「急性胃炎」とは?症状・原因・検査・治療法についても解説!
更新日:2023/04/03
急性胃炎は、胃粘膜に急激な炎症が起こり、みぞおち周辺のキリキリとした痛み、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状があります。
急性胃炎は、胃を安静な状態にすることで自然に緩解しますが、場合によっては点滴、制酸薬、胃粘膜保護薬などが必要になります。
今回は急性胃炎の症状、検査・診断、治療法を解説します。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
急性胃炎とは
急性胃炎とは、どんな病気ですか?
胃炎とは胃の粘膜が炎症を起こした状態で、急性胃粘膜病変と慢性胃炎があり、急激に発症するものを急性胃粘膜病変と総称します。更に急性胃粘膜病変は原因が明確で、原因の除去により短期的に回復するものを指します。
また急性胃炎は正式には急性胃十二指腸粘膜病変と呼ばれています。腹痛や吐血、下血で発症し、胃内視鏡検査で胃、十二指腸粘膜に急性の炎症などの異常所見が認められ、発赤、びらん、浮腫、出血が起こります。
急性胃炎は軽傷で数日で回復することが多いですが、内服薬や点滴による治療、禁食が必要な場合もあります。また、胃潰瘍や胃がんと症状が類似しているため、自己判断で胃炎とせず、症状に改善が見られない場合は、胃内視鏡検査により病態を確認することが大切です。
また急性胃炎は正式には急性胃十二指腸粘膜病変と呼ばれています。腹痛や吐血、下血で発症し、胃内視鏡検査で胃、十二指腸粘膜に急性の炎症などの異常所見が認められ、発赤、びらん、浮腫、出血が起こります。
急性胃炎は軽傷で数日で回復することが多いですが、内服薬や点滴による治療、禁食が必要な場合もあります。また、胃潰瘍や胃がんと症状が類似しているため、自己判断で胃炎とせず、症状に改善が見られない場合は、胃内視鏡検査により病態を確認することが大切です。
急性胃炎の症状
急性胃炎の症状はどのようなものですか?
急性胃炎は発症が急激なため、突然の自覚症状が発生します。具体的にはみぞおち周辺のキリキリとした痛み、吐き気、げっぷ、発熱、嘔吐、食欲低下、膨満感、下痢といった消化器症状です。食欲不振による栄養不足が起こる場合もあります。
また、胃の粘膜の障害が強いと、胃粘膜からの出血が多くなり吐血や下血を起こします。大出血を伴っていることもあり、緊急で内視鏡検査を行い止血処置が必要となります。
多くの場合、急性胃炎の症状は安静にすることで数日で回復します。
症状が強い、症状が長期間続く、何度も繰り返すなどの場合は、他の病気の可能性がありますので、自己判断はせず診察を受けるようにしましょう。
また、胃の粘膜の障害が強いと、胃粘膜からの出血が多くなり吐血や下血を起こします。大出血を伴っていることもあり、緊急で内視鏡検査を行い止血処置が必要となります。
多くの場合、急性胃炎の症状は安静にすることで数日で回復します。
症状が強い、症状が長期間続く、何度も繰り返すなどの場合は、他の病気の可能性がありますので、自己判断はせず診察を受けるようにしましょう。
注意した方がいい症状
注意しなくてはいけない症状はありますか?
多くの場合、急性胃炎の症状は絶食・食事療法で胃を安静にすることで数日で回復しますが、胃粘膜の障害が強いときには、胃粘膜からの出血が多くなり吐血や下血を起こします。これらの症状が見られた際は、大出血を起こしている可能性があるため、早急に胃内視鏡検査を受ける必要があります。
急性胃炎の原因
急性胃炎の原因はどのようなものですか?
急性胃炎の原因は、ピロリ菌感染、アニサキスなどの寄生虫、アスピリンやイブプロフェンなどの痛み止めの薬剤、アルコールの過剰摂取、暴飲暴食、飲酒、激辛食品などの食事、肝硬変、腎不全などの慢性疾患、脳血管障害、その他ストレスなどで、日常的なストレスだけでなく、やけどや手術、感染症などの外的要因によるストレスも原因となります。
中でも薬剤、アルコール、ストレスは、急性胃炎の3大原因です。
中でも薬剤、アルコール、ストレスは、急性胃炎の3大原因です。
薬剤が原因
薬剤性の急性胃炎はどのようにして引き起こされるのでしょうか?
急性胃炎の原因の約半数は薬剤性です。解熱鎮痛剤、ステロイド、抗生物質などがあり、内服薬だけではなく、座薬や湿布で胃粘膜の保護作用が弱まることで急性胃炎を発症します。
アルコールが原因
アルコール性の急性胃炎はどのようにして引き起こされるのでしょうか?
急性胃炎の原因の約10%がアルコール性です。アルコールやコーヒーなどの過剰摂取により胃酸の分泌が過剰になり、急性胃炎を発症します。
ストレスが原因
ストレス性の急性胃炎はどのようにして引き起こされるのでしょうか?
