「結節性紅斑(けっせつせいこうはん) 」とは?症状・原因・治療法も解説!
結節性紅斑(せっけつせいこうはん)は皮膚に500円玉程の大きさの痛みを伴うしこりができる病気です。
赤みがかった斑点は1つではなくいくつもできることが多く、発熱や倦怠感など風邪のような症状が伴うケースもあります。
20〜30代の若い女性に多く発症する病気であり、細菌・ウイルス感染によるものや薬剤へのアレルギー反応など原因は多岐にわたります。
今回は結節性紅斑を発症する原因や症状についてご紹介してきましょう。
診断・検査方法や治療方法などについてもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
結節性紅斑とは
結節性紅斑とはどんな病気ですか?
- 結節性紅斑は皮下脂肪に炎症が起こり、やや膨らんだ赤みがかった斑点が生じる病気です。
- 主に足のすねの前面の皮膚に発症することが多く、患部は押すと痛みがあり発熱や倦怠感など全身症状を伴うケースもあります。
- 斑点は多数現れ、すねの周り以外にも腕や足首にも症状がみられることがあるようです。
- 患部は熱を帯びていることも多く、触るとしこりのような硬さであり時間が経つにつれてあざのように皮膚が茶色のような見た目に変わります。
- 通常であれば2週間から1ヶ月ほどで症状が治まることも多いですが、慢性型の場合は数ヶ月症状が続く場合もあります。
結節性紅斑の原因はなんですか?
- 結節性紅斑の原因の多くは細菌やウイルスの感染によるもので、代表的な細菌として溶連菌などが挙げられます。
- 他にも薬剤のアレルギー反応として症状が出る場合もあり、抗生物質や経口避妊薬などが原因となることもあります。
- また、他の基礎疾患を抱えている人にも出やすく潰瘍性大腸炎やクローン病などが併発しやすい主な疾患です。
- 白血病や悪性腫瘍の疾患を持つ方にも出やすい症状です。
- 発症の原因は多岐にわたるため、問診やさまざまな検査を行うことで原因を特定することが重要となります。
結節性紅斑の症状を教えてください。
- 結節性紅斑の主な症状は、足のすねの前面の皮膚が赤く腫れしこりのようなものが現れます。
- 患部は熱を帯びており押すと痛みがあることが多いです。
- 症状が重くなるとすね周りだけでなく、太ももや腕のほうにも症状が広がっていくこともあります。
- また、発熱や倦怠感などの風邪に似た全身症状も現れる場合があり、細菌感染が原因の場合は喉の腫れや痛みなども併発することがあります。
発症しやすい人の特徴はありますか?
- この病気をもっとも発症しやすいのは20〜30代の女性です。
- 細菌やウイルス感染が原因となる場合もあるため、子供でも発症するケースが報告されています。
- また、他の内科的疾患を抱えている方にも症状が現れる場合があります。
- 白血病や悪性腫瘍などの基礎疾患を抱えている方も発症する可能性があり、そうしたケースでは原因となる疾患の治療が症状の改善に必要です。
- 罹患率は10万人に1〜5人程の割合であるといわれており、比較的春や秋の季節に発症する方が多いです。
結節性紅斑の診断・検査方法
結節性紅斑はどのように診断を行うのですか?
