人は、産婦人科でも診察が可能です。
子宮頸管ポリープの検査
子宮頸管ポリープの診察ではどのような検査を行いますか?
子宮頸管ポリープの検査は、以下の流れで進みます。
- 診察、診断
- 切除、検査
診察、診断
子宮頸管ポリープの診察、診断について詳しく教えてください。
不正出血などの自覚症状がある場合には、腟鏡を使用して内診を行い、ポリープ等の異常がないかを確認します。ポリープが見つかった場合には、その場で子宮頸管ポリープと診断できます。
子宮がん検診でも同様の手順で子宮の入口を観察します。そのため、自覚症状のない子宮頸管ポリープが、がん検診をきっかけに偶然見つかることもよくあります。
子宮がん検診でも同様の手順で子宮の入口を観察します。そのため、自覚症状のない子宮頸管ポリープが、がん検診をきっかけに偶然見つかることもよくあります。
切除、検査
子宮頸管ポリープの切除、検査について詳しく教えてください。
見つかったポリープは切除する場合が多いですが、切除後のポリープは組織検査を行い、悪性腫瘍でないことを確認します。
組織検査については、1週間程度で結果が出ます。結果が出るまでの期間については、医療機関の規模によって異なります。
ポリープを切除後も不正出血が続く場合は、追加で子宮頸がんや体がんの検査を行うこともあります。
組織検査については、1週間程度で結果が出ます。結果が出るまでの期間については、医療機関の規模によって異なります。
ポリープを切除後も不正出血が続く場合は、追加で子宮頸がんや体がんの検査を行うこともあります。
子宮頸管ポリープの治療方法
子宮頸管ポリープはどのような治療を行いますか?
自覚症状が見られず、ポリープの表面を観察した結果、明らかに良性と判断できる場合には、経過観察する場合もあります。
切除を行う際には、腟から器具を入れてポリープをねじり取るのが一般的です。
切除する際に入院の必要はなく、外来で実施できます。痛みもほとんどありません。切除後は少量の出血が見られますが、数日で治まる場合が多く、すぐに日常生活に戻ることができる場合がほとんどです。
切除を行う際には、腟から器具を入れてポリープをねじり取るのが一般的です。
切除する際に入院の必要はなく、外来で実施できます。痛みもほとんどありません。切除後は少量の出血が見られますが、数日で治まる場合が多く、すぐに日常生活に戻ることができる場合がほとんどです。
切除後に再発することはありますか?
子宮頸管ポリープは、切除しても再発してしまうことがよくあります。ポリープが生じる原因である子宮頸管の炎症が治まっていない、切除の際にポリープの根元まで取り切れていない等が再発の理由です。
そのため、ポリープを切除した後にも定期健診を受け続け、再発を見逃さないようにすることが重要です。
そのため、ポリープを切除した後にも定期健診を受け続け、再発を見逃さないようにすることが重要です。
治療せずに自然治癒することはありますか?
自然治癒することはほとんどありません。頻繁に不正出血が起こるようであれば、切除してしまうのが良いでしょう。
子宮頸管ポリープ治療で使用される薬
子宮頸管ポリープでは、薬を使った治療は行われますか?
ポリープを切除した後に、2~3日間出血をすることがあります。この出血に対して、感染予防の抗生物質や止血剤を使用する場合があります。
抗生物質や止血剤を使用中に注意すべきことはありますか?
抗生物質のなかには、他の薬やサプリメント、食品等との組み合わせによって、副作用を引き起こしたり、効果を弱めたりするものがあります。また、止血剤の中には、市販の風邪薬や皮膚科の薬と成分が重複するものがあります。
普段から使用している薬やサプリメントがある人は、抗生物質や止血剤との併用について担当医に確認しましょう。また、風邪薬等の市販品を購入する際には、薬局やドラッグストアで薬剤師や登録販売者に相談し、併用しても問題ない商品を選んでもらうようにしましょう。
普段から使用している薬やサプリメントがある人は、抗生物質や止血剤との併用について担当医に確認しましょう。また、風邪薬等の市販品を購入する際には、薬局やドラッグストアで薬剤師や登録販売者に相談し、併用しても問題ない商品を選んでもらうようにしましょう。
編集部まとめ
子宮頸管の粘膜が増殖し、きのこ状の腫瘍となり、腟側に垂れ下がってくる病気が子宮頸管ポリープです。痛みはありませんが、ポリープの部分から出血しやすくなるので、性交時や排便時、激しい運動の後などに不正出血がみられます。
見つかったポリープは切除する場合が多いですが、切除しても再発してしまうことがよくあります。そのため、ポリープを切除した後にも定期健診を受け続けることが重要です。
子宮頸管ポリープのほとんどは良性腫瘍ですが、約0.1%の確率で悪性腫瘍が見つかることもあります。不正出血がある場合や、がん検診で異常が認められた場合には、早めに婦人科等の医療機関を受診しましょう。
参考文献