急性胃炎の原因の約10%がストレス性です。ほとんどが精神的ストレスですが、脳血管疾患や熱傷、外傷、手術後などの肉体的な要因が原因の場合もあります。
胃の働きは自律神経がコントロールしていますが、ストレスによる刺激が脳の視床下部から交感神経に伝わることで、胃の血管が収縮して血流が低下して、胃粘膜を保護する粘液の分泌が低下します。
また、ストレスによる刺激は副交感神経経由で胃のぜん動運動を促進するため、胃酸の分泌が過剰になります。これらの結果、胃酸により胃粘膜が傷つき急性胃炎を発症します。
胃の働きは自律神経がコントロールしていますが、ストレスによる刺激が脳の視床下部から交感神経に伝わることで、胃の血管が収縮して血流が低下して、胃粘膜を保護する粘液の分泌が低下します。
また、ストレスによる刺激は副交感神経経由で胃のぜん動運動を促進するため、胃酸の分泌が過剰になります。これらの結果、胃酸により胃粘膜が傷つき急性胃炎を発症します。
急性胃炎の検査・診断
急性胃炎の検査と診断はどのようにしますか?
急性胃炎が疑われる場合、腹痛を起こす急性膵炎、虫垂炎、胃潰瘍、胆石症、急性胆嚢炎など、他の病気との鑑別が必要となります。 鑑別には、発症時の状況、痛みの広がり具合などの情報に加え、血液検査や超音波検査などを実施します。
また、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)により、びらんや出血、潰瘍の有無、胃粘膜の状況を詳細に調べます。更に、ピロリ菌検査を追加する場合もあります。
中でも内視鏡検査は最も重要な検査で、胃の粘膜に出血が認められた場合は、止血処理をします。潰瘍や、びらんなどの急性胃粘膜病変は胃がんやリンパ腫との鑑別が必要なため、胃内視鏡検査により確定診断を行います。
また、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)により、びらんや出血、潰瘍の有無、胃粘膜の状況を詳細に調べます。更に、ピロリ菌検査を追加する場合もあります。
中でも内視鏡検査は最も重要な検査で、胃の粘膜に出血が認められた場合は、止血処理をします。潰瘍や、びらんなどの急性胃粘膜病変は胃がんやリンパ腫との鑑別が必要なため、胃内視鏡検査により確定診断を行います。
急性胃炎の治療
急性胃炎の治療はどのようなものですか?
急性胃炎は、胃の安静を保つことで、多くの場合は自然に症状が消失しますが、症状の程度により、点滴や制酸剤、胃粘膜保護薬などを使用します。また、病変から出血がある場合には内視鏡による止血処理を行います。
急性胃炎の治療で重要なことは、まず第一に原因を取り除くことです。飲酒、激辛食品、喫煙や鎮痛剤の服用を中止します。また社会生活におけるストレスが原因の場合には、定期的な休息の取得や運動、十分な睡眠の確保などを行います。
また、ピロリ菌の関与が疑われる場合には、除菌療法を実施します。
急性胃炎は完治可能な疾患ですが、他の病気との鑑別が必要な場合があり、痛みが持続するときには早期に医療機関を受診することが重要です。
急性胃炎の治療で重要なことは、まず第一に原因を取り除くことです。飲酒、激辛食品、喫煙や鎮痛剤の服用を中止します。また社会生活におけるストレスが原因の場合には、定期的な休息の取得や運動、十分な睡眠の確保などを行います。
また、ピロリ菌の関与が疑われる場合には、除菌療法を実施します。
急性胃炎は完治可能な疾患ですが、他の病気との鑑別が必要な場合があり、痛みが持続するときには早期に医療機関を受診することが重要です。
薬での治療
急性胃炎の治療では、どのような薬剤が使用されるのでしょうか?
血液、内視鏡検査結果を基に、内服薬の選択や内服期間を決定します。
内服治療薬は、胃酸などの攻撃因子を抑制する酸分泌抑制剤、胃酸を中和する制酸剤、胃粘膜防御因子を強める粘膜保護剤を併用します。腹痛や出血がある場合には、禁食して点滴による治療を行います。
病気治療で内服している薬が原因の急性胃炎では、薬の服用を勝手に中止をせず医師に相談することが大切です。
内服治療薬は、胃酸などの攻撃因子を抑制する酸分泌抑制剤、胃酸を中和する制酸剤、胃粘膜防御因子を強める粘膜保護剤を併用します。腹痛や出血がある場合には、禁食して点滴による治療を行います。
病気治療で内服している薬が原因の急性胃炎では、薬の服用を勝手に中止をせず医師に相談することが大切です。
安静にする
胃の安静を保つには、具体的にどうすれば良いですか?
胃の安静を保つ場合、自覚症状、内視鏡検査の結果により絶食、お粥、スープなど食事療法を行います。薬の内服中は、消化の悪い物(焼肉、てんぷら、繊維の多い食品など)、塩分の多い物、辛い物など胃を刺激し負担となる食事や飲酒、喫煙、ブラックコーヒーなどを控えます。
編集部まとめ
急性胃炎は、原因の除去と適切な治療により良好に回復します。原因の多くは薬剤性で、特に解熱鎮痛剤がその約60%を占めています。解熱鎮痛剤は内服後1~2週間で急性胃炎を発症することが多く、高齢者や喫煙者では特に発症が顕著です。
腰痛や頭痛などで痛み止めを開始した場合なども注意が必要です。解熱鎮痛薬など胃を荒らす薬の知識や、生魚には寄生虫がいる可能性があることなどを知っておくことも予防に繋がります。
急性胃炎は原因を回避することが予防に繋がります。規則正しい生活を送って、ストレスや過労を避け、刺激の強い食べ物・飲み物を避けることが大切です。