- 結節性紅斑は皮膚に現れる特徴的な症状により診断されるケースが多いです。
- しかし、皮膚に同様の炎症を起こす他の病気もあるため、正確な診断を行うにはより詳細な検査が必要です。
- 問診などで皮膚の状態を確認した上で、血液検査や皮膚生検により詳細な炎症の程度などを調べます。
- 発症要因により特徴的な症状を伴うことがあり、溶連菌感染からだと発熱、結核では咳の症状が特徴です。
- これらの症状や検査内容により、結節性紅斑の診断と共に発症の原因と疑われるものを探っていきます。
検査内容や検査時の注意点などあれば教えてください。
- 検査の方法としては、血液検査や患部の皮膚を採取して調べる病理検査などが一般的です。
- 感染症によって引き起こされている疑いがある場合には、迅速検査を活用して原因となる病原体を調べる方法もあります。
- また、結核などの他の疾患が原因となることもあるため胸部レントゲンや結核用の皮膚テストなどが行われる場合もあります。
- さまざまな原因により引き起こされる病気であるため、持病や過去のアレルギー反応などについて詳しく医師に説明することが重要です。
受診する目安が知りたいです。
- 皮膚に痒みや赤みがある場合でも、数日程度で症状が治まるようであれば問題ありません。
- 症状が長く続き身体の数ヶ所に赤みのある斑点が増えることや、患部が大きく腫れあがるようであれば皮膚科を受診したほうが良いでしょう。
- 結節性紅斑は患部が大きいものであれば500円玉くらいの大きさにもなり、押すと痛みが生じる場合があります。
- また、発熱や倦怠感などの風邪に似た症状を伴う場合もあり、そのような場合であれば医師による診断の上で適切な治療が必要です。
- 治療を行わずとも自然治癒するケースもありますが、その他の持病や薬剤のアレルギーなどが原因の場合には再発する可能性もあります。
- 原因を特定し適切な治療を行うには、専門医である皮膚科を受診することをおすすめします。
結節性紅斑はどんな治療をする?
結節性紅斑は完治するものですか?
- 結節性紅斑は細菌やウイルス感染により発症するケースがもっとも多いといわれています。
- これらの要因であれば安静にして適切な治療を行えば、時間経過と共に快方に向かいます。
- しかし、その他の要因である場合には再発したり症状が慢性化したりするケースも少なくありません。
- 例えば、結核や悪性腫瘍の疾患を抱えている方も発症することがあり、その場合には原因となる疾患の治療が必要です。
- 他にも薬剤アレルギーが原因のケースもあるため、発症原因を特定させることが病気の完治につながります。
結節性紅斑の治療方法を教えてください。
- 結節性紅斑の治療には患部を安静にすることがもっとも重要です。
- そして、症状が軽い場合ならば非ステロイド性の炎症薬や患部の冷却などにより炎症を抑えることができます。
- また、足に症状が出ている場合には血流を良くさせるために、横になり足を上げておく下肢挙上も効果的です。
- それでも症状が治まらないようであれば、ステロイド剤の内服による治療が一般的です。
- 基礎疾患が発症原因である場合には、根本原因となる疾患の治療が必要になるため入院が必要になることもあります。
どのくらいで症状は治まりますか?
- 通常の症例であれば2〜6週間で症状が治まるケースがほとんどです。
- 慢性型であると、一度症状がなくなってから再発することもあります。
- 症状の原因によって治療にかかる期間も異なるため、血液検査や皮膚生検により根本原因を調べることが重要です。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
- 身体にできる湿疹は汗による刺激や金属などの化学物質によるかぶれで生じることがあります。
- その多くの場合は時間と共に自然消失していくものですが、患部が大きくなり圧痛を伴うような場合であれば医師による診断が必要です。
- 結節性紅斑は細菌やウイルス感染により起こることが多く、足以外にも太ももや腕などに症状が広がっていくこともあります。
- 疑わしい症状がある場合には、速やかに皮膚科を受診し専門医による診断を受けることをおすすめします。
編集部まとめ
結節性紅斑は20〜30代の若い女性に多く発症する病気で、その原因はウイルス感染以外にも薬剤へのアレルギー反応が関係することもあります。
また、結核や悪性リンパ腫を含む悪性腫瘍などの基礎疾患を抱えている人にもみられる症状です。
基本的には完治できる病気であり、症状が軽い場合には非ステロイド剤による対症療法で安静にしていれば2〜6週間ほどで症状が治まります。
しかし、根本となる原因が普段使用している薬剤によるアレルギー反応や自身の持病が関係している場合もあります。
そういった場合には原因となる薬剤の使用を中止することや持病の治療などが必要です。
結節性紅斑では通常の湿疹と比べてやや大型であり、触ると痛みがあったり発熱を伴うことが多いという特徴があります。
背景に別の疾患が隠れていることもあるため、結節性紅斑を疑うような症状があれば、お近くの皮膚科を受診されることをおすすめいたします。
参考